四半期報告書-第71期第3四半期(令和2年10月1日-令和2年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)Mission・Vision、経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
Ⅰ.当社グループのMission・Vision
当社グループは、「臨床検査を中心に医療を支え続けてきた存在」から一歩踏み出し、一人ひとりと向き合い、全ての人に最適なヘルスケアを届けたい、という想いを体現すべく、2020年7月1日より、当社の商号を「H.U.グループホールディングス株式会社(英語名:H.U. Group Holdings, Inc.)」へと変更しております。新商号において、「H.U.」は「Healthcare for You」を表します。
また、当社および当社グループの存在意義とあり方を言語化し、加えて新たな将来像を描くべく、下記のとおりMission・Visionを掲げております。
Mission
「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」
Vision
「人々の健康に寄り添い、信頼とイノベーションを通じて、ヘルスケアの発展に貢献するグループを目指す」
Ⅱ.新中期経営計画『H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~』の概要
当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画『H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~』(以下、「本中期計画」)を2020年9月に策定いたしました。
1)前中期経営計画『Transform! 2020』の振り返り
2020年3月期を最終年度とする前中期経営計画『Transform! 2020』(以下、「前中期計画」)においては、受託臨床検査事業(CLT事業)および臨床検査薬事業(IVD事業)における顧客獲得の未達、CLT事業における固定費削減の遅延、セールスミックスの変化、想定を上回る価格下落影響等により数値目標は大幅な未達となりました。
一方、人事制度の統一やIT機能の集約などのグループ一体化施策の推進、CLT事業における市場シェア拡大およびR&Dの強化や新セントラルラボをはじめとする将来成長のための投資の実行等、2021年3月期以降の飛躍的かつ持続的な成長のための基盤を着実に構築してまいりました。この成長基盤を収益に結びつけていくことが継続的な課題であると認識しております。
2)当社グループを取り巻く事業環境と本中期計画の重要テーマ
当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活者の行動変容や患者様の受診抑制等、足元の流動的な環境変化にも適切な対応が求められております。
一方、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。また、各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。
このような事業環境の中、当社は、前中期計画において推進してきた成長基盤の整備、組織と業務の変革を土台として、下記3点を本中期計画における重要テーマとして掲げグループ一丸となって推進してまいります。
・新セントラルラボの稼働
・OEM事業の強化
・ヘルスケア×ICT
3)企業価値向上へのストーリー
当社グループは、CLT事業およびIVD事業を有する世界的にみても稀有なグループ企業であり、これらの事業に滅菌関連事業(SR事業)を加えた既存コア事業のほか、在宅・福祉用具事業をはじめとする新規育成事業の拡大・強化に取り組んでおり、幅広い事業展開を行っております。これらの事業活動により高付加価値または新しい価値を創出していくことが、当社グループの企業価値を向上させるものと考えております。
・コア事業の価値創造ストーリー
既存コア事業それぞれの有する無形資産を基にグループシナジーを最大限活用し、顧客提供価値の最大化を図ってまいります。
CLT事業およびIVD事業においては、検査の早期開発、開発評価、承認取得を、グループR&D機能も活用し一体となって進めることにより、新規臨床検査の早期実用化を実現してまいります。このCLT・IVD価値創造モデルは、今般のSARS-CoV-2抗原検査の早期実用化と収益への貢献により、あらためて実証されたと考えております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、検査の重要性および当社グループが行うCLT事業が医療を支える社会インフラであるということも社会的に広く認識されたと自負しております。
今後は、中央材料室および手術室における滅菌サービスを提供するSR事業と合わせて、グループとしての総合提案を行っていくことで、顧客提供価値を最大化し、グループの企業価値を向上してまいります。

・グループの事業展開
既存コア事業については、病院を中心とした医療機関へのグループ総合提案等により着実な成長を果たすとともに、先端領域の検査拡充、次世代プラットフォームの開発等、更なる成長のための施策に取り組んでまいります。
また、既存コア事業における検査情報のデジタル化を推進するとともに、PHR(Personal Health Record)を含むICT(Information and Communication Technology)サービスツールを導入・推進することにより、事業を通じて得られる様々なデータの利活用と医療/健康情報プラットフォームの確立を目指し、ヘルスケア×ICT領域へと事業展開を進めてまいります。

・ヘルスケア×ICTサービスの展開
地域医療や予防医療の一層の充実が求められる中、当社は、在宅事業やセルフメディケーション・健保事業等を新規育成事業として強化しており、これらのサービスとICTを融合させた新たなサービスを展開してまいります。
また、診療所向け業務支援SaaS(Software as a Service)と、生活者向けのPHRを当社グループで一体的に提供することで、医療の場における検査結果のさらなる活用をサポートし、CLT事業における開業医向けサービスの付加価値向上に取り組んでまいります。

4)本中期計画における重要施策
本中期計画は、新型コロナウイルス感染症への対応および新セントラルラボ稼働に向けた構造改革を実行していくフェーズと、新セントラルラボの稼働後の投資の回収および収益拡大を果たす2つのフェーズに分かれます。
これを前提として、「新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減」、「CLT事業における固定費削減および収益性改善」、「コア事業におけるグループ一体化戦略の推進」、「IVD事業におけるOEM事業の拡大」および「新規育成事業およびその他(ENB事業)の収益化」を本中期計画における重要施策と定め、グループ一丸となって実行してまいります。
1.新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減
当社は、2022年1月の稼働開始を予定している新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減を本中期計画における最重要施策と位置付けております。
新セントラルラボは、将来の事業環境においても高品質な検査サービスを継続して提供するために建設するものであり、一般検査においては全自動化による業務効率化と24時間稼働による大量処理が可能となり、また特殊検査においては最先端の検査項目に対応する設備・環境を整備し、AI技術やロボティクス等を導入することで、徹底した業務効率化とさらなる品質向上を追求いたします。
検査の自動化等により、2025年3月期には、2020年3月期と比較して、新セントラルラボ単体で一般検査では15%、特殊検査では7%の原価の低減を見込んでおります。
2.CLT事業における固定費削減および収益性改善
新セントラルラボの稼働を踏まえ、全国的なラボ再編を実施してまいります。具体的には、新セントラルラボに加え、2021年3月期に新福岡ラボ、2024年3月期には新関西ラボを開設することで3拠点体制を確立し、検査の集約化を図ってまいります。併せて、地域の医療需要を考慮し、顧客ニーズに対応したラボ体制を構築すべく、地域毎にSTAT(Short Turn Around Time)ラボを設置し、迅速検査への対応を強化してまいります。
また、外部とのアライアンス推進によるシェアリング・ロジスティクスの構築やグループ内の集荷機能および拠点の統合を進めることにより、集荷・物流に係るコストの最適化を図ってまいります。
