有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/27 11:09
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度における経済情勢は、国内では企業収益や雇用環境の改善などを背景に景気の緩やかな回復基調が続きましたが、個人消費は依然力強さを欠き、海外では中国やアジア新興国の景気持ち直しの動きが見られたものの、世界的な地政学リスクの高まりによる景気への影響が懸念されるなど、引き続き先行き不透明な状況にありました。
このような事業環境のもと当社グループは、主力事業分野である液晶ディスプレイ関連の産業集積が進む中国市場でのニーズ対応力・生産供給体制の強化、需要が高まる環境配慮型製品の開発・展開によるシェア拡大、ナノインプリント関連製品をはじめとする新規事業の販売拡大、将来に向けた新製品・サービス創出のための研究開発体制の強化に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、粘着剤関連製品をはじめとするケミカルズの販売が中国市場を中心に増加したことや、堅調な国内設備投資を背景に装置システムの工事完成高が増加したことにより、売上高は300億50百万円(前連結会計年度比15.0%増)となりました。利益面では、原料価格上昇の影響を受けたものの、増産効果や継続的なコストダウンへの取り組みにくわえて、為替差損が減少したことなどにより、経常利益は26億円(前連結会計年度比36.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19億64百万円(前連結会計年度比46.3%増)となりました。
セグメントの状況は、以下のとおりです。
<ケミカルズ>ケミカルズについては、売上高は266億46百万円(前連結会計年度比13.9%増)となりました。製品別の状況は、以下のとおりです。
粘着剤関連製品は、中国市場を中心に液晶ディスプレイ関連用途向けの販売数量が増加し、建材・自動車分野など一般用途向けの販売も堅調に推移したことにより、売上高は149億68百万円(前連結会計年度比17.4%増)となりました。
微粉体製品は、電子部品関連用途や中国市場における光拡散フィルム用途向けの販売数量が増加したことなどにより、売上高は27億85百万円(前連結会計年度比5.7%増)となりました。
特殊機能材製品は、中国市場における電子材料用途向けの販売数量が増加し、売上高は36億46百万円(前連結会計年度比13.2%増)となりました。
加工製品は、中国市場における電子情報機器用途向けの機能性粘着テープの販売数量が増加し、売上高は52億44百万円(前連結会計年度比9.6%増)となりました。
<装置システム>装置システムについては、熱媒体油の販売が減少したものの、化学業界における設備投資の回復を背景に、設備関連・メンテナンスの工事完成高が増加し、売上高は34億4百万円(前連結会計年度比23.7%増)となりました。
製品の種類別売上高は、下表のとおりであります。
セグメントの名称前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
(百万円)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
(百万円)
ケミカルズ
粘着剤12,74714,968
微粉体2,6352,785
特殊機能材3,2203,646
加工製品4,7845,244
小計23,38726,646
装置システム
装置システム2,7513,404
小計2,7513,404
合計26,13930,050

② 財政状態
当連結会計年度末(以下「当期末」という。)の総資産は、前連結会計年度末(以下「前期末」という。)に比べて43億66百万円増加し、369億96百万円となりました。
流動資産は、受取手形及び売掛金、たな卸資産、有価証券が増加したことなどにより、前期末に比べ44億79百万円増加し、217億41百万円となりました。
固定資産は、投資有価証券が増加したものの、有形固定資産が減少したことなどにより、前期末に比べ1億13百万円減少し、152億55百万円となりました。
一方、負債については支払手形及び買掛金が増加したことなどにより、前期末に比べ22億77百万円増加し、146億1百万円となりました。
当期末における純資産は、利益剰余金、為替換算調整勘定の増加などにより、前期末に比べ20億88百万円増加し、223億94百万円となりました。
この結果、自己資本比率は前期末62.2%から1.7ポイント減少し60.5%となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ15億51百万円増加し、65億93百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、28億87百万円(前年同期は31億74百万円の増加)となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益25億90百万円、減価償却費14億円、仕入債務の増加19億13百万円などによる増加と、売上債権の増加20億24百万円、法人税等の支払額7億96百万円などに伴う減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、8億20百万円(前年同期は14億41百万円の減少)となりました。
これは、主に有形固定資産の取得7億61百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、5億24百万円(前年同期は9億7百万円の減少)となりました。
これは、主に長期借入金の借入れ10億円による増加と、長期借入金の返済12億40百万円、配当金の支払額3億73百万円などに伴う減少によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(千円)前年同期比(%)
ケミカルズ26,462,084122.0
装置システム3,361,852125.4
合計29,823,937122.3

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
ケミカルズ26,576,205113.7490,47487.5
装置システム3,486,740101.81,761,491104.9
合計30,062,945112.22,251,966100.5

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
ケミカルズ26,646,033113.9
装置システム3,404,827123.7
合計30,050,861115.0

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もりが必要となります。経営者はこれらの見積もりについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果については、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項] (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度(以下「前期」という)に比べて15.0%増の300億50百万円となりました。セグメント別の概況につきましては「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。
売上原価は、前期に比べ18.6%増の201億81百万円となりました。原材料価格の上昇等により、売上総利益率は前期に比べ2.1ポイント減の32.8%となりました。
販売費及び一般管理費は、物流関連費用の増加などにより、前期に比べ5.6%増の72億18百万円となり、売上高比率は前期に比べ2.1ポイント減の24.0%となりました。
これらにより、営業利益は前期に比べ15.9%増の26億51百万円となり、売上高営業利益率は前期と同水準の8.8%となりました。
営業外損益が為替差損や持分法投資損失の減少などにより、前期から3億29百万円増加し、経常利益は、前期に比べ36.4%増の26億円となり、売上高経常利益率は1.4ポイント増の8.7%となりました。
特別損益では、特別損失として固定資産除売却損9百万円を計上しました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は、前期に比べ35.2%増の25億90百万円となり、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ46.3%増加の19億64百万円となりました。
なお、当連結会計年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「New Value 2019」では、中国・東南アジア地域での事業規模の拡大と収益性の向上を果たすとともに、新たな製品・サービスの創出などによる事業領域の拡大に向けた成長投資を積極的に拡大することを基本方針として掲げ、収益基盤の強化と持続的な成長路線の確立を目指しております。
当連結会計年度は、ケミカルズについては液晶ディスプレイ関連分野でのシェア拡大を果たし、装置システムについては国内設備投資の回復を背景に受注が伸び、売上高・利益ともに当初の計画を大幅に上回る結果となりました。今後につきましても中国を中心に液晶ディスプレイ関連分野での需要拡大が見込まれることや、事業領域拡大に向けた成長戦略の進捗状況などを踏まえて、中期経営計画の最終年度となる2019年度の売上高目標を310億円から340億円に修正しております。利益目標につきましては、原料価格上昇による減益影響もありますが、生産設備の増強に伴う減価償却費や新規事業の調査・開発費用など、将来に向けた戦略的費用の増加を見込み、当初の営業利益目標30億円を据え置いております。
また、経営指標といたしましては、総資産経常利益率(ROA)8%以上、自己資本当期純利益率(ROE)9%以上を目標としており、当連結会計年度におけるROAは7.5%、ROEは9.2%となりました。引き続き資本効率の維持・向上に取り組んでまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、事業活動に要する運転資金、生産及び研究開発に要する設備投資などであり、自己資金、金融機関からの短期・長期借入金等により必要資金を調達しております。
また、海外子会社を含めたグループ内資金を有効活用するために、グループ資金管理体制の整備・強化、資金効率の向上に努めております。
なお、不測の事態に備えて取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しており、安定的な資金調達手段を確保することにより資金の流動性を補完しております。