有価証券報告書-第98期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
<事業の概況>新型コロナウイルスの世界的蔓延という大きな環境変化に対して、製薬会社の使命である医薬品の安定供給を最優先課題として取り組み、感染予防に細心の注意を払った情報提供活動を行うなどの対応を行いました。これと並行し、2016-2020年中期経営計画仕上げの年として、グローバル・スペシャリティファーマとしての更なる飛躍に向け、3つのグローバル戦略品の価値最大化、グローバルガバナンスの強化、将来の成長に向けた研究開発活動などを進めてまいりました。
コロナ禍における世界の医療環境の変化と事業活動の制限に加え、日本における薬価基準引下げなど、大変厳しい環境ではありましたが、3つのグローバル戦略品の欧米市場への浸透などにより増収となりました。日本では経口の腎性貧血治療剤ダーブロックを8月に発売しました。腎性貧血領域での豊富な経験を活かし、安全性への配慮を最優先した適正使用情報の提供活動を実施しております。
Crysvita(日本製品名:クリースビータ)が米国において腫瘍性骨軟化症の適応追加、欧州においては青少年・成人のX染色体連鎖性低リン血症への適応拡大、日本における在宅自己投与対象製剤の追加がそれぞれ承認、菌状息肉腫及びセザリー症候群治療薬Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)について、6月のドイツを皮切りに欧州で販売開始、また、米国で上市済みのNourianz(一般名:イストラデフィリン(日本製品名:ノウリアスト))は欧州においてパーキンソン病の併用療法に関する承認申請が受理されるなど、3つのグローバル戦略品に関し、着実な進捗が見られました。
2019年に発生したマイトマイシンの自主回収について、2020年1月に第三者主導のグループ調査委員会による調査報告書を受領し、再発防止策を策定いたしました。経営の最優先事項としての強固な品質保証体制の構築、リスクマネジメントの改善、企業文化の改革の3点をグローバル・スペシャリティファーマの基盤強化に向けた重要課題とし、製造・品質保証体制の強化に留まらず、グループ全体のガバナンスの強化に取り組みました。これらについては2021年から始まる5か年の中期経営計画においても引き続き重要な課題として、真摯に取り組んでまいります。
(1)当期の財政状態の概況
(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 | |
| 資産 | 8,013 | 7,845 | 168 |
| 非流動資産 流動資産 | 3,588 4,425 | 3,358 4,486 | 230 △61 |
| 負債 | 1,029 | 1,062 | △33 |
| 資本 | 6,984 | 6,782 | 201 |
| 親会社所有者帰属持分比率(%) | 87.2% | 86.5% | 0.7% |
◎ 資産は、前連結会計年度末に比べ168億円増加し、8,013億円となりました。
・ 非流動資産は、開発品導入による無形資産の取得や繰延税金資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ230億円増加し、3,588億円となりました。
・ 流動資産は、親会社に対する貸付金の全てを、現金及び現金同等物の範囲に含まれる貸付期間が3か月以内のものに変更した影響により、現金及び現金同等物が大きく増加しましたが、無形資産の取得等による手元資金(現金及び現金同等物並びに親会社に対する貸付金の合計額)の減少等により、前連結会計年度末に比べ61億円減少し、4,425億円となりました。
◎ 負債は、未払法人所得税の減少等により、前連結会計年度末に比べ33億円減少し、1,029億円となりました。
◎ 資本は、配当金の支払いに加えて、為替影響による在外営業活動体の換算差額の減少等がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上による増加等により、前連結会計年度末に比べ201億円増加し、6,984億円となりました。この結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べて0.7ポイント上昇し、87.2%となりました。

(2)当期の経営成績の概況
① 業績の概況
当社グループは、グローバルに事業を展開しておりますことから、国際会計基準(以下「IFRS」という。)を適用しておりますが、事業活動による経常的な収益性を示す段階利益として「コア営業利益」を採用しております。当該「コア営業利益」は、「売上総利益」から「販売費及び一般管理費」及び「研究開発費」を控除し、「持分法による投資損益」を加えて算出しております。
(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 | 前期比 % | |
| 売上収益 | 3,184 | 3,058 | 125 | 4.1% |
