有価証券報告書-第149期(2025/04/01-2026/03/31)

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2026/06/17 15:34
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有報資料


タケダの企業理念
当社の企業理念は、当社が誰であるか、何を行うか、どのように行うか、なぜそれが重要なのかというタケダのストーリーを伝えています。私たちは、次の時代に踏み出すにあたり、より健康な世界の実現という世代を超えて受け継がれる約束を果たすべく、引き続き取り組んでまいります。
私たちの存在意義は、世界中の人々の健康と輝かしい未来に貢献することにあります。このため私たちは、革新的な医薬品を創出し続けるというビジョンを追求しています。当社の従業員はこの存在意義のもとに結束し、245年にわたり当社の礎となってきた誠実、公正、正直、不屈の価値観に基づいて行動しています。そして、患者さん、株主、社会に対する長期的な価値を創造し、従業員、関わる地域コミュニティ、私たちが暮らす地球に対して良い影響を提供し続けることができるよう努めています。
事業環境
グローバルなバイオ医薬品企業を取り巻く外部環境は引き続き複雑であり、地政学的分断の進行や国際的な政策の不確実性が続いています。また、継続する緊張関係や同盟関係の変化、貿易政策の変容により、国境を越えた事業運営や長期的な投資計画に対する不透明さが長引いています。こうした動向は、規制の枠組みやサプライチェーンの強靭性、さらにはグローバルな医療市場全体の安定性に対する影響を強めています。
主要地域においては、薬価への圧力が引き続き大きな課題となっています。また、各国政府は予算配分を防衛分野にシフトさせており、景気減速やインフレーション、広範な財政圧力を背景に、公的医療費への制約が強まり、薬価への圧力がさらに高まっています。各国政府は患者さんの治療アクセスの拡大を目指しているものの、医療予算の制約は続いています。その結果、薬価や保険適用の条件がより厳格化され、市場導入に要する期間も世界的に長期化しています。米国では、薬価政策の変更が継続的に実施されていることにより、革新的な治療法に係る見通しの不透明性が高まり、今後の投資判断に影響を及ぼす可能性があります。欧州および日本においては、財政的な制約が構造的に存在しており、複数の治療領域における成長が抑えられています。
一方で、科学および技術の進展のペースは一段と加速しています。プラットフォームサイエンス、データ分析、オートメーション化、人工知能といった分野の進歩は、新薬の創製・開発・提供の在り方を大きく変えつつあります。このような状況において、当社は、重点疾患領域に経営資源を集中し、製造・供給・品質に係る規律を一層高め、人を軸としながらも積極的にテクノロジーを活用する変革を推進し、科学的妥当性の確保と患者さんからの信頼維持に努めていきます。
当社は、研究開発において着実な進展を遂げており、将来に向けて良好な基盤を築いています。重点疾患領域に注力した取り組みとデジタル技術の活用の拡大により、革新的な医薬品をより迅速かつ効率的に患者さんにお届けする体制を強化しています。外部環境の厳しさが増す中にあっても、患者さんを最優先に考え、責任をもって科学を前進させることは、今後も事業運営の根幹であり続けます。
私たちが描く将来ビジョン
科学の急速な進展と医療を取り巻く国際的な事業環境の複雑化が進む中、当社の戦略は、革新的な新薬を連続的に上市していく取り組みを通じて、短期的に確かな成果を積み重ね、成長の加速に向けた基盤を整えるものです。2025年には、後期開発段階にあるoveporexton、rusfertideおよびザソシチニブの3つの主力パイプラインにおいて、臨床第3相試験で良好な結果を得ることができました。いずれも数十億米ドル規模の売上収益をもたらす可能性を有しています。これらの成果は、当社パイプラインの層の厚さと研究開発の質の高さを示すとともに、厳格な規制要件や製品の市場展開において求められる重要なマイルストンを達成する当社の実行力を示しています。
当社は、事業成長を段階的に実現する考え方として、短期に変革を進めるHorizon1と、中長期の成長と患者さんへのさらなる貢献を加速するHorizon2という二つの時間軸を設定し、事業を展開していきます。Horizon1では、投資と全社的な変革により、競争力と成長の基盤を短期的に強化します。Horizon2では、複数の新薬の市場浸透と規模の拡大を通じて、中長期的な成長を加速し、より多くの患者さんにさらに貢献し、株主の皆様に長期的な価値を創出します。当社は、私たちの存在意義と価値観に基づき、二つのHorizonを通じて、革新的な医薬品を一日でも早く患者さんにお届けしていきます。
Horizon1:成長に向けた変革