これらの施策を通じて、高品質な検査を提供することに加え、コスト競争力の向上と検査結果報告の短縮化によりお客様に選ばれる検査会社となり、更なるシェア向上を果たしてまいります。
3.コア事業におけるグループ一体化戦略の推進
3-1グループ営業統合
当社は、2020年9月に、株式会社エスアールエル、富士レビオ株式会社および日本ステリ株式会社の国内営業部門およびマーケティング部門を統合したH.U.フロンティア株式会社(以下、「H.U.フロンティア」)を設立し、2020年10月1日より営業を開始いたしました。
H.U.フロンティアは、当社グループがかねてより進めてきたグループシナジーの強化をより加速するために設立されたものであり、医療を取り巻く環境が急速に変化する中、当社グループがもつ受託臨床検査サービス、臨床検査薬の製造販売、医療器材の滅菌サービスなど幅広い事業をもって、顧客ニーズに応じて様々なサービスや総合的なソリューションを提供してまいります。
また、各社の顧客基盤を一元化することで、セグメント間のクロスセル拡大や既存顧客への拡販を強化するほか、各社がもつ高い技術力を活用し、最適な新サービスや製品の開発も行うことで、グループ一体での顧客提供価値の最大化を目指してまいります。
3-2グループ内販拡大
引き続き検査ラボや院内顧客に対するルミパルス製品の内販拡大を推進するとともに、原価率の高い検査試薬や使用量の多い試薬の開発を進めグループ内での内製化を推進し、CLT事業のコスト削減およびグループ全体でのキャッシュ・フロー改善に取り組んでまいります。
3-3R&Dの強化
グループ内のR&D機能を統合し知の共有を図るとともに、グループ全体最適のR&D戦略を推進し、機動的な技術の導入・開発の加速を推進してまいります。
4.IVD事業におけるOEM事業の拡大
IVD事業における海外戦略は、ルミパルス製品の拡販を中心に取り組んでまいりましたが、後発のプレーヤーとしてグローバル大手企業と競争し収益を拡大していくことは非常に難しく、また、各国における規制等の変更により薬事関連のコストが増大しております。このような事業環境の中、海外ルミパルスに関しては、展開地域および項目に関する選択と集中を進めてまいります。一方、IVD事業の強みである免疫分野の良質な原材料・試薬開発技術および、国内CLT事業におけるルミパルス製品の採用実績をもとにした信頼性と評価を活用することで、OEM事業の強化・拡大に取り組んでまいります。
今後は、Fujirebio Diagnostics,Inc.(米国)、Fujirebio Europe N.V.(欧州)および富士レビオ・ダイアグノスティクス・ジャパン株式会社の3極体制によって、OEM事業を推進してまいります。
5.ENB事業の収益化
当社は、グループの企業価値の更なる向上を目指し、既存事業との技術的関連性や事業シナジーが見込まれる予防・在宅市場の広がり等を鑑み、新規事業の育成を強化しております。
各事業については、投資額をコントロールしつつ、2022年3月期の単年度黒字化(もしくはそれに準ずる収益性の実現)を目指してまいります。また、事業開始から3年経過後を目途に、各事業の成長性や収益性、既存事業とのシナジーを勘案し、選択と集中を実行してまいります。
5)2025年3月期の経営数値目標(連結)
本中期計画において、売上高の着実な成長と利益率の追求のみならず、資本効率の向上と安定的なキャッシュ・フローの創出を果たすべく、下記のとおり経営数値目標を掲げております。
・2025年3月期の経営数値目標
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
・本中期計画における累計数値目標
6)セグメント別計画
1.CLT事業
CLT事業においては、収益性の改善を最重要課題として認識しており、「4)本中期計画における重要施策」に記載のとおり、新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減、全国ラボ再編、集荷物流機能の合理化、営業統合によるグループ総合提案等の施策を通じて、収益構造を抜本的に改善してまいります。
さらに、先進医療技術の向上、地域包括ケアシステムの進展や医療におけるICTツールの重要性が高まる等、CLT事業を取り巻く環境は刻々と変化しており、CLT事業が環境変化に対応し飛躍的な成長を果たすべく、「商品力の強化」および「医療機関および生活者へのICTツールの導入」に関しても重要施策として掲げております。
(商品力の強化)
特殊検査に強みを持つ受託臨床検査会社として、がんゲノム、血液疾患、感染症や希少疾患等、最先端かつ医療需要の大きい疾患分野の新規項目の導入を推進してまいります。また、将来的に需要が拡大することが予測される再生医療・細胞医療領域への進出を図ってまいります。
一方、収益性の面では、ルミパルス試薬の採用項目拡大、外注項目の内製化および不採算項目の整理等を通じて、コスト競争力を向上してまいります。
(医療機関および生活者へのICTツールの導入)
開業医、生活者の双方のニーズに合致したICTツールを提供してまいります。開業医には、これまで提供してきた検査結果システムに加え、業務支援システムを提供し、生活者には、個人のヘルスケア情報を一元管理できるPHRを提供してまいります。
当社グループが提供するICTツール間を連携させることで、開業医と生活者との間に新しい接点を創出する等、診療効率と患者様サービスの向上に資する新たな価値を創出してまいります。
(CLT事業における2025年3月期の経営数値目標)
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
2.IVD事業
「4)本中期計画における重要施策 4.IVD事業におけるOEM事業の拡大」に記載のとおり、IVD事業の強みを活かすとともに、生産体制の拡充と社内リソースの再配置等により、OEM事業の強化・拡大に取り組んでまいります。
国内事業については、H.U.フロンティアによるグループ総合提案および営業力強化、内外販におけるルミパルス試薬の項目拡販、CLT事業向けの項目内製化・導入推進および、マニュアル製品の選択と集中による固定費の最適化により、国内事業の成長と収益性の改善を図ってまいります。
海外ルミパルス事業については、地域の選択を行うとともに、独自性のあるアルツハイマー関連項目に注力してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症により需要を再認識したエスプライン製品をはじめとするPOCT(Point Of Care Testing)を強化してまいります。具体的には、検体種別(唾液、鼻前庭、無痛採血等)の拡大や感染症項目のラインナップ強化等により商品力を強化していくほか、H.U.フロンティアによるCLT事業の顧客への販売を進めるとともに、生産キャパシティを拡充してまいります。
さらに、次世代プラットフォーム開発に関しても推進してまいります。
(IVD事業における2025年3月期の経営数値目標)
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
3.SR事業
病院の経営環境が厳しさを増す中、医療現場のニーズに応えるとともに、医療現場の効率化やコスト削減に資するサービスを積極的に提案してまいります。
重点施策としては、営業統合によるグループ総合提案、手術室を含めた全面受託化の深化および、継続的なオペレーションの改善により収益拡大を図ってまいります。また、労働集約型ビジネスであることを鑑み、人件費の最適化を図ってまいります。
(SR事業における2025年3月期の経営数値目標)
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
4.ENB事業
「4)本中期計画における重要施策 5.ENB事業の収益化」に記載のとおり、各事業の成長性や収益性、既存事業とのシナジーを勘案し、選択と集中を実行してまいります。
5.持分法適用関連会社
(Baylor Miraca Genetics Laboratories, LLC)
引き続き、業績の改善を図るとともに、2021年3月期中に第3者からの資金調達(Private Placement)を実行し、その先の株式公開に向けて事業を推進してまいります。
(中国平安JV(深圳平安好医医学検験実験室))
三位一体モデル(健診クリニック、画像センター、検査ラボ)を引き続き推進していくことで、当初計画通り、2023年3月期の持分法投資損益の黒字化を目指してまいります。
7)財務戦略と財務規律
本中期計画においては、安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務規律の維持を重要なテーマとして掲げ、下記のとおり財務戦略を実行してまいります。
①キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善等による営業キャッシュ・フローの改善
