有価証券報告書-第158期(2023/04/01-2024/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、景気の緩やかな持ち直しの動きが続いたものの、世界的な金融引き締めに伴う影響、中国経済の減速、物価上昇、ウクライナ・中東情勢の影響など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
当社グループの主要市場でも一部で需要の回復傾向がみられたものの、その回復が緩やかなものにとどまるなど、厳しい事業環境となりました。このような環境の中、当社グループでは、需要が伸長する製品については販売機会を着実に捉え販売数量を伸ばすとともに、収益改善に向けた取り組みの加速、徹底したコストダウンなどを実施してまいりました。
当連結会計年度の売上高は5,580億56百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は623億93百万円(同31.3%増)、経常利益は683億96百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は558億34百万円(同37.2%増)となりました。
当期のセグメント別の状況
当連結会計年度より、化粧品原料の1,3-ブチレングリコールをメディカル・ヘルスケア事業セグメントからマテリアル事業セグメントへ、新規投与デバイスの研究開発機能をセイフティ事業セグメントからメディカル・ヘルスケア事業セグメントへ移管しています。前年度比較については、前年度の数値を移管後のセグメントに組み替えて比較しております。
[メディカル・ヘルスケア事業部門]
ライフサイエンス事業は、キラル関連製品の販売が増加したものの、前年度末に医薬品開発製造受託事業の子会社を売却した影響により、減収となりました。
コスメ・健康食品事業は、インバウンドの増加などにより販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、139億27百万円(前年度比16.0%減)、営業利益は、マーケティング活動に伴う経費の増加などにより、7億91百万円(同37.2%減)となりました。
[スマート事業部門]
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ/オプト事業は、高機能フィルムの販売数量が減少したものの、液晶パネルの在庫調整が進んだことや、海外向けの販売拡大により酢酸セルロースの販売数量が増加し、増収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、需要が低迷する中、半導体メーカーによる在庫調整からの回復が下期から始まり、販売数量は前年度並みとなりましたが、レジスト材料の販売製品構成差の影響により、減収となりました。
当部門の売上高は、307億15百万円(前年度比3.8%増)、利益面では、移動平均差の影響などにより、営業損失28億55百万円(前年同期は営業損失6億42百万円)となりました。
[セイフティ事業部門]
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、半導体不足の解消などにより自動車生産が前年度より回復し販売数量が増加したことにより、増収となりました。
当部門の売上高は、955億74百万円(前年度比13.8%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、29億91百万円(同478.5%増)となりました。
[マテリアル事業部門]
アセチル事業の酢酸は、主要誘導品の酢酸ビニルや高純度テレフタル酸の需要減少による販売数量の減少、酢酸市況の軟化により、減収となりました。
酢酸誘導体は、電子材料や液晶ディスプレイ向けなどの需要減少により販売数量が減少し、減収となりました。
アセテート・トウは、加熱式たばこ用の需要増加などによる販売数量の増加、原燃料価格上昇や需要増加を受けた販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となりました。
ケミカル事業は、海外での販売拡大などにより1,3-ブチレングリコールの販売数量が増加したものの、カプロラクトン誘導体の中国市場での需要減少などによる販売数量の減少、エポキシ化合物の電子材料や液晶ディスプレイ向けの需要減少による販売数量の減少により、減収となりました。
当部門の売上高は、1,853億41百万円(前年度比15.3%増)、営業利益は、販売価格の是正や為替の影響などにより、427億41百万円(同106.3%増)となりました。
[エンジニアリングプラスチック事業部門]
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、前年度からの自動車部品の在庫調整が第2四半期初めまで続いたことや、IT関連産業の需要低迷などにより販売数量が減少し、減収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、包装フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズ株式会社の事業は、OA分野での需要減少などにより販売数量が減少し、減収となりました。
当部門の売上高は、2,268億21百万円(前年度比4.7%減)、営業利益は、販売数量の減少などにより、183億1百万円(同27.7%減)となりました。
[その他事業部門]
その他部門は、防衛関連事業からの撤退などにより、減収となりました。
当部門の売上高は、56億76百万円(前年度比37.3%減)、営業利益は、4億22百万円(同21.6%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、売掛金や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し735億62百万円増加し、8,391億69百万円となりました。
負債は、長期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比し91億37百万円増加し、4,643億8百万円となりました。
また純資産は、3,748億61百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,588億96百万円となり自己資本比率は42.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し250億84百万円減少し、684億8百万円(前連結会計年度末比26.8%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、767億29百万円(前年同期は、268億47百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益760億32百万円および減価償却費336億44百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額169億1百万円および投資有価証券売却損益111億98百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、553億74百万円(前年同期は、440億93百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入132億16百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出656億18百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、523億73百万円(前年同期は、199億56百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、長期借入れによる収入294億89百万円であり、資金減少の主な内容は、社債の償還による支出300億0百万円、自己株式の取得による支出150億0百万円、配当金の支払額128億59百万円および長期借入金の返済による支出128億52百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
受注生産を行っているのは「その他」のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
c.販売実績
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月24日)現在において判断したものであります。
