四半期報告書-第153期第2四半期(平成30年7月1日-平成30年9月30日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当第2四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、米国を中心に景気の回復が続くとともに、日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。一方で、米中貿易摩擦の深刻化など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような状況の中、当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高2,352億42百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益295億15百万円(同6.3%減)、経常利益322億44百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益223億94百万円(同14.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途の販売数量が微減となったものの、その他用途が増加したことにより、売上高は横這いとなりました。
たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓に取り組んだものの、市況軟化の影響や、一部販売時期ずれなどによる販売数量の減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、420億43百万円(前年同期比6.7%減)、営業利益は、原燃料価格の上昇や市況軟化の影響などにより、85億75百万円(同22.2%減)となりました。
有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、堅調な需要や市況上昇の影響などにより、売上高は増加いたしました。
合成品は、販売数量の増加や市況上昇の影響などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、前年度の過酢酸製造プラントでの火災事故による影響からの回復に加え、原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定や、コスメ・ヘルスケア分野の需要が好調に推移したことなどにより、売上高は増加いたしました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、451億33百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は、販売数量の増加や原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定の影響などにより、70億88百万円(同95.5%増)となりました。
合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、自動車部品の需要増加や新規採用が進んだことによる販売数量の増加、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、主にフィルムの販売が増加し、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、895億70百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益は、販売数量は増加したものの、原燃料価格上昇の影響などにより、118億95百万円(同2.1%減)となりました。
火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量は増加したものの、販売品種構成の変化などにより、売上高は微減となりました。
防衛関連製品などの特機事業は、一部製品の防衛省による調達数量減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、555億26百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は、販売品種構成の変化などにより、98億21百万円(同15.7%減)となりました。
その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業の売上高は、横這いとなりました。
運輸倉庫業などその他の事業の売上高は、減少いたしました。
当部門の売上高は、29億69百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益は、2億19百万円(同19.2%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
総資産は、現金及び預金等の減少がありましたが、たな卸資産や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し64億2百万円増加し、6,466億86百万円となりました。
負債は、主に社債等の減少により、前連結会計年度末に比し92億25百万円減少し、2,175億17百万円となりました。
