有価証券報告書-第100期(2022/01/01-2022/12/31)
<事業の概況>長期化する新型コロナウイルス感染症の影響に加え、地政学上のリスク等、事業を取り巻く環境が大きく複雑に変化する中、アンメットメディカルニーズを満たす医薬品の提供に向けて、研究開発、生産・物流の強化や情報収集・提供活動を行ってまいりました。
2022年は2021-2025年中期経営計画の2年目として、「協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現します」という2030年に向けたビジョンの実現に向けて取組んでおります。
コロナ禍における事業活動の制限はありましたが、Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)などのグローバル戦略品は着実に成長を続けております。一方で、激しい外部環境の変化に適応しつつ、当社の医薬品を必要とするより多くの患者さんにお届けするためには、グローバルでの連携や成長戦略の実現が急務となっております。欧州でのエスタブリッシュト医薬品事業※1については、当該医薬品を必要とする患者さんに継続的にお届けするために、ドイツGrünenthal社と協業に関する契約※2を締結いたしました。
次世代戦略品については、免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083の開発を米国Amgen社と連携しながら着実に推進しております。一方、中枢神経領域の自社創製品 KW-6356の開発中止と、がん領域のME-401の日本以外でのMEI Pharma社との共同開発中止を決定いたしました。当社独自の技術を応用したバイスペシフィック抗体などの初期開発品については、中長期的な成長基盤とすべく研究開発を進めております。最新設備を導入した新たなバイオ医薬原薬製造設備や品質保証関連複合施設の建設等により、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての競争力強化を目指しております。
サステナブルな社会の実現への貢献と事業成長の両立に向けた取組みにおいては、グループ医薬品アクセス基本方針を定め、患者さんを中心においた医療ニーズへの対応に取組んでまいりました。また、企業のビジネスと人権への取組みの礎となるグループ人権基本方針を制定いたしました。
※1:主に特許期間が満了した先発医薬品及び後発医薬品を取扱う事業
※2:法的に必要とされる独占禁止法及び労働評議会等の承認・認可を得ることを条件として効力発生
(1)当期の財政状態の概況
(単位:億円)
◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ180億円増加し、9,399億円となりました。
・非流動資産は、有形固定資産や繰延税金資産の増加等がありましたが、無形資産の減損等により、前連結会計年度末に比べ59億円減少し、3,977億円となりました。
・流動資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ240億円増加し、5,422億円となりました。
◎ 負債は、未払法人所得税や契約負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ77億円減少し、1,771億円となりました。
◎ 資本は、配当金の支払いによる減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ257億円増加し、7,628億円となりました。この結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント増加し、81.2%となりました。

(2)当期の経営成績の概況
① 業績の概況
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますことから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用しておりますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しております。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しております。
(単位:億円)
<期中 平均為替レート>
当連結会計年度の売上収益は3,984億円(前期比13.1%増)、コア営業利益は867億円(同32.0%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は536億円(同2.3%増)となりました。
◎ 売上収益は、日本は減収となったものの、北米及びEMEAにおいてグローバル戦略品が伸長し、技術収入が増加した結果、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の増収影響は301億円となりました。
◎ コア営業利益は、販売費及び一般管理費や研究開発費が増加したものの、海外売上収益の増収及び技術収入の増加により売上総利益が増益となったため、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は110億円となりました。
◎ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、減損損失の増加によるその他の費用の増加に加え、法人所得税は増加したものの、コア営業利益の増益に加え、金融収益の増加により、増益となりました。
② 地域統括会社別の売上収益
(単位:億円)
(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4極の地域(リージョン)軸、機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しております。
2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等であります。
3.その他は、技術収入及び受託製造等であります。


<主要製品の売上収益(日本)>(単位:億円)