① 経営成績等
中期戦略『Accelerate 2025』では2025年度に以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。
全社業績:
売上高 6,600億円、営業利益 820億円、親会社株主に帰属する当期純利益 580億円、EBITDA 1,360億円
経営指標:
営業利益率 12.4%、ROE 17.1%、ROIC 9.3%、ROA 7.7%
株主還元 中期戦略発表時の1株当たり配当金額(年間32円)を下限、総還元性向 40%以上
※2024年度より、配当をDOE(株主資本配当率)4%以上、総還元性向 40%以上に変更。
本中期戦略の4年目である当連結会計年度は、需要の回復による販売機会を着実に捉えるとともに、販売価格の是正、徹底したコストダウンを実施してまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高は5,580億56百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は623億93百万円(同31.3%増)、経常利益は683億96百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は558億34百万円(同37.2%増)となりました。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は60億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し15億円改善いたしました。
主に為替損益の影響などによるものであります。
特別損益
特別利益は114億円を計上いたしました。投資有価証券売却益112億円などによるものであります。
特別損失は37億円を計上いたしました。減損損失17億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は25.6%と、前連結会計年度に比し1.4ポイント増加いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は7億円と、前連結会計年度に比し2億円(25.8%)減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は558億円と、前連結会計年度に比し152億円(37.2%)の増益となりました。 また、ROEは17.1%となり、前連結会計年度に比し2.7ポイント改善しました。ROICは6.3%、EBITDAは961億円となりました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は36.2%となりました。
また、2023年11月2日取締役会決議に基づく自己株式の取得を150億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し211億円増加し、775億円(前連結会計年度比37.6%増)、減価償却費は前連結会計年度に比し21億円増加し、336億円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し15億円増加し、234億円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入等による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は3,041億円であります。
利益配分に関しては、中期戦略『Accelerate 2025』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、景気の緩やかな持ち直しの動きが続いたものの、世界的な金融引き締めに伴う影響、中国経済の減速、物価上昇、ウクライナ・中東情勢の影響など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
当社グループの主要市場でも一部で需要の回復傾向がみられたものの、その回復が緩やかなものにとどまるなど、厳しい事業環境となりました。このような環境の中、当社グループでは、需要が伸長する製品については販売機会を着実に捉え販売数量を伸ばすとともに、収益改善に向けた取り組みの加速、徹底したコストダウンなどを実施してまいりました。
当連結会計年度の売上高は5,580億56百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は623億93百万円(同31.3%増)、経常利益は683億96百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は558億34百万円(同37.2%増)となりました。
当期のセグメント別の状況
当連結会計年度より、化粧品原料の1,3-ブチレングリコールをメディカル・ヘルスケア事業セグメントからマテリアル事業セグメントへ、新規投与デバイスの研究開発機能をセイフティ事業セグメントからメディカル・ヘルスケア事業セグメントへ移管しています。前年度比較については、前年度の数値を移管後のセグメントに組み替えて比較しております。
[メディカル・ヘルスケア事業部門]
ライフサイエンス事業は、キラル関連製品の販売が増加したものの、前年度末に医薬品開発製造受託事業の子会社を売却した影響により、減収となりました。
コスメ・健康食品事業は、インバウンドの増加などにより販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、139億27百万円(前年度比16.0%減)、営業利益は、マーケティング活動に伴う経費の増加などにより、7億91百万円(同37.2%減)となりました。
[スマート事業部門]
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ/オプト事業は、高機能フィルムの販売数量が減少したものの、液晶パネルの在庫調整が進んだことや、海外向けの販売拡大により酢酸セルロースの販売数量が増加し、増収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、需要が低迷する中、半導体メーカーによる在庫調整からの回復が下期から始まり、販売数量は前年度並みとなりましたが、レジスト材料の販売製品構成差の影響により、減収となりました。
当部門の売上高は、307億15百万円(前年度比3.8%増)、利益面では、移動平均差の影響などにより、営業損失28億55百万円(前年同期は営業損失6億42百万円)となりました。
[セイフティ事業部門]
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、半導体不足の解消などにより自動車生産が前年度より回復し販売数量が増加したことにより、増収となりました。
当部門の売上高は、955億74百万円(前年度比13.8%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、29億91百万円(同478.5%増)となりました。
[マテリアル事業部門]
アセチル事業の酢酸は、主要誘導品の酢酸ビニルや高純度テレフタル酸の需要減少による販売数量の減少、酢酸市況の軟化により、減収となりました。
酢酸誘導体は、電子材料や液晶ディスプレイ向けなどの需要減少により販売数量が減少し、減収となりました。
アセテート・トウは、加熱式たばこ用の需要増加などによる販売数量の増加、原燃料価格上昇や需要増加を受けた販売価格の是正、為替の影響などにより、増収となりました。
ケミカル事業は、海外での販売拡大などにより1,3-ブチレングリコールの販売数量が増加したものの、カプロラクトン誘導体の中国市場での需要減少などによる販売数量の減少、エポキシ化合物の電子材料や液晶ディスプレイ向けの需要減少による販売数量の減少により、減収となりました。
当部門の売上高は、1,853億41百万円(前年度比15.3%増)、営業利益は、販売価格の是正や為替の影響などにより、427億41百万円(同106.3%増)となりました。
[エンジニアリングプラスチック事業部門]
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどポリプラスチックス株式会社の事業は、前年度からの自動車部品の在庫調整が第2四半期初めまで続いたことや、IT関連産業の需要低迷などにより販売数量が減少し、減収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂、包装フィルム、水溶性高分子などダイセルミライズ株式会社の事業は、OA分野での需要減少などにより販売数量が減少し、減収となりました。