②ファイナンス・リースおよび不動産ファイナンスの活用
③不動産売却の推進
(財務規律)
(※)2025年3月期
Ⅲ.株主還元と成長への投資
各事業から生み出される利益および資金につきましては、連結配当性向として、特別損益等特殊要因を除外し計算した親会社株主に帰属する当期純利益に対し50%以上を基準に、株主配当を実施してまいります。
(2)経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が国内外の社会・経済に与える影響により景気は急速に減退し、将来の見通しについても極めて不透明な状況が続いております。
わが国においては、感染症拡大防止策を講じながら経済活動を活性化させていく中で、極めて厳しい状況から一部持ち直しの兆しも見えはじめましたが、感染者の再拡大により依然として予断を許さない状況が続いております。
臨床検査業界におきましては、中長期的には引き続く価格下落圧力および同業他社との競争激化などにより、厳しい事業環境が継続しております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響としては、患者様の受診抑制等により検査受託数は前年を下回る水準で推移している一方、新型コロナウイルス感染症拡大という新たな社会課題に対して、高品質かつ安定的な検査体制の構築が求められるなど、民間検査会社に寄せられる関心と期待はこれまで以上に大きなものとなりました。
このような環境の中、当社グループといたしましては安定的な事業継続性を実現するための経営基盤の強化や業務効率の改善を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症罹患者の早期発見・早期治療による社会・経済活動の維持に貢献する取り組みとして、全国でのPCR検査のキャパシティ拡大に加えて高感度抗原定量検査受託体制を整備し、また抗原検査試薬の開発・利便性向上、空港検疫所における高感度抗原定量検査試薬の提供を含めた包括的な検査サポートなど幅広い社会課題解決に向け様々な製品・サービスの提供や、製品の安定供給を実現する体制を整えてまいりました。
これらの結果といたしまして、当第3四半期連結累計期間の売上高は161,089百万円(前年同四半期比13.6%増)となりました。主な要因は、受託臨床検査事業において、患者様の受診抑制の影響により検査受託数が減少した一方、新型コロナウイルス感染症関連検査の受託開始等で増収となったこと、臨床検査薬事業において、新型コロナウイルス高感度および迅速抗原検査試薬の販売が伸長したこと、ならびに滅菌関連事業において、前年第3四半期より開始した大口顧客への医材預託品販売が貢献して増収となったこと等です。利益面では、営業利益については、売上高の増加に伴う売上総利益の増加を主要因として、17,704百万円(前年同四半期比112.0%増)となりました。経常利益については、営業利益の増加に加え持分法による投資損失が縮小したこと等により、16,687百万円(前年同四半期比175.0%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益については、特別損失として事業構造改善費用の計上等があった一方、経常利益の増加により、12,720百万円(前年同四半期比306.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
イ.受託臨床検査事業
売上面では、当第3四半期連結累計期間において患者様の受診抑制の影響により検査受託数が減少した一方、新型コロナウイルス感染症のPCR検査や空港検疫所における高感度抗原定量検査の包括的検査サポートの提供を開始したこと、またがんゲノムを始めとした遺伝子関連検査が伸長したこと等により増収となりました。これらの結果、売上高は98,131百万円(前年同四半期比11.0%増)となりました。利益面では、増収に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は9,026百万円(前年同四半期比105.5%増)となりました。
ロ.臨床検査薬事業
売上面では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界的な検査需要減少により、OEM・原材料事業を中心に一部減収影響があったものの、第2四半期以降、国内のみならず海外においても高感度抗原定量検査試薬「ルミパルスSARS-CoV-2 Ag」および迅速抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」の販売が売上に寄与したことにより、結果として売上高は35,450百万円(前年同四半期比16.8%増)となりました。利益面では、増収に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は9,714百万円(前年同四半期比85.4%増)となりました。
ハ.滅菌関連事業
売上面では、前年第3四半期より開始した大口顧客への医材預託品販売からの増収等により、売上高は19,966百万円(前年同四半期比17.5%増)となりました。利益面では、主に労務費が低減したものの、販売費において一時的な費用を計上したこと等により、営業利益は1,350百万円(前年同四半期比1.3%減)となりました。
ニ.新規育成事業およびその他
売上面では、食品・環境・化粧品検査事業において株式会社日本食品エコロジー研究所が前年第4四半期より連結計上開始となったことに加え、在宅・福祉用具事業およびセルフメディケーション・健保事業が伸長したこと等により、売上高は7,540百万円(前年同四半期比24.1%増)となりました。利益面では、先行費用が継続したこと等により営業損失は547百万円(前年同四半期は営業損失680百万円)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ25,026百万円増加し、244,430百万円となりました。その主な要因は、受取手形及び売掛金の増加13,534百万円、有形固定資産その他(純額)の増加10,374百万円、現金及び預金の増加9,407百万円、無形固定資産その他の増加3,362百万円、ソフトウエアの増加1,019百万円および仕掛品の増加909百万円があった一方、工具、器具及び備品(純額)の減少7,320百万円および流動資産その他の減少6,438百万円があったためであります。
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ19,579百万円増加し、135,754百万円となりました。その主な要因は、短期借入金の増加11,000百万円、固定負債その他の増加5,906百万円、支払手形及び買掛金の増加5,201百万円および未払金の増加1,554百万円があった一方、長期借入金の減少3,894百万円および賞与引当金の減少1,005百万円があったためであります。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5,447百万円増加し、108,675百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益12,720百万円があった一方、配当金の支払6,571百万円および為替換算調整勘定の減少463百万円あったためであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.6%減少し、44.4%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,527百万円増加し、45,753百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は19,947百万円(前年同四半期7,955百万円の獲得)となりました。その主な要因は、税金等調整前四半期純利益14,921百万円、減価償却費8,778百万円、仕入債務の増加額5,574百万円、法人税等の還付額5,502百万円および持分法による投資損失1,236百万円があった一方、売上債権の増加額13,889百万円、その他の流動資産の増加額1,626百万円およびたな卸資産の増加額1,519百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は17,057百万円(前年同四半期17,413百万円の使用)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出7,560百万円、無形固定資産の取得による支出6,900百万円および投資有価証券の取得による支出1,865百万円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は6,037百万円(前年同四半期5,163百万円の獲得)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増加額11,000百万円およびセール・アンド・リースバックによる収入6,812百万円があった一方、配当金の支払額6,542百万円、長期借入金の返済による支出3,891百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出1,411百万円があったためであります。