| コア営業利益 | 600 | 594 | 6 | 1.0% |
| 税引前利益 | 523 | 445 | 78 | 17.5% |
| 継続事業からの当期利益 | 470 | 377 | 94 | 24.8% |
| 非継続事業からの当期利益 | - | 294 | △294 | -% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 470 | 671 | △201 | △29.9% |
<期中 平均為替レート>
| 通貨 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 |
| 米ドル(USD/円) | 107円 | 109円 | △2円 |
| 英ポンド(GBP/円) | 137円 | 140円 | △3円 |
| 中国元(CNY/円) | 15.5円 | 15.8円 | △0.3円 |
当連結会計年度の売上収益は3,184億円(前期比4.1%増)、コア営業利益は600億円(同1.0%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は470億円(同29.9%減)となりました。
◎ 売上収益は、日本において薬価基準引下げや腎性貧血治療剤ネスプのオーソライズドジェネリックであるダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」への切り替え等による減収影響があったものの、北米及びEMEAにおいてグローバル戦略品が順調に伸長し、アジアにおいても中国を中心に好調に推移した結果、増収となりました。なお、売上収益に係る為替の減収影響は29億円となりました。
◎ コア営業利益は、販売費及び一般管理費が増加し、持分法による投資損益が減少したものの、海外売上収益の増収による売上総利益の増加により、増益となりました。なお、コア営業利益に係る為替の減益影響は13億円となりました。
◎ 親会社の所有者に帰属する当期利益は、コア営業利益の増加に加え、事業構造改善費用や減損損失が減少したものの、非継続事業からの当期利益がなくなったことから減益となりました。
② 地域統括会社別の売上収益
(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 | 前期比 % | |
| 日本 | 1,599 | 1,747 | △148 | △8.5% |
| 北米 | 599 | 390 | 209 | 53.6% |
| EMEA | 484 | 429 | 55 | 12.7% |
| アジア/オセアニア | 259 | 231 | 27 | 11.8% |
| その他 | 242 | 260 | △18 | △7.0% |
| 売上収益合計 | 3,184 | 3,058 | 125 | 4.1% |
(注)1.One Kyowa Kirin 体制(日本・北米・EMEA・アジア/オセアニアの4つの「地域」とグローバル・スペシャリティファーマとして必要な「機能」を軸とするグローバルマネジメント体制)における地域統括会社(連結)の製商品の売上収益を基礎として区分しております。
2.EMEAは、ヨーロッパ、中東及びアフリカ等であります。
3.その他は、技術収入及び受託製造等であります。
| 地域統括会社別売上収益構成比 | |
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<主要製品の売上収益(日本)>(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 | 前期比 % | |
| ネスプ | 44 | 336 | △293 | △87.0% |
| ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」 | 252 | 140 | 112 | 79.7% |
| ダーブロック | 6 | - | 6 | -% |
| パタノール | 106 | 136 | △30 | △22.0% |
| アレロック | 86 | 108 | △22 | △20.6% |
| オルケディア | 91 | 69 | 22 | 31.3% |
| レグパラ | 38 | 65 | △27 | △41.2% |
| ロミプレート | 76 | 49 | 28 | 56.9% |
| ジーラスタ | 267 | 246 | 21 | 8.5% |
| リツキシマブBS「KHK」 | 118 | 97 | 21 | 21.6% |
| クリースビータ | 38 | 1 | 37 | -% |
| ハルロピ | 9 | 1 | 8 | 877.6% |
◎ 日本の売上収益は、2019年10月及び2020年4月に実施された薬価基準引下げの影響があったことに加え、特許満了となった腎性貧血治療剤ネスプのオーソライズドジェネリックであるダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」への切り替え影響が大きく、新製品群が伸長したものの前連結会計年度に比べ減少しました。