当部門の売上高は、2,268億21百万円(前年度比4.7%減)、営業利益は、販売数量の減少などにより、183億1百万円(同27.7%減)となりました。
[その他事業部門]
その他部門は、防衛関連事業からの撤退などにより、減収となりました。
当部門の売上高は、56億76百万円(前年度比37.3%減)、営業利益は、4億22百万円(同21.6%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、売掛金や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し735億62百万円増加し、8,391億69百万円となりました。
負債は、長期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比し91億37百万円増加し、4,643億8百万円となりました。
また純資産は、3,748億61百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,588億96百万円となり自己資本比率は42.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し250億84百万円減少し、684億8百万円(前連結会計年度末比26.8%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、767億29百万円(前年同期は、268億47百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益760億32百万円および減価償却費336億44百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額169億1百万円および投資有価証券売却損益111億98百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、553億74百万円(前年同期は、440億93百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入132億16百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出656億18百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は、523億73百万円(前年同期は、199億56百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、長期借入れによる収入294億89百万円であり、資金減少の主な内容は、社債の償還による支出300億0百万円、自己株式の取得による支出150億0百万円、配当金の支払額128億59百万円および長期借入金の返済による支出128億52百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
メディカル・ヘルスケア事業 | 12,896 | △16.30 |
スマート事業 | 28,349 | △18.16 |
セイフティ事業 | 98,654 | 13.83 |
マテリアル事業 | 168,268 | 27.64 |
エンジニアリングプラスチック事業 | 213,958 | △4.86 |
報告セグメント計 | 522,127 | 5.81 |
その他 | 3,455 | △51.75 |
合計 | 525,583 | 4.99 |
(注) 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
受注生産を行っているのは「その他」のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高 (百万円) | 前年同期比(%) | |
その他 | - | △100.00 | - | △100.00 |
c.販売実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
メディカル・ヘルスケア事業 | 13,927 | △16.00 |
スマート事業 | 30,715 | 3.80 |
セイフティ事業 | 95,574 | 13.80 |
マテリアル事業 | 185,341 | 15.30 |
エンジニアリングプラスチック事業 | 226,821 | △4.70 |
報告セグメント計 | 552,379 | 4.40 |
その他 | 5,676 | △37.30 |
合計 | 558,056 | 3.70 |
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月24日)現在において判断したものであります。
① 経営成績等
中期戦略『Accelerate 2025』では2025年度に以下の全社業績および経営指標をターゲットとしております。
全社業績:
売上高 6,600億円、営業利益 820億円、親会社株主に帰属する当期純利益 580億円、EBITDA 1,360億円
経営指標:
営業利益率 12.4%、ROE 17.1%、ROIC 9.3%、ROA 7.7%
株主還元 中期戦略発表時の1株当たり配当金額(年間32円)を下限、総還元性向 40%以上
※2024年度より、配当をDOE(株主資本配当率)4%以上、総還元性向 40%以上に変更。
本中期戦略の4年目である当連結会計年度は、需要の回復による販売機会を着実に捉えるとともに、販売価格の是正、徹底したコストダウンを実施してまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高は5,580億56百万円(前年度比3.7%増)、営業利益は623億93百万円(同31.3%増)、経常利益は683億96百万円(同31.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は558億34百万円(同37.2%増)となりました。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は60億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し15億円改善いたしました。
主に為替損益の影響などによるものであります。
特別損益
特別利益は114億円を計上いたしました。投資有価証券売却益112億円などによるものであります。
特別損失は37億円を計上いたしました。減損損失17億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は25.6%と、前連結会計年度に比し1.4ポイント増加いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は7億円と、前連結会計年度に比し2億円(25.8%)減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は558億円と、前連結会計年度に比し152億円(37.2%)の増益となりました。 また、ROEは17.1%となり、前連結会計年度に比し2.7ポイント改善しました。ROICは6.3%、EBITDAは961億円となりました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は36.2%となりました。
また、2023年11月2日取締役会決議に基づく自己株式の取得を150億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し211億円増加し、775億円(前連結会計年度比37.6%増)、減価償却費は前連結会計年度に比し21億円増加し、336億円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し15億円増加し、234億円(前連結会計年度比6.9%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入等による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は3,041億円であります。
利益配分に関しては、中期戦略『Accelerate 2025』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。