有価証券報告書-第155期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞に一部で持ち直しの動きがみられるものの、年度末にかけて半導体不足や北米寒波の問題が発生するなど、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような環境の中、年度前半に様々な産業における需要低迷の影響を受けましたが、当社グループでは、徹底したコストダウンに取り組むとともに、自動車生産などの需要回復による販売機会を着実に捉えることで、期の経過とともに業績を回復させてまいりました。当連結会計年度の業績は、前年度と比較し減収となったものの、利益面では増益となりました。
当連結会計年度の売上高は3,935億68百万円(前年度比4.7%減)、営業利益は317億23百万円(同7.0%増)、経常利益は346億83百万円(同9.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、2020年10月のポリプラスチックス株式会社の完全子会社化などもあり、197億13百万円(同296.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントを変更しております。
[メディカル・ヘルスケア事業部門]
コスメ・健康食品事業は、中国での需要の回復などにより化粧品原料の販売数量が増加したものの、国内での需要減少により市況が下落し、減収となりました。
キラル分離事業は、キラルカラムの販売増加や、中国、インドでの事業が好調に推移したことにより、増収となりました。
当部門の売上高は、162億9百万円(前年度比7.4%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、15億61百万円(同16.6%増)となりました。
[スマート事業部門]
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、車載向けなど高機能フィルムの販売数量が増加したものの、年度前半のディスプレイ用途の低迷などにより、液晶表示向けフィルム用酢酸セルロースの販売数量が減少し、減収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、半導体市場の需要が堅調に推移したことにより、販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、247億1百万円(前年度比2.6%減)、営業利益は、原燃料価格の低下などにより、34億12百万円(同1.9%増)となりました。
[セイフティ事業部門]
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、年度前半に自動車生産台数減少の影響を受けましたが、年度後半の生産台数の回復に対応して販売数量を伸ばしたことで年間の販売数量は微減でとどまりました。また、為替の影響などもあり、売上高は減収となりました。
当部門の売上高は、672億18百万円(前年度比10.1%減)、営業利益は、年度前半の販売数量減少による稼働率低下などにより、22億31百万円(同32.4%減)となりました。
[マテリアル事業部門]
酢酸は、年度後半に需要が回復し市況も上昇しました。需要の回復により販売数量は増加したものの、年度前半の市況低下の影響により、減収となりました。
酢酸誘導体は、一部製品の需要増加により販売数量が増加し、年度後半には酢酸市況の上昇により販売価格も上昇しましたが、年度前半の酢酸市況低下の影響により、減収となりました。
アセテート・トウの販売数量は横這いで推移しましたが、為替の影響などにより、販売価格が低下し、減収となりました。
カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは、一部用途での需要の回復が見られるものの、年度前半の落ち込みや欧米向けの需要が低調であることなどから販売数量が減少し、減収となりました。
当部門の売上高は、1,042億3百万円(前年度比4.7%減)、営業利益は、コスト削減や原燃料価格の低下などにより、179億21百万円(同13.3%増)となりました。
[エンジニアリングプラスチック事業部門]
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、年度前半に自動車、スマートフォンなどの需要が大きく減少したものの、後半には需要が回復しました。需要の回復に伴い販売数量を伸ばしたものの、前半の需要減少の影響が大きく、減収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイを中心とした樹脂コンパウンド事業は、景気後退による需要の減少により、減収となりました。
シート、成形容器、包装フィルムなどの樹脂加工事業は、包装フィルムの販売減少などにより、減収となりました。
当部門の売上高は、1,685億56百万円(前年度比4.3%減)、営業利益は、原燃料価格の低下などにより、211億72百万円(同1.3%増)となりました。
[その他事業部門]
その他部門は、防衛関連事業での販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
当部門の売上高は、126億79百万円(前年度比4.9%増)、営業利益は、14億82百万円(同82.1%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、たな卸資産等の減少がありましたが、受取手形及び売掛金や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し423億93百万円増加し、6,403億85百万円となりました。
負債は、主に社債や短期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比し1,899億76百万円増加し、3,953億84百万円となりました。