(3)株式会社の支配に関する基本方針について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則(2006年法務省令第12号)第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社取締役会は、当社株式の買付提案等を受け入れるかどうかは、最終的には、当社株主のみなさまの判断に委ねられるべきものであり、当社株主のみなさまが適切な判断を行うためには、当社株式の買付け等が行われようとする場合に、当社取締役会を通じ、当社株主のみなさまに十分な情報が提供される必要があると考えます。
そして、対価の妥当性等の諸条件、買付けが当社グループの経営に与える影響、買付者による当社グループの経営方針や事業計画の内容等について当社株主のみなさまに十分に把握していただく必要があると考えます。
しかし、当社株式の買付け等の提案の中には、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値・株主共同の利益に照らして不十分または不適切であるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れをもたらすものも想定されます。
このような企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。
当社は、2007年5月23日に開催された当社取締役会において、以上の内容を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針とすることを決定いたしました。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社では、中期経営計画の着実な実行、積極的な株主還元、およびコーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、企業価値・株主共同の利益の向上に取組んでいます。以下に掲げるこれらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現に資するものと考えています。なお、以下に掲げる取組みは、その内容から、株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことは、明らかであると考えています。
1)中期経営計画の実行を通じた企業価値・株主共同の利益の向上の取組み
当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活者の行動変容や患者様の受診抑制等、足元の流動的な環境変化にも適切な対応が求められております。
一方、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。また、各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。
このような事業環境の中、当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を2020年9月に策定いたしました。本中期計画の概要は、「(1)Mission・Vision、経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題Ⅱ.新中期経営計画『H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~』の概要」に記載のとおりです。
2)積極的な株主還元を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み
当社では、将来の経営環境の変化とM&A・研究開発など将来の成長機会への投資に備え、必要な内部留保を充実させながら、配当を中心に株主のみなさまに積極的な利益還元を図っていくことを目標としています。
3)コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み
当社では2005年6月より委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)に移行し、監督と執行を明確に分離し、業務執行を迅速に展開できる執行体制を確立しております。コーポレート・ガバナンス体制の観点からは、取締役8名のうち5名の社外取締役を東京証券取引所の定めに基づく独立役員とし、法令に従って監査委員会、報酬委員会、指名委員会を設置してさらなる経営の透明性確保、公正性の向上を目指した取組みを継続しています。インセンティブ・報酬の観点からは、企業価値・株主共同の利益を向上させることを最重要課題と位置付け、執行役に対する業績連動型報酬制度を導入するとともに、業績との連関が高くない退職慰労金制度を廃止し、また株主のみなさまと執行役その他従業員の利益を共有化する目的から株式報酬制度を導入しております。これら執行役・取締役に対する報酬は有価証券報告書、事業報告および統合報告書にて開示しております。その他、株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けた施策として、株主のみなさまが適切な議決権行使をしていただく時間を確保する目的から招集通知を株主総会の3週間以上前に発送するとともに、株主総会集中日を回避するなど、さまざまな施策を実施しています。なお、第70回定時株主総会につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大リスクが継続する中、株主のみなさまの健康と安全の確保を最優先とすべく応募抽選制により実施いたしましたが、次回以降に関しましては、引き続き株主のみなさまとの積極的な対話の機会を確保することによりさらなる株主総会の活性化に取り組んでまいります。また、これら適切なガバナンス体制の維持・強化の重要性から、内部統制システムの基本方針を定め、監査委員会による監査体制の強化、子会社・関連会社を含めた管理規程の整備を進め企業集団における業務の適正を確保するための体制を構築するなど、さらなる整備強化を進めております。
Ⅲ.上記の取組みが上記Ⅰの基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由
上記の取組みは、当社の財産を最大限に活用し、収益の維持・向上に必要な内部留保の確保と株主のみなさまへの利益還元の適正な配分を図り、また、適切なコーポレート・ガバナンス体制の維持・強化を図るものであり、当社の企業価値および株主共同の利益の向上に資するものであります。したがいまして、上記の取組みは、基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4,301百万円であります。
新型コロナウイルス感染症の沈静化に貢献すべくPCR検査および抗原検査体制の構築、新規検査技術の研究開発を鋭意進めた結果、他社に先駆け、検査受託体制の整備と拡張、各種抗原検査キットの開発に成功いたしました。
各種検査の安定提供体制の強化、検査試薬の性能向上に努めつつ、引き続き、基礎研究から開発までのグループ研究開発機能を結集し、新型コロナウイルス感染症の沈静化と医療課題の解消に貢献すべく、新たな検査インフラおよび画期的な検査技術の研究開発を鋭意進めてまいります。
(5)主要な設備の状況
当第3四半期連結累計期間における主要な設備の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間における当社グループの資金調達方針については、重要な変更はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間において、金融機関より短期運転資金のために11,000百万円の短期借入を実施いたしました。
また、当第3四半期連結会計期間末における総額50,000百万円のコミットメントラインの借入実行残高はありません。
(1)Mission・Vision、経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題
Ⅰ.当社グループのMission・Vision
当社グループは、「臨床検査を中心に医療を支え続けてきた存在」から一歩踏み出し、一人ひとりと向き合い、全ての人に最適なヘルスケアを届けたい、という想いを体現すべく、2020年7月1日より、当社の商号を「H.U.グループホールディングス株式会社(英語名:H.U. Group Holdings, Inc.)」へと変更しております。新商号において、「H.U.」は「Healthcare for You」を表します。