また純資産は、4,291億69百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,998億36百万円となり自己資本比率は61.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,067億8百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は269億41百万円(前年同期は、297億15百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前四半期純利益350億96百万円および減価償却費146億59百万円であり、資金減少の主な内容は、たな卸資産の増加100億23百万円および法人税等の支払額73億94百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は241億18百万円(前年同期は、206億23百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出235億25百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は249億73百万円(前年同期は、178億85百万円の増加)となりました。資金減少の主な内容は、社債の償還による支出100億円、自己株式の取得による支出46億79百万円、配当金の支払額54億19百万円および非支配株主への配当金の支払額38億97百万円であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりでありま
す。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、判断したものであります。
① 経営成績等
中期計画『3D-Ⅲ』では、最終年度となる2019年度の売上高5,000億円、営業利益700億円を目標とし、ROE(自己
資本利益率)と売上高営業利益率を重視する経営指標としております。
ベストソリューションを通じた付加価値の向上、コストダウンの徹底による収益力強化や生産能力の向上などにより、これらの指標の改善を進めていきます。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は27億円の収益(純額)となり、前第2四半期連結累計期間に比し、11億円改善いたしました。
主に為替損益の改善や持分法による投資利益の増加によるものであります。
特別損益
特別利益は40億円を計上いたしました。投資有価証券売却益30億円や受取保険金10億円などによるものであります。
特別損失は11億円を計上いたしました。災害による損失6億円や固定資産除却損6億円によるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は24.7%と、前第2四半期連結累計期間に比し、4.4ポイント低下いたしました。
非支配株主に帰属する四半期純利益
非支配株主に帰属する四半期純利益は40億円と、前第2四半期連結累計期間に比し、1億円(2.0%)増加いたしました。
親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は224億円と、前第2四半期連結累計期間に比し、28億円(14.4%)増加いたしました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に重要な影響を与える要因としては市場動向、為替動向、原燃料費動向、事故・災害等があります。
市場動向については、国内市場だけでなくグローバル市場におけるリスク対応力をもさらに高めるため、企業統治体制を高度化していきます。
為替動向については、為替リスクの低減を図るため、タイムリーな為替予約の実施によるリスクヘッジに取り組んでおります。
原燃料費動向については、主要原料であるメタノールに関し、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その他原燃料に関しては、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っており、また原燃料の高騰が続く場合には、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図ります。
事故・災害等については、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に取り組んでおりま す。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費などの製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当第2四半期連結累計期間の設備投資額は前第2四半期連結累計期間に比し71億円増加し、241億円(前第2四半期連結累計期間比41.9%増)、減価償却費は前第2四半期連結累計期間に比し10億円減少し、145億円(前第2四半期連結累計期間比7.0%減)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当第2四半期連結会計期間末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は903億円であります。
利益配分に関しては、2017年度から3年間の中期計画『3D-Ⅲ』におきましては、配当性向30%を目標とし、自己株式の取得につきましても配当を補完する株主還元策として機動的に実施してまいります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
なお、当社の「株式会社の支配に関する基本方針」は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、当社グループの存在理由である「企業目的」とグループ構成員が共有する価値観である「ダイセルスピリッツ」からなる「ダイセルグループ基本理念」を掲げております。
当社は、この基本理念のもと、企業価値を向上させる経営を行うためには、現有事業や将来事業化が期待される企画開発案件等に関する専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係を維持、発展させていくことが不可欠であると考えます。
当社は、上場会社として、当社株式の売買は原則として市場における株主および投資家の皆様の自由な判断に委ねるべきものと考えており、特定の者による大規模な株式買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。しかしながら、大規模な株式買付行為の中には、その目的等から見て大規模な株式買付の対象となる会社の企業価値または株主様共同の利益(株主共同の利益)に資さないものもあります。