◎ 日本の売上収益は、腎性貧血治療剤ダーブロック等の新製品群が伸長したものの、2021年4月及び2022年4月に実施された薬価基準引下げの影響に加え、抗アレルギー点眼剤パタノールの大幅な減収により、前連結会計年度に比べ減少しました。
・抗アレルギー点眼剤パタノールは、2021年12月に後発医薬品が発売された影響を受け、売上収益が減少しました。
・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。
・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年8月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、前連結会計年度には特約店への出荷調整(2020年6月から2021年3月まで)による影響があったため、売上収益が増加しました。
・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、売上収益を伸ばしております。12月には自動投与デバイスであるジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッドを発売しました。
・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年12月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
<主要製品の売上収益(海外)>(単位:億円)
◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前連結会計年度を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしております。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、売上収益を伸ばしております。
・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年10月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
◎ EMEAの売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前連結会計年度を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしております。8月には腫瘍性骨軟化症(TIO)への適応拡大について欧州委員会(EC)から承認を取得し、ドイツ等での販売を開始しました。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年6月の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしております。
・癌疼痛治療剤Abstral(日本製品名:アブストラル)は、後発医薬品の浸透の影響により、売上収益が減少しました。
◎ アジア/オセアニアの売上収益は、前連結会計年度を上回りました。
・二次性副甲状腺機能亢進症治療剤Regpara(日本製品名:レグパラ)は、中国において2021年10月から政府集中購買制度*の対象となった影響を受け、売上収益が減少しました。
* 中国で医療費削減を目的に2018年に導入された医薬品調達プログラム(VBP:Volume-Based Procurement)。入札により2-5社程度の企業だけに供給が委託される一方、価格は大幅に下落します。
・好中球減少症治療剤Gran(日本製品名:グラン)は、韓国を中心に売上収益を伸ばしております。
<その他の売上収益>◎ その他の売上収益は、前連結会計年度を上回りました。
・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティの増加に加え、ヒト型抗OX40モノクローナル抗体KHK4083のアトピー性皮膚炎等を対象とした共同開発・販売に関する契約をAmgen社と2021年に締結したことに伴い、その契約一時金400百万ドルを一定期間にわたり収益認識するため、技術収入が増加しました。
③ コア営業利益
◎ コア営業利益は、グローバル戦略品の価値最大化とグローバル事業基盤の早期確立に向けたITデジタル基盤や人材への投資等による販売費及び一般管理費の増加に加えて、次世代戦略品の開発進展等に伴う研究開発費の増加があったものの、グローバル戦略品を中心とした欧米の売上収益及び技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、前連結会計年度に比べ増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は110億円となりました。
(3)当期のキャッシュ・フローの概況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当社グループ内において原材料等として使用する中間製品については、その取引額が僅少であるため相殺消去等の調整は行っておりません。
② 受注実績
当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っております。一部の製品で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度におけるアルフレッサ株式会社に対する売上収益は、連結損益計算書の売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりであります。
② 当期の財政状態及び経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の財政状態の概況、(2) 当期の経営成績の概況」に記載のとおりであります。
◎ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021-2025年中期経営計画の財務指標の最終年度である2025年度の経営目標及び当連結会計年度の実績は、以下のとおりであります。
(注)コアEPS(経常的な収益性を示す指標として、「当期利益」から「その他の収益」及び「その他の費用」並びにこれらに係る「法人所得税費用」を控除した「コア当期利益」を期中平均株式数で除して算定)に対する配当性向を記載しております。