また、当社および当社グループの存在意義とあり方を言語化し、加えて新たな将来像を描くべく、下記のとおりMission・Visionを掲げております。
Mission
「ヘルスケアにおける新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」
Vision
「人々の健康に寄り添い、信頼とイノベーションを通じて、ヘルスケアの発展に貢献するグループを目指す」
Ⅱ.新中期経営計画『H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~』の概要
当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画『H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~』(以下、「本中期計画」)を2020年9月に策定いたしました。
1)前中期経営計画『Transform! 2020』の振り返り
2020年3月期を最終年度とする前中期経営計画『Transform! 2020』(以下、「前中期計画」)においては、受託臨床検査事業(CLT事業)および臨床検査薬事業(IVD事業)における顧客獲得の未達、CLT事業における固定費削減の遅延、セールスミックスの変化、想定を上回る価格下落影響等により数値目標は大幅な未達となりました。
一方、人事制度の統一やIT機能の集約などのグループ一体化施策の推進、CLT事業における市場シェア拡大およびR&Dの強化や新セントラルラボをはじめとする将来成長のための投資の実行等、2021年3月期以降の飛躍的かつ持続的な成長のための基盤を着実に構築してまいりました。この成長基盤を収益に結びつけていくことが継続的な課題であると認識しております。
2)当社グループを取り巻く事業環境と本中期計画の重要テーマ
当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活者の行動変容や患者様の受診抑制等、足元の流動的な環境変化にも適切な対応が求められております。
一方、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。また、各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。
このような事業環境の中、当社は、前中期計画において推進してきた成長基盤の整備、組織と業務の変革を土台として、下記3点を本中期計画における重要テーマとして掲げグループ一丸となって推進してまいります。
・新セントラルラボの稼働
・OEM事業の強化
・ヘルスケア×ICT
3)企業価値向上へのストーリー
当社グループは、CLT事業およびIVD事業を有する世界的にみても稀有なグループ企業であり、これらの事業に滅菌関連事業(SR事業)を加えた既存コア事業のほか、在宅・福祉用具事業をはじめとする新規育成事業の拡大・強化に取り組んでおり、幅広い事業展開を行っております。これらの事業活動により高付加価値または新しい価値を創出していくことが、当社グループの企業価値を向上させるものと考えております。
・コア事業の価値創造ストーリー
既存コア事業それぞれの有する無形資産を基にグループシナジーを最大限活用し、顧客提供価値の最大化を図ってまいります。
CLT事業およびIVD事業においては、検査の早期開発、開発評価、承認取得を、グループR&D機能も活用し一体となって進めることにより、新規臨床検査の早期実用化を実現してまいります。このCLT・IVD価値創造モデルは、今般のSARS-CoV-2抗原検査の早期実用化と収益への貢献により、あらためて実証されたと考えております。また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、検査の重要性および当社グループが行うCLT事業が医療を支える社会インフラであるということも社会的に広く認識されたと自負しております。
今後は、中央材料室および手術室における滅菌サービスを提供するSR事業と合わせて、グループとしての総合提案を行っていくことで、顧客提供価値を最大化し、グループの企業価値を向上してまいります。

・グループの事業展開
既存コア事業については、病院を中心とした医療機関へのグループ総合提案等により着実な成長を果たすとともに、先端領域の検査拡充、次世代プラットフォームの開発等、更なる成長のための施策に取り組んでまいります。
また、既存コア事業における検査情報のデジタル化を推進するとともに、PHR(Personal Health Record)を含むICT(Information and Communication Technology)サービスツールを導入・推進することにより、事業を通じて得られる様々なデータの利活用と医療/健康情報プラットフォームの確立を目指し、ヘルスケア×ICT領域へと事業展開を進めてまいります。

・ヘルスケア×ICTサービスの展開
地域医療や予防医療の一層の充実が求められる中、当社は、在宅事業やセルフメディケーション・健保事業等を新規育成事業として強化しており、これらのサービスとICTを融合させた新たなサービスを展開してまいります。
また、診療所向け業務支援SaaS(Software as a Service)と、生活者向けのPHRを当社グループで一体的に提供することで、医療の場における検査結果のさらなる活用をサポートし、CLT事業における開業医向けサービスの付加価値向上に取り組んでまいります。

4)本中期計画における重要施策
本中期計画は、新型コロナウイルス感染症への対応および新セントラルラボ稼働に向けた構造改革を実行していくフェーズと、新セントラルラボの稼働後の投資の回収および収益拡大を果たす2つのフェーズに分かれます。
これを前提として、「新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減」、「CLT事業における固定費削減および収益性改善」、「コア事業におけるグループ一体化戦略の推進」、「IVD事業におけるOEM事業の拡大」および「新規育成事業およびその他(ENB事業)の収益化」を本中期計画における重要施策と定め、グループ一丸となって実行してまいります。
1.新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減
当社は、2022年1月の稼働開始を予定している新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減を本中期計画における最重要施策と位置付けております。
新セントラルラボは、将来の事業環境においても高品質な検査サービスを継続して提供するために建設するものであり、一般検査においては全自動化による業務効率化と24時間稼働による大量処理が可能となり、また特殊検査においては最先端の検査項目に対応する設備・環境を整備し、AI技術やロボティクス等を導入することで、徹底した業務効率化とさらなる品質向上を追求いたします。
検査の自動化等により、2025年3月期には、2020年3月期と比較して、新セントラルラボ単体で一般検査では15%、特殊検査では7%の原価の低減を見込んでおります。
2.CLT事業における固定費削減および収益性改善
新セントラルラボの稼働を踏まえ、全国的なラボ再編を実施してまいります。具体的には、新セントラルラボに加え、2021年3月期に新福岡ラボ、2024年3月期には新関西ラボを開設することで3拠点体制を確立し、検査の集約化を図ってまいります。併せて、地域の医療需要を考慮し、顧客ニーズに対応したラボ体制を構築すべく、地域毎にSTAT(Short Turn Around Time)ラボを設置し、迅速検査への対応を強化してまいります。
また、外部とのアライアンス推進によるシェアリング・ロジスティクスの構築やグループ内の集荷機能および拠点の統合を進めることにより、集荷・物流に係るコストの最適化を図ってまいります。
これらの施策を通じて、高品質な検査を提供することに加え、コスト競争力の向上と検査結果報告の短縮化によりお客様に選ばれる検査会社となり、更なるシェア向上を果たしてまいります。
3.コア事業におけるグループ一体化戦略の推進
3-1グループ営業統合
当社は、2020年9月に、株式会社エスアールエル、富士レビオ株式会社および日本ステリ株式会社の国内営業部門およびマーケティング部門を統合したH.U.フロンティア株式会社(以下、「H.U.フロンティア」)を設立し、2020年10月1日より営業を開始いたしました。