当社は、当社の企業価値または株主共同の利益を毀損するおそれのある大規模な株式買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えます。
②基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術に、パルプなどの天然素材を原料とする酢酸セルロース、たばこフィルター用トウなどのセルロース誘導品、幅広い分野で原料として使用されている酢酸と酢酸誘導体を中心とする有機化学品、過酢酸誘導体などを電子材料分野やコーティング用途などに展開している有機機能品、安全な医薬品開発に貢献している光学異性体分離カラム、自動車部品や電子デバイス向けのポリアセタール樹脂などのエンジニアリングプラスチックや樹脂コンパウンド製品などの合成樹脂製品および自動車エアバッグ用インフレータや航空機搭乗員緊急脱出装置、ロケットモーター推進薬等の防衛関連製品などの火工品等を製造・販売し、グループとして特徴ある事業展開を行っております。また、当社が構築した生産革新手法については、国内他企業への普及にも努め、わが国の装置型産業の競争力向上に貢献しております。
当社は、当社の企業価値が、セルロイド事業を原点に発展・拡大してきた特徴ある技術・製品・サービスがシナジーを発揮し、コア事業の拡大、事業基盤の強化、新技術の開発さらには新規事業の創出がなされること等によって生み出されているものと考えております。
当社は、2010年4月、今後10年間で当社グループが目指す姿を示したダイセルグループ長期ビジョン『Grand Vision 2020』を策定いたしました。この『Grand Vision 2020』において、当社グループは、これまでに培ってきた「パートナーとの強固な信頼の絆」「ユニークで多彩な技術」「先進の生産方式」を発展・融合して世界に誇れる「モノづくりの仕組み」を構築し、社会や顧客のニーズを的確にとらえ、最良の解決策を創造・提供することで、株主、顧客、取引先、従業員等のステークホルダーにとって魅力のある、「世界に誇れる『ベストソリューション』実現企業になる」ことを目指しております。
この長期ビジョンを実現するためのマイルストーンとして、当社グループは、『Grand Vision 2020』期間中に3回の中期計画を策定・遂行してまいります。
当社は、これらの経営計画を達成していくことが、当社の企業価値の一層の向上に繋がるものと確信しております。
③不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
上記①で述べましたように、当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきであると考えており、当社の企業価値および株主共同の利益に資する大規模買付行為を否定するものではありません。
一方、上記②の当社の企業価値の源泉や当社グループとしてシナジーを発揮することなどにより企業価値を向上させている当社の経営の特質を考慮すると、株主の皆様が当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを適切に判断するためには、大規模な株式買付者から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考えます。
大規模買付者からの情報提供に関しては、金融商品取引法に一定の定めがありますが、公開買付制度の適用がない市場内での買付の場合や公開買付けが開始される前には、大規模買付者は事前の情報提供の必要がなく、公開買付けが開始された後であっても、株主の皆様が継続して保有するか否かを判断するための十分な情報が提供されない可能性も否定できません。また、情報が提供されても、それが公開買付け開始後である場合には、株主の皆様が検討する時間を十分に確保できないことが考えられます。これらのことから、わが国の法制度下にあっては、大規模買付行為に際し、株主の皆様が適切に判断するための十分な情報や検討する時間を確保することは困難と言わざるを得ず、当社は、株主の皆様が当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを適切に判断できないおそれがあると考えております。
これらを考慮し、大規模な株式買付行為に際しては、当社株主の皆様の判断のために必要かつ十分な大規模な株式買付行為に関する情報が大規模な株式買付者から事前に提供されるべきであり、また、当社株主の皆様がその情報に基づき、当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを判断するための十分な検討時間が確保されることが不可欠である、という結論に至りました。
以上の見解に基づき、当社取締役会は、一定の合理的なルールに従って大規模買付行為(特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とした、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為)が行われることが、当社株主共同の利益に合致すると考え、大規模買付者(大規模買付行為を行う者)からの事前の情報提供に関する一定のルール(大規模買付ルール)を設定することといたしました。