当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、成長性、イノベーション創出能力、収益性を持続的に高めていくことにより、中長期的なROEの向上と継続増配を実現し、グローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指しております。その目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「ROE」「売上収益成長率」「研究開発費率」「コア営業利益率」「配当性向」の5つの財務指標(KPI)を掲げております。
当連結会計年度は、Crysvita、Poteligeo等のグローバル戦略品と技術収入の伸長が、為替の円安進行も追い風にトップラインの成長を牽引しました。また、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての成長に必要なITデジタル基盤の整備、人材への積極的な投資や、北米での2023年からのCrysvitaの自社販売に向けた整備を着実に推進しました。研究開発では、次世代グローバル戦略品であるKHK4083の開発を米国Amgen社と連携しながら着実に推進しましたが、一方、KW-6356の開発中止と、ME-401の日本以外でのMEI Pharma社との共同開発中止を決定しました。これらの結果、売上収益は3,984億円と前連結会計年度に比べ461億円増加しました(売上収益成長率11.9%)。販売費及び一般管理費は1,662億円と前連結会計年度に比べ206億円増加し、研究開発費は629億円(研究開発費率15.8%)と前連結会計年度に比べ52億円増加しましたが、コア営業利益は867億円(コア営業利益率21.8%)と前連結会計年度に比べ210億円、当期利益は536億円と前連結会計年度に比べ12億円それぞれ増加し、増収増益となりました。ROEは7.1%(前連結会計年度は7.3%)となりました。
なお、当期末の剰余金の配当につきまして、1株につき27円とすることを取締役会で決議しました。2023年3月24日開催予定の第100回定時株主総会で承認されますと、中間配当金24円を加えた年間配当金は、前連結会計年度に比べ5円増配の年間51円(配当性向38.9%)と、6期連続の増配となる予定であります。
③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
◎ 当期のキャッシュ・フローの概況
(単位:億円)
◎ 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,351億円に比べ41億円増加し、3,392億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、487億円の収入(前連結会計年度は865億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前利益676億円、減価償却費及び償却費185億円に加えて、減損損失180億円等であります。一方、主な支出要因は、法人所得税の支払額226億円、棚卸資産の増減額89億円等であります。
◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、172億円の支出(前連結会計年度は114億円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出156億円や無形資産の取得による支出131億円等であります。一方、主な収入要因は、投資有価証券の売却に係る前受金の受領額42億円、関係会社社債の償還による収入40億円、投資有価証券の売却による収入37億円等であります。
◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、290億円の支出(前連結会計年度は284億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額253億円等であります。

◎ 資本政策の基本的な方針
当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すための重要な財務指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、株主資本コストを安定的に上回る「10%以上」を早期に達成し、この水準を中長期的に維持向上させていくことを目標としております。
このための経営資源の配分、株主還元、資金調達についての方針は、以下のとおりであります。
・経営資源の配分についての方針
2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資(R&D投資、戦略投資、設備投資)を最優先に考えております。
R&D投資については、2021-2025年中期経営計画においては、売上収益の18~20%を目処に研究開発費を継続的に積極投資することを目標としております。研究開発活動への資源投入としては、次世代戦略品を中心とするパイプラインの価値最大化を目指した開発投資に注力するとともに、多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出す技術プラットフォームの構築など長期的なイノベーションに向けた研究投資も積極的に行い、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指しております。
当連結会計年度のR&D活動は、「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載のとおりであります。
戦略投資については、オープンイノベーションを積極活用した創薬技術などの外部イノベーションの取り込みや開発パイプラインの獲得を目的として、戦略的なパートナリング活動(導入・提携等)やM&Aなどの外部資源の活用にも積極的に取組み、中長期的なパイプラインの拡充や、グローバル戦略品とのシナジー創出、Only-one valueの創出機会の拡大を図ることにより、さらなる持続的成長の加速を目指しております。これらの戦略的な成長投資に関しては、代表取締役社長を中心に開催している「戦略的投資検討会議」において具体的な案件の検討を継続的に行っております。主には、次のような戦略投資案件を優先的な検討対象としております。