H.U.フロンティアは、当社グループがかねてより進めてきたグループシナジーの強化をより加速するために設立されたものであり、医療を取り巻く環境が急速に変化する中、当社グループがもつ受託臨床検査サービス、臨床検査薬の製造販売、医療器材の滅菌サービスなど幅広い事業をもって、顧客ニーズに応じて様々なサービスや総合的なソリューションを提供してまいります。
また、各社の顧客基盤を一元化することで、セグメント間のクロスセル拡大や既存顧客への拡販を強化するほか、各社がもつ高い技術力を活用し、最適な新サービスや製品の開発も行うことで、グループ一体での顧客提供価値の最大化を目指してまいります。
3-2グループ内販拡大
引き続き検査ラボや院内顧客に対するルミパルス製品の内販拡大を推進するとともに、原価率の高い検査試薬や使用量の多い試薬の開発を進めグループ内での内製化を推進し、CLT事業のコスト削減およびグループ全体でのキャッシュ・フロー改善に取り組んでまいります。
3-3R&Dの強化
グループ内のR&D機能を統合し知の共有を図るとともに、グループ全体最適のR&D戦略を推進し、機動的な技術の導入・開発の加速を推進してまいります。
4.IVD事業におけるOEM事業の拡大
IVD事業における海外戦略は、ルミパルス製品の拡販を中心に取り組んでまいりましたが、後発のプレーヤーとしてグローバル大手企業と競争し収益を拡大していくことは非常に難しく、また、各国における規制等の変更により薬事関連のコストが増大しております。このような事業環境の中、海外ルミパルスに関しては、展開地域および項目に関する選択と集中を進めてまいります。一方、IVD事業の強みである免疫分野の良質な原材料・試薬開発技術および、国内CLT事業におけるルミパルス製品の採用実績をもとにした信頼性と評価を活用することで、OEM事業の強化・拡大に取り組んでまいります。
今後は、Fujirebio Diagnostics,Inc.(米国)、Fujirebio Europe N.V.(欧州)および富士レビオ・ダイアグノスティクス・ジャパン株式会社の3極体制によって、OEM事業を推進してまいります。
5.ENB事業の収益化
当社は、グループの企業価値の更なる向上を目指し、既存事業との技術的関連性や事業シナジーが見込まれる予防・在宅市場の広がり等を鑑み、新規事業の育成を強化しております。
各事業については、投資額をコントロールしつつ、2022年3月期の単年度黒字化(もしくはそれに準ずる収益性の実現)を目指してまいります。また、事業開始から3年経過後を目途に、各事業の成長性や収益性、既存事業とのシナジーを勘案し、選択と集中を実行してまいります。
5)2025年3月期の経営数値目標(連結)
本中期計画において、売上高の着実な成長と利益率の追求のみならず、資本効率の向上と安定的なキャッシュ・フローの創出を果たすべく、下記のとおり経営数値目標を掲げております。
・2025年3月期の経営数値目標
| 2025年3月期 | |
| 売上高CAGR | 6%以上(※) |
| EBITDAマージン | 18%以上 |
| 営業利益率 | 10%以上 |
| ROE | 12%以上 |
| ROIC | 8%以上 |
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
・本中期計画における累計数値目標
| 5年間累計 | |
| 営業キャッシュ・フロー | 1,500億円以上 |
| フリー・キャッシュ・フロー | 500億円以上 |
6)セグメント別計画
1.CLT事業
CLT事業においては、収益性の改善を最重要課題として認識しており、「4)本中期計画における重要施策」に記載のとおり、新セントラルラボの安定稼働と自動化による原価低減、全国ラボ再編、集荷物流機能の合理化、営業統合によるグループ総合提案等の施策を通じて、収益構造を抜本的に改善してまいります。
さらに、先進医療技術の向上、地域包括ケアシステムの進展や医療におけるICTツールの重要性が高まる等、CLT事業を取り巻く環境は刻々と変化しており、CLT事業が環境変化に対応し飛躍的な成長を果たすべく、「商品力の強化」および「医療機関および生活者へのICTツールの導入」に関しても重要施策として掲げております。
(商品力の強化)
特殊検査に強みを持つ受託臨床検査会社として、がんゲノム、血液疾患、感染症や希少疾患等、最先端かつ医療需要の大きい疾患分野の新規項目の導入を推進してまいります。また、将来的に需要が拡大することが予測される再生医療・細胞医療領域への進出を図ってまいります。
一方、収益性の面では、ルミパルス試薬の採用項目拡大、外注項目の内製化および不採算項目の整理等を通じて、コスト競争力を向上してまいります。
(医療機関および生活者へのICTツールの導入)
開業医、生活者の双方のニーズに合致したICTツールを提供してまいります。開業医には、これまで提供してきた検査結果システムに加え、業務支援システムを提供し、生活者には、個人のヘルスケア情報を一元管理できるPHRを提供してまいります。
当社グループが提供するICTツール間を連携させることで、開業医と生活者との間に新しい接点を創出する等、診療効率と患者様サービスの向上に資する新たな価値を創出してまいります。
(CLT事業における2025年3月期の経営数値目標)
| 2025年3月期 | |
| 売上高CAGR | 5.5%以上(※) |
| EBITDAマージン | 17%以上 |
| 営業利益率 | 9%以上 |
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
2.IVD事業
「4)本中期計画における重要施策 4.IVD事業におけるOEM事業の拡大」に記載のとおり、IVD事業の強みを活かすとともに、生産体制の拡充と社内リソースの再配置等により、OEM事業の強化・拡大に取り組んでまいります。
国内事業については、H.U.フロンティアによるグループ総合提案および営業力強化、内外販におけるルミパルス試薬の項目拡販、CLT事業向けの項目内製化・導入推進および、マニュアル製品の選択と集中による固定費の最適化により、国内事業の成長と収益性の改善を図ってまいります。
海外ルミパルス事業については、地域の選択を行うとともに、独自性のあるアルツハイマー関連項目に注力してまいります。
また、新型コロナウイルス感染症により需要を再認識したエスプライン製品をはじめとするPOCT(Point Of Care Testing)を強化してまいります。具体的には、検体種別(唾液、鼻前庭、無痛採血等)の拡大や感染症項目のラインナップ強化等により商品力を強化していくほか、H.U.フロンティアによるCLT事業の顧客への販売を進めるとともに、生産キャパシティを拡充してまいります。
さらに、次世代プラットフォーム開発に関しても推進してまいります。
(IVD事業における2025年3月期の経営数値目標)
| 2025年3月期 | |
| 売上高CAGR | 4.5%以上(※) |
| EBITDAマージン | 25%以上 |
| 営業利益率 | 20%以上 |
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
3.SR事業
病院の経営環境が厳しさを増す中、医療現場のニーズに応えるとともに、医療現場の効率化やコスト削減に資するサービスを積極的に提案してまいります。
重点施策としては、営業統合によるグループ総合提案、手術室を含めた全面受託化の深化および、継続的なオペレーションの改善により収益拡大を図ってまいります。また、労働集約型ビジネスであることを鑑み、人件費の最適化を図ってまいります。
(SR事業における2025年3月期の経営数値目標)
| 2025年3月期 | |
| 売上高CAGR | 9%以上(※) |
| EBITDAマージン | 12%以上 |
| 営業利益率 | 9%以上 |
(※)5か年(2020年3月期-2025年3月期)
4.ENB事業
「4)本中期計画における重要施策 5.ENB事業の収益化」に記載のとおり、各事業の成長性や収益性、既存事業とのシナジーを勘案し、選択と集中を実行してまいります。
5.持分法適用関連会社
(Baylor Miraca Genetics Laboratories, LLC)
引き続き、業績の改善を図るとともに、2021年3月期中に第3者からの資金調達(Private Placement)を実行し、その先の株式公開に向けて事業を推進してまいります。
(中国平安JV(深圳平安好医医学検験実験室))
三位一体モデル(健診クリニック、画像センター、検査ラボ)を引き続き推進していくことで、当初計画通り、2023年3月期の持分法投資損益の黒字化を目指してまいります。
7)財務戦略と財務規律
本中期計画においては、安定的なキャッシュ・フローの創出と健全な財務規律の維持を重要なテーマとして掲げ、下記のとおり財務戦略を実行してまいります。
①キャッシュ・コンバージョン・サイクルの改善等による営業キャッシュ・フローの改善
②ファイナンス・リースおよび不動産ファイナンスの活用
