有価証券報告書-第95期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 14:38
【資料】
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【項目】
118項目

対処すべき課題

グローバル経済は、米国の景気回復基調の継続や欧州の景気回復に期待がかかる一方で、中国をはじめとする新興国経済の成長鈍化が懸念されており、引き続きグローバル経済の変動リスクには留意する必要があります。
当社グループは、平成24年度からスタートした第4次中期経営計画において再び成長基調に復帰することを目指し、「印刷技術の新領域を切り拓き、お客さま価値を根本から塗り替える製品群を創出する」というビジョンの実現に向けた取り組みを全社一丸となって進めております。
中期経営計画の最終年度を迎える平成26年度は、中期経営計画の初年度に市場投入したディバイス事業の静電容量方式タッチパネル(フォトリソ工法)の需要が収益面を牽引します。当該製品のさらなる市場浸透に加え、これに続く新たな製品開発を推進します。また、需要変動が激しいコンシューマー・エレクトロニクス業界に依存することのない、バランスのとれた市場ポートフォリオの構築に向けた取り組みが喫緊の経営課題となります。
産業資材事業、情報コミュニケーション事業は受注に注力する一方、さらなる収益性・効率性の改善に努めます。
当社グループは、「印刷を基盤に培った固有技術を核とする事業活動を通して、広く社会との相互信頼に基づいた≪共生≫を目指す」という企業理念のもと、企業の社会的責任を果たします。株主のみなさま、お客さま、サプライヤー、地域社会、社員との対話を促進し、「ステークホルダーとの信頼の輪」をより強固なものにします。さらに、企業倫理・コンプライアンスの維持・向上に取り組み、より透明性の高いコーポレート・ガバナンス体制のもとで長期的な企業価値の向上を図ります。
なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者のあり方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
株式会社の支配に関する基本方針
Ⅰ.基本方針の内容
当社は、会社の支配権の移転を伴うような大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為に応じるか否かの判断は、最終的には、株主のみなさまのご意思に基づき行われるべきものであると考えております。
しかし、このような大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為の中には、その目的等から見て企業価値・株主のみなさまの共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主のみなさまに株式の売却を事実上強要するおそれのあるもの、取締役会や株主のみなさまが大規模な株式の買付提案またはこれに類似する行為について検討し、あるいは取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を与えないものなど、企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資さないと考えられるものも少なくありません。
当社は、当社の企業理念を礎とし長年築きあげてきた固有技術を核とした未来志向型企業としての社会的使命を実践していくことが必要不可欠であると考えており、具体的には、企画・開発・設計・生産・販売およびその他の事業活動に関する専門的知識、主に従業員に蓄積されている運用ノウハウおよび経験を活かし、ステークホルダーとの良好な関係構築を十分に行い、かつ、当社の有形無形の経営資源、今後の施策の潜在的効果、各施策間のシナジー効果等も十分に検証しつつ、企業活動を実践していくことが必要と考えております。
当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、このような基本的な考え方を十分に理解し、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を中・長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考えております。
従いまして、上記のような基本的な考え方を十分に理解せず、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益に資さない不適切な当社株式の大規模な買付提案またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であると考え、それを抑止するための取り組みが必要不可欠であると考えております。
Ⅱ. 基本方針の実現に資する特別な取り組み
当社は、「印刷を基盤に培った固有技術を核とする事業活動を通して、広く社会との相互信頼に基づいた《共生》を目指す」という企業理念のもとに、産業資材、ディバイス、情報コミュニケーションという3つの事業領域で、それぞれ独創性の高い製品・サービスの企画・開発・設計・生産・販売を行っております。当社は、私たちの社会生活の多くが、色・デザイン・機能といった要素から形成されていることに注目し、伝統的な紙への印刷にとどまらず、立体形状のプラスチック製品の表面に絵柄を施す産業資材や、世界トップクラスの技術を誇るタッチパネルといった事業分野においても固有の印刷技術をベースにした独自のソリューションを展開してきました。これまで長年に渡って築きあげてきた固有の印刷技術こそが私たちのコア・コンピタンスです。
