有価証券報告書-第153期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、年度後半に中国で景気の減速がみられたものの、米国を中心に緩やかな景気の回復が続きました。日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。一方で米中貿易摩擦の深刻化など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような環境の中、当社グループは、販売数量を伸ばすとともに継続的なコストダウンを行うなど業績の向上に懸命に取り組んでまいりましたが、原燃料調達価格の上昇に加え、一部主要製品の市況軟化や販売品種構成の変化などの影響を受け、当連結会計年度の業績は前年度と比較し増収減益となりました。
当連結会計年度の売上高は4,648億59百万円(前連結会計年度比0.4%増)、営業利益は511億71百万円(前連結会計年度比13.2%減)、経常利益は534億33百万円(前連結会計年度比12.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は353億1百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途や、たばこフィルター用途の販売数量が減少したことにより、売上高は減少いたしました。
たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓に取り組み、販売数量は前年並みとなったものの、市況軟化の影響を受け、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、832億41百万円(前連結会計年度比6.5%減)、営業利益は、原燃料価格の上昇や市況軟化の影響などにより、160億6百万円(前連結会計年度比17.3%減)となりました。
有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、堅調な需要や市況上昇の影響により、売上高は増加いたしました。
合成品は一部製品の販売数量は減少したものの、原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、前年度の過酢酸製造プラントでの火災事故による影響からの回復に加え、原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定や、コスメ・ヘルスケア分野の需要が堅調に推移したことなどにより、売上高は増加いたしました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、895億15百万円(前連結会計年度比9.1%増)、営業利益は、販売数量の増加や原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定などにより、143億91百万円(前連結会計年度比81.8%増)となりました。
合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、年度後半に中国での景気減速の影響を受けたものの、自動車部品の需要増加や新規採用が進んだことによる販売数量の増加、原燃料価格の上昇などによる販売価格の改定により、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、販売数量は減少したものの、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は横這いとなりました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、主にフィルムの販売が増加し、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、1,758億55百万円(前連結会計年度比4.5%増)、営業利益は、販売数量は増加したものの原燃料価格上昇の影響により、206億22百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。
火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量は増加したものの、販売品種構成の変化などにより、売上高は減少いたしました。
防衛関連製品などの特機事業は、販売数量の増加などにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、1,078億82百万円(前連結会計年度比7.9%減)、営業利益は、販売品種構成の変化などにより、155億93百万円(前連結会計年度比29.7%減)となりました。
その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業は、一部製品の販売数量が増加したことにより、売上高は増加いたしました。
運輸倉庫業など、その他の事業の売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、83億64百万円(前連結会計年度比30.8%増)、営業利益は、5億89百万円(前連結会計年度比21.8%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
総資産は、現金及び預金や投資有価証券の減少等がありましたが、たな卸資産、有形固定資産および無形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比し145億7百万円増加し6,547億91百万円となりました。
負債は、社債や繰延税金負債の減少等がありましたが、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比し48億5百万円増加し、2,315億47百万円となりました。
また純資産は、4,232億43百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は3,935億97百万円となり、自己資本比率は60.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し82億74百万円減少し、1,200億16百万円(前連結会計年度末比6.4%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は585億23百万円(前連結会計年度は、668億88百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益537億34百万円および減価償却費304億42百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額146億23百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は410億95百万円(前連結会計年度は、331億89百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出416億47百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は256億36百万円(前連結会計年度は、19億62百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、長期借入れによる収入177億55百万円であり、資金減少の主な内容は、社債の償還による支出100億円、自己株式の取得による支出129億98百万円、配当金の支払額107億83百万円および非支配株主への配当金の支払額56億79百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っているのは専ら火工品事業のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
中期計画『3D-Ⅲ』では、最終年度となる2019年度の売上高5,000億円、営業利益700億円を目標とし、ROE(自己資本利益率)と売上高営業利益率を重視する経営指標としております。
本中期計画の2年目である当連結会計年度は、『3D-Ⅲ』目標値の達成に向け売上高を着実に伸ばしてまいりましたが、営業利益は、たばこフィルター用トウの市況軟化やインフレータの品種構成の変化などにより、減少することとなりました。
当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROEの向上に取り組むため、2019年度までROE10%以上を継続させることを目指しております。当連結会計年度におけるROEは9.1%(前連結会計年度比0.7ポイント低下)となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は11.0%(前連結会計年度比1.7ポイント低下)となりました。
