有価証券報告書-第124期(平成27年1月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/03/24 13:19
【資料】
PDFをみる
【項目】
85項目

対処すべき課題

当社は、平成28年度から平成30年度までの3ヶ年を対象期間とする「中期経営計画2018」を策定し、取り組みを進めております。中期経営計画の概要につきましては、以下のとおりであります。
(1) 位置付け
医薬品業界を取り巻く事業環境は、新薬開発の難度の高まりや研究開発費の高騰、国際競争の激化等により事業リスクが増大する中、厳しい社会保障財政を背景とした医療費抑制策として、後発医薬品のシェアを平成30年度から平成32年度の早い時期に80%以上とする目標が掲げられる等、更に厳しさが増すものと想定されます。
このような状況の下、当社は、「中期経営計画2018」の対象である平成30年度までの3ヶ年において、厳しさを増す事業環境の変化を乗り越え、持続的な事業成長と中長期的な企業価値の向上を実現するため、4つの重点領域(「腎・透析領域」「皮膚疾患領域」「アレルゲン領域」「HIV感染症領域」)に経営資源を集中させ、以下の重要課題に取り組んでまいります。
・中長期的な成長に向けた積極的な事業投資の実施
・新製品の早期市場浸透・拡大及び各重点領域における主力製品の価値最大化
・持続的成長に向けた事業体質の改善・強化
・ステークホルダーからの信頼の獲得・維持
(2) 基本方針・戦略
① 中長期的な成長に向けた積極的な事業投資の実施
探索・導入活動をより一層強化・推進し、将来の主力製品となり得る導入品(提携等を含む)の獲得及び開発を目指します。
② 新製品の早期市場浸透・拡大及び各重点領域における主力製品の価値最大化
平成28年4月に実施される薬価改定において、通常の薬価引き下げのほか、主力製品である「レミッチカプセル」及び「リオナ錠」については市場拡大再算定による薬価引き下げの影響を受けますが、新製品の早期市場浸透・拡大に注力するとともに、ライフサイクルマネジメント(適応拡大、剤形追加等)の取り組みを推進することにより、各重点領域における主力製品の製品価値最大化を図ります。
(腎・透析領域)
・「リオナ錠」について、「レミッチカプセル」に並ぶ主力製品として育成すべく早期市場浸透・拡大に注力することにより、平成30年度には売上高100億円を目指します。
・「レミッチカプセル」をはじめとする既存製品の売上高の最大化を図ります。
(皮膚疾患領域)
・平成28年1月に日本イーライリリー株式会社(以下、「日本イーライリリー」)と締結した「イキセキズマブ(※1)」の販売提携活動に注力するとともに、皮膚疾患領域における当社プレゼンスの維持・強化を図ります。
※1 日本イーライリリーが開発中で平成27年「中等症から重症の尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症」を適応症として日本国内における製造販売承認申請をした、ヒト化抗ヒトIL-17Aモノクローナル抗体「イキセキズマブ(遺伝子組換え)製剤」。
・「アンテベート」をはじめとする既存製品について、ライフサイクルマネジメントに注力することにより、製品価値の維持・向上を図ります。
(アレルゲン領域)
・アレルゲン事業基盤の確立を図るため、引き続き減感作療法(アレルゲン免疫療法)の普及に取り組むとともに、「シダトレン スギ花粉舌下液」「ミティキュア ダニ舌下錠」の早期市場浸透・拡大に注力することにより、平成30年度には売上高50億円を目指します。
・アレルゲン領域を事業の柱の一つとして育成するため、国内製造販売承認を申請中のスギ花粉症に対する減感作療法(アレルゲン免疫療法)薬「TO-206」(舌下錠)の円滑な上市、「ミティキュア ダニ舌下錠」の小児適応に係る臨床試験等を推進いたします。
(HIV感染症領域)
・「スタリビルド配合錠(抗HIV薬)」及び「ツルバダ配合錠」の後継品である、「tenofovir alafenamide(※2)」(以下、「TAF」)を含む新規抗HIV薬2品目(「エルビテグラビル/コビシスタット/エムトリシタビン/TAF配合錠」「エムトリシタビン/TAF配合錠」)の円滑な上市、早期市場浸透・拡大に注力することにより、HIV感染症領域における当社シェアの維持・拡大を図ります。
※2 JTが日本国内での独占的開発・商業化権を保有する核酸系逆転写酵素阻害剤。
③ 持続的成長に向けた事業体質の改善・強化
・一定水準の利益を確保しつつ、成長のための事業投資を継続的に実施するため、収益性改善に向けた意識改革に取り組むとともに、全ての事業プロセスにおける、より高い生産性(「質の向上」「効率性」)を追求します。
・導入品(提携等を含む)の獲得等、将来の持続的成長のための事業投資を積極的・継続的に実施できる組織体制・能力の充実・強化を図るとともに、組織間連携の更なる強化、JTをはじめとする社外との連携・協業を推進いたします。
④ ステークホルダーからの信頼の獲得・維持
・安定供給体制・品質保証体制の強化を継続的に図るほか、医療関係者や患者様のニーズを踏まえた適切で有用な情報提供と課題解決に努めるとともに、コンプライアンスのより一層の徹底を図ります。また、コーポレートガバナンスの充実・強化につきましても取り組んでまいります。
(3) 経営目標
区分第124期
平成27年度
実績
第125期
平成28年度
予想
第127期
平成30年度
目標 ※2
売上高(億円)623610620
営業利益(研究開発費控除前)(億円) ※11018080

※1 研究開発費は、中長期的な成長に向けた積極的な事業投資により大きく変動する等、現時点において見通すことが困難であるため、利益面における目標は、研究開発費を控除する前の営業利益を計数目標としております。
※2 目標値については、薬価改定(市場拡大再算定を含む)及び後発品使用促進策の影響等について一定の前提条件により策定しております。今後、前提条件が大きく変化した場合には適時に目標値の見直しを行います。
(4) 配当
当社は株主の皆様への適正な利潤の還元を経営の重要課題の一つと認識し、剰余金の配当につきましては、安定的かつ継続的に実施することを基本方針としております。
上記基本方針の下、経営体質の強化や将来の事業展開等を目的とした中長期的な視野に立った投資等に備えることも勘案したうえで、株主の皆様に安定的還元を行ってまいります。
「中期経営計画2018」の3ヶ年における配当については1株当たり年間48円の維持に努めてまいります。
本項目における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(平成28年3月24日)現在において入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、実際の業績等は、「4 事業等のリスク」に挙げた事項等により、異なる結果となる可能性があります。