Horizon1では、新薬の上市、後期開発段階にある強固なパイプラインの推進、およびオペレーションの変革に取り組みます。
本年1月以降、CEO交代計画の最終段階として、当社は組織体制および業務運営の見直しを進めてきました。次期CEOのジュリー・キムは、新たな経営体制を構築し、患者さんや顧客により近いところでの事業意思決定を可能にする組織の再設計を行いました。この新しい組織体制のもと、業務の標準化・簡素化を進めながら先進技術の導入を加速し、当社の価値観をゆるぎない軸として維持しながらも、スピードと成果に対するこだわりを追求していきます。
主要な研究開発活動の内容および進捗の詳細については、「6 研究開発活動」をご参照ください。
Horizon 1では、今後12カ月の間に予定している複数の新薬の上市を確実に遂行するため、必要な経営資源の確保を進めます。また、この期間では、5つの後期開発品をはじめとする、重点疾患領域(消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、オンコロジー)におけるパイプラインの開発を進めながら、一方で、厳しい市場環境下においても、ENTYVIOやGAMMAGARD LIQUID/KIOVIGなどの製品が競争力を維持できるよう取り組んでいきます。
Horizon 1の中核を成すのは、コスト規律の徹底と戦略的な投資の両立です。その一環として、当社は2028年度までに年換算で2,000億円以上の費用を節減し、その成果を新薬の上市、パイプラインの強化およびテクノロジーへの投資に充当していきます。こうした取り組みを通じて、財務の健全性を維持しながら、さらなる成長に向けた基盤を強化していきます。この間、調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)を潤沢に創出し続けることが、成長に向けた投資と株主還元を両立させるための礎となります。
(注)定義については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
Horizon2:成長の加速
Horizon1で規律ある投資を進めながら新薬上市を成功させることで、Horizon 2でタケダの次なる成長期を切り拓く牽引役が、成熟化が進む既存ポートフォリオから新たな主力製品群へ移行していきます。この新たな製品群には、oveporexton、rusfertide、ザソシチニブに加え、現在の後期開発パイプラインからさらなる新薬が順次加わることを見込んでいます。これら新主力製品群の収益貢献に加え、事業運営のさらなる効率化を継続的に推進することで、既存ポートフォリオの成熟化を乗り越える持続的な成長を実現していきます。
当社は、次世代の科学とテクノロジーを駆使しながら、医薬品とそれによって実現される治療の成果において、可能性そのものを再定義することに挑んでいきます。この挑戦こそが、患者さんの生活と社会にもたらす価値を最大化することにつながると信じているからです。
変革の原動力となるテクノロジー
この新たな時代において、テクノロジーはそれ自体が目的ではなく、当社の変革を実現するための中核を成すものです。テクノロジーは、私たちが価値を創出・開発し、提供していく取り組みと不可分に結びつき、探求心や創造力、チームが持つ集合知を一層引き出す力となっています。
人工知能、デジタルプラットフォームおよび高度なデータ分析は、現在、バリューチェーンのあらゆる段階に組み込まれています。これらのテクノロジーは、意思決定や業務遂行のスピードを高め、その質を向上させるとともに、部門間の壁を取り払い、迅速な学習、部門横断的な機動性の向上および業務運営の最適化を重視する文化を育んでいます。
当社において、テクノロジーは単なるツールにとどまらず、協働しながら可能性を広げる存在となっています。高度なプラットフォームとデータに基づく知見を従業員が活用することで、患者さんの差し迫ったニーズへの対応、意義ある価値の創出、成長の推進、そしてあらゆるステークホルダーとの持続的な信頼関係の構築といった、最も重要な課題に注力できる環境を整えています。
コラボレーションと成果が切り拓く未来
医療における意義ある前進は、パートナーシップによってもたらされるものと考えています。私たちの目指す未来は、社内にとどまらず、バイオ医薬品業界全体、さらには科学コミュニティ、規制当局、患者さんコミュニティとの幅広い連携に根ざしています。官民のパートナーシップ、グローバルな連携、地域社会との対話を通じて、日々多様な声を積極的に取り入れ、解決策を共に創り上げています。
こうしたパートナーシップへのコミットメントは、次のイノベーションの創出の在り方にも表れます。オープンサイエンスや共有プラットフォームの活用、また、様々な関係者との連携は、今後ますます複雑化する医療課題に向き合う上で重要な役割を果たします。分野や地域を越えて協働することで、医療へのアクセスを拡大し、公平な治療成果の実現を後押しし、私たちの取り組みがもたらす価値を将来にわたり一層広げていきます。