なお、当社取締役会は、大規模買付ルールを適正に運用し、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するための機関として、独立委員会を設置します。独立委員会は、1.大規模買付ルールが遵守されているか否か 2.対抗措置を発動するか否か 3.その他当社の企業価値および株主共同の利益を守るために必要な事項 について判断し、取締役会に勧告するものとし、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大規模買付者と条件改善について交渉し、取締役会として代替案を提示することもあります。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、原則として、対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗します。なお、対抗措置を発動するか否かを判断するにあたっては、当社取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重します。独立委員会が株主意思の確認を勧告した場合には、当該勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動前または発動後に書面投票または株主総会に準じて開催する総会(株主意思確認総会)の開催などにより株主意思の確認を行うことがあります。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、当社は、原則として、対抗措置を発動するか否かについて、書面投票または株主意思確認総会の開催などにより株主意思を確認し、当社取締役会は、株主様の判断に従って、対抗措置を発動するか否かを決定します。ただし、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案に対する反対意見の表明、代替案の提示、当社株主の皆様への説得等を行うに留め、大規模買付者の買付提案に応じるか否かを株主様個々の判断に委ねるのが相当と判断する場合には、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当該大規模買付行為が結果として当社の企業価値または株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、株主意思の確認を行わずに、当該大規模買付行為に対する対抗措置を発動することがあります。
この取組みに関する詳細につきましては、2017年5月10日付プレスリリース「当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」を当社ウェブサイト(https://www.daicel.com)に掲載しております。
④上記取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
1)上記②の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
当社取締役会は、上記②の取組みが、専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの信頼関係に基づくものであり、当社の企業価値の向上を目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、また当社株主共同の利益を損なうものではないと考えます。
2)上記③の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
上記③の取組みは、大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が適切に判断し、または当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、ならびに株主の皆様のために大規模買付者と交渉等を行うこと等を可能にすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的としております。
また、この取組みは、株主様の意思を重視した株主意思の確認の仕組みや、独立性の高い社外者によって構成され、取締役会に勧告を行う独立委員会を設置し、さらに大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、または遵守しなかった場合に、当社取締役会が対抗措置を発動する合理的な客観的要件を規定するなど、取締役会の恣意的な判断を防止する仕組みを有しております。
これらのことから、当社取締役会は、この取組みが基本方針に沿うものであり、当社株主共同の利益を損なうものではなく、また当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えます。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、99億69百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりです。
2018年3月期からスタートしている中期計画『3D-Ⅲ』に基づき、研究開発部門は引き続き、新規事業の創出、既存事業の強化に取り組んでおります。新規事業の創出に関しては、注力領域であるメディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの分野で定めた5つの「新規事業ユニット候補」に経営資源を集中いたしております。
2018年4月に特許活用優良企業として、特許庁から特許庁長官表彰を受賞しました。受賞の理由としては、事業部門・研究開発部門・知財部門が連携して活動していることが評価されております。
2018年7月30日付で、国立大学法人金沢大学と包括連携協定を締結しました。セルロース研究分野を中心に関係を強化するとともに、社会への貢献を強めていくことを目指しております。
2018年8月1日付でドイツの医薬品開発製造受託企業のLomapharm社(LOMA Holding GmbH, Lomapharm Rudolf Lohmann GmbH KG, Lomapharm Verwaltungs GmbHの3社)を買収しました。今後はLomapharm社と密に連携し、新事業領域の柱の一つに位置づけているメディカル分野の成長を加速させます。
2018年9月13日付で台湾において自社開発ウエハーレベルレンズを活用した光学製品の設計開発・販売を行う拠点として、Daicel Micro Optics Co.Ltd.を設立しました。先端ニーズの獲得や顧客に密着した開発を行い、光学製品事業の拡大と加速を図っていきます。
