有価証券報告書-第146期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/28 16:01
【資料】
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【項目】
136項目
13 共同研究開発契約、ライセンス契約およびその他の資産取得
当社グループは、共同研究開発契約およびライセンス契約の締結ならびにその他の資産取得を実施しております。
(1) 導出契約
当社グループは、様々な導出契約を締結しており、特定の製品または知的財産権に関するライセンスを付与し、その対価として契約一時金、パートナーの株式、開発マイルストン、販売マイルストン、売上を基準とするロイヤルティ等を受領しております。これらのマイルストンにかかる変動対価の受取は不確実であり、ライセンシーによる特定の開発マイルストンの達成や、指定された年間正味売上水準の到達に左右されます。
導出契約の中、当社グループが過去3連結会計年度において締結した主要なものは以下のとおりであります。
Neurocrine Biosciences, Inc.(以下、「Neurocrine Biosciences」)
2020年6月、当社グループは、TAK-041、TAK-653およびTAK-831を含む当社グループの早期から中期開発段階の精神疾患領域パイプラインの開発および製品化に関する、Neurocrine Biosciencesとの戦略的提携契約を締結いたしました。当社グループは2020年7月に一時金として現金を受け取り、また、一定の開発マイルストン、販売マイルストン、および売上高に応じたロイヤルティを取得する権利を有します。特定の開発段階において、当社グループは、すべての臨床試験プログラムについて、一つひとつのパイプラインごとに、50:50の利益配分を受ける、または受けない選択をすることができます。当社グループが50:50の利益配分の適用を受けるパイプラインについて、当社グループは開発マイルストンまたは販売マイルストンを受領する権利を有しません。
(2) 共同研究開発契約、ライセンス(導入)契約およびその他の資産取得
通常、これらの契約では、提携企業の製品または開発中の製品の販売権を獲得し、その対価として、契約締結時の一時金の支払いの他、将来の開発、規制当局からの承認取得、またはコマーシャルマイルストンおよびロイヤルティの支払いに対する義務を負います。これらの契約においては、当社グループおよびライセンシーは、ライセンス製品の開発および販売に積極的に関与しており、晒されるリスクおよび得られる経済的価値はその商業的な成功に依存する場合があります。その他の資産取得は、被取得企業の価値の大部分が単一または複数の製品に対する権利から構成される取得など、IFRS第3号の企業結合に該当しない企業の取得を含んでおります。
これらの共同研究開発契約、導入契約およびその他の資産取得契約の条件に基づいて、当社グループは、各年度において以下の支払いを行いました。
(単位:百万円)
前年度
(自2021年4月1日 至2022年3月31日)
当年度
(自2022年4月1日 至2023年3月31日)
契約一時金、マイルストンおよびその他の資産取得44,944676,156
共同研究開発およびライセンス(導入)パートナーの株式取得785494

共同研究開発契約、ライセンス(導入)契約およびその他の資産取得契約の中、当社グループが過去3連結会計年度において締結した主要なものは以下のとおりであります。
① Arrowhead Pharmaceuticals Inc.(以下、「Arrowhead社」)
2020年10月、当社グループは、α-1アンチトリプシン欠乏症による肝疾患(AATLD)を対象とし、現在臨床第2相試験の段階にあるRNA干渉(RNAi)治療候補薬「ARO-AAT」の開発に向けた、Arrowhead社との提携およびライセンス契約を締結しました。ARO-AATは、AATLDの進行を引き起こす変異型α-1アンチトリプシン蛋白の産生を低減する目的で設計されたファースト・イン・クラスの治療薬となる可能性があります。本契約に基づき、当社グループとArrowhead社は、ARO-AATを共同で開発するとともに、本薬が承認された場合、米国においては両社が利益を50:50で折半する形で共同で販売を行います。当社グループは、全世界における販売戦略を主導するとともに、米国外の地域でのARO-AATの独占販売権を取得します。Arrowhead社は、本薬が承認、販売された場合、売上収益に対する段階的なロイヤルティを受け取ります。Arrowhead社は、契約一時金を受領するとともに、開発、申請、販売マイルストンを受け取る権利を有します。
② Ovid Therapeutics Inc.(以下、「Ovid社」)
2021年3月、当社グループは、ドラベ症候群(DS)またはレノックス・ガストー症候群(LGS)を含む発達性およびてんかん性脳症の治療薬として臨床段階にあるsoticlestat(TAK-935/OV935)について、グローバルでの開発および販売権をOvid社から獲得しました。2017年に締結された両社間の提携は終了し、当社グループは全世界での開発と販売を単独で担うことになります。Ovid社は契約時に一時金を受領しており、開発、承認、販売のマイルストン支払い、およびsoticlestatが承認・上市された場合に段階的なロイヤリティを受領する権利を有します。
③ Nimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)
2022年12月、当社グループは、Nimbus社の完全子会社であるNimbus Lakshmi, Inc.の全株式を取得するため、Nimbus社との間で株式譲渡契約を締結しました。本取引は2023年2月に完了しております。本取引を通じて、当社グループは「TAK-279」(Nimbus社における旧「NDI-034858」)を取得しました。「TAK-279」は、経口のチロシンキナーゼ2(TYK2)に対する選択的なアロステリック阻害薬であり、乾癬を対象とした最近の臨床第2b相試験の結果に続き、複数の自己免疫疾患の治療薬として評価が行われています。本契約にもとづき、当社グループは一時金として40億米ドルを本取引完了後に支払うことに合意しました(注)。また、「TAK-279」のプログラムから開発された製品の年間の売上高が40億米ドルと50億米ドルとなった場合には、それぞれにつき10億米ドルのマイルストンを同社に支払います。
本取引に関連して、当社グループは、Nimbus社とBristol-Myers Squibおよびその子会社である Celgene Corporationとの間の2022年1月の和解契約におけるNimbus社の義務である「TAK-279」のプログラムから開発された製品の開発、薬事規制上の承認、および売上に関するマイルストン支払い義務を引き受けることに合意しました。
(注)当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドルを支払っております。残額の1億米ドルは2023年8月に支払を予定しております。
④ HUTCHMED(China)Limitedおよびその子会社であるHUTCHMED Limited(以下、「HUTCHMED社」)
2023年1月、当社グループは、HUTCHMED社と、全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)を対象としたフルキンチニブの開発および商業化に関する独占的ライセンス契約を締結しました。2018年に中国で承認されたフルキンチニブは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)1/2/3に高い選択性を有する阻害薬です。フルキンチニブは経口投与され、バイオマーカーの状態にかかわらず、治療抵抗性の転移性大腸がん(mCRC)の様々なサブタイプで使用される可能性があります。本契約の条件に従い、当社グループは全世界(中国本土、香港およびマカオを除く)での、すべての適応症および地域におけるフルキンチニブの開発および商業化のための独占的ライセンス権を取得します。本取引は2023年3月に完了しております。契約条件に従い、2023年4月に当社グループはHUTCHMED社に契約一時金として4億米ドルを支払いました。また、薬事規制上の承認、開発や販売の達成に応じたマイルストン(最大730百万米ドル)および売上に応じたロイヤルティを支払う可能性があります。