① ポートフォリオ強化を目的とするライセンスイン、M&A投資
・Crysvita・Poteligeoとシナジーのある開発パイプライン(骨・ミネラル、血液がん領域)
・各リージョンの強みを生かした導入(腎、血液/がん、免疫領域)
② 新たな強みを創造するサイエンス・テクノロジーへの投資
・新たな創薬技術や初期パイプラインの獲得、協業やコラボレーションの加速を目的とした投資
・情報探索、アクセスを目的としたVC(Venture Capital)投資・CVC(Corporate Venture Capital)活動
当連結会計年度は、最先端の創薬技術情報やプロダクト情報へいち早くアクセスする手段を増やすため、複数のVCファンドへの出資を継続しつつ、その動きをさらに加速させるべくCVC活動を開始しました。

設備投資については、グローバル戦略品の価値最大化に向けた競争力ある事業基盤整備のための投資を積極的に実施しております。特に、安全で高品質な医薬品をグローバルに安定供給するための強固な品質保証・生産体制の確立に注力しております。また、戦略的なITデジタル活用基盤の構築・整備や、グローバルガバナンス及びリスクマネジメント機能の強化に向けた投資により、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長を支えるグローバルな事業基盤の早期確立を目指しております。
当連結会計年度は、246億円の設備投資(無形資産、長期前払費用を含む)を実行しました。国内最先端のバイオ医薬品分析設備を備えた品質保証関連複合施設(Q-TOWER)の新設、初期開発治験を迅速に行うためのバイオ医薬原薬製造設備(HB7)の新設、グローバルでの安定供給を行うための倉庫棟の新設や、グローバルERPの海外リージョンへの導入などのITデジタル基盤の強化に向けた投資を進めました。
これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、投資家の皆様が当社に期待する資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を主たる定量的な基準としております。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しております。
・株主還元についての方針
配当方針については、2021-2025年中期経営計画で掲げたコアEPSに対する配当性向(以下、「配当性向」)40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ継続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指しております。この方針に基づき、当連結会計年度は、2021年度より5円増配の51円(配当性向38.9%)の配当を予定しております。また、2023年度の配当については54円(配当性向39.9%)と、7期連続の増配を予定しております。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで機動的に検討します。
日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長と企業価値最大化に向けて、成長性、イノベーション創出能力、収益性を高め、中長期的なROE向上と継続増配を目指してまいります。
・資金調達についての方針
引き続きネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保し、十分な財務柔軟性を維持します。
2022年は2021-2025年中期経営計画の2年目として、「協和キリンは、イノベーションへの情熱と多様な個性が輝くチームの力で、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとして病気と向き合う人々に笑顔をもたらすLife-changingな価値の継続的な創出を実現します」という2030年に向けたビジョンの実現に向けて取組んでおります。
コロナ禍における事業活動の制限はありましたが、Crysvita(日本製品名:クリースビータ)、Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)などのグローバル戦略品は着実に成長を続けております。一方で、激しい外部環境の変化に適応しつつ、当社の医薬品を必要とするより多くの患者さんにお届けするためには、グローバルでの連携や成長戦略の実現が急務となっております。欧州でのエスタブリッシュト医薬品事業※1については、当該医薬品を必要とする患者さんに継続的にお届けするために、ドイツGrünenthal社と協業に関する契約※2を締結いたしました。
次世代戦略品については、免疫・アレルギー疾患領域のKHK4083の開発を米国Amgen社と連携しながら着実に推進しております。一方、中枢神経領域の自社創製品 KW-6356の開発中止と、がん領域のME-401の日本以外でのMEI Pharma社との共同開発中止を決定いたしました。当社独自の技術を応用したバイスペシフィック抗体などの初期開発品については、中長期的な成長基盤とすべく研究開発を進めております。最新設備を導入した新たなバイオ医薬原薬製造設備や品質保証関連複合施設の建設等により、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての競争力強化を目指しております。
サステナブルな社会の実現への貢献と事業成長の両立に向けた取組みにおいては、グループ医薬品アクセス基本方針を定め、患者さんを中心においた医療ニーズへの対応に取組んでまいりました。また、企業のビジネスと人権への取組みの礎となるグループ人権基本方針を制定いたしました。
※1:主に特許期間が満了した先発医薬品及び後発医薬品を取扱う事業
※2:法的に必要とされる独占禁止法及び労働評議会等の承認・認可を得ることを条件として効力発生
(1)当期の財政状態の概況
(単位:億円)