当第2四半期連結累計期間における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間の世界経済は、米国を中心に景気の回復が続くとともに、日本経済においても、景気の緩やかな回復基調が続きました。一方で、米中貿易摩擦の深刻化など、先行き不透明な状況のうちに推移しました。
このような状況の中、当第2四半期連結累計期間の当社グループの業績は、売上高2,352億42百万円(前年同期比2.7%増)、営業利益295億15百万円(同6.3%減)、経常利益322億44百万円(同2.7%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益223億94百万円(同14.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セルロース事業部門
酢酸セルロースは、液晶表示向けフィルム用途の販売数量が微減となったものの、その他用途が増加したことにより、売上高は横這いとなりました。
たばこフィルター用トウは、世界的に需給が緩んでいる中、主要顧客との関係強化や新規顧客開拓に取り組んだものの、市況軟化の影響や、一部販売時期ずれなどによる販売数量の減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、420億43百万円(前年同期比6.7%減)、営業利益は、原燃料価格の上昇や市況軟化の影響などにより、85億75百万円(同22.2%減)となりました。
有機合成事業部門
主力製品の酢酸は、堅調な需要や市況上昇の影響などにより、売上高は増加いたしました。
合成品は、販売数量の増加や市況上昇の影響などにより、売上高は増加いたしました。
機能品は、前年度の過酢酸製造プラントでの火災事故による影響からの回復に加え、原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定や、コスメ・ヘルスケア分野の需要が好調に推移したことなどにより、売上高は増加いたしました。
光学異性体分離カラムなどのキラル分離事業は、カラムや充填剤の販売が増加したことや、インドでの新規事業が伸びたことなどにより、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、451億33百万円(前年同期比15.4%増)、営業利益は、販売数量の増加や原燃料価格の上昇に伴う販売価格の改定の影響などにより、70億88百万円(同95.5%増)となりました。
合成樹脂事業部門
ポリアセタール樹脂、PBT樹脂、液晶ポリマーなどのエンジニアリングプラスチック事業は、自動車部品の需要増加や新規採用が進んだことによる販売数量の増加、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
ABS樹脂、エンプラアロイ樹脂を中心とした樹脂コンパウンド事業は、原燃料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、売上高は増加いたしました。
シート、成形容器、フィルムなどの樹脂加工事業は、主にフィルムの販売が増加し、売上高は増加いたしました。
当部門の売上高は、895億70百万円(前年同期比7.0%増)、営業利益は、販売数量は増加したものの、原燃料価格上昇の影響などにより、118億95百万円(同2.1%減)となりました。
火工品事業部門
自動車エアバッグ用インフレータ(ガス発生装置)などの自動車安全部品事業は、インフレータの販売数量は増加したものの、販売品種構成の変化などにより、売上高は微減となりました。
防衛関連製品などの特機事業は、一部製品の防衛省による調達数量減少により、売上高は減少いたしました。
当部門の売上高は、555億26百万円(前年同期比4.4%減)、営業利益は、販売品種構成の変化などにより、98億21百万円(同15.7%減)となりました。
その他部門
水処理用分離膜モジュールなどのメンブレン事業の売上高は、横這いとなりました。
運輸倉庫業などその他の事業の売上高は、減少いたしました。
当部門の売上高は、29億69百万円(前年同期比2.2%減)、営業利益は、2億19百万円(同19.2%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
なお、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を第1四半期連結会計期間の期首から適用しており、財政状態については遡及処理後の前連結会計年度末の数値で比較を行っております。
総資産は、現金及び預金等の減少がありましたが、たな卸資産や有形固定資産等の増加により、前連結会計年度末に比し64億2百万円増加し、6,466億86百万円となりました。
負債は、主に社債等の減少により、前連結会計年度末に比し92億25百万円減少し、2,175億17百万円となりました。
また純資産は、4,291億69百万円となりました。純資産から非支配株主持分を引いた自己資本は、3,998億36百万円となり自己資本比率は61.8%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,067億8百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動による資金の増加は269億41百万円(前年同期は、297億15百万円の増加)となりました。資金増加の主な内容は、税金等調整前四半期純利益350億96百万円および減価償却費146億59百万円であり、資金減少の主な内容は、たな卸資産の増加100億23百万円および法人税等の支払額73億94百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動による資金の減少は241億18百万円(前年同期は、206億23百万円の減少)となりました。資金減少の主な内容は、有形固定資産の取得による支出235億25百万円であります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動による資金の減少は249億73百万円(前年同期は、178億85百万円の増加)となりました。資金減少の主な内容は、社債の償還による支出100億円、自己株式の取得による支出46億79百万円、配当金の支払額54億19百万円および非支配株主への配当金の支払額38億97百万円であります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりでありま
す。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、判断したものであります。
① 経営成績等
中期計画『3D-Ⅲ』では、最終年度となる2019年度の売上高5,000億円、営業利益700億円を目標とし、ROE(自己
資本利益率)と売上高営業利益率を重視する経営指標としております。
ベストソリューションを通じた付加価値の向上、コストダウンの徹底による収益力強化や生産能力の向上などにより、これらの指標の改善を進めていきます。
経営成績
売上高および営業利益
売上高、営業利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外損益
営業外損益は27億円の収益(純額)となり、前第2四半期連結累計期間に比し、11億円改善いたしました。
主に為替損益の改善や持分法による投資利益の増加によるものであります。
特別損益
特別利益は40億円を計上いたしました。投資有価証券売却益30億円や受取保険金10億円などによるものであります。
特別損失は11億円を計上いたしました。災害による損失6億円や固定資産除却損6億円によるものであります。
法人税等
税効果会計適用後法人税の負担率(実効税率)は24.7%と、前第2四半期連結累計期間に比し、4.4ポイント低下いたしました。
非支配株主に帰属する四半期純利益
非支配株主に帰属する四半期純利益は40億円と、前第2四半期連結累計期間に比し、1億円(2.0%)増加いたしました。
親会社株主に帰属する四半期純利益
親会社株主に帰属する四半期純利益は224億円と、前第2四半期連結累計期間に比し、28億円(14.4%)増加いたしました。
財政状態
資産、負債および純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に重要な影響を与える要因としては市場動向、為替動向、原燃料費動向、事故・災害等があります。
市場動向については、国内市場だけでなくグローバル市場におけるリスク対応力をもさらに高めるため、企業統治体制を高度化していきます。
為替動向については、為替リスクの低減を図るため、タイムリーな為替予約の実施によるリスクヘッジに取り組んでおります。
原燃料費動向については、主要原料であるメタノールに関し、長期契約やメタノール製造会社への出資など、比較的安価なメタノールを安定的に購入するための手段を講じております。その他原燃料に関しては、常に安価かつ価格の安定した原燃料への転換や、製造方法改善によるコストダウンを図っており、また原燃料の高騰が続く場合には、製品販売価格への転嫁等によりできる限りの吸収を図ります。
事故・災害等については、保安防災活動に継続的に取り組むなど、日頃から工場の安全確保に取り組んでおりま す。
③ 資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローの状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要
当社グループにおける主な運転資金需要は、製品製造のための原材料の購入、労務費などの製造費用と、製品の仕入、販売費及び一般管理費等の支払いであります。
当社グループでは、製造設備の増強および更新などのほか、安全向上対策ならびに現業各設備の合理化・省力化を継続的に行っております。当第2四半期連結累計期間の設備投資額は前第2四半期連結累計期間に比し71億円増加し、241億円(前第2四半期連結累計期間比41.9%増)、減価償却費は前第2四半期連結累計期間に比し10億円減少し、145億円(前第2四半期連結累計期間比7.0%減)となりました。
財務政策
当社グループは、設備投資計画に照らして、必要な資金を銀行借入や社債発行により調達しております。短期的な運転資金は、キャッシュマネジメントサービスを通じてグループ内で余剰資金を活用しておりますが、地域、通貨、金利動向等を考慮した結果、銀行借入による調達を行う場合があります。当第2四半期連結会計期間末における借入金およびリース債務を含む有利子負債の残高は903億円であります。
利益配分に関しては、2017年度から3年間の中期計画『3D-Ⅲ』におきましては、配当性向30%を目標とし、自己株式の取得につきましても配当を補完する株主還元策として機動的に実施してまいります。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について、重要な変更はありません。
なお、当社の「株式会社の支配に関する基本方針」は次のとおりであります。
①基本方針の内容
当社は、当社グループの存在理由である「企業目的」とグループ構成員が共有する価値観である「ダイセルスピリッツ」からなる「ダイセルグループ基本理念」を掲げております。
当社は、この基本理念のもと、企業価値を向上させる経営を行うためには、現有事業や将来事業化が期待される企画開発案件等に関する専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの間に築かれた関係を維持、発展させていくことが不可欠であると考えます。
当社は、上場会社として、当社株式の売買は原則として市場における株主および投資家の皆様の自由な判断に委ねるべきものと考えており、特定の者による大規模な株式買付行為に応じて当社株式の売却を行うか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきものであると考えます。しかしながら、大規模な株式買付行為の中には、その目的等から見て大規模な株式買付の対象となる会社の企業価値または株主様共同の利益(株主共同の利益)に資さないものもあります。