『3D-Ⅲ』最終年度の目標達成は厳しい状況にありますが、当社グループでは引き続き『3D-Ⅲ』で掲げた具体的施策を進めてまいります。特に、新規事業ユニットの創出については、メディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの成長分野を中心に、オープンイノベーション、M&Aの積極的活用により、その実現に向けてスピードを上げて取り組んでまいります。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は23億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し1億円改善いたしました。
主に為替損益の改善や持分法による投資利益の増加によるものであります。
特別損益
特別利益は81億円を計上いたしました。投資有価証券売却益58億円などによるものであります。
特別損失は78億円を計上いたしました。退職給付制度改定損33億円、固定資産除却損17億円のほか、減損損失18億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は22.0%と、前連結会計年度に比し2.9ポイント低下いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は66億円と、前連結会計年度に比し8億円(10.5%)減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は353億円と、前連結会計年度に比し18億円(4.8%)の減益となりました。
また、ROEは9.1%となり、前連結会計年度に比し0.7ポイント低下いたしました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は15.9%となりました。
また、2018年5月10日および2019年2月21日取締役会決議に基づく自己株式の取得を130億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に重要な影響を与える要因としては市場動向、為替動向、原燃料費動向、事故・災害等があります。
市場動向については、国内市場だけでなくグローバル市場におけるリスク対応力をもさらに高めるため、企業統治体制を高度化していきます。
為替動向については、為替リスクの低減を図るため、タイムリーな為替予約の実施によるリスクヘッジに取り組んでおります。
原燃料費動向については、主要原料であるメタノールに関し、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その他原燃料に関しては、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っており、また原燃料の高騰が続く場合には、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図ります。
事故・災害等については、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に取り組んでおります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し139億円増加し、447億円(前連結会計年度比45.0%増)、減価償却費は前連結会計年度に比し17億円減少し、300億円(前連結会計年度比5.3%減)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し19億円増加し、207億円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は1,043億円であります。
利益配分に関しては、2017年度から3年間の中期計画『3D-Ⅲ』におきましては、配当性向30%を目標とし、自己株式の取得につきましても配当を補完する株主還元策として機動的に実施しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度の世界経済は、年度後半に中国で景気の減速がみられたものの、米国を中心に緩やかな景気の回復が続きました。日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。一方で米中貿易摩擦の深刻化など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような環境の中、当社グループは、販売数量を伸ばすとともに継続的なコストダウンを行うなど業績の向上に懸命に取り組んでまいりましたが、原燃料調達価格の上昇に加え、一部主要製品の市況軟化や販売品種構成の変化などの影響を受け、当連結会計年度の業績は前年度と比較し増収減益となりました。
当連結会計年度の売上高は4,648億59百万円(前連結会計年度比0.4%増)、営業利益は511億71百万円(前連結会計年度比13.2%減)、経常利益は534億33百万円(前連結会計年度比12.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は353億1百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途や、たばこフィルター用途の販売数量が減少したことにより、売上高は減少いたしました。
たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓に取り組み、販売数量は前年並みとなったものの、市況軟化の影響を受け、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、832億41百万円(前連結会計年度比6.5%減)、営業利益は、原燃料価格の上昇や市況軟化の影響などにより、160億6百万円(前連結会計年度比17.3%減)となりました。
有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、堅調な需要や市況上昇の影響により、売上高は増加いたしました。
合成品は一部製品の販売数量は減少したものの、原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、前年度の過酢酸製造プラントでの火災事故による影響からの回復に加え、原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定や、コスメ・ヘルスケア分野の需要が堅調に推移したことなどにより、売上高は増加いたしました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、895億15百万円(前連結会計年度比9.1%増)、営業利益は、販売数量の増加や原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定などにより、143億91百万円(前連結会計年度比81.8%増)となりました。
合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、年度後半に中国での景気減速の影響を受けたものの、自動車部品の需要増加や新規採用が進んだことによる販売数量の増加、原燃料価格の上昇などによる販売価格の改定により、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、販売数量は減少したものの、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は横這いとなりました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、主にフィルムの販売が増加し、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、1,758億55百万円(前連結会計年度比4.5%増)、営業利益は、販売数量は増加したものの原燃料価格上昇の影響により、206億22百万円(前連結会計年度比11.3%減)となりました。
火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量は増加したものの、販売品種構成の変化などにより、売上高は減少いたしました。
防衛関連製品などの特機事業は、販売数量の増加などにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、1,078億82百万円(前連結会計年度比7.9%減)、営業利益は、販売品種構成の変化などにより、155億93百万円(前連結会計年度比29.7%減)となりました。
その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業は、一部製品の販売数量が増加したことにより、売上高は増加いたしました。
運輸倉庫業など、その他の事業の売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、83億64百万円(前連結会計年度比30.8%増)、営業利益は、5億89百万円(前連結会計年度比21.8%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
総資産は、現金及び預金や投資有価証券の減少等がありましたが、たな卸資産、有形固定資産および無形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比し145億7百万円増加し6,547億91百万円となりました。