③不動産売却の推進
(財務規律)
| (リース債務を除く)純有利子負債/EBITDA倍率(倍) | 1.3倍以下(※) (本中計期間中2.5倍以下を維持する) |
| 自己資本比率(%) (不動産ファイナンスを除く) | 40%以上 |
(※)2025年3月期
Ⅲ.株主還元と成長への投資
各事業から生み出される利益および資金につきましては、連結配当性向として、特別損益等特殊要因を除外し計算した親会社株主に帰属する当期純利益に対し50%以上を基準に、株主配当を実施してまいります。
(2)経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大が国内外の社会・経済に与える影響により景気は急速に減退し、将来の見通しについても極めて不透明な状況が続いております。
わが国においては、感染症拡大防止策を講じながら経済活動を活性化させていく中で、極めて厳しい状況から一部持ち直しの兆しも見えはじめましたが、感染者の再拡大により依然として予断を許さない状況が続いております。
臨床検査業界におきましては、中長期的には引き続く価格下落圧力および同業他社との競争激化などにより、厳しい事業環境が継続しております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響としては、患者様の受診抑制等により検査受託数は前年を下回る水準で推移している一方、新型コロナウイルス感染症拡大という新たな社会課題に対して、高品質かつ安定的な検査体制の構築が求められるなど、民間検査会社に寄せられる関心と期待はこれまで以上に大きなものとなりました。
このような環境の中、当社グループといたしましては安定的な事業継続性を実現するための経営基盤の強化や業務効率の改善を推進するとともに、新型コロナウイルス感染症罹患者の早期発見・早期治療による社会・経済活動の維持に貢献する取り組みとして、全国でのPCR検査のキャパシティ拡大に加えて高感度抗原定量検査受託体制を整備し、また抗原検査試薬の開発・利便性向上、空港検疫所における高感度抗原定量検査試薬の提供を含めた包括的な検査サポートなど幅広い社会課題解決に向け様々な製品・サービスの提供や、製品の安定供給を実現する体制を整えてまいりました。
これらの結果といたしまして、当第3四半期連結累計期間の売上高は161,089百万円(前年同四半期比13.6%増)となりました。主な要因は、受託臨床検査事業において、患者様の受診抑制の影響により検査受託数が減少した一方、新型コロナウイルス感染症関連検査の受託開始等で増収となったこと、臨床検査薬事業において、新型コロナウイルス高感度および迅速抗原検査試薬の販売が伸長したこと、ならびに滅菌関連事業において、前年第3四半期より開始した大口顧客への医材預託品販売が貢献して増収となったこと等です。利益面では、営業利益については、売上高の増加に伴う売上総利益の増加を主要因として、17,704百万円(前年同四半期比112.0%増)となりました。経常利益については、営業利益の増加に加え持分法による投資損失が縮小したこと等により、16,687百万円(前年同四半期比175.0%増)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益については、特別損失として事業構造改善費用の計上等があった一方、経常利益の増加により、12,720百万円(前年同四半期比306.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
イ.受託臨床検査事業
売上面では、当第3四半期連結累計期間において患者様の受診抑制の影響により検査受託数が減少した一方、新型コロナウイルス感染症のPCR検査や空港検疫所における高感度抗原定量検査の包括的検査サポートの提供を開始したこと、またがんゲノムを始めとした遺伝子関連検査が伸長したこと等により増収となりました。これらの結果、売上高は98,131百万円(前年同四半期比11.0%増)となりました。利益面では、増収に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は9,026百万円(前年同四半期比105.5%増)となりました。
ロ.臨床検査薬事業
売上面では、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う世界的な検査需要減少により、OEM・原材料事業を中心に一部減収影響があったものの、第2四半期以降、国内のみならず海外においても高感度抗原定量検査試薬「ルミパルスSARS-CoV-2 Ag」および迅速抗原検査キット「エスプラインSARS-CoV-2」の販売が売上に寄与したことにより、結果として売上高は35,450百万円(前年同四半期比16.8%増)となりました。利益面では、増収に伴う売上総利益の増加等により、営業利益は9,714百万円(前年同四半期比85.4%増)となりました。
ハ.滅菌関連事業
売上面では、前年第3四半期より開始した大口顧客への医材預託品販売からの増収等により、売上高は19,966百万円(前年同四半期比17.5%増)となりました。利益面では、主に労務費が低減したものの、販売費において一時的な費用を計上したこと等により、営業利益は1,350百万円(前年同四半期比1.3%減)となりました。
ニ.新規育成事業およびその他
売上面では、食品・環境・化粧品検査事業において株式会社日本食品エコロジー研究所が前年第4四半期より連結計上開始となったことに加え、在宅・福祉用具事業およびセルフメディケーション・健保事業が伸長したこと等により、売上高は7,540百万円(前年同四半期比24.1%増)となりました。利益面では、先行費用が継続したこと等により営業損失は547百万円(前年同四半期は営業損失680百万円)となりました。
②財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ25,026百万円増加し、244,430百万円となりました。その主な要因は、受取手形及び売掛金の増加13,534百万円、有形固定資産その他(純額)の増加10,374百万円、現金及び預金の増加9,407百万円、無形固定資産その他の増加3,362百万円、ソフトウエアの増加1,019百万円および仕掛品の増加909百万円があった一方、工具、器具及び備品(純額)の減少7,320百万円および流動資産その他の減少6,438百万円があったためであります。
当第3四半期連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べ19,579百万円増加し、135,754百万円となりました。その主な要因は、短期借入金の増加11,000百万円、固定負債その他の増加5,906百万円、支払手形及び買掛金の増加5,201百万円および未払金の増加1,554百万円があった一方、長期借入金の減少3,894百万円および賞与引当金の減少1,005百万円があったためであります。
当第3四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べ5,447百万円増加し、108,675百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益12,720百万円があった一方、配当金の支払6,571百万円および為替換算調整勘定の減少463百万円あったためであります。
以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ2.6%減少し、44.4%となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9,527百万円増加し、45,753百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は19,947百万円(前年同四半期7,955百万円の獲得)となりました。その主な要因は、税金等調整前四半期純利益14,921百万円、減価償却費8,778百万円、仕入債務の増加額5,574百万円、法人税等の還付額5,502百万円および持分法による投資損失1,236百万円があった一方、売上債権の増加額13,889百万円、その他の流動資産の増加額1,626百万円およびたな卸資産の増加額1,519百万円があったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は17,057百万円(前年同四半期17,413百万円の使用)となりました。その主な要因は、有形固定資産の取得による支出7,560百万円、無形固定資産の取得による支出6,900百万円および投資有価証券の取得による支出1,865百万円があったためであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は6,037百万円(前年同四半期5,163百万円の獲得)となりました。その主な要因は、短期借入金の純増加額11,000百万円およびセール・アンド・リースバックによる収入6,812百万円があった一方、配当金の支払額6,542百万円、長期借入金の返済による支出3,891百万円およびファイナンス・リース債務の返済による支出1,411百万円があったためであります。