財務展望
強固な財務基盤と明確な戦略フレームワークのもと、当社は持続的な成長と長期的な価値創造を財務面から支える取り組みを進めています。
短中期的(Horizon 1)には、成熟化が進む既存ポートフォリオの安定性と競争力を基盤としつつ、oveporexton、rusfertide、ザソシチニブなどの有望な新製品について、薬事承認および上市にむけた重要なマイルストンの達成に注力するとともに、後期開発段階にあるパイプライン全体の開発を着実に推進していきます。
収益性を維持するため、組織体制の最適化を進めるとともに、データおよびテクノロジーを活用し、意思決定と業務運営双方の効率性を改善していきます。こうした取り組みに加え、事業構造再編費用を含むその他の営業費用の削減と、有利子負債の返済を通じた金融費用の削減により、まずは、配当の持続性を確保する、ROE5%を上回る水準の財務上当期利益を達成することを目標とします。
当社の事業は強い現金創出力を持ちますが、資本配分の規律を維持し、資本効率を持続的に向上させていきます。成長に向けた継続的な投資を行いながらも潤沢な調整後フリー・キャッシュ・フロー(注)を確保し、さらなる有利子負債の削減を進めるとともに、累進配当を維持していきます。
長期的(Horizon 2)には、成熟化が進む既存ポートフォリオに代わり、新製品の収益貢献が当社の成長加速の牽引役になるものと考えています。費用管理の規律を維持しながら売上高を伸ばすことが、30%台前半から半ばのCore営業利益率(注)に向けた、収益性改善のドライバーとなっていきます。また、調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率(注)は2倍を目標水準とし、持続的な成長に向けたさらなる投資を可能にする強固な財務基盤を構築していきます。
当社は、これらの取り組みを通じて業績を持続的に改善し、その取り組みの積み重ねにより、企業価値の向上および競争力ある株主総利回りを実現していきます。
(注)定義については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ④当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
[主要製品一覧]
消化器系疾患領域における主要製品は以下のとおりです。
・ENTYVIO(ベドリズマブ):ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎・クローン病に対する治療剤です。ENTYVIOは、2014年に米国および欧州において発売以来、売上が伸長しており、2026年3月期の当社グループの売上トップ製品でした。現在、ENTYVIOは世界70カ国以上で承認され、エンタイビオ皮下注射製剤は米国、欧州および日本において承認されています。エンタイビオ皮下注射製剤は、その利便性および患者アクセスの向上により、当該製品の使用拡大を牽引しています。また、当社は、さらなる国・地域での承認取得および適応症の拡大を通じて、本剤の可能性の最大化に取り組んでいます。2026年3月期におけるENTYVIOの売上収益は9,580億円となりました。
・GATTEX/レベスティブ(テデュグルチド[DNA組換え型]):非経口(静脈栄養)サポートを必要とする短腸症候群(SBS)の治療薬です。成人用および小児用の効能を有するGATTEX/レベスティブが米国、欧州、日本において発売されました。2026年3月期におけるGATTEX/レベスティブの売上収益は1,457億円となりました。
・タケキャブ/VOCINTI(ボノプラザンフマル酸塩):酸関連疾患の治療剤タケキャブは、2015年に日本で発売され、逆流性食道炎や低用量アスピリン投与時における胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発抑制などの効能により飛躍的な成長を遂げました。タケキャブ(中国の製品名:VOCINTI)は、2019年に胃食道逆流症の治療剤として中国で承認されました。2026年3月期におけるタケキャブ/VOCINTIの売上収益は1,437億円となりました。
・EOHILIA(ブデソニド経口懸濁液):EOHILIAは好酸球性食道炎(EoE)の治療薬で、コルチコステロイド薬です。FDAによる承認を受けた初めてかつ唯一の11歳以上のEoE患者さんへの12週間の投与を適応とする経口治療薬です。2024年2月に米国FDAによる承認取得後発売されました。2026年3月期におけるEOHILIAの売上収益は88億円となりました。
希少疾患領域における主要製品は以下のとおりです。