当社は、当社の企業価値または株主共同の利益を毀損するおそれのある大規模な株式買付行為またはこれに類似する行為を行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として適切ではないと考えます。
②基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、セルロース化学、有機合成化学、高分子化学、火薬工学をコア技術に、パルプなどの天然素材を原料とする酢酸セルロース、たばこフィルター用トウなどのセルロース誘導品、幅広い分野で原料として使用されている酢酸と酢酸誘導体を中心とする有機化学品、過酢酸誘導体などを電子材料分野やコーティング用途などに展開している有機機能品、安全な医薬品開発に貢献している光学異性体分離カラム、自動車部品や電子デバイス向けのポリアセタール樹脂などのエンジニアリングプラスチックや樹脂コンパウンド製品などの合成樹脂製品および自動車エアバッグ用インフレータや航空機搭乗員緊急脱出装置、ロケットモーター推進薬等の防衛関連製品などの火工品等を製造・販売し、グループとして特徴ある事業展開を行っております。また、当社が構築した生産革新手法については、国内他企業への普及にも努め、わが国の装置型産業の競争力向上に貢献しております。
当社は、当社の企業価値が、セルロイド事業を原点に発展・拡大してきた特徴ある技術・製品・サービスがシナジーを発揮し、コア事業の拡大、事業基盤の強化、新技術の開発さらには新規事業の創出がなされること等によって生み出されているものと考えております。
当社は、2010年4月、今後10年間で当社グループが目指す姿を示したダイセルグループ長期ビジョン『Grand Vision 2020』を策定いたしました。この『Grand Vision 2020』において、当社グループは、これまでに培ってきた「パートナーとの強固な信頼の絆」「ユニークで多彩な技術」「先進の生産方式」を発展・融合して世界に誇れる「モノづくりの仕組み」を構築し、社会や顧客のニーズを的確にとらえ、最良の解決策を創造・提供することで、株主、顧客、取引先、従業員等のステークホルダーにとって魅力のある、「世界に誇れる『ベストソリューション』実現企業になる」ことを目指しております。
この長期ビジョンを実現するためのマイルストーンとして、当社グループは、『Grand Vision 2020』期間中に3回の中期計画を策定・遂行してまいります。
当社は、これらの経営計画を達成していくことが、当社の企業価値の一層の向上に繋がるものと確信しております。
③不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
上記①で述べましたように、当社は、上場会社として当社株式の自由な売買を認める以上、大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には当社株式を保有する当社株主の皆様の判断に委ねられるべきであると考えており、当社の企業価値および株主共同の利益に資する大規模買付行為を否定するものではありません。
一方、上記②の当社の企業価値の源泉や当社グループとしてシナジーを発揮することなどにより企業価値を向上させている当社の経営の特質を考慮すると、株主の皆様が当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを適切に判断するためには、大規模な株式買付者から適切かつ十分な情報が提供されることが不可欠であると考えます。
大規模買付者からの情報提供に関しては、金融商品取引法に一定の定めがありますが、公開買付制度の適用がない市場内での買付の場合や公開買付けが開始される前には、大規模買付者は事前の情報提供の必要がなく、公開買付けが開始された後であっても、株主の皆様が継続して保有するか否かを判断するための十分な情報が提供されない可能性も否定できません。また、情報が提供されても、それが公開買付け開始後である場合には、株主の皆様が検討する時間を十分に確保できないことが考えられます。これらのことから、わが国の法制度下にあっては、大規模買付行為に際し、株主の皆様が適切に判断するための十分な情報や検討する時間を確保することは困難と言わざるを得ず、当社は、株主の皆様が当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを適切に判断できないおそれがあると考えております。
これらを考慮し、大規模な株式買付行為に際しては、当社株主の皆様の判断のために必要かつ十分な大規模な株式買付行為に関する情報が大規模な株式買付者から事前に提供されるべきであり、また、当社株主の皆様がその情報に基づき、当社株式に対する大規模な株式買付行為に応じるか否かを判断するための十分な検討時間が確保されることが不可欠である、という結論に至りました。
以上の見解に基づき、当社取締役会は、一定の合理的なルールに従って大規模買付行為(特定株主グループの議決権割合を20%以上とすることを目的とした、または結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株券等の買付行為)が行われることが、当社株主共同の利益に合致すると考え、大規模買付者(大規模買付行為を行う者)からの事前の情報提供に関する一定のルール(大規模買付ルール)を設定することといたしました。