また純資産は、2,450億円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、2,378億52百万円となり自己資本比率は37.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し100億73百万円増加し、907億47百万円(前連結会計年度末比12.5%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は578億69百万円(前年同期は、571億93百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益330億40百万円および減価償却費263億23百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額99億76百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は342億20百万円(前年同期は、458億64百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入50億48百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出346億98百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は170億50百万円(前年同期は、478億83百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、社債の発行による収入995億42百万円および長期借入れによる収入881億77百万円であり、資金減少の主な内容は、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,673億30百万円、長期借入金の返済による支出104億84百万円および配当金の支払額104億15百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っているのは「その他」のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
新中期戦略『Accelerate 2025』および『Accelerate 2025-II』では2025年度に以下の全社業績および経営指標を
ターゲットとしております。
全社業績:
売上高 5,000億円、営業利益 700億円、親会社株主に帰属する当期純利益 480億円、EBITDA 1,160億円
経営指標:
営業利益率 14.0%、ROE 18.0%、ROIC 10.0%、ROA 8.0%
総還元性向:現行一株当たり配当金額を下限、総還元性向 40%以上
本中期戦略の初年度である当連結会計年度は、新型コロナウイルスによる様々な需要低迷の影響を受けましたが、徹底したコストダウンに取り組むとともに自動車生産などの需要回復による販売機会を捉えることで業績を回復させてまいりました。当連結会計年度の業績は、前年度と比較し減収となったものの、利益面では増益となりました。
上記の増益要因に加え、2020年10月にポリプラスチックス㈱の完全子会社化を実施した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことで、当連結会計年度におけるROEは6.6%(前連結会計年度比5.3ポイント改善)となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は8.1%(前連結会計年度比0.9ポイント改善)となりました。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は30億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し8億円改善いたしました。
主に為替損益の改善等によるものであります。
特別損益
特別利益は32億円を計上いたしました。投資有価証券売却益32億円などによるものであります。
特別損失は49億円を計上いたしました。固定資産除却損11億円のほか、減損損失38億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は32.1%と、前連結会計年度に比し0.8ポイント増加いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は27億円と、前連結会計年度に比し37億円(57.9%)減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は197億円と、前連結会計年度に比し147億円(296.0%)の増益となりました。
また、ROEは6.6%となり、前連結会計年度に比し5.3ポイント改善しました。ROICは4.1%、EBITDAは586億円となりました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は42.3%となりました。
また、2019年11月1日取締役会決議に基づく自己株式の取得を83億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し80億円減少し、396億円(前連結会計年度比16.9%減)、減価償却費は前連結会計年度に比し32億円減少し、258億円(前連結会計年度比10.9%減)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し18億円減少し、195億円(前連結会計年度比8.2%減)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は2,709億円であります。
利益配分に関しては、2020年度から6年間の中期戦略『Accelerate 2025-II』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動停滞に一部で持ち直しの動きがみられるものの、年度末にかけて半導体不足や北米寒波の問題が発生するなど、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような環境の中、年度前半に様々な産業における需要低迷の影響を受けましたが、当社グループでは、徹底したコストダウンに取り組むとともに、自動車生産などの需要回復による販売機会を着実に捉えることで、期の経過とともに業績を回復させてまいりました。当連結会計年度の業績は、前年度と比較し減収となったものの、利益面では増益となりました。
