有価証券報告書-第152期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国、欧州で景気の回復が続くとともに、中国でも景気の持ち直しの動きがみられました。日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。
このような環境の中、当社グループは、販売数量を伸ばすとともに継続的なコストダウンを行うなど業績の向上に懸命に取り組んでまいりましたが、原燃料調達価格の上昇に加え、一部主要製品の市況軟化や大竹工場で発生した火災事故の影響を受け、当連結会計年度の業績は前連結会計年度と比較し増収減益となりました。
当連結会計年度の売上高は4,629億56百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は589億32百万円(前連結会計年度比8.4%減)、経常利益は610億93百万円(前連結会計年度比7.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は370億62百万円(前連結会計年度比14.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途の販売数量が減少したものの、その他用途の販売数量が増加したことなどにより、売上高は横這いとなりました。
たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓による販売数量の増加、為替の影響があったものの、市況軟化の影響を受け、売上高は微減となりました。
当部門の売上高は、890億71百万円(前連結会計年度比0.5%減)、営業利益は、原燃料価格の上昇や市況軟化の影響などにより、193億54百万円(前連結会計年度比15.9%減)となりました。
有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、網干工場で2年に1度の定期修繕を実施したことにより販売数量が減少したものの、市況の上昇などにより、売上高は増加いたしました。
合成品は、販売数量の増加や原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、平成29年7月18日に大竹工場で発生した火災事故の影響で過酢酸誘導体の販売数量が減少したものの、その他製品の電子材料分野への販売数量が増加したことや、コスメ・ヘルスケア分野の需要が堅調に推移したことなどにより、売上高は横這いとなりました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、820億43百万円(前連結会計年度比7.7%増)、営業利益は、原燃料調達価格の上昇や、研究開発費、減価償却費の増加、火災事故の影響などにより、79億18百万円(前連結会計年度比31.4%減)となりました。
合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、自動車部品およびスマートフォンの需要増加、ならびに新規採用が進んだことによる販売数量の増加や原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定、為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、海外を中心に販売数量が減少したものの、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定や為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、シートの販売が減少し、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、1,682億60百万円(前連結会計年度比7.2%増)、営業利益は、原燃料調達価格上昇の影響があったものの、販売数量の増加などにより、232億53百万円(前連結会計年度比7.9%増)となりました。
火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生器)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量増加や為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
防衛関連製品などの特機事業は、一部製品の防衛省による調達数量減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、1,171億86百万円(前連結会計年度比5.4%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、221億73百万円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。
その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業の売上高は横這いとなりました。
運輸倉庫業など、その他の事業の売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、63億94百万円(前連結会計年度比2.4%増)、営業利益は、7億53百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金及びたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比し443億70百万円増加し6,440億78百万円となりました。
負債は、長期借入金や繰延税金負債の減少等がありましたが、支払手形及び買掛金や社債の増加等により、前連結会計年度末に比し302億58百万円増加し、2,305億36百万円となりました。
また、純資産は、4,135億41百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は3,848億76百万円となり、自己資本比率は59.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し320億14百万円増加し、1,282億90百万円(前連結会計年度末比33.3%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は668億88百万円(前連結会計年度は、861億68百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益592億29百万円及び減価償却費322億29百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額166億7百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は331億89百万円(前連結会計年度は、347億22百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出321億10百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は19億62百万円(前連結会計年度は、199億42百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、社債の発行による収入298億49百万円であり、資金減少の主な内容は、長期借入金の返済による支出44億99百万円、自己株式の取得による支出99億79百万円、配当金の支払額114億12百万円及び非支配株主への配当金の支払額81億53百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っているのは専ら火工品事業のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
中期計画『3D-Ⅲ』では、最終年度となる平成31年度の売上高5,000億円、営業利益700億円を目標とし、ROE(自己資本利益率)と売上高営業利益率を重視する経営指標としております。
『3D-Ⅲ』の初年度である当連結会計年度は、目標値の達成に向け売上高を着実に伸ばしてまいりましたが、営業利益は、原燃料調達価格の上昇に加え、たばこフィルター用トウの市況軟化や大竹工場の火災事故の影響などもあり、減少することとなりました。
当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROEの向上に取り組むため、平成31年度までROE10%以上を継続させることを目指しております。当連結会計年度におけるROEは9.8%(前連結会計年度比2.4ポイント低下)となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は12.7%(前連結会計年度比1.9ポイント低下)となりました。