| 前連結会計年度末 | 当連結会計年度末 | 増減 | |
| 資産 | 9,219 | 9,399 | 180 |
| 非流動資産 流動資産 | 4,036 5,182 | 3,977 5,422 | △59 240 |
| 負債 | 1,847 | 1,771 | △77 |
| 資本 | 7,372 | 7,628 | 257 |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 80.0% | 81.2% | 1.2% |
◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ180億円増加し、9,399億円となりました。
・非流動資産は、有形固定資産や繰延税金資産の増加等がありましたが、無形資産の減損等により、前連結会計年度末に比べ59億円減少し、3,977億円となりました。
・流動資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ240億円増加し、5,422億円となりました。
◎ 負債は、未払法人所得税や契約負債の減少等により、前連結会計年度末に比べ77億円減少し、1,771億円となりました。
◎ 資本は、配当金の支払いによる減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上等により、前連結会計年度末に比べ257億円増加し、7,628億円となりました。この結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ1.2ポイント増加し、81.2%となりました。

(2)当期の経営成績の概況
① 業績の概況
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますことから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用しておりますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しております。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しております。
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 % | |
| 売上収益 | 3,522 | 3,984 | 461 | 13.1% |
| コア営業利益 | 657 | 867 | 210 | 32.0% |
| 税引前利益 | 601 | 676 | 75 | 12.5% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 523 | 536 | 12 | 2.3% |
<期中 平均為替レート>
| 通貨 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 |
| 米ドル(USD/円) | 109円 | 130円 | 21円 |
| 英ポンド(GBP/円) | 150円 | 161円 | 11円 |
| ユーロ(EUR/円) | 130円 | 137円 | 7円 |
当連結会計年度の売上収益は3,984億円(前期比13.1%増)、コア営業利益は867億円(同32.0%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は536億円(同2.3%増)となりました。
◎ 売上収益は、日本は減収となったものの、北米及びEMEAにおいてグローバル戦略品が伸長し、技術収入が増加した結果、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の増収影響は301億円となりました。
◎ コア営業利益は、販売費及び一般管理費や研究開発費が増加したものの、海外売上収益の増収及び技術収入の増加により売上総利益が増益となったため、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は110億円となりました。
◎ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、減損損失の増加によるその他の費用の増加に加え、法人所得税は増加したものの、コア営業利益の増益に加え、金融収益の増加により、増益となりました。
② 地域統括会社別の売上収益
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 % | |
| 日本 | 1,569 | 1,487 | △82 | △5.2% |
| 北米 | 788 | 1,126 | 338 | 42.9% |
| EMEA | 561 | 669 | 108 | 19.2% |
| アジア/オセアニア | 284 | 301 | 18 | 6.3% |
| その他 | 321 | 401 | 80 | 24.8% |
| 売上収益合計 | 3,522 | 3,984 | 461 | 13.1% |
(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4極の地域(リージョン)軸、機能(ファンクション)軸と製品(フランチャイズ)軸を組み合わせたグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しております。
2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等であります。
3.その他は、技術収入及び受託製造等であります。


<主要製品の売上収益(日本)>(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 % | |
| パタノール | 107 | 28 | △79 | △73.9% |
| ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」 | 223 | 176 | △47 | △20.9% |
| ダーブロック | 26 | 66 | 40 | 155.8% |
| ロミプレート | 73 | 104 | 32 | 43.3% |