なお、当社取締役会は、大規模買付ルールを適正に運用し、取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止するための機関として、独立委員会を設置します。独立委員会は、1.大規模買付ルールが遵守されているか否か 2.対抗措置を発動するか否か 3.その他当社の企業価値および株主共同の利益を守るために必要な事項 について判断し、取締役会に勧告するものとし、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重した上で、取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表します。また、必要に応じ、大規模買付者と条件改善について交渉し、取締役会として代替案を提示することもあります。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しない場合には、当社取締役会は、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、原則として、対抗措置をとり、大規模買付行為に対抗します。なお、対抗措置を発動するか否かを判断するにあたっては、当社取締役会は独立委員会の勧告を最大限尊重します。独立委員会が株主意思の確認を勧告した場合には、当該勧告を最大限尊重し、対抗措置の発動前または発動後に書面投票または株主総会に準じて開催する総会(株主意思確認総会)の開催などにより株主意思の確認を行うことがあります。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、当社は、原則として、対抗措置を発動するか否かについて、書面投票または株主意思確認総会の開催などにより株主意思を確認し、当社取締役会は、株主様の判断に従って、対抗措置を発動するか否かを決定します。ただし、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案に対する反対意見の表明、代替案の提示、当社株主の皆様への説得等を行うに留め、大規模買付者の買付提案に応じるか否かを株主様個々の判断に委ねるのが相当と判断する場合には、当該大規模買付行為に対する対抗措置はとりません。また、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合であっても、当該大規模買付行為が結果として当社の企業価値または株主共同の利益を著しく損なうと判断される場合には、当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重し、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的として、株主意思の確認を行わずに、当該大規模買付行為に対する対抗措置を発動することがあります。
この取組みに関する詳細につきましては、2017年5月10日付プレスリリース「当社株券等の大規模買付行為への対応方針(買収防衛策)の継続に関するお知らせ」を当社ウェブサイト(https://www.daicel.com)に掲載しております。
④上記取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
1)上記②の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
当社取締役会は、上記②の取組みが、専門知識、経験、ノウハウ、および国内外の顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの信頼関係に基づくものであり、当社の企業価値の向上を目的とするものであることから、基本方針に沿うものであり、また当社株主共同の利益を損なうものではないと考えます。
2)上記③の取組みについての取締役会の判断およびその判断に係る理由
上記③の取組みは、大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるか否かを株主の皆様が適切に判断し、または当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保すること、ならびに株主の皆様のために大規模買付者と交渉等を行うこと等を可能にすることにより、当社の企業価値および株主共同の利益を守ることを目的としております。
また、この取組みは、株主様の意思を重視した株主意思の確認の仕組みや、独立性の高い社外者によって構成され、取締役会に勧告を行う独立委員会を設置し、さらに大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合、または遵守しなかった場合に、当社取締役会が対抗措置を発動する合理的な客観的要件を規定するなど、取締役会の恣意的な判断を防止する仕組みを有しております。
これらのことから、当社取締役会は、この取組みが基本方針に沿うものであり、当社株主共同の利益を損なうものではなく、また当社取締役の地位の維持を目的とするものではないと考えます。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、99億69百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況で特筆すべき内容は、次のとおりです。
2018年3月期からスタートしている中期計画『3D-Ⅲ』に基づき、研究開発部門は引き続き、新規事業の創出、既存事業の強化に取り組んでおります。新規事業の創出に関しては、注力領域であるメディカル・ヘルスケア、エレクトロニクスの分野で定めた5つの「新規事業ユニット候補」に経営資源を集中いたしております。
2018年4月に特許活用優良企業として、特許庁から特許庁長官表彰を受賞しました。受賞の理由としては、事業部門・研究開発部門・知財部門が連携して活動していることが評価されております。
2018年7月30日付で、国立大学法人金沢大学と包括連携協定を締結しました。セルロース研究分野を中心に関係を強化するとともに、社会への貢献を強めていくことを目指しております。
2018年8月1日付でドイツの医薬品開発製造受託企業のLomapharm社(LOMA Holding GmbH, Lomapharm Rudolf Lohmann GmbH KG, Lomapharm Verwaltungs GmbHの3社)を買収しました。今後はLomapharm社と密に連携し、新事業領域の柱の一つに位置づけているメディカル分野の成長を加速させます。
2018年9月13日付で台湾において自社開発ウエハーレベルレンズを活用した光学製品の設計開発・販売を行う拠点として、Daicel Micro Optics Co.Ltd.を設立しました。先端ニーズの獲得や顧客に密着した開発を行い、光学製品事業の拡大と加速を図っていきます。