ベストソリューションを通じた付加価値の向上、コストダウンの徹底による収益力強化や生産能力の向上などにより、これらの指標の改善を進めていきます。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、米ドルに対する円の為替レートの変動によって、当連結会計年度の売上高および営業利益は前連結会計年度に比し、それぞれ55億円、15億円増加したと試算されます。
営業外損益
営業外損益は22億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し3億円改善いたしました。
主に為替損益の改善や持分法による投資利益の増加によるものであります。
特別損益
特別利益は52億円を計上いたしました。投資有価証券売却益39億円などによるものであります。
特別損失は70億円を計上いたしました。固定資産除却損23億円のほか、環境対策引当金繰入額40億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は24.9%と、前連結会計年度に比し2.8ポイント増加いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は74億円と、前連結会計年度に比し5億円(6.9%)増加いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は371億円と、前連結会計年度に比し61億円(14.2%)の減益となりました。
また、ROEは9.8%となり、前連結会計年度に比し2.4ポイント低下いたしました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、社債300億円を発行したこと等により、有利子負債比率は15.5%となりました。
また、平成29年8月3日取締役会決議に基づく自己株式の取得を100億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に重要な影響を与える要因としては市場動向、為替動向、原燃料費動向、事故・災害等があります。
市場動向については、国内市場だけでなくグローバル市場におけるリスク対応力をもさらに高めるため、企業統治体制を高度化していきます。
為替動向については、為替リスクの低減を図るため、タイムリーな為替予約の実施によるリスクヘッジに取り組んでおります。
原燃料費動向については、主要原料であるメタノールに関し、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その他原燃料に関しては、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っており、また原燃料の高騰が続く場合には、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図ります。
事故・災害等については、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に取り組んでおります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し87億円減少し、308億円(前連結会計年度比22.0%減)、減価償却費は前連結会計年度に比し27億円増加し、317億円(前連結会計年度比9.3%増)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し20億円増加し、188億円(前連結会計年度比12.1%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は997億円であります。
利益配分に関しては、平成29年度から3年間の中期計画『3D-Ⅲ』におきましては、配当性向30%を目標とし、自己株式の取得につきましても配当を補完する株主還元策として機動的に実施してまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、米国、欧州で景気の回復が続くとともに、中国でも景気の持ち直しの動きがみられました。日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。
このような環境の中、当社グループは、販売数量を伸ばすとともに継続的なコストダウンを行うなど業績の向上に懸命に取り組んでまいりましたが、原燃料調達価格の上昇に加え、一部主要製品の市況軟化や大竹工場で発生した火災事故の影響を受け、当連結会計年度の業績は前連結会計年度と比較し増収減益となりました。
当連結会計年度の売上高は4,629億56百万円(前連結会計年度比5.2%増)、営業利益は589億32百万円(前連結会計年度比8.4%減)、経常利益は610億93百万円(前連結会計年度比7.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は370億62百万円(前連結会計年度比14.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途の販売数量が減少したものの、その他用途の販売数量が増加したことなどにより、売上高は横這いとなりました。
たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓による販売数量の増加、為替の影響があったものの、市況軟化の影響を受け、売上高は微減となりました。
当部門の売上高は、890億71百万円(前連結会計年度比0.5%減)、営業利益は、原燃料価格の上昇や市況軟化の影響などにより、193億54百万円(前連結会計年度比15.9%減)となりました。
有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、網干工場で2年に1度の定期修繕を実施したことにより販売数量が減少したものの、市況の上昇などにより、売上高は増加いたしました。
合成品は、販売数量の増加や原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、平成29年7月18日に大竹工場で発生した火災事故の影響で過酢酸誘導体の販売数量が減少したものの、その他製品の電子材料分野への販売数量が増加したことや、コスメ・ヘルスケア分野の需要が堅調に推移したことなどにより、売上高は横這いとなりました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、820億43百万円(前連結会計年度比7.7%増)、営業利益は、原燃料調達価格の上昇や、研究開発費、減価償却費の増加、火災事故の影響などにより、79億18百万円(前連結会計年度比31.4%減)となりました。
合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、自動車部品およびスマートフォンの需要増加、ならびに新規採用が進んだことによる販売数量の増加や原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定、為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、海外を中心に販売数量が減少したものの、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定や為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、シートの販売が減少し、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、1,682億60百万円(前連結会計年度比7.2%増)、営業利益は、原燃料調達価格上昇の影響があったものの、販売数量の増加などにより、232億53百万円(前連結会計年度比7.9%増)となりました。
火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生器)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量増加や為替の影響などにより、売上高は増加いたしました。
防衛関連製品などの特機事業は、一部製品の防衛省による調達数量減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、1,171億86百万円(前連結会計年度比5.4%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、221億73百万円(前連結会計年度比4.2%増)となりました。
その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業の売上高は横這いとなりました。