・ダルベポエチン アルファ注シリンジ「KKF」は、腎性貧血治療剤ネスプからの切り替えが速やかに進みました。
・2020年8月に経口の腎性貧血治療剤ダ―ブロックを発売し、順調に市場浸透しております。
・抗アレルギー点眼剤パタノール、抗アレルギー剤アレロックは、花粉飛散量の減少に加え、新型コロナウイルス感染症による受診抑制等の影響を受け、売上収益が減少しました。
・二次性副甲状腺機能亢進症を適応症とするオルケディアは、売上収益を伸ばしました。一方で、二次性副甲状腺機能亢進症治療剤レグパラは、オルケディアへの切り替えが進み、加えて競合品の影響もあり売上収益が減少しました。
・慢性特発性血小板減少性紫斑病治療剤ロミプレートは、既存治療で効果不十分な再生不良性貧血を適応症とする承認を2019年6月に取得し、売上収益が増加しました。
・発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタ、抗悪性腫瘍剤リツキシマブBS「KHK」は、堅調に売上収益を伸ばしました。
・FGF23関連疾患治療剤クリースビータ及びパーキンソン病治療剤ハルロピは、2019年12月に発売し、順調に市場浸透しております。
<主要製品の売上収益(海外)>(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 | 前期比 % | |
| Crysvita | 544 | 325 | 219 | 67.4% |
| Poteligeo | 115 | 108 | 7 | 6.7% |
| Nourianz | 26 | 1 | 25 | -% |
| Regpara | 83 | 50 | 33 | 65.6% |
◎ 北米の売上収益は、グローバル戦略品が順調に伸長し、前連結会計年度を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)は、2018年の発売以来順調に売上収益を伸ばしております。6月には腫瘍性骨軟化症(TIO)の適応追加の承認を取得しました。
・抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)は、新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受け、前連結会計年度並みの売上収益となりました。
・パーキンソン病治療剤Nourianz(日本製品名:ノウリアスト)は、2019年10月に発売し、順調に市場浸透しております。
◎ EMEAの売上収益は、グローバル戦略品が順調に伸長し、前連結会計年度を上回りました。
・X染色体連鎖性低リン血症治療剤Crysvita(日本製品名:クリースビータ)が、2018年の発売以来、上市国を拡大しながら順調に売上収益を伸ばしております。9月には青少年及び成人への適用拡大の販売承認を取得しました。
・2020年6月にドイツにおいて抗悪性腫瘍剤Poteligeo(日本製品名:ポテリジオ)の販売を開始し、上市国を拡大しながら順調に市場浸透しております。
◎ アジア/オセアニアの売上収益は、中国を中心に好調に推移し、前連結会計年度を上回りました。
・二次性副甲状腺機能亢進症治療剤Regpara(日本製品名:レグパラ)は、中国での市場拡大により、売上収益が増加しました。
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◎ その他の売上収益は、前連結会計年度を下回りました。
・アストラゼネカ社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティ等の技術収入は増加しましたが、受託製造等のその他の収益の減少により、前連結会計年度を下回りました。
③ コア営業利益
コア営業利益は、日本の売上収益の減少に伴う売上総利益の減少や、グローバル戦略品の販売に係る販売費及び一般管理費の増加があったものの、グローバル戦略品を中心とした海外の売上収益の増加により、前連結会計年度に比べ増益となりました。

(3)当期のキャッシュ・フローの概況
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析 ③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析」に記載のとおりであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬 | 175,132 | 88.1 |
| 合計 | 175,132 | 88.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.当社グループ内において原材料等として使用する中間製品については、その取引額が僅少であるため相殺消去等の調整は行っておりません。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 受注実績
