有価証券報告書-第144期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/29 14:30
【資料】
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【項目】
134項目
13 共同研究開発契約およびライセンス契約
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約を締結しております。
(1) 導出契約
当社グループは、様々な導出契約を締結しており、特定の製品または知的財産権に関するライセンスを付与し、その対価として契約一時金、パートナーの株式、開発マイルストン、販売マイルストン、売上を基準とするロイヤルティ等を受領しております。これらのマイルストンにかかる変動対価の受取は不確実であり、ライセンシーによる特定の開発マイルストンの達成や、指定された年間正味売上水準の到達に左右されます。
導出契約中、当社グループが過去3連結会計年度において締結した主要なものは以下のとおりであります。
Neurocrine Biosciences, Inc.(以下、「Neurocrine Biosciences」)
2020年6月、当社グループは、TAK-041、TAK-653およびTAK-831を含む当社グループの早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインの開発および製品化に関する、Neurocrine Biosciencesとの戦略的提携契約を締結いたしました。当社グループは2020年7月に一時金として現金を受け取り、また、一定の開発マイルストン、販売マイルストン、および売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有します。特定の開発段階において、当社グループは、すべての臨床試験プログラムについて、一つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受ける、または受けない選択をすることができます。当社グループが50:50の利益配分の適用を受けるパイプラインについて、当社グループは開発マイルストンまたは販売マイルストンを受領する権利を有しません。
(2) 共同研究開発契約およびライセンス(導入)契約
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライセンス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的な成功に依存する場合があります。
これらの共同研究開発契約および導入契約の条件に基づいて、当社グループは、各年度において以下の支払いを行いました。
(単位:百万円)
前年度
(自2019年4月1日 至2020年3月31日)
当年度
(自2020年4月1日 至2021年3月31日)
契約一時金およびマイルストン77,01684,034
共同研究開発およびライセンス(導入)パートナーの株式取得1,3171,504

共同研究開発契約およびライセンス(導入)契約の中、当社グループが過去3連結会計年度において締結した主要なものは以下のとおりであります。
① Rani Therapeutics LLC(以下、「Rani社」)
2019年1月、当社グループは、Shire社の買収を通じて、血友病A患者に対するFactor VIII(FVIII)治療の経口デリバリーにおけるRANI PILL技術の使用に係る研究に関して、Rani社との提携契約を獲得いたしました。当該提携契約により、当社グループは、実現可能性調査およびRani社の0.84%の株式の取得を完了した後に、FVIII治療のデリバリー技術を開発、販売する権利を交渉する独占オプション権を有しております。
② Novimmune S.A. (以下、「Novimmune社」)
2019年1月、当社グループは、Shire社の買収を通じてNovimmune社とのライセンス契約を獲得いたしました。当該契約により、当社グループは血友病Aや血友病Aインヒビター患者の治療のための二重特異性抗体の全世界における独占的開発・販売権を有しておりました。2021年3月、提携は正式に終了いたしました。本提携の終了が連結財務諸表に与える重要な影響はありません。
③ AB Biosciences Inc.(以下、「AB Biosciences社」)
2019年1月、当社グループは、Shire社の買収を通じてAB Biosciences社とのライセンス契約を獲得いたしました。当該契約により、当社グループは、組み換え免疫グロブリンの候補製品の全世界における独占的開発・販売権と、全受容体相互反応作用に関するAB Biosciences社の知的財産権の全世界における独占的ライセンスを有しておりました。AB Biosciences社は、研究、開発および販売のマイルストン支払いおよび段階的なロイヤルティを受領する権利を有しておりました。2020年10月、当社およびAB Biosciences社は提携を終了しました。本提携の終了が連結財務諸表に与える重要な影響はありません。
④ The University of Texas MD Anderson Cancer Center (以下、「MD Anderson」)
2019年10月、当社グループとMD Andersonは、B細胞性悪性腫瘍やその他のがんをターゲットとしたIL-15分泌促進型キメラ抗原受容体を発現した臍帯血由来NK(CAR NK)細胞療法に関し、独占的ライセンス契約ならびに共同研究開発契約を締結いたしました。
本契約に基づき、当社グループはMD AndersonのCAR NK基盤技術へのアクセス権と、CD19をターゲットとしたCAR NK細胞療法や、B細胞成熟抗原(BCMA)をターゲットとしたCAR NK細胞療法を含む最大4つのプログラムについての開発および販売に関する独占的権利を獲得します。当社グループおよびMD Andersonはまた、これらのCAR NKプログラムの開発をさらに進展させるための共同研究を実施します。
当社グループは、本契約に基づき、あらゆるCAR-NK製品の開発、製造および商用化の責任を負います。MD Andersonは、契約一時金を受領するとともに、開発および販売マイルストン、これらのCAR NK製品の正味売上高に応じた段階的ロイヤルティを受領する権利を有します。
⑤ Arrowhead Pharmaceuticals Inc.(以下、「Arrowhead社」)
2020年10月、当社グループは、α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療候補薬「ARO-AAT」の開発に向けた、Arrowhead社との提携およびライセンス契約を締結しました。ARO-AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性があります。本契約に基づき、当社グループとArrowhead社は、ARO-AATを共同で開発するとともに、本薬が承認された場合、米国においては両社が利益を50:50で折半する形で共同で販売を行います。当社グループは、全世界における販売戦略を主導するとともに、米国外の地域でのARO-AATの独占販売権を取得します。Arrowhead社は、本薬が承認、販売された場合、売上収益に対する段階的なロイヤルティを受け取ります。Arrowhead社は、契約一時金を受領するとともに、開発、申請、販売マイルストンを受け取る権利を有します。
⑥ Ovid Therapeutics Inc.(以下、「Ovid社」)
2021年3月、当社グループは、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にあるsoticlestat(TAK-935/OV935)について、グローバルでの開発および販売権をOvid社から獲得しました。2017年に締結された両社間の提携は終了し、当社グループは全世界での開発と販売を単独で担うことになります。Ovid社は契約時に一時金を受領しており、開発、承認、販売のマイルストン支払い、およびsoticlestatが承認・上市された場合に段階的なロイヤリティを受領する権利を有します。