有価証券報告書-第65期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/26 10:55
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これらの連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、特に以下の重要な会計方針が当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
①営業債権
営業債権は、貸借対照表日以前の売上から生じた債務者に対する正当な債権であり、貸借対照表日後に出荷したもの、委託又は試用販売のために出荷したもの等に係る債権は含めておりません。また、貸借対照表日後に発生すると予想される貸倒損失に対して適正な引当金を計上しております。しかし顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。
②棚卸資産
棚卸資産は、正味売却価額が帳簿価額よりも低下しているときには、帳簿価額を正味売却価額まで切下げております。貸借対照表日現在の棚卸資産で、貸借対照表計上額に比べ現在までにその時価が著しく下落しているものはありません。実際の将来需要又は市場状況が当社グループ経営陣の見積りより悪化した場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
③繰延税金資産
繰延税金資産に関して将来の回収可能性を十分に検討し回収可能な額を計上しております。繰延税金資産の全部又は一部を将来回収できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に計上金額の純額を上回る繰延税金資産を今後回収できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
④退職給付費用
退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。数理計算上の基礎率や計算方法は、当社の状況から見て適切なものであると考えておりますが、割引率の低下や運用利回りの悪化は当社グループの退職給付費用に対して悪影響を及ぼします。
⑤有価証券及び金融商品
流動資産及び投資その他の資産に計上している有価証券は、当社の保有目的に基づき売買目的有価証券、満期保有目的の債券、子会社・関連会社株式及びその他有価証券に適切に分類し、会計処理しております。
また、金融商品の時価の算定方法及び重要な仮定は、合理的であると判断しております。
⑥無形固定資産
無形固定資産として計上している社内利用のソフトウエア費用は、将来の収益獲得又は費用削減が確実なものであると判断しております。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
①資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて12億66百万円増加し、254億14百万円となりました。これは主として現金及び預金が7億65百万円、商品及び製品が3億88百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ18億50百万円増加し、265億46百万円となりました。これは主として機械装置及び運搬具が4億15百万円減少しましたが、建設仮勘定が23億26百万円増加したことなどによります。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて31億17百万円増加し、519億61百万円となりました。
②負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて9億74百万円増加し、186億15百万円となりました。これは主として短期借入金が4億87百万円、未払金が4億80百万円それぞれ増加したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて8億62百万円増加し、116億77百万円となりました。これは主として退職給付に係る負債が4億90百万円減少しましたが、長期借入金が12億99百万円増加したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて18億36百万円増加し、302億93百万円となりました。
③純資産
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて12億80百万円増加し、216億67百万円となりました。これは主として利益剰余金が6億10百万円、退職給付に係る調整累計額が3億56百万円、その他有価証券評価差額金が2億10百万円それぞれ増加したことなどによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末とほぼ同水準の39.8%となりました。
(3) 当連結会計年度の経営成績の分析
①売上高