・タクザイロ(ラナデルマブ):タクザイロは、遺伝性血管性浮腫(HAE)の発作予防に用いられます。タクザイロは、HAEの患者さんにおいて慢性的に制御不能な酵素である血漿カリクレインに選択的に結合し、減少させる完全ヒト型モノクローナル抗体です。タクザイロは(12歳以上の患者さんへの適応として)2018年に米国と欧州にて、2020年に中国にて、2022年に日本にて承認され、さらなる地理的拡大を目指しています。2023年に、2歳以上の小児患者さんに対する治療薬として、FDAおよび欧州委員会の承認を取得しました。また、2025年2月に、12歳以上の遺伝性血管性浮腫患者さんへの皮下投与用のタクザイロの追加の選択肢である2mLのプレフィルドペンが欧州医薬品庁(EMA)および厚生労働省から承認されました。2026年3月期におけるタクザイロの売上収益は2,239億円となりました。
・アドベイト(抗血友病因子(遺伝子組換え型)):アドベイトは、血友病A(血液凝固第Ⅷ因子欠乏)の治療薬であり、出血の制御と予防、周術期管理および出血の頻度を予防または軽減するために行う定期補充療法に使用されます。2026年3月期におけるアドベイトの売上収益は1,055億円となりました。
・エラプレース(イデュルスルファーゼ):エラプレースは、ハンター症候群(ムコ多糖症II型またはMPS II)に対する酵素補充治療薬です。2026年3月期におけるエラプレースの売上収益は1,005億円となりました。
・リプレガル(アガルシダーゼ アルファ):リプレガルは、ファブリー病に対して米国以外の市場で販売され、2020年に中国でも承認された酵素補充療法治療薬です。当社は、2022年2月に大日本住友製薬株式会社から「リプレガル」の日本における製造販売承認を承継し、同剤の販売の移管を受けました。ファブリー病は、脂肪の分解に関与するリソソーム酵素α-ガラクトシダーゼAの活性の欠如に起因する遺伝子性の希少疾患です。2026年3月期におけるリプレガルの売上収益は804億円となりました。
・ビプリブ(ベラグルセラーゼアルファ点滴静注用):ビプリブはI型ゴーシェ病に対する長期酵素補充療法治療剤です。2026年3月期におけるビプリブの売上収益は572億円となりました。
・アディノベイト/ADYNOVI(抗血友病因子(遺伝子組換え型) [PEG化]):アディノベイト/ADYNOVIは、血友病A治療薬であり、遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤です。アディノベイト/ADYNOVIは遺伝子組換え型半減期延長第Ⅷ因子製剤アドベイトと同じ製造工程で作られ、当社がネクター社より独占的にライセンス取得しているPEG化(体内での循環時間を延長し、投与頻度を減らすための化学修飾処理)技術を追加したものです。2026年3月期におけるアディノベイト/ADYNOVIの売上収益は567億円となりました。
・リブテンシティ (maribavir):リブテンシティは、成人患者さんと小児患者さん(12歳以上で体重35kg以上)に対する、ガンシクロビル、バルガンシクロビル、ホスカルネット、またはシドフォビルに対して遺伝子型抵抗性(無しも含みます)を示す難治性の移植後サイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療薬であり、2021年12月に米国において発売され、2022年11月に欧州、2023年12月に中国において承認されました。リブテンシティは、高いアンメット・メディカル・ニーズによる順調な市場浸透、急速なエリア拡大、迅速なマーケットアクセスにより、上市後も好調な業績となりました。2026年3月期におけるリブテンシティの売上収益は469億円となりました。
・アジンマ(遺伝子組換え ADAMTS13-krhn):アジンマは先天性血栓性血小板減少性紫斑病(cTTP)の成人および小児患者さんの予防的治療薬ならびに酵素補充療法であり、欠乏したADAMTS13酵素を補充することによりcTTP患者さんのアンメット・メディカル・ニーズに対応するFDAに承認された初めてかつ唯一の遺伝子組換えADAMTS13(rADAMTS13)です。 また、アジンマ(一般名: アパダムターゼ アルファ(遺伝子組換え)/シナキサダムターゼ アルファ(遺伝子組換え))が、日本においては12歳以上の患者さん、欧州(EMA市場)においてはすべての年齢層の患者さんを対象としたcTTP治療薬として承認されました。2026年3月期におけるアジンマの売上収益は120億円となりました。
血漿分画製剤(PDT)領域における主要製品は以下のとおりです。
・GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG(静注用人免疫グロブリン10%製剤):GAMMAGARD LIQUIDは、抗体補充療法用免疫グロブリン(以下、「IG」)の液体製剤です。GAMMAGARD LIQUIDは、原発性免疫不全症(PID)の成人および2歳以上の小児患者さんに対して使用され、静注または皮下注のいずれかの方法で投与します。また、GAMMAGARD LIQUIDは、成人の多巣性運動ニューロパチー(MMN)患者さんに対しても静注投与にて使用されます。2024年1月に、米国において、GAMMAGARD LIQUIDが、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの治療薬として承認されました。GAMMAGARD LIQUIDは、米国以外の多くの国で製品名KIOVIGとして販売されています。KIOVIGは、欧州において、CIDPを含む、複数の適応症への使用が承認されています。
・ハイキュービア(ヒト免疫グロブリン注射製剤10%):ハイキュービアは、ヒト免疫グロブリン(IG)および遺伝子組換え型ヒトヒアルロニダーゼ(Halozyme社よりライセンス取得)からなる製剤です。ハイキュービアは、PID患者さんに対して最長で1ヶ月に1回の投与で、1回あたりの注射部位一ヶ所でIGの全治療用量の投与が可能な唯一のIG皮下注用治療薬です。ハイキュービアは、米国では成人PID患者さんへの使用、欧州においてはPID症候群および骨髄腫患者さんまたは重度の続発性低ガンマグロブリン血症および回帰感染を伴う慢性リンパ性白血病患者さんへの使用、また日本においてはPID患者さんまたは無又は低ガンマグロブリン血症を伴う続発性免疫不全症の患者さんへの使用が承認されております。2024年1月に、ハイキュービアは、米国において、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP)の成人患者さんの再発予防の維持療法として、また、欧州においては、すべての年齢のCIDPの患者さんの維持療法として承認されました。
• キュービトル(ヒト免疫グロブリン皮下注用20%製剤):キュービトルは、原発性体液性免疫不全症の成人および2歳以上の小児患者さんに対する補充療法に用いられます。キュービトルは、欧州では特定の続発性免疫不全の治療薬としても承認されています。キュービトルは、プロリン不含で、投与部位1ヶ所あたりの耐用量内で最大60 mL(12g)および1時間あたり60 mLまで投与可能な唯一の20%皮下IG治療薬であり、従来の皮下IG治療薬と比較してより少ない投与部位および短い投与時間での使用が可能です。
2026年3月期におけるGAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、ハイキュービア、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤の売上収益は7,906億円となりました。
・FLEXBUMIN(ヒトアルブミンバッグ製剤)およびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤):FLEXBUMINおよびヒトアルブミンは、濃度5%、20%および25%の液体製剤として販売されています。両製品とも、血液量減少症、一般的な原因および火傷による低アルブミン血症、ならびに心肺バイパス手術時のポンプのプライミングに使用されます。また、FLEXBUMIN 25%製剤は、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)およびネフローゼに関連する低アルブミン血症、ならびに新生児溶血性疾患(HDN)にも適応されます。2026年3月期におけるFLEXBUMINおよびヒトアルブミン(ガラス瓶製剤入り)を含むアルブミン製剤の売上収益は1,403億円となりました。
オンコロジー領域における主要製品は以下のとおりです。
・アドセトリス(ブレンツキシマブ ベドチン):アドセトリスは、ホジキンリンパ腫(HL)および全身性未分化大細胞リンパ腫(sALCL)の治療に使用される抗癌剤で、2020年5月には中国で承認され世界70カ国以上で販売承認を受けております。当社は、現在Pfizer Inc.の完全子会社であるSeagen, Inc.とアドセトリスを共同開発し、米国およびカナダ以外の国での販売権を保有しています。2026年3月期におけるアドセトリスの売上収益は1,402億円となりました。
・リュープリン/ENANTONE(リュープロレリン):リュープリン/ENANTONEは、前立腺がんや乳がん、小児の中枢性思春期早発症、子宮内膜症や不妊治療、子宮筋腫による貧血の症状改善に用いられる治療薬です。リュープロレリンの特許期間は満了していますが、製造の観点から後発品の市場参入は限定的です。2026年3月期におけるリュープリン/ENANTONEの売上収益は1,208億円となりました。