| ジーラスタ | 294 | 311 | 17 | 5.7% |
| クリースビータ | 72 | 89 | 17 | 23.5% |
◎ 日本の売上収益は、腎性貧血治療剤ダーブロック等の新製品群が伸長したものの、2021年4月及び2022年4月に実施された薬価基準引下げの影響に加え、抗アレルギー点眼剤パタノールの大幅な減収により、前連結会計年度に比べ減少しました。
・抗アレルギー点眼剤パタノールは、2021年12月に後発医薬品が発売された影響を受け、売上収益が減少しました。
・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、薬価基準引下げ及び競合品浸透の影響を受け、売上収益が減少しました。
・腎性貧血治療剤ダーブロックは、2020年8月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、前連結会計年度には特約店への出荷調整(2020年6月から2021年3月まで)による影響があったため、売上収益が増加しました。
・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタは、売上収益を伸ばしております。12月には自動投与デバイスであるジーラスタ皮下注 3.6mg ボディーポッドを発売しました。
・FGF23関連疾患治療剤クリースビータは、2019年12月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
<主要製品の売上収益(海外)>(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 % | |
| Crysvita | 783 | 1,182 | 399 | 50.9% |
| Poteligeo | 153 | 223 | 70 | 45.9% |
| Nourianz | 45 | 65 | 19 | 42.7% |
| Abstral | 85 | 69 | △16 | △19.1% |
| Regpara | 74 | 39 | △35 | △46.6% |
| Gran | 63 | 82 | 19 | 29.8% |
◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前連結会計年度を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、売上収益を伸ばしております。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、売上収益を伸ばしております。
・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年10月の発売以来、売上収益を伸ばしております。
◎ EMEAの売上収益は、グローバル戦略品が伸長し、前連結会計年度を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしております。8月には腫瘍性骨軟化症(TIO)への適応拡大について欧州委員会(EC)から承認を取得し、ドイツ等での販売を開始しました。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、2020年6月の発売以来、上市国を拡大しながら売上収益を伸ばしております。
・癌疼痛治療剤Abstral(日本製品名:アブストラル)は、後発医薬品の浸透の影響により、売上収益が減少しました。
◎ アジア/オセアニアの売上収益は、前連結会計年度を上回りました。
・二次性副甲状腺機能亢進症治療剤Regpara(日本製品名:レグパラ)は、中国において2021年10月から政府集中購買制度*の対象となった影響を受け、売上収益が減少しました。
* 中国で医療費削減を目的に2018年に導入された医薬品調達プログラム(VBP:Volume-Based Procurement)。入札により2-5社程度の企業だけに供給が委託される一方、価格は大幅に下落します。
・好中球減少症治療剤Gran(日本製品名:グラン)は、韓国を中心に売上収益を伸ばしております。
<その他の売上収益>◎ その他の売上収益は、前連結会計年度を上回りました。
・AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティの増加に加え、ヒト型抗OX40モノクローナル抗体KHK4083のアトピー性皮膚炎等を対象とした共同開発・販売に関する契約をAmgen社と2021年に締結したことに伴い、その契約一時金400百万ドルを一定期間にわたり収益認識するため、技術収入が増加しました。
③ コア営業利益
◎ コア営業利益は、グローバル戦略品の価値最大化とグローバル事業基盤の早期確立に向けたITデジタル基盤や人材への投資等による販売費及び一般管理費の増加に加えて、次世代戦略品の開発進展等に伴う研究開発費の増加があったものの、グローバル戦略品を中心とした欧米の売上収益及び技術収入の増収に伴う売上総利益の増加により、前連結会計年度に比べ増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の増益影響は110億円となりました。(3)当期のキャッシュ・フローの概況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬 | 152,121 | 102.3 |
| 合計 | 152,121 | 102.3 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当社グループ内において原材料等として使用する中間製品については、その取引額が僅少であるため相殺消去等の調整は行っておりません。
② 受注実績
当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っております。一部の製品で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬 | 398,371 | 113.1 |
| 合計 | 398,371 | 113.1 |