当連結会計年度の売上高は3,935億68百万円(前年度比4.7%減)、営業利益は317億23百万円(同7.0%増)、経常利益は346億83百万円(同9.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、2020年10月のポリプラスチックス株式会社の完全子会社化などもあり、197億13百万円(同296.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より報告セグメントを変更しております。
[メディカル・ヘルスケア事業部門]
コスメ・健康食品事業は、中国での需要の回復などにより化粧品原料の販売数量が増加したものの、国内での需要減少により市況が下落し、減収となりました。
キラル分離事業は、キラルカラムの販売増加や、中国、インドでの事業が好調に推移したことにより、増収となりました。
当部門の売上高は、162億9百万円(前年度比7.4%増)、営業利益は、販売数量の増加などにより、15億61百万円(同16.6%増)となりました。
[スマート事業部門]
液晶表示向けフィルム用の酢酸セルロースや高機能フィルムなどのディスプレイ事業は、車載向けなど高機能フィルムの販売数量が増加したものの、年度前半のディスプレイ用途の低迷などにより、液晶表示向けフィルム用酢酸セルロースの販売数量が減少し、減収となりました。
電子材料向け溶剤やレジスト材料などのIC/半導体事業は、半導体市場の需要が堅調に推移したことにより、販売数量が増加し、増収となりました。
当部門の売上高は、247億1百万円(前年度比2.6%減)、営業利益は、原燃料価格の低下などにより、34億12百万円(同1.9%増)となりました。
[セイフティ事業部門]
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などのモビリティ事業は、年度前半に自動車生産台数減少の影響を受けましたが、年度後半の生産台数の回復に対応して販売数量を伸ばしたことで年間の販売数量は微減でとどまりました。また、為替の影響などもあり、売上高は減収となりました。
当部門の売上高は、672億18百万円(前年度比10.1%減)、営業利益は、年度前半の販売数量減少による稼働率低下などにより、22億31百万円(同32.4%減)となりました。
[マテリアル事業部門]
酢酸は、年度後半に需要が回復し市況も上昇しました。需要の回復により販売数量は増加したものの、年度前半の市況低下の影響により、減収となりました。
酢酸誘導体は、一部製品の需要増加により販売数量が増加し、年度後半には酢酸市況の上昇により販売価格も上昇しましたが、年度前半の酢酸市況低下の影響により、減収となりました。
アセテート・トウの販売数量は横這いで推移しましたが、為替の影響などにより、販売価格が低下し、減収となりました。
カプロラクトン誘導体やエポキシ化合物などは、一部用途での需要の回復が見られるものの、年度前半の落ち込みや欧米向けの需要が低調であることなどから販売数量が減少し、減収となりました。
当部門の売上高は、1,042億3百万円(前年度比4.7%減)、営業利益は、コスト削減や原燃料価格の低下などにより、179億21百万円(同13.3%増)となりました。
[エンジニアリングプラスチック事業部門]
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、年度前半に自動車、スマートフォンなどの需要が大きく減少したものの、後半には需要が回復しました。需要の回復に伴い販売数量を伸ばしたものの、前半の需要減少の影響が大きく、減収となりました。
ABS樹脂、エンプラアロイを中心とした樹脂コンパウンド事業は、景気後退による需要の減少により、減収となりました。
シート、成形容器、包装フィルムなどの樹脂加工事業は、包装フィルムの販売減少などにより、減収となりました。
当部門の売上高は、1,685億56百万円(前年度比4.3%減)、営業利益は、原燃料価格の低下などにより、211億72百万円(同1.3%増)となりました。
[その他事業部門]
その他部門は、防衛関連事業での販売数量が増加したことなどにより、増収となりました。
当部門の売上高は、126億79百万円(前年度比4.9%増)、営業利益は、14億82百万円(同82.1%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
総資産は、たな卸資産等の減少がありましたが、受取手形及び売掛金や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し423億93百万円増加し、6,403億85百万円となりました。
負債は、主に社債や短期借入金等の増加により、前連結会計年度末に比し1,899億76百万円増加し、3,953億84百万円となりました。
また純資産は、2,450億円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、2,378億52百万円となり自己資本比率は37.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し100億73百万円増加し、907億47百万円(前連結会計年度末比12.5%増)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は578億69百万円(前年同期は、571億93百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益330億40百万円および減価償却費263億23百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額99億76百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は342億20百万円(前年同期は、458億64百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、投資有価証券の売却及び償還による収入50億48百万円であり、資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出346億98百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は170億50百万円(前年同期は、478億83百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、社債の発行による収入995億42百万円および長期借入れによる収入881億77百万円であり、資金減少の主な内容は、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,673億30百万円、長期借入金の返済による支出104億84百万円および配当金の支払額104億15百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