当社グループは、主として販売計画に基づいた生産を行っております。一部の製品で受注生産を行っておりますが、受注高及び受注残高の金額に重要性はないため、記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| 医薬 | 318,352 | 104.1 |
| 合計 | 318,352 | 104.1 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | ||
| 金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
| アルフレッサ(株) | 40,219 | 12.6 | 42,006 | 13.7 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2020年12月31日現在)において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては、過去の実績や現在の状況等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度の連結財務諸表の作成にあたって、特に重要な見積りは以下のとおりであります。
◎ 補償損失引当金
2020年4月17日に、当社は、キリンホールディングス(株)から、協和発酵バイオ(株)株式譲渡に係る契約に基づき、協和発酵バイオ(株)において生じた法令違反等に起因する表明保証違反及び特別補償事由の発生を理由とする補償請求を受けております。キリンホールディングス(株)と協議中ではありますが、補償請求に関して発生する支出に備えるため、合理的な見積りに基づく引当金を計上しております。なお、補償額の確定金額は、引当計上した金額と異なる可能性があります。
② 当期の財政状態及び経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 当期の財政状態の概況、(2) 当期の経営成績の概況」に記載のとおりであります。
◎ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2016-2020年中期経営計画の財務指標の最終年度である2020年度の経営目標及び実績は、以下のとおりであります。
| 2015年度 実績(注1) | 2020年度 目標(注1) | 2020年度 実績(注2) | |
| 持続的成長の指標(コア営業利益) | 534億円 | 1,000億円以上 | 600億円 |
| GSPへの飛躍の指標(海外売上高比率) | 31% | 50% | 48% |
| 株主価値向上の指標(ROE) | 7% | 10%以上 | 7% |
(注)1.日本基準。コア営業利益は、営業利益+のれん償却額+持分法投資損益。ROEは、のれん償却前ROE。
2.国際会計基準(IFRS)。コア営業利益は、売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費-研究開発費
+持分法による投資損益。海外売上高比率は、海外売上収益比率。
当社グループは、2016-2020年中期経営計画において、「グローバル・スペシャリティファーマへの飛躍」をテーマに、「グローバル競争力の向上」、「イノベーションへの挑戦」、「卓越した業務プロセスの追求」、「健康と豊かさの実現」の4つの戦略課題の達成に取組み、目標として揚げておりました、欧米におけるCrysvita、Poteligeo、Nourianzの3つのグローバル戦略品の上市を実現しつつ、グローバル戦略品の価値最大化とグローバル・スペシャリティファーマとしても基盤整備を進めてまいりました。
その結果、3つの財務指標のうち、海外売上高比率についてはグローバル戦略品の成長により概ね目標に近い水準を達成することができましたが、コア営業利益とROEについては、グローバルな販売体制・事業基盤整備等のための販売費及び一般管理費の先行投入や、計画策定時には織込んでなかった協和メデックス(株)と協和発酵バイオ(株)の株式譲渡の実施などの要因により、目標を下回る結果となりました。これらの財務指標については、継続課題として2021年から始まる新しい中期経営計画期間中において達成すべく、成長性、イノベーション創出能力、収益性を持続的に高めてまいります。
新しい2021-2025年中期経営計画における経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその達成に向けた取組みにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況、資本の財源及び資金の流動性についての分析
◎ 当期のキャッシュ・フローの概況
(単位:億円)
| 当連結会計年度 | 前連結会計年度 | 増減 | 前期比 % | |
| 営業活動によるキャッシュ・フロー | 395 | 537 | △142 | △26.4% |
| 投資活動によるキャッシュ・フロー | 2,526 | △9 | 2,535 | -% |