(3)株式会社の支配に関する基本方針について
当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(会社法施行規則(2006年法務省令第12号)第118条第3号にいう、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針)を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。
Ⅰ.当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社取締役会は、当社株式の買付提案等を受け入れるかどうかは、最終的には、当社株主のみなさまの判断に委ねられるべきものであり、当社株主のみなさまが適切な判断を行うためには、当社株式の買付け等が行われようとする場合に、当社取締役会を通じ、当社株主のみなさまに十分な情報が提供される必要があると考えます。
そして、対価の妥当性等の諸条件、買付けが当社グループの経営に与える影響、買付者による当社グループの経営方針や事業計画の内容等について当社株主のみなさまに十分に把握していただく必要があると考えます。
しかし、当社株式の買付け等の提案の中には、会社や株主に対して買付けに係る提案内容や代替案等を検討するための十分な時間や情報を与えないもの、買付けに応じることを株主に強要するような仕組みを有するもの、買付条件が会社の有する本来の企業価値・株主共同の利益に照らして不十分または不適切であるもの等、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れをもたらすものも想定されます。
このような企業価値・株主共同の利益を毀損する恐れのある不適切な大規模買付行為や買付提案を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えています。
当社は、2007年5月23日に開催された当社取締役会において、以上の内容を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針とすることを決定いたしました。
Ⅱ.基本方針の実現に資する取組み
当社では、中期経営計画の着実な実行、積極的な株主還元、およびコーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じて、企業価値・株主共同の利益の向上に取組んでいます。以下に掲げるこれらの取組みは、上記Ⅰの基本方針の実現に資するものと考えています。なお、以下に掲げる取組みは、その内容から、株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、会社役員の地位の維持を目的とするものでないことは、明らかであると考えています。
1)中期経営計画の実行を通じた企業価値・株主共同の利益の向上の取組み
当社グループを取り巻く事業環境は、高齢化や先端的医療の導入等による医療費の伸長が見込まれる中、医療機関の経営状況の悪化や医療費の削減要請に伴う検体検査実施料の抑制により、国内臨床検査市場は今後も厳しい状況が継続するものと見込まれます。一方、医療費の抑制策が進む中、病院および病床再編に伴う在宅医療や予防医療のニーズの拡大、先進医療技術の向上やIT技術の進展など新たな成長の機会があり、事業環境の様相は刻々と変化しております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活者の行動変容や患者様の受診抑制等、足元の流動的な環境変化にも適切な対応が求められております。
一方、海外臨床検査市場においては、新興国を中心に成長しているものの先進国では社会保障費抑制による低成長が継続しております。また、各国の制度変更等による薬事関連コストが増加する等、厳しい事業環境が継続しております。
このような事業環境の中、当社は、将来の飛躍的かつ持続的な成長に向けて、2025年3月期を最終年度とする中期経営計画を2020年9月に策定いたしました。本中期計画の概要は、「(1)Mission・Vision、経営環境、中長期的な経営戦略及び対処すべき課題Ⅱ.新中期経営計画『H.U. 2025 ~Hiyaku(飛躍) & United~』の概要」に記載のとおりです。
2)積極的な株主還元を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み
当社では、将来の経営環境の変化とM&A・研究開発など将来の成長機会への投資に備え、必要な内部留保を充実させながら、配当を中心に株主のみなさまに積極的な利益還元を図っていくことを目標としています。
3)コーポレート・ガバナンス体制のさらなる強化を通じた企業価値・株主共同の利益向上の取組み
当社では2005年6月より委員会設置会社(現・指名委員会等設置会社)に移行し、監督と執行を明確に分離し、業務執行を迅速に展開できる執行体制を確立しております。コーポレート・ガバナンス体制の観点からは、取締役8名のうち5名の社外取締役を東京証券取引所の定めに基づく独立役員とし、法令に従って監査委員会、報酬委員会、指名委員会を設置してさらなる経営の透明性確保、公正性の向上を目指した取組みを継続しています。インセンティブ・報酬の観点からは、企業価値・株主共同の利益を向上させることを最重要課題と位置付け、執行役に対する業績連動型報酬制度を導入するとともに、業績との連関が高くない退職慰労金制度を廃止し、また株主のみなさまと執行役その他従業員の利益を共有化する目的から株式報酬制度を導入しております。これら執行役・取締役に対する報酬は有価証券報告書、事業報告および統合報告書にて開示しております。その他、株主総会の活性化および議決権行使の円滑化に向けた施策として、株主のみなさまが適切な議決権行使をしていただく時間を確保する目的から招集通知を株主総会の3週間以上前に発送するとともに、株主総会集中日を回避するなど、さまざまな施策を実施しています。なお、第70回定時株主総会につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大リスクが継続する中、株主のみなさまの健康と安全の確保を最優先とすべく応募抽選制により実施いたしましたが、次回以降に関しましては、引き続き株主のみなさまとの積極的な対話の機会を確保することによりさらなる株主総会の活性化に取り組んでまいります。また、これら適切なガバナンス体制の維持・強化の重要性から、内部統制システムの基本方針を定め、監査委員会による監査体制の強化、子会社・関連会社を含めた管理規程の整備を進め企業集団における業務の適正を確保するための体制を構築するなど、さらなる整備強化を進めております。
Ⅲ.上記の取組みが上記Ⅰの基本方針に沿うものであり、株主共同利益を損なうものではないこと、会社役員の地位の維持を目的とするものではないことおよびその理由
上記の取組みは、当社の財産を最大限に活用し、収益の維持・向上に必要な内部留保の確保と株主のみなさまへの利益還元の適正な配分を図り、また、適切なコーポレート・ガバナンス体制の維持・強化を図るものであり、当社の企業価値および株主共同の利益の向上に資するものであります。したがいまして、上記の取組みは、基本方針に沿うものであり、株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、4,301百万円であります。
新型コロナウイルス感染症の沈静化に貢献すべくPCR検査および抗原検査体制の構築、新規検査技術の研究開発を鋭意進めた結果、他社に先駆け、検査受託体制の整備と拡張、各種抗原検査キットの開発に成功いたしました。
各種検査の安定提供体制の強化、検査試薬の性能向上に努めつつ、引き続き、基礎研究から開発までのグループ研究開発機能を結集し、新型コロナウイルス感染症の沈静化と医療課題の解消に貢献すべく、新たな検査インフラおよび画期的な検査技術の研究開発を鋭意進めてまいります。
(5)主要な設備の状況
当第3四半期連結累計期間における主要な設備の状況に重要な変更はありません。
(6)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期連結累計期間における当社グループの資金調達方針については、重要な変更はありません。
なお、当第3四半期連結累計期間において、金融機関より短期運転資金のために11,000百万円の短期借入を実施いたしました。
また、当第3四半期連結会計期間末における総額50,000百万円のコミットメントラインの借入実行残高はありません。