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| アルフレッサ(株) | 35,457 | 10.1 | - | - |
(注)当連結会計年度におけるアルフレッサ株式会社に対する売上収益は、連結損益計算書の売上収益の10%未満であるため、記載を省略しております。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5) 会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりであります。
② 当期の財政状態及び経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の財政状態の概況、(2) 当期の経営成績の概況」に記載のとおりであります。
◎ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2021-2025年中期経営計画の財務指標の最終年度である2025年度の経営目標及び当連結会計年度の実績は、以下のとおりであります。
| 2025年度 経営目標 | 当連結会計年度 実績 | ||
| ROE | 10%以上 | 7.1% | 当期利益÷期首期末平均資本 |
| 売上収益成長率(CAGR) | 10%以上 | 11.9% | 2020年度を基準年度とした 年平均成長率 |
| 研究開発費率 | 18~20%を 目処に積極投資 | 15.8% | 研究開発費÷売上収益 |
| コア営業利益率 | 25%以上 | 21.8% | コア営業利益÷売上収益 |
| 配当性向(注) | 40%を目処に 継続増配 | 38.9% 6期連続の増配 |
(注)コアEPS(経常的な収益性を示す指標として、「当期利益」から「その他の収益」及び「その他の費用」並びにこれらに係る「法人所得税費用」を控除した「コア当期利益」を期中平均株式数で除して算定)に対する配当性向を記載しております。
当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、成長性、イノベーション創出能力、収益性を持続的に高めていくことにより、中長期的なROEの向上と継続増配を実現し、グローバル・スペシャリティファーマとしての安定した収益構造の確立と持続的な成長を目指しております。その目標達成状況を判断するための客観的な指標として、「ROE」「売上収益成長率」「研究開発費率」「コア営業利益率」「配当性向」の5つの財務指標(KPI)を掲げております。
当連結会計年度は、Crysvita、Poteligeo等のグローバル戦略品と技術収入の伸長が、為替の円安進行も追い風にトップラインの成長を牽引しました。また、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての成長に必要なITデジタル基盤の整備、人材への積極的な投資や、北米での2023年からのCrysvitaの自社販売に向けた整備を着実に推進しました。研究開発では、次世代グローバル戦略品であるKHK4083の開発を米国Amgen社と連携しながら着実に推進しましたが、一方、KW-6356の開発中止と、ME-401の日本以外でのMEI Pharma社との共同開発中止を決定しました。これらの結果、売上収益は3,984億円と前連結会計年度に比べ461億円増加しました(売上収益成長率11.9%)。販売費及び一般管理費は1,662億円と前連結会計年度に比べ206億円増加し、研究開発費は629億円(研究開発費率15.8%)と前連結会計年度に比べ52億円増加しましたが、コア営業利益は867億円(コア営業利益率21.8%)と前連結会計年度に比べ210億円、当期利益は536億円と前連結会計年度に比べ12億円それぞれ増加し、増収増益となりました。ROEは7.1%(前連結会計年度は7.3%)となりました。
なお、当期末の剰余金の配当につきまして、1株につき27円とすることを取締役会で決議しました。2023年3月24日開催予定の第100回定時株主総会で承認されますと、中間配当金24円を加えた年間配当金は、前連結会計年度に比べ5円増配の年間51円(配当性向38.9%)と、6期連続の増配となる予定であります。
③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
◎ 当期のキャッシュ・フローの概況
(単位:億円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 % | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 865 | 487 | △379 | △43.8% |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | △114 | △172 | △58 | 51.2% |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △284 | △290 | △6 | 2.1% |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 2,870 | 3,351 | 481 | 16.7% |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 3,351 | 3,392 | 41 | 1.2% |
◎ 当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の3,351億円に比べ41億円増加し、3,392億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
◎ 営業活動によるキャッシュ・フローは、487億円の収入(前連結会計年度は865億円の収入)となりました。主な収入要因は、税引前利益676億円、減価償却費及び償却費185億円に加えて、減損損失180億円等であります。一方、主な支出要因は、法人所得税の支払額226億円、棚卸資産の増減額89億円等であります。