負債は、社債や繰延税金負債の減少等がありましたが、長期借入金の増加等により、前連結会計年度末に比し48億5百万円増加し、2,315億47百万円となりました。
また純資産は、4,232億43百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は3,935億97百万円となり、自己資本比率は60.1%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比し82億74百万円減少し、1,200億16百万円(前連結会計年度末比6.4%減)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による資金の増加は585億23百万円(前連結会計年度は、668億88百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前当期純利益537億34百万円および減価償却費304億42百万円であり、資金減少の主な内容は、法人税等の支払額146億23百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の減少は410億95百万円(前連結会計年度は、331億89百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出416億47百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動による資金の減少は256億36百万円(前連結会計年度は、19億62百万円の減少)となりました。資金増加の主な内容は、長期借入れによる収入177億55百万円であり、資金減少の主な内容は、社債の償還による支出100億円、自己株式の取得による支出129億98百万円、配当金の支払額107億83百万円および非支配株主への配当金の支払額56億79百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
生産高(百万円) | 前年同期比(%) | |
セルロース事業 | 77,464 | △2.99 |
有機合成事業 | 81,385 | 17.52 |
合成樹脂事業 | 180,438 | 7.80 |
火工品事業 | 108,199 | △4.32 |
報告セグメント計 | 447,487 | 4.17 |
その他 | 4,173 | 83.99 |
合計 | 451,661 | 4.59 |
(注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
受注生産を行っているのは専ら火工品事業のうちの特機関連部門であり、主として発射薬等で受注状況は次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |||
受注高(百万円) | 前年同期比(%) | 受注残高(百万円) | 前年同期比(%) | |
火工品事業 | 6,067 | △30.3 | 8,400 | △13.1 |
(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | |
販売高(百万円) | 前年同期比(%) | |
セルロース事業 | 83,241 | △6.55 |
有機合成事業 | 89,515 | 9.11 |
合成樹脂事業 | 175,855 | 4.51 |
火工品事業 | 107,882 | △7.94 |
報告セグメント計 | 456,494 | △0.01 |
その他 | 8,364 | 30.81 |
合計 | 464,859 | 0.41 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績等
中期計画『3D-Ⅲ』では、最終年度となる2019年度の売上高5,000億円、営業利益700億円を目標とし、ROE(自己資本利益率)と売上高営業利益率を重視する経営指標としております。
本中期計画の2年目である当連結会計年度は、『3D-Ⅲ』目標値の達成に向け売上高を着実に伸ばしてまいりましたが、営業利益は、たばこフィルター用トウの市況軟化やインフレータの品種構成の変化などにより、減少することとなりました。
当社グループは、中長期的に資本コストを上回るROEの向上に取り組むため、2019年度までROE10%以上を継続させることを目指しております。当連結会計年度におけるROEは9.1%(前連結会計年度比0.7ポイント低下)となりました。また、当連結会計年度の売上高営業利益率は11.0%(前連結会計年度比1.7ポイント低下)となりました。
『3D-Ⅲ』最終年度の目標達成は厳しい状況にありますが、当社グループでは引き続き『3D-Ⅲ』で掲げた具体的施策を進めてまいります。特に、新規事業ユニットの創出については、メディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの成長分野を中心に、オープンイノベーション、M&Aの積極的活用により、その実現に向けてスピードを上げて取り組んでまいります。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は23億円の収益(純額)となり、前連結会計年度に比し1億円改善いたしました。
主に為替損益の改善や持分法による投資利益の増加によるものであります。
特別損益
特別利益は81億円を計上いたしました。投資有価証券売却益58億円などによるものであります。
特別損失は78億円を計上いたしました。退職給付制度改定損33億円、固定資産除却損17億円のほか、減損損失18億円などによるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は22.0%と、前連結会計年度に比し2.9ポイント低下いたしました。
非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は66億円と、前連結会計年度に比し8億円(10.5%)減少いたしました。
親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は353億円と、前連結会計年度に比し18億円(4.8%)の減益となりました。
また、ROEは9.1%となり、前連結会計年度に比し0.7ポイント低下いたしました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、有利子負債比率は15.9%となりました。
また、2018年5月10日および2019年2月21日取締役会決議に基づく自己株式の取得を130億円実施しております。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に重要な影響を与える要因としては市場動向、為替動向、原燃料費動向、事故・災害等があります。
市場動向については、国内市場だけでなくグローバル市場におけるリスク対応力をもさらに高めるため、企業統治体制を高度化していきます。
為替動向については、為替リスクの低減を図るため、タイムリーな為替予約の実施によるリスクヘッジに取り組んでおります。
原燃料費動向については、主要原料であるメタノールに関し、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その他原燃料に関しては、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っており、また原燃料の高騰が続く場合には、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図ります。
事故・災害等については、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に取り組んでおります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費など製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当連結会計年度の設備投資額は前連結会計年度に比し139億円増加し、447億円(前連結会計年度比45.0%増)、減価償却費は前連結会計年度に比し17億円減少し、300億円(前連結会計年度比5.3%減)となりました。
当社グループでは、既存事業の強化拡大および新事業創出のための研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費は前連結会計年度に比し19億円増加し、207億円(前連結会計年度比10.1%増)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当連結会計年度末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は1,043億円であります。
利益配分に関しては、2017年度から3年間の中期計画『3D-Ⅲ』におきましては、配当性向30%を目標とし、自己株式の取得につきましても配当を補完する株主還元策として機動的に実施しております。