運輸倉庫業など、その他の事業の売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、63億94百万円(前連結会計年度比2.4%増)、営業利益は、7億53百万円(前連結会計年度比1.6%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金及びたな卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比し443億70百万円増加し6,440億78百万円となりました。
負債は、長期借入金や繰延税金負債の減少等がありましたが、支払手形及び買掛金や社債の増加等により、前連結会計年度末に比し302億58百万円増加し、2,305億36百万円となりました。
また、純資産は、4,135億41百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は3,848億76百万円となり、自己資本比率は59.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し320億14百万円増加し、1,282億90百万円(前連結会計年度末比33.3%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は668億88百万円(前連結会計年度は、861億68百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益592億29百万円及び減価償却費322億29百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額166億7百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は331億89百万円(前連結会計年度は、347億22百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出321億10百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は19億62百万円(前連結会計年度は、199億42百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、社債の発行による収入298億49百万円であり、資金減少の主な内容は、長期借入金の返済による支出44億99百万円、自己株式の取得による支出99億79百万円、配当金の支払額114億12百万円及び非支配株主への配当金の支払額81億53百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
セルロース事業 | 79,853 | △5.41 |
有機合成事業 | 69,254 | 12.47 |
合成樹脂事業 | 167,380 | 11.59 |
火工品事業 | 113,085 | 3.83 |
報告セグメント計 | 429,573 | 6.09 |
その他 | 2,268 | △3.65 |
合計 | 431,842 | 6.04 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っているのは専ら火工品事業のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
火工品事業 | 8,701 | 15.6 | 9,667 | 23.8 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
セルロース事業 | 89,071 | △0.45 |
有機合成事業 | 82,043 | 7.68 |
合成樹脂事業 | 168,260 | 7.21 |
火工品事業 | 117,186 | 5.38 |
報告セグメント計 | 456,561 | 5.24 |
その他 | 6,394 | 2.40 |
合計 | 462,956 | 5.20 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
中期計画『3D-Ⅲ』では、最終年度となる平成31年度の売上高5,000億円、営業利益700億円を目標とし、ROE(自己資本利益率)と売上高営業利益率を重視する経営指標としております。
『3D-Ⅲ』の初年度である当連結会計年度は、目標値の達成に向け売上高を着実に伸ばしてまいりましたが、営業利益は、原燃料調達価格の上昇に加え、たばこフィルター用トウの市況軟化や大竹工場の火災事故の影響などもあり、減少することとなりました。
当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROEの向上に取り組むため、平成31年度までROE10%以上を継続させることを目指しております。当連結会計年度におけるROEは9.8%(前連結会計年度比2.4ポイント低下)となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は12.7%(前連結会計年度比1.9ポイント低下)となりました。
ベストソリューションを通じた付加価値の向上、コストダウンの徹底による収益力強化や生産能力の向上などにより、これらの指標の改善を進めていきます。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、米ドルに対する円の為替レートの変動によって、当連結会計年度の売上高および営業利益は前連結会計年度に比し、それぞれ55億円、15億円増加したと試算されます。
営業外損益
営業外損益は22億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し3億円改善いたしました。
主に為替損益の改善や持分法による投資利益の増加によるものであります。
特別損益
特別利益は52億円を計上いたしました。投資有価証券売却益39億円などによるものであります。
特別損失は70億円を計上いたしました。固定資産除却損23億円のほか、環境対策引当金繰入額40億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は24.9%と、前連結会計年度に比し2.8ポイント増加いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は74億円と、前連結会計年度に比し5億円(6.9%)増加いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は371億円と、前連結会計年度に比し61億円(14.2%)の減益となりました。
また、ROEは9.8%となり、前連結会計年度に比し2.4ポイント低下いたしました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、社債300億円を発行したこと等により、有利子負債比率は15.5%となりました。
また、平成29年8月3日取締役会決議に基づく自己株式の取得を100億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に重要な影響を与える要因としては市場動向、為替動向、原燃料費動向、事故・災害等があります。
市場動向については、国内市場だけでなくグローバル市場におけるリスク対応力をもさらに高めるため、企業統治体制を高度化していきます。
為替動向については、為替リスクの低減を図るため、タイムリーな為替予約の実施によるリスクヘッジに取り組んでおります。
原燃料費動向については、主要原料であるメタノールに関し、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その他原燃料に関しては、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っており、また原燃料の高騰が続く場合には、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図ります。
事故・災害等については、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に取り組んでおります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し87億円減少し、308億円(前連結会計年度比22.0%減)、減価償却費は前連結会計年度に比し27億円増加し、317億円(前連結会計年度比9.3%増)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し20億円増加し、188億円(前連結会計年度比12.1%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は997億円であります。
利益配分に関しては、平成29年度から3年間の中期計画『3D-Ⅲ』におきましては、配当性向30%を目標とし、自己株式の取得につきましても配当を補完する株主還元策として機動的に実施してまいります。