メディカル・ヘルスケア事業 | 11,035 | △8.19 |
スマート事業 | 22,221 | △1.03 |
セイフティ事業 | 63,168 | △18.44 |
マテリアル事業 | 101,500 | △4.64 |
エンジニアリングプラスチック事業 | 144,946 | △7.06 |
報告セグメント計 | 342,872 | △8.40 |
その他 | 10,622 | 58.25 |
合計 | 353,494 | △7.23 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っているのは「その他」のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
その他 | 6,791 | △12.98 | 8,244 | △15.03 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
メディカル・ヘルスケア事業 | 16,209 | 7.43 |
スマート事業 | 24,701 | △2.56 |
セイフティ事業 | 67,218 | △10.14 |
マテリアル事業 | 104,203 | △4.73 |
エンジニアリングプラスチック事業 | 168,556 | △4.30 |
報告セグメント計 | 380,888 | △4.96 |
その他 | 12,679 | 4.95 |
合計 | 393,568 | △4.66 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
新中期戦略『Accelerate 2025』および『Accelerate 2025-II』では2025年度に以下の全社業績および経営指標を
ターゲットとしております。
全社業績:
売上高 5,000億円、営業利益 700億円、親会社株主に帰属する当期純利益 480億円、EBITDA 1,160億円
経営指標:
営業利益率 14.0%、ROE 18.0%、ROIC 10.0%、ROA 8.0%
総還元性向:現行一株当たり配当金額を下限、総還元性向 40%以上
本中期戦略の初年度である当連結会計年度は、新型コロナウイルスによる様々な需要低迷の影響を受けましたが、徹底したコストダウンに取り組むとともに自動車生産などの需要回復による販売機会を捉えることで業績を回復させてまいりました。当連結会計年度の業績は、前年度と比較し減収となったものの、利益面では増益となりました。
上記の増益要因に加え、2020年10月にポリプラスチックス㈱の完全子会社化を実施した影響もあり、親会社株主に帰属する当期純利益が増加したことで、当連結会計年度におけるROEは6.6%(前連結会計年度比5.3ポイント改善)となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は8.1%(前連結会計年度比0.9ポイント改善)となりました。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は30億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し8億円改善いたしました。
主に為替損益の改善等によるものであります。
特別損益
特別利益は32億円を計上いたしました。投資有価証券売却益32億円などによるものであります。
特別損失は49億円を計上いたしました。固定資産除却損11億円のほか、減損損失38億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は32.1%と、前連結会計年度に比し0.8ポイント増加いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は27億円と、前連結会計年度に比し37億円(57.9%)減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は197億円と、前連結会計年度に比し147億円(296.0%)の増益となりました。
また、ROEは6.6%となり、前連結会計年度に比し5.3ポイント改善しました。ROICは4.1%、EBITDAは586億円となりました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は42.3%となりました。
また、2019年11月1日取締役会決議に基づく自己株式の取得を83億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し80億円減少し、396億円(前連結会計年度比16.9%減)、減価償却費は前連結会計年度に比し32億円減少し、258億円(前連結会計年度比10.9%減)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し18億円減少し、195億円(前連結会計年度比8.2%減)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は2,709億円であります。
利益配分に関しては、2020年度から6年間の中期戦略『Accelerate 2025-II』におきましては、収益力強化に加え適正在庫化などキャッシュコンバージョンサイクル削減効果で資金創出力向上を図ります。また、政策投資株式売却などにより資金創出力をさらに高め、余裕資金を成長投資や株主還元に活用します。株主還元は総還元性向40%以上とし、自己株式取得も視野に柔軟に対応してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。