| 財務活動によるキャッシュ・フロー | △260 | △474 | 214 | △45.1% |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 208 | 159 | 49 | 30.9% |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 2,870 | 208 | 2,663 | -% |
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、親会社に対する貸付金の全てを、現金及び現金同等物の範囲に含まれる貸付期間が3か月以内のものに変更した影響等により、前連結会計年度末の208億円に比べ2,663億円増加し、2,870億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
・営業活動によるキャッシュ・フローは、395億円の収入(前期比26.4%減)となりました。主な収入要因は、継続事業からの税引前当期利益523億円、減価償却費及び償却費205億円等であります。一方、主な支出要因は、法人所得税の支払額287億円等であります。
・投資活動によるキャッシュ・フローは、2,526億円の収入(前期は9億円の支出)となりました。主な収入要因は、親会社に対する貸付金の純減少額2,856億円等であります。一方、主な支出要因として、無形資産の取得による支出が導入に伴う契約一時金・マイルストン支払の増加により前期に比べて109億円増加の251億円、有形固定資産の取得による支出が前期に比べて30億円増加の101億円等であります。
・財務活動によるキャッシュ・フローは、260億円の支出(前期比45.1%減)となりました。主な支出要因は、配当金の支払額236億円等であります。

◎ 資本政策の基本的な方針
当社グループは、2021-2025年中期経営計画において、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての持続的成長と企業価値最大化に向けて、「成長性」、「イノベーション創出能力」、「収益性」の3つを高めることにより、「ROE」の中長期的な向上と「継続的な増配」を目指しております。
このための経営資源の配分、株主還元、資金調達についての方針は、以下のとおりであります。
・経営資源の配分についての方針
2025年以降の持続的成長と企業価値最大化に向けた成長投資(R&D投資、戦略投資、設備投資)を最優先に考えております。
R&D投資では、アンメットメディカルニーズを満たす画期的な医薬品を継続的に創出することを目指します。KHK4083、KW-6356、ME-401などの次世代のグローバル戦略品を中心とするパイプラインの価値最大化を目指した開発投資に加え、多様なモダリティを駆使して画期的新薬を生みだす技術プラットフォームの構築などの長期的なイノベーションに向けた研究投資にも注力します。売上収益の18~20%を目処に継続的かつ積極的に研究開発費を投入し、イノベーション創出能力をさらに高めていく方針であります。
戦略投資では、中長期的なグローバルパイプラインの拡充や、グローバル戦略品とのシナジー創出、Only-one valueの創出機会の拡大を図ることにより、さらなる持続的成長の加速を目指します。オープンイノベーションを積極活用した創薬技術などの外部イノベーションの取り込みや、パイプラインの獲得を目的とした戦略的なパートナリング(導入・提携等)やM&Aなどの外部資源の活用にも積極的に取り組む方針であります。
設備投資では、安全で高品質な医薬品をグローバルに安定供給するための強固な生産体制を確立するための投資に注力し、グローバル製品の価値最大化に向けた競争力ある事業基盤を整備します。また、グローバルガバナンス及びリスクマネジメント機能の強化、戦略的なIT・デジタル活用基盤の構築に向けた投資により、グローバル・スペシャリティファーマとしての持続的な成長を支えるグローバルな事業基盤の早期確立を目指します。
これらの投資案件や開発プロジェクトの事業性評価においては、資本コスト(WACC)を反映したハードルレート(地域別)を用いた正味現在価値(NPV)と期待現在価値(EPV)を定量的な基準としております。投資の判断においても、資本コストを上回るリターンの創出による中長期的な企業価値向上への寄与を重視しております。
・株主還元についての方針
株主還元については、2021-2025年中期経営計画で掲げたコアEPSに対する配当性向40%を目処とし、中長期的な利益成長に応じた安定的かつ持続的な配当水準の向上(継続的な増配)を目指すことを配当方針としております。自己株式の取得については、株価状況等を勘案した上で機動的に検討します。
・資金調達についての方針
引き続きネットキャッシュポジションの維持を原則としますが、手元資金に加えて、戦略的な大型投資案件に備えた借入余力と機動的な資金調達手段(CP(コマーシャル・ペーパー)、コミットメントライン)も確保し、十分な財務柔軟性を維持します。