受注部門ではデータプリントサービスの事業領域拡大に伴う新たな付加価値の創造を図るとともに、二次元カラーコード(カメレオンコード)を利用した業務効率化提案による受注拡大、手帳や卒業アルバムなどの販路拡大に取り組みました。また平成26年11月に株式会社ODKソリューションズと業務・資本提携契約を締結し、当社のDPS事業と株式会社ODKソリューションズの情報処理アウトソーシングサービスとのアライアンスにより学校法人向けサービスの充実を図りました。製品販売部門ではノート、アルバムの各種新製品の開発・販売、ネット販売の強化、デジタル文具の拡充、中国市場での拡販や北米市場の開拓などに取り組みました。製造面では国内工場の効率化、中国工場の採算性の向上、ベトナム工場の本格稼働などに取り組みコスト低下に努めました。また「LINE」に公式アカウントを開設するなど、広告媒体の多様化を図り当社及び商品の認知度向上に努め、前年同期比0.6%減の535億20百万円となりました。
各セグメントの売上高は下記のとおりです。
[印刷製本関連事業]
図書館ソリューション部門は、図書製本の市場縮小により厳しい状況が続いておりますが、図書館アウトソーシング事業の受託拡大や二次元カラーコード(カメレオンコード)を利用した蔵書管理システムの導入などに注力いたしました。データプリントサービス部門は、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業が順調に推移し、ラベル事業の受注拡大にも努めました。手帳部門は年玉手帳や市販手帳の受注拡大、新規販路の開拓に注力するとともに選別受注により採算性の向上に努めました。またパッケージ・封筒事業や卒業アルバムなどは堅調に推移いたしました。この結果、印刷製本関連事業の売上高は271億56百万円(前年同期比1.6%減)となりました。
[ステーショナリー関連事業]
文具専門店、GMS、ホームセンター、カメラチェーン店への販売強化を図るとともに各種広告媒体を通じて「スイング・ロジカルノート」の消費者への浸透を図りました。約20%軽量化を実現した「ロジカル・エアーノート」も順調に推移しアイテムを拡充いたしました。またアルバムはディズニーキャラクターやミッフィー誕生60周年シリーズなどの新製品を発売し好評を得ております。海外では中国でのアルバムのネット販売が順調に推移いたしましたが、一方で国内では円安の影響などもあり商品構成の見直しを実施いたしました。この結果、ステーショナリー関連事業の売上高は132億97百万円(前年同期比4.1%減)となりました。
[環境事務機器関連事業]
大型シュレッダは出張細断サービスを行うトラック「エコポリスバン」の買い替え需要に対する販売強化を図るとともに機密文書回収ボックスなどの環境関連商品や破砕機などの拡販に努めました。中小型シュレッダは新機種開発による品ぞろえやアフターフォローの充実を図り、新規販売ルートの開拓に注力いたしました。また連結子会社のカグクロ株式会社が営むオフィス家具のネット販売は商品の拡充やプランニングサービスの強化などを図り、業績は順調に推移いたしました。この結果、環境事務機器関連事業の売上高は56億29百万円(前年同期比5.8%増)となりました。
[PC周辺機器関連事業]
家電量販店の新規販路の開拓、ネット・通販向けの商品の拡充、法人向けLANケーブルの販売強化などに取り組みました。タブレット・スマートフォン関連商品の充実を図り、特にケーブル、タッチペン、保護フィルムなどの販売が順調に推移いたしました。また海外旅行先で利用するマルチ変換アダプタなど通電系商品も堅調に推移いたしました。この結果、PC周辺機器関連事業の売上高は33億3百万円(前年同期比7.1%増)となりました。
[ベビー&シルバー関連事業]
チャイルドシートはヨーロッパ新基準に対応した製品の開発、販売に注力するとともに、中国市場での販売強化に取り組みましたが、新製品開発に伴う設備投資負担などが響き採算面は悪化いたしました。ケアリング部門は新開発の歩行車の積極販売に努めました。メディカル部門は電子カルテワゴンや点滴スタンドなどの販売が順調に推移いたしました。この結果、ベビー&シルバー関連事業の売上高は16億55百万円(前年同期比4.7%増)となりました。
[その他]
その他は、連結子会社のウーマンスタッフ株式会社が営む人材派遣業、日本通信紙株式会社が営むアウトソーシング事業、松江バイオマス発電株式会社が営む発電事業(平成27年度操業開始予定)であり、売上高は24億76百万円(前年同期比4.3%増)となりました。
②売上原価、売上総利益
売上原価は403億30百万円、原価率は75.4%とほぼ横ばいで推移いたしました。売上高の減少により、売上総利益は131億90百万円(前年同期比0.5%減)となりました。
③販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は118億44百万円、売上高比率は22.1%となり、前年同期比0.1ポイント低下しました。これは主として退職給付費用などが減少したことによるものです。
④営業利益
原価率は横ばいで推移いたしましたが、販売費及び一般管理費が減少したことにより、営業利益は13億45百万円(前年同期比3.5%増)となりました。
⑤経常利益
営業利益が増加し、営業外収支も前年同期より増加したことから、経常利益は16億61百万円(前年同期比4.2%増)となりました。
⑥当期純利益
