有価証券報告書-第29期(平成30年4月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/28 14:55
【資料】
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【項目】
57項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 経営方針
当社グループは、国内外の未だ満たされていない医療ニーズ(アンメットニーズ)がある疾病の治療、患者様のための革新的な医薬品の発見、設計、開発に焦点を当て、臨床ステージへ移行した製品を有するバイオ医薬品開発企業として、更なる発展を目指し、人々の健康を支え、豊かで幸福な生活の実現に寄与していきます。
(2) 経営環境
医薬品開発は、国際的な巨大企業を含む国内外の数多くの企業や研究機関等により激しい競争が行われている分野であり、開発には多額の先行投資と、長期に亘る開発期間が必要となりますが、成功確率は高くありません。しかしながら、世界には、アンメットニーズが存在し、患者様に価値をもたらす新薬が待ち望まれております。
(3) 対処すべき課題
① 医薬品の自社開発
当社グループは、日本屈指の国際的なリーディングバイオ医薬品企業になるという目標達成に向けて、引き続き研究開発への投資を賢明に行い、有望な開発パイプラインを創出してまいります。
最先端のサイエンスを維持するために、StaR®技術に対して継続して投資を行い、同技術が当社グループのSBDDプラットフォームの基礎となります。この創薬プラットフォームにより、毎年複数の開発初期段階の新薬候補を生み出します。今後は、より効率的に、生産性の高い創薬エンジンからの価値創出の最大化を図り、上市の可能性の高い候補化合物を優先し、新規提携を目的とした候補化合物を増やします。
同時に、現在、探索及び研究開発段階にある多くの化合物のリストを見直し、最も有望な候補化合物に絞り、研究開発投資をより集中的に行います。
この成長戦略により、当社グループの売上が長期的に大幅に増加することが期待できます。
② リスクの分散と多様な収益源の確保及び資金管理
当社グループのビジネスモデルは、(ⅰ)大手グローバル製薬企業との提携、(ⅱ)他の革新的な製薬企業及びバイオ医薬品企業と行う研究開発活動における提携、(ⅲ)当社グループ独自で行う候補薬の開発、の三つから構成されます。
これら三つの事業モデルは、複数の提携によるリスクの分散と収益の多様化を図るものであり、既存の提携先からのマイルストンやロイヤリティを受領し続けると同時に、新たな契約一時金を獲得する機会を得ることができます。
当社グループは、日本におけるリーディングバイオ医薬品企業として、事業資金の調達先や調達方法に恵まれており、十分な運転資金を確保しています。今後も、所要資金を適切に確保するため、あらゆる資金調達方法を継続的に検討してまいります。
③ 株主価値の創造
当社グループは、最先端のサイエンスを維持するため自社技術への投資を賢明に行うという、バイオ医薬品企業のビジネスモデルをGPCRを標的としたSBDDという独自の分野において追求してまいります。このビジネスモデルは、海外においては、長期的に非常に高い株主価値を生み出すことが実証されており、長期的な価値創造につながる最良の方法であると考えています。これにより、アンメットメディカルニーズの高い分野で、有望な候補薬からなる持続可能なパイプラインの構築につなげてまいります。
当社グループの強みであるStaR®技術は、安全でより効果的な薬のデザインを可能とするものであり、競合他社を大幅に上回る新薬候補を創出することもできますが、時間と資源には限りがあるため、効率化の観点から、最も有望な候補化合物に集中して研究開発を進めてまいります。これにより、資金を効果的に活用し、研究開発投資を持続可能な水準に維持することができます。
当社グループは、幅広い新薬候補のパイプラインを拡充させることが、長期的な株主価値の向上につながるものと考えており、グローバル製薬企業やバイオ医薬品企業との新規提携拡大を通じた価値創造を加速します。当社グループでは継続が難しいものの価値の高い化合物については、大手製薬企業の手に委ねることで、プログラムの臨床試験入りをいち早く実現させることを目指し、高い収益性を確保するよう努めてまいります。
同時に、不必要なコストを管理・削減するための社内プロジェクトを通じ、コストベースの管理を徹底します。
④ コーポレートガバナンスの強化
当社グループは、複数の地域において事業を展開しており、効果的なコーポレートガバナンス体制の必要性を認識しています。各国の規制に厳密に対応するため、今後ともさらなる体制やプロセス強化に努めてまいります。
当社グループは、複数の独立役員の確保や監査委員会、会計監査人及び内部監査部門の連携を図り、取締役会の経営戦略策定・監督、リスクマネジメント及びコンプライアンス活動に対する機能を十分に発揮し、説明責任を果たしてまいります。
皆様からより一層信頼される企業集団となることを目指して邁進してまいります。