・ニンラーロ(イキサゾミブ):ニンラーロは、多発性骨髄腫(MM)治療に対する初めての経口プロテアソーム阻害剤です。ニンラーロは、再発又は難治性の多発性骨髄腫の効能で、2015年に米国で承認されて以来、2016年に欧州、2017年に日本、2018年に中国で承認されております。日本においては、多発性骨髄腫の維持療法の治療薬としても承認を受けております。2026年3月期におけるニンラーロの売上収益は821億円となりました。
・アイクルシグ(ポナチニブ塩酸塩):BCR-ABLに作用するチロシンキナーゼ阻害薬であり、慢性骨髄性白血病(CML)とフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療に適応となります。2016年に米国において全面的な承認を取得した後、2020年と2024年に米国において適用拡大の承認を取得しました。当社は米国とオーストラリアにおいて販売権を取得しております。米国とオーストラリア以外の地域では、認可を受けたパートナー5社により60を超える市場において販売されており、当社はこれらのパートナーから、供給、ロイヤリティおよびマイルストンの支払を受領しており、その水準はパートナーによって異なります。2026年3月期におけるアイクルシグの売上収益は750億円となりました。
・FRUZAQLA(フルキンチニブ):フルオロピリミジン、オキサリプラチン、およびイリノテカンを含む化学療法、抗VEGF療法、および抗EGFR療法(RAS野生型で医学的に適切な場合)の治療歴があるmCRC成人患者さんに対する治療薬です。FRUZAQLAは、3種類のVEGF受容体キナーゼすべてに対して選択性を有する内服阻害薬として、米国、欧州、日本のほか、世界中の幾つもの国々で承認されております。当社は中国本土、香港、マカオ外でのフルキンチニブのグローバル開発、商業化および製造をさらに進めるための独占的ライセンスを有しています。フルキンチニブは中国ではHUTCHMED社により開発および販売されています。2026年3月期におけるFRUZAQLAの売上収益は551億円となりました。
・アルンブリグ(ブリグチニブ):アルンブリグは、非小細胞肺がん(NSCLC)治療に使用される経口投与の低分子未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)阻害剤であり、クリゾチニブ投与中に進行した、またはクリゾチニブに不耐性を示す患者さんに対する治療薬として、2017年に米国で迅速承認され、2018年にEUにおいて、クリゾチニブの治療歴を有する患者さん向けの販売承認を取得しました。2020年に米国とEUの両方において、新たにALK陽性転移性NSCLCと診断された患者さんに対する効能が追加されました。2021年1月に、日本において、ファーストラインおよびセカンドラインの治療薬として承認されました。また2022年3月に、アルンブリグは中国において承認されました。2026年3月期におけるアルンブリグの売上収益は369億円となりました。
ニューロサイエンス領域における主要製品は以下のとおりです。
・VYVANSE/ELVANSE(リスデキサンフェタミンメシル酸塩):VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)は、6歳以上の注意欠陥・多動性障害(ADHD)患者さんおよび成人の中程度から重度の過食性障害患者さんの治療に用いられる中枢神経刺激剤です。2023年以降、米国において後発品が市場に参入したことにより、売上は減少しました。2026年3月期におけるVYVANSE/ELVANSEの売上収益は2,032億円となりました。
・トリンテリックス(ボルチオキセチン臭化水素酸塩):トリンテリックスは、成人大うつ病性障害の治療に適応される抗うつ薬です。トリンテリックスはH. Lundbeck A/S社と共同開発し、当社は米国および日本での販売権を保有しており、米国では2014年、また日本では2019年より販売しています。2026年3月期におけるトリンテリックスの売上収益は1,218億円となりました。
ワクチン領域における主要製品は以下のとおりです。
・QDENGA(4価デング熱ワクチン):QDENGAは4つのデングウイルス血清型すべての遺伝子的“バックボーン”となる、弱毒化した生のデング2型ウイルスを基盤に構築されています。QDENGAはテング熱流行国および渡航市場を含む40カ国以上で承認されています。2026年3月期における QDENGAの売上収益は408億円となりました。
売上収益の地域別内訳は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 事業セグメントおよび売上収益」をご参照下さい。

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