有価証券報告書-第99期(平成29年4月1日-平成29年12月31日)

【提出】
2018/03/23 13:27
【資料】
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【項目】
126項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
NISSHAグループでは、私たちの使命や考え方の基盤、行動の原則を「Nissha Philosophy」に定め、大切にしています。Missionは私たちの存在意義・使命を、Brand Statementは私たちとステークホルダーとの関係を、Nissha Innovation Wayは私たちが目指すお客さま価値や製品群の創出方法を、またShared Valuesは社員一人ひとりの考え方や行動の基本指針をそれぞれ表しています。
1. Mission
「私たちは世界に広がる多様な人材能力と情熱を結集し、継続的な技術の創出と経済・社会価値への展開を通じて、人々の豊かな生活を実現します。」
2. Brand Statement
"Empowering Your Vision"
私たちとお客さま、株主、社員、サプライヤー、地域社会などのステークホルダーが、それぞれに抱いているビジョンの実現に向けて、双方向に影響しあう共生の関係をあらわしています。
3. Nissha Innovation Way
私たちは、市場ニーズを的確に理解し、多様なコア技術と人材能力を高度に擦り合わせてイノベーションを実現することにより、新たなお客さま価値を創出します。
4. Shared Values
① Customer is Our Priority
私たちは、お客さま価値の最大化を追求します。
② Diversity and Inclusion
私たちは、多様な人材能力が対等に関わり合うことにより、組織の実行力を高めます。
③ Commitment to Results
私たちは、成果を出すことにこだわります。
④ Done is Better than Perfect
私たちは、失敗を恐れず、まず行動することを重視します。
⑤ Act with Integrity
私たちは、誠実に行動し、信頼される企業であり続けます。
(2) 中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標
当社グループは、2018年1月から第6次中期経営計画(2018年度~2020年度)を運用しています。その骨子は以下のとおりです。
1. 中期ビジョン(定性的内容)
「バランス経営の完成」
第6次中期経営計画の定める4つの重点市場(IT、自動車、医療機器、高機能パッケージ資材)の構成が、連結業績における売上高、EBITDA、営業利益のそれぞれにおいて最適に分散している状態を目指す。
2. 中期ビジョン(定量的内容)
2020年12月期に目指す主要な連結業績のビジョンは以下のとおり。
売上高2,400億円
EBITDA360億円
EBITDA率15%
営業利益220億円
営業利益率9.2%
ROE10%以上
ROIC8%以上
自己資本比率50%以上

(3) 会社の対処すべき課題
次期のグローバル経済情勢については、引き続き緩やかな景気の回復が続くことが期待されています。ただし、中国をはじめとするアジア新興国の経済の先行き、各国の政策動向に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響等に留意が必要です。
次期は2018年1月より始まる3カ年の第6次中期経営計画の初年度となります。当社グループは当期までに、主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)市場向けへの製品開発、設備投資により大型受注を獲得したほか、積極的なM&A戦略により自動車市場における事業拠点の拡充、医療機器分野・高機能パッケージ資材分野への新規事業参入を実現するなど、事業ポートフォリオの組み換え・最適化に取り組みました。国内外の事業拠点は50カ所を超え、海外に勤務する社員の割合は半数を超えるに至りました。第6次中期経営計画では、こうした事業基盤を最大限に活用したグローバルベースの成長戦略の実現により、事業ポートフォリオの組み換え・最適化をさらに発展させた「バランス経営の完成」を目指し、売上高・EBITDA・営業利益の全てにおいて過去最高を更新するビジョンを掲げます。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
株式会社の支配に関する基本方針
Ⅰ. 基本方針の内容
上場会社・公開会社である当社の株式は、自由な取引が認められ、当社は、会社の支配権の移転を伴うような大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為に応じるか否かの判断は、最終的には、株主のみなさまのご意思に基づき行われるべきものであると考えています。従いまして、大規模な株式の買付提案であっても、当社グループの企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではありません。
当社では、企業価値や株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるためには、企業理念体系(Nissha Philosophy)を礎とし、未来志向型の企業として常に価値ある製品・サービスを提供することを通じて社会に貢献することが必要不可欠であると考えています。より具体的には、世界に広がる多様な人材能力と情熱を結集し、継続的にコア技術の拡充を図ること、グローバルベースで市場のニーズを捉え、他社にはできないものづくりを通じて付加価値の高い製品・サービスを提供すること、そして人々の豊かな社会を実現することが、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上につながるものと考えています。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、このような基本的な考え方を十分に理解し、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を中・長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えています。
従いまして、上記のような基本的な考え方を十分に理解せず、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資さない不適切な当社株式の大規模な買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考え、当社はそれを抑止するための取り組みが必要不可欠であると考えています。