◎ 投資活動によるキャッシュ・フローは、172億円の支出(前連結会計年度は114億円の支出)となりました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出156億円や無形資産の取得による支出131億円等であります。一方、主な収入要因は、投資有価証券の売却に係る前受金の受領額42億円、関係会社社債の償還による収入40億円、投資有価証券の売却による収入37億円等であります。
◎ 財務活動によるキャッシュ・フローは、290億円の支出(前連結会計年度は284億円の支出)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額253億円等であります。

◎ 資本政策の基本的な方針
当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指すための重要な財務指標(KPI)として「ROE」(自己資本利益率)を掲げ、株主資本コストを安定的に上回る「10%以上」を早期に達成し、この水準を中長期的に維持向上させていくことを目標としております。
このための経営資源の配分、株主還元、資金調達についての方針は、以下のとおりであります。
・経営資源の配分についての方針
2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資(R&D投資、戦略投資、設備投資)を最優先に考えております。
R&D投資については、2021-2025年中期経営計画においては、売上収益の18~20%を目処に研究開発費を継続的に積極投資することを目標としております。研究開発活動への資源投入としては、次世代戦略品を中心とするパイプラインの価値最大化を目指した開発投資に注力するとともに、多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生み出す技術プラットフォームの構築など長期的なイノベーションに向けた研究投資も積極的に行い、Life-changingな価値を持つ新薬を継続的に創出することを目指しております。
当連結会計年度のR&D活動は、「第2 事業の状況 5 研究開発活動」に記載のとおりであります。
戦略投資については、オープンイノベーションを積極活用した創薬技術などの外部イノベーションの取り込みや開発パイプラインの獲得を目的として、戦略的なパートナリング活動(導入・提携等)やM&Aなどの外部資源の活用にも積極的に取組み、中長期的なパイプラインの拡充や、グローバル戦略品とのシナジー創出、Only-one valueの創出機会の拡大を図ることにより、さらなる持続的成長の加速を目指しております。これらの戦略的な成長投資に関しては、代表取締役社長を中心に開催している「戦略的投資検討会議」において具体的な案件の検討を継続的に行っております。主には、次のような戦略投資案件を優先的な検討対象としております。
① ポートフォリオ強化を目的とするライセンスイン、M&A投資
・Crysvita・Poteligeoとシナジーのある開発パイプライン(骨・ミネラル、血液がん領域)
・各リージョンの強みを生かした導入(腎、血液/がん、免疫領域)
② 新たな強みを創造するサイエンス・テクノロジーへの投資
・新たな創薬技術や初期パイプラインの獲得、協業やコラボレーションの加速を目的とした投資
・情報探索、アクセスを目的としたVC(Venture Capital)投資・CVC(Corporate Venture Capital)活動
当連結会計年度は、最先端の創薬技術情報やプロダクト情報へいち早くアクセスする手段を増やすため、複数のVCファンドへの出資を継続しつつ、その動きをさらに加速させるべくCVC活動を開始しました。

設備投資については、グローバル戦略品の価値最大化に向けた競争力ある事業基盤整備のための投資を積極的に実施しております。特に、安全で高品質な医薬品をグローバルに安定供給するための強固な品質保証・生産体制の確立に注力しております。また、戦略的なITデジタル活用基盤の構築・整備や、グローバルガバナンス及びリスクマネジメント機能の強化に向けた投資により、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長を支えるグローバルな事業基盤の早期確立を目指しております。
当連結会計年度は、246億円の設備投資(無形資産、長期前払費用を含む)を実行しました。国内最先端のバイオ医薬品分析設備を備えた品質保証関連複合施設(Q-TOWER)の新設、初期開発治験を迅速に行うためのバイオ医薬原薬製造設備(HB7)の新設、グローバルでの安定供給を行うための倉庫棟の新設や、グローバルERPの海外リージョンへの導入などのITデジタル基盤の強化に向けた投資を進めました。
これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、投資家の皆様が当社に期待する資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を主たる定量的な基準としております。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しております。
・株主還元についての方針
配当方針については、2021-2025年中期経営計画で掲げたコアEPSに対する配当性向(以下、「配当性向」)40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ継続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指しております。この方針に基づき、当連結会計年度は、2021年度より5円増配の51円(配当性向38.9%)の配当を予定しております。また、2023年度の配当については54円(配当性向39.9%)と、7期連続の増配を予定しております。また、自己株式の取得については、株価状況等を勘案したうえで機動的に検討します。
日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長と企業価値最大化に向けて、成長性、イノベーション創出能力、収益性を高め、中長期的なROE向上と継続増配を目指してまいります。
・資金調達についての方針
引き続きネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保し、十分な財務柔軟性を維持します。