平成24年度から運用が開始された第4次中期経営計画においても、「印刷技術の新領域を切り拓き、お客さま価値を根本から塗り替える製品群を創出する」ことを中期ビジョンとして掲げ、当社がこれまでに培ってきた固有の印刷技術をさらに拡げ、進化させることで、世の中にない全く新しい価値や製品群を創出し、私たちの印刷技術がより多くの分野で採用されることを目指しております。
また、当社取締役会は社内取締役4名と社外取締役3名で構成されており、経営環境の変化に柔軟に対処するとともに、経営責任を明確化するために、取締役の任期を1年としております。執行役員制度により業務執行体制を整備し、取締役会の戦略策定ならびに経営監視機能と執行役員の業務執行機能の分化を図っております。監査役会は、社内監査役2名(常勤)と公認会計士・弁護士等の財務および会計、または法務に関する相当程度の知見を有する者を含む社外監査役2名(非常勤)で構成され、監査役の職務を補助する部門として監査役室を設置し、専属の従業員を配置することで、監査の客観性と実効性を確保するとともに、監査業務が円滑に遂行できる体制としております。社内管理体制では、内部監査機能として代表取締役社長直轄の内部監査部門を設置し内部監査機能を充実させているほか、会社情報の適時開示の必要性および開示内容を審議する開示統制委員会を設置し、当社グループ全社に関する重要情報を適時適切に開示しております。
Ⅲ. 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取り組み
当社は、平成25年5月10日開催の当社取締役会において、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益のより一層の確保・向上を目的として、当社株式の大規模買付行為に関する対応方針の一部改定 (以下、「本プラン」といいます。)を決議し、平成25年6月21日開催の第94期定時株主総会において株主のみなさまにご承認いただきました。
本プランは、当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付け、もしくは、当社が発行者である株券等について、公開買付けに係る株券等の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けに該当する行為もしくはこれに類似する行為(以下、「買付等」といいます。)を行うまたは行うことを提案する者(以下、「買付者等」といいます。)が現れた場合に、買付者等に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付等についての情報収集・検討等を行う期間を確保したうえで、株主のみなさまに対して当社取締役会策定の計画や代替案等を提示したり、買付者等との交渉等を行うという、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための手続を定めています。買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく買付等を行う場合、または、買付者等による買付等が当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を著しく損なうと判断される場合は、一定の対抗措置を実施することがあります。
本プランの内容の詳細につきましては、当社ウェブサイトをご参照ください。
Ⅳ. 上記の取り組みについての取締役会の判断
上記Ⅱ.の取り組みは、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるために策定されたものであり、その結果が株主および投資家のみなさまによる当社株式の評価に適正に反映されることにより、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を著しく損なうおそれのある買付等は困難になるものと考えられます。
上記Ⅲ.の取り組みは、当社の企業価値・株主のみなさまの共同の利益を確保・向上させるための手続を定めるものです。また、本プランにおいては、(ⅰ)株主総会において株主のみなさまのご承認を得て導入されたものであることに加え、一定の場合には対抗措置の実施または不実施につき株主のみなさまのご意思を確認する仕組みが設けられていること、(ⅱ)株主総会で選任された取締役で構成される取締役会の決議によりいつでも本プランを廃することができること、(ⅲ)当社取締役会の恣意的判断を排除するため、独立委員会を設置し、取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重して意思決定を行うものとしていること、(ⅳ)本プランの発動に関する合理的な客観的要件が設定されていること等が定められております。
従いまして、上記Ⅱ.およびⅢ.の取り組みは、いずれも、基本方針に沿うものであり、株主のみなさまの共同の利益の確保・向上に資するものであり、また、当社の役員の地位の維持を目的とするものではないと考えております。