投資有価証券売却益等の特別利益を計上し、固定資産処分損、投資有価証券売却損の特別損失を計上しました結果、税金等調整前当期純利益は17億91百万円(前年同期比9.6%増)となり、法人税等税負担調整後の当期純利益は9億35百万円(前年同期比0.8%増)となりました。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの印刷製本関連事業の主力製品である手帳の製造、販売は季節柄当社グループの連結会計年度の下半期に集中します。また官公庁等からの受注による生産は年度末に集中する傾向があり、加えて日用紙製品の需要は夏場に減退します。こうしたことから、当社グループの経営成績は季節的変動があり、連結会計年度の売上高、営業利益、経常利益は上半期よりも下半期の方が大きくなる傾向があります。
また、電子化の浸透による印刷市場の縮小、原材料価格の上昇懸念、為替相場の変動などが、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(5) 戦略的現状と見通し
当社グループといたしましては、これらの状況を踏まえ、「アワ クレド〈信条〉」に基づき、従来の既成概念にとらわれることなく、社内外の経営資源を効率的に活用して、より幅広い視野に立って技術の研鑽を重ね、アナログ製品からマルチメディア関連事業へと積極的な事業展開を図り、時代のニーズにマッチした製品の開発と、お客様からのご要望に対しスピーディーかつ柔軟にお応えできる総合生活企業をめざしてまいります。
図書館ソリューション事業は製本から図書館運営事業へ展開し、子会社の人材派遣会社ウーマンスタッフ株式会社との連携のもと総合的な図書館事業を目指します。DPS事業は、BPOを中心とした新たなソリューションビジネスの展開を図るとともにラベル事業やDM通販事業にも積極的に取り組んでまいります。
ステーショナリー関連事業は海外生産子会社との連携を強化するとともに、付加価値の高い商品や時流に乗ったデジタル関連商品の開発、ネットビジネスの拡充、海外市場の販路開拓などに注力してまいります。
環境事務機器関連事業は出張細断サービス「パピルスネットワーク」をさらに発展させ、循環型リサイクルシステムを完成させるとともに、グローバルな視点に立って環境問題を真剣に考え、環境リサイクルの推進企業として、積極的な活動を続けてまいります。また、オフィス家具などのネット販売を強力に推進いたします。
PC周辺機器関連事業は、LANケーブルやタブレット・スマートフォン関連商品の拡充や海外旅行先で便利なPC周辺機器やグッズの販売強化に努めてまいります。
ベビー&シルバー関連事業はチャイルドシートの新製品の開発、海外市場販路の開拓及び国内工場のコストダウンの追求を図ります。またシルバーカーなど高齢者向け福祉用具、介護関連商品、メディカル関連商品の販売強化に取り組んでまいります。
なお、新たな事業展開として兵庫ナカバヤシ株式会社関宮分工場内プラントセンターが平成27年度より本格稼働し、兵庫・但馬の名水を使用した水耕栽培にて地元のお客様に安心・安全で美味しい野菜をお届けしてまいります。また、松江バイオマス発電株式会社が平成27年度より木質バイオマス発電の操業を開始し、安定した電力の供給と地元の産業振興に貢献してまいります。
これら諸施策を着実に実行するとともに、引き続き、グループ会社間のシナジー効果を生産面、販売面の両面において最大限発揮できるよう注力してまいります。
(6) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、 27億30百万円の収入があり、前連結会計年度より9億90百万円の収入増加となりました。売上債権の減少額が1億58百万円となり、前連結会計年度に比べ12億円増加したことが、収入増加の要因となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローでは、34億23百万円の支出があり、前連結会計年度より7億72百万円の支出増加となりました。有形固定資産の取得による支出が31億10百万円となり、前連結会計年度に比べ7億76百万円増加したことが、支出増加の要因となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローでは、 14億40百万円の収入があり、前連結会計年度より6億44百万円の収入減少となりました。長期借入金の返済による支出が48億97百万円となり、前連結会計年度に比べ14億37百万円増加したことが、収入減少の要因となりました。
これらの活動の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は前連結会計年度末より7億65百万円増加し、69億17百万円となりました。
(7) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。一部の新興国における成長鈍化など懸念材料があるものの、企業収益の改善などを背景に景気は緩やかな回復基調を維持するものと予想されます。
このような状況を踏まえ、尚一層の企業体質の強化をめざし、引き続き生産の合理化、コストダウンの徹底、新規事業への参入、新製品の開発、海外市場の開拓などを積極的に進めてまいります。