四半期報告書-第156期第1四半期(令和3年4月1日-令和3年6月30日)

【提出】
2021/08/10 16:09
【資料】
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【項目】
37項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当第1四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞に一部で持ち直しの動きがみられるものの、新型コロナウイルスの感染再拡大や半導体不足の影響など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような環境の中、当社グループでは、需要の回復による販売機会を着実に捉えるとともに、販売価格の是正、徹底したコストダウンを実施してまいりました。
新型コロナウイルスの影響を大きく受けた前年同期と比較して需要が回復したこともあり、当第1四半期連結累計期間の売上高は1,113億58百万円(前年同期比34.3%増)、営業利益は139億44百万円(同350.7%増)、経常利益は152億35百万円(293.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は122億83百万円(1,834.3%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
[メディカル・ヘルスケア事業]
コスメ・健康食品事業は、化粧品原料や健康食品素材の販売数量増加などにより、増収となりました。
キラル分離事業は、キラルカラムの販売が増加したことなどにより、増収となりました。
当部門の売上高は、47億90百万円(前年同期比22.0%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、8億50百万円(同107.3%増)となりました。
[スマート事業]
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、ディスプレイ需要の回復などにより販売数量が増加し、増収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、半導体材料市場の需要が好調に推移し販売数量が増加したことや、販売価格の是正により、増収となりました。
当部門の売上高は、79億89百万円(前年同期比56.2%増)、営業利益は、販売数量の増加や販売価格の是正などにより、19億74百万円(同229.5%増)となりました。
[セイフティ事業]
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、自動車生産台数の回復などにより販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、162億62百万円(前年同期比52.5%増)、営業利益は、販売数量の増加や稼働率の回復などにより、7億38百万円(前年同期は営業損失23億6百万円)となりました。
[マテリアル事業]
酢酸は、会計基準の変更による減収要因はありましたが、市況の上昇により、増収となりました。
酢酸誘導体は、酢酸市況の上昇などにより、増収となりました。
アセテート・トウは、海外主要顧客での市況回復を見込んだ原料確保により販売数量が微増となったことや、為替の影響により、増収となりました。
カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは、自動車塗料、電子材料用途などの需要回復により販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、282億93百万円(前年同期比10.5%増)、営業利益は、販売価格の上昇などにより、60億39百万円(55.8%増)となりました。
[エンジニアリングプラスチック事業]
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、自動車、スマートフォンなどの需要回復により販売数量が大きく増加し、増収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズ株式会社の事業は、需要の回復によりコンパウンド樹脂の販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
当部門の売上高は、514億67百万円(前年同期比46.2%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、82億2百万円(同109.6%増)となりました。
[その他]
その他部門は、防衛関連事業での販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
当部門の売上高は、25億56百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益は、5億32百万円(同24.6%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、受取手形及び売掛金等の減少がありましたが、棚卸資産等の増加により、前連結会計年度末に比し170億52百万円増加し、6,574億37百万円となりました。
負債は、支払手形及び買掛金等の増加により、前連結会計年度末に比し30億60百万円増加し、3,984億44百万円となりました。
また純資産は、2,589億92百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、2,519億88百万円となり自己資本比率は38.3%となりました。
(2) 経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、5,394 百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりであります。
・長期ビジョン『DAICEL VISION 4.0』及び中期戦略『Accelerate 2025-II』の実現に向けて、ダイセルグループ横断の連携強化により、真のニーズを掘り起こすマーケットイン型の事業創出に取り組んでおります。2021年4月1日付の組織変更により、コーポレート部門の事業企画と研究開発部門を一体化した事業創出センターと事業創出に必要な評価技術を構築する評価解析センターを設置し、メンバー全員がマーケットに出て、お客様に密着するカスタマーインの取り組みを通じて、事業創出を加速致します。
また、生産本部生産技術センターでは、ダイセルグループ横断的な体制で新事業の工業化、既存製品の品質改善、プロセス改善、増産検討、プロセス革新による新規プロセス・技術構築の推進を加速し、地球環境と共生する循環型プロセス構築を図ってまいります。
・当社グループの事業構造転換と社会課題解決への貢献の両立を目指す、循環型社会構築に向けた「新バイオマスプロダクトツリー」構想も具体的な取り組みが進んでいます。産学連携講座を開設して共同研究を進めている国立大学法人金沢大学には、産産学学、様々な企業や大学がオープンに研究に取り組むことができる研究施設の建設を進めており、国立大学法人京都大学との間でも木材の温和な条件での可溶化など木を丸ごと使いきるための本格的な共同研究を2020年度からスタートさせております。
(6) 経営成績に重要な影響を与える要因
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について重要な変更はありません。
(7) 資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費などの製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当第1四半期連結累計期間の設備投資額は前第1四半期連結累計期間に比し22億円増加し、109億円(前第1四半期連結累計期間比25.0%増)、減価償却費は前第1四半期連結累計期間に比し1億円増加し、61億円(前第1四半期連結累計期間比1.2%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当第1四半期連結会計期間末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は2,710億円であります。
利益配分に関しては、中期戦略『Accelerate 2025-II』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。