Ⅱ. 基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、1929年の創業以来、印刷技術に積層、成膜、成形などの多様な技術要素を融合させながら常にコア技術の拡充を図り、製品と対象市場の多角化、グローバル市場への進出などを通じて事業領域の拡大による成長を実現してきました。当社グループでは3年の単位で中期経営計画を運用していますが、その基本戦略は事業領域の進化・拡大による事業ポートフォリオの最適化です。
2017年度で終了した先の第5次中期経営計画では、主力のコンシューマー・エレクトロニクス(IT)市場向けへの製品開発、設備投資により新たな大型受注を獲得したほか、積極的なM&A戦略により自動車市場における事業拠点の拡充、医療機器分野・高機能パッケージ資材分野への新規事業参入を実現しました。国内外の事業拠点は50カ所を超え、海外に勤務する社員の割合は半数を超えるに至りました。
2018年度から運用を開始した第6次中期経営計画では、こうした事業基盤を最大限に活用したグローバルベースの成長戦略の実現により、事業ポートフォリオの組み換え、最適化をさらに発展させた「バランス経営の完成」を目指し、売上高・EBITDA・営業利益のすべてにおいて過去最高を更新するビジョンを掲げています。
当社は創業以来、経営者の強いリーダーシップのもと、経営環境の変化に的確に対応した戦略を実践してきました。当社はこのリーダーシップとともにコーポレートガバナンスを強化することにより、迅速かつ果断な意思決定が促進され、同時に経営の透明性、公正性を確保することができると考え、コーポレートガバナンスを重要な経営課題と認識しています。
当社は、執行役員制度を導入し、取締役会が担うべき戦略策定および経営監視機能と、執行役員が担うべき業務執行機能との分化を図っています。また、取締役会のダイバーシティーを推進し、現在の取締役会は、独立性の高い社外取締役4名を含む取締役9名(社外取締役比率44.4%、女性比率11.1%)で構成されています。社外取締役は他社での企業経営の経験や製造業での事業経営の経験、事業戦略、IT、金融経済全般に関する高い見識などから有益な指摘、意見を述べ、取締役会の議論は活性化しています。また、2015年10月には、当社はコーポレートガバナンス基本方針を制定しました。当社はその基本方針に基づき、社外取締役が過半数を占めかつ委員長を務める指名・報酬委員会を設置し、社外取締役の知見を活用することで役員の選任や報酬に関して客観性と公正性の確保を図るとともに、取締役会の実効性評価を年1回実施し、取締役会の機能のさらなる向上に努めています。
当社は、以上の取り組みを継続して実行することによって、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益の確保・向上を実現できるものと考えています。
Ⅲ. 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、2016年5月12日開催の当社取締役会において、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益のより一層の確保・向上を目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の一部改定(以下、「本プラン」といいます。)を決議し、2016年6月17日開催の第97期定時株主総会において株主のみなさまにご承認いただきました。
本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け、もしくは、当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けに該当する行為もしくはこれに類似する行為(以下、「買付等」といいます。)を行うまたは行うことを提案する者(以下、「買付者等」といいます。)が現れた場合に、当該買付等に応じるべきか否かを株主のみなさまが判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提示するために必要な情報や時間を確保すること、株主のみなさまのために買付者等との交渉を行うこと等を可能とすることを目的とし、その実現のために必要な手続を定めています。買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う場合、または、買付者等による買付等が当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を著しく損なうと判断される場合は、一定の対抗措置を実施することがあります。
(ご参考)
本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。
Ⅳ. 上記の取り組みについての取締役会の判断
上記Ⅱの取り組みは、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための施策であり、その結果が株主および投資家のみなさまによる当社株式の評価に適正に反映されることにより、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を著しく損なうおそれのある買付等は困難になるものと考えられます。
上記Ⅲの取り組みは、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための手続を定めるものです。また、本プランにおいては、(ⅰ)株主総会において株主のみなさまのご承認を得て導入されたものであることに加え、一定の場合には対抗措置の実施または不実施につき株主のみなさまのご意思を確認する仕組みが設けられていること、(ⅱ)株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によりいつでも本プランを廃することができること、(ⅲ)当社取締役会の恣意的判断を排除するため、独立委員会を設置し、取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重して意思決定を行うものとしていること、(ⅳ)本プランの発動に関する合理的な客観的要件が設定されていること等が定められています。
従いまして、上記ⅡおよびⅢの取り組みは、いずれも、基本方針に沿うものであり、株主のみなさまの共同の利益の確保・向上に資するものであり、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えています。