有価証券報告書-第103期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/19 15:41
【資料】
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【項目】
67項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 重要な会計方針及び見積り
連結財務諸表作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しています。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 4. 重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
(2) 経営成績の分析
① 売上収益、売上原価及び売上総利益
売上収益については、グローバルブランド育成に向けた積極投資により、抗がん剤「ハラヴェン」、抗てんかん剤「Fycompa」および肥満症治療剤「Belviq」が拡大しましたが、米国での独占販売期間満了によるプロトンポンプ阻害剤「Aciphex」(日本製品名「パリエット」)の減少と日本における薬価改定及びジェネリック医薬品との競合激化の影響により、減収となりました。領域別には、がん関連領域製品は、「ハラヴェン」及び制吐剤「Aloxi」が二桁成長を維持しましたが、前年度第4四半期にDNAメチル化阻害剤「Dacogen」の米国での販売権を譲渡したことに伴い、がん関連領域全体では986億37百万円(前連結会計年度比2.1%減)となりました。また、てんかん領域製品は、「Fycompa」をはじめ「イノベロン」(米国製品名「Banzel」)などいずれも二桁成長を果たし、316億88百万円(同31.2%増)と大きく伸長しました。品目別には、「ハラヴェン」は353億14百万円(同22.6%増)、アルツハイマー型、レビー小体型認知症治療剤「アリセプト」は656億95百万円(同20.6%減)、「パリエット」は559億73百万円(同38.8%減)となりました。セグメント別では、中国医薬品事業が前連結会計年度より29.0%増加して高い成長を維持したほか、アジア医薬品事業においても、韓国などの伸長により大きく増加しました。また、EMEA医薬品事業は、「ハラヴェン」及び「Fycompa」をはじめとするてんかん領域製品の拡大により前連結会計年度から20.5%増と伸長しました。
売上原価は、1,935億95百万円、前連結会計年度から10億64百万円、0.5%減少しましたが、米国「Aciphex」の売上収益の減少、国内薬価改定及びジェネリック医薬品浸透の影響による品目構成の変化等により、売上収益に占める割合は35.3%と前連結会計年度より2.8ポイント増加しました。
その結果、売上総利益は3,548億70百万円、前連結会計年度より499億62百万円、12.3%減少しました。
② 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は1,945億46百万円、前連結会計年度から87億89百万円、4.3%減少しました。その主な要因は、販促パートナーへの提携費用の減少、前連結会計年度に構造改革費用を計上したことによるものです。
③ 研究開発費
当連結会計年度の研究開発費は1,319億7百万円となりました。前連結会計年度に共同研究開発テーマ進捗に伴うマイルストンの支払いを計上したため、前連結会計年度から44億4百万円、3.2%減少しました。
④ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費において共同販促に係る提携費用の減少や構造改革による費用効率化の進展がありましたが、グローバルブランドの育成、重要開発テーマ推進に向けたプロダクトクリエーション活動、成長市場であるアジアや新規進出国での基盤強化に積極的資源投入を行いました。その結果、営業利益は283億38百万円、前連結会計年度より380億60百万円、57.3%減少しました。
⑤ 当期利益
当連結会計年度の当期利益は、日本及び米国における税金費用が減少し、434億53百万円となり、前連結会計年度より49億52百万円、12.9%増加しました。
⑥ 当期包括利益
当期利益にその他の包括利益を加減した当期包括利益は、前連結会計年度末からの円安の影響で為替換算差額が増加した結果、1,142億30百万円となり、前連結会計年度より297億33百万円、35.2%増加しました。
(3) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、「4 事業等のリスク」に記載しています。
(4) 経営者の問題意識と今後の方針
経営者の問題意識と今後の方針については、「3 対処すべき課題」に記載しています。
(5) 翌連結会計年度の連結業績見通し
① 売上収益
グローバル新製品群である「ハラヴェン」、「レンビマ」、「Fycompa」及び「Belviq」の拡大、日本医薬品事業の成長確保、中国、アジア、EMEAにおける高い成長性の維持などにより米国における「Aloxi」の物質特許満了(小児延長含む)の影響を吸収し、連結売上収益は当連結会計年度から1.5%増の5,565億円を見込んでいます。
「ハラヴェン」は470億円(当連結会計年度比33.1%増)、「Fycompa」は100億円(同134.1%増)、「アリセプト」は610億円(同7.1%減)、「パリエット/Aciphex」は465億円(同16.9%減)を見込んでいます。
② 利益
グローバル新製品群の拡大による売上収益の増加に加え、生産、研究開発、販売、管理のあらゆるレベルにおける抜本的な業務・費用構造の改革に取り組み、収益性の改善を実現します。具体的には、米国における効率化を企図した構造改革、グローバル新製品群及びストラテジックマーケットへの効率的な費用投入、研究開発における認知症領域及びオンコロジー領域への集中などにより、成長と投資のバランスをはかります。この結果、営業利益は460億円(当連結会計年度比62.3%増)を見込んでいます。
当期利益は、当連結会計年度における日本、米国での一時的な税金費用減少の影響により当連結会計年度から37.9%減の270億円を見込んでいます。なお、これらの当連結会計年度の一時的な税金費用減少の影響を除く当期利益は増益を確保する見通しです。
(6) 財政状態の分析
当連結会計年度末の資産合計は、円安の影響による海外子会社資産の増加、販売権の取得に伴う無形資産の増加、日本における繰延税金資産の増加により、1兆538億18百万円、前連結会計年度末より799億95百万円増加となりました。
負債合計は、4,517億57百万円、前連結会計年度末より73億38百万円増加となりました。
資本合計は、前連結会計年度末からの円安に伴う為替換算差額の増加により6,020億61百万円(前連結会計年度末より726億57百万円増)、親会社所有者帰属持分比率は56.8%(同2.8ポイント増)となりました。負債比率(Net DER)は0.06倍(同0.08ポイント減)となりました。
*負債比率(Net DER)=(有利子負債(社債及び借入金)-現金及び現金同等物-3カ月超預金等)
÷親会社の所有者に帰属する持分
(7) 資金の流動性および資本の財源についての情報
① 資金の流動性
資金の流動性については、「1 事業の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
② 資本の財源
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、資産合計の16.4%を占める1,733億円です。当社グループは、主に営業活動から得た資金を財源とし、設備投資及び研究開発活動を行っています。
一方、短期借入金は2億円、1年以内償還予定の社債は300億円、長期借入金は2,058億円となりました。借入債務の通貨別の比率は85%が円建て、15%が米ドル建てとなっています。また、当連結会計年度末における社債および長期借入金の利率は0.29%~3.41%です。
当連結会計年度末現在における親会社所有者持分比率は56.8%となりました。
当社グループの財務戦略は、高い信用格付けを維持するとともに、安定した財務の健全性及び柔軟性を確保することを基本としています。
なお、当連結会計年度末における格付投資情報センターによる長期借入債務の格付けは、「AA-」です。