有価証券報告書-第60期(2024/01/01-2024/12/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度の世界経済はインフレが徐々に落ち着きを見せ、金融の引き締めを緩和していく中で総じて堅調に推移しました。米国経済は、インフレ率を上回る賃上げや底堅い雇用環境が個人消費を牽引し、前年度と同程度の経済成長を維持しました。コロナ禍以降、悪化していたオフィス市況も底打ちの兆しを見せています。円ドルレートは、日米の金融政策の変更により円高方向に振れる場面もありましたが、年度を通してみると2021年から続く円安傾向が継続しました。
今後につきましては、米トランプ政権の税制や通商・移民・エネルギー政策が、世界経済や為替動向に大きな影響を与えることが懸念され、それらを注視していく必要があります。
このような状況下、より広範な顧客層によって航空機向けの成長が継続し、一部で低迷していた家具向けが回復しました。しかしながら、モデルチェンジの立ち上げ遅れの影響が大きかった自動車向け、および高金利が原因で低迷したその他向けの減少分を埋め合わせすることはできず、前年比で減収となりました。想定より円安で推移したものの、原材料費の高騰と生産数量の減少で製造単価が上昇し、支払手数料や人件費等の増加の影響もあり、利益においても前年を下回りました。
この結果、2024年12月期の売上収益は202億96百万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は27億99百万円(同21.1%減)、税引前当期利益は22億74百万円(同21.4%減)、当期利益は16億40百万円(同30.9%減)となりました。
用途別の売上収益の概況は、次のとおりです。
①家具用
ホスピタリティ向けおよび住宅向けが好調だった上に、オフィス家具向けおよびヘルスケア向けが改善したことにより、家具向け全体の売上は前年を上回りました。
この結果、家具用の売上収益は56億58百万円(同13.3%増)となりました。
②自動車用
シート用素材は、新しいプログラムに基づくビジネスの増加もあったものの、主たるプログラムに対するモデルチェンジに時間がかかった影響が出ました。自動車向け全体の売上は前年を下回りました。
この結果、自動車用の売上収益は83億88百万円(同13.1%減)となりました。
③航空機用
民間航空機向けは、新規プログラムの納入期間が短縮されるほど需要が強く、好調でした。またビジネスジェット向けも堅調を維持しました。航空機向け全体の売上は前年を大きく上回りました。
この結果、航空機用の売上収益は31億62百万円(同31.3%増)となりました。
④その他
その他事業分野には、RV・アパレル・船舶・トラック用などが含まれます。インフレと高金利が大きく影響を及ぼしてRV向け、船舶向け、トラック向けは需要が低迷し、アパレル向け等では欧州の不景気の影響を受け、その他売上全体は前年を下回りました。
この結果、その他の売上収益は30億88百万円(同22.5%減)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ28億19百万円増加し、390億4百万円となりました。これは主に、有利子負債の返済及び配当金の支払いによる現預金の減少があったものの、新工場建設に関連する有形固定資産の増加及び為替相場が円安に推移した影響により外貨建の営業債権、のれん、無形資産が増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ6億49百万円増加し、215億70百万円となりました。これは主に、新工場建設に関連する借入れがあったものの短期借入金及び長期借入金の返済等による減少があったこと、営業債務及びその他の債務及び繰延税金負債の増加があったことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ21億70百万円増加し、174億33百万円となりました。これは主に配当金の支払いがあったものの、当期利益の計上による利益剰余金の増加及び外国為替相場が円安に推移した影響により在外子会社の換算金額が増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億8百万円減少し、27億24百万円(前年同期比25.0%減)となりました。これは主に税引前四半期利益の計上、減価償却費の計上、法人所得税の還付及び設備投資資金として長期借入金の借入があったものの、利息及び法人税の支払、借入金の返済、配当金の支払、有形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は36億42百万円(同24.3%増)となりました。これは主に利息及び法人所得税の支払額があったものの、税引前当期利益の計上、減価償却費及び償却費の計上及び法人所得税の還付があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28億73百万円(同41.2%増)となりました。これは主に新工場建設に関連する有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は14億90百万円(同6.9%増)となりました。これは主に設備投資資金として長期借入金の収入があったものの、借入金の返済及び配当金の支払いがあったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは単一事業のため、経営成績数値は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。
売上収益
より広範な顧客層によって航空機向けの成長が継続し、一部で低迷していた家具向けが回復しましたが、モデルチェンジの立ち上げ遅れの影響が大きかった自動車向け、および高金利が原因で低迷したその他向けの減少分を埋め合わせすることはできず、前年比で減収となりました。
・市場の好転でプロジェクトが増加したホスピタリティ向けと新たな注力分野である住宅向けは大幅な販売増
・オフィス回帰の動きで回復したオフィス家具向けと在庫調整が進んだヘルス向けは販売増
・自動車向けシート素材は主要顧客向けのモデルチェンジの立ち上げ遅れで大幅な販売減
・自動車向けスモールパーツは低価格競争の影響で販売減
・顧客の需要増に前倒しで対応したビジネスジェット向けは堅調
・新たなプログラムの納入期間が短縮されて民間航空各社は大幅な販売増
・インフレと高金利による嗜好品消費抑制でRV向けと船舶向けは大幅な販売減
・在庫調整が進まなかったトラック向けと欧州の不景気の影響があったアパレル向けは低調
営業利益及び税引前当期利益
想定より円安で推移したものの、原材料費の高騰と生産数量の減少で製造単価が上昇し、支払手数料や人件費等の増加の影響もあり、前期比で減益となりました。
・円安と人件費や燃料費の高騰などに起因する原材料単価の上昇
・生産量が減少したことにより工場稼働率が低下して製造原価が上昇
・システム導入費用や航空機向け販売手数料の増加で支払手数料増
・人件費も含めて顧客要求高度化への対応費用の増加
・新商品開発に向けての人員増や品質試験費用の増加で研究開発費用の増加
・想定より円安で推移して為替差益増
当期利益
移転価格税制による日米間の税金調整は減り実効税率が上昇したため、前期比で減益となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ28億19百万円増加し、390億4百万円となりました。これは主に、有利子負債の返済及び配当金の支払いによる現預金の減少があったものの、新工場建設に関連する有形固定資産の増加及び為替相場が円安に推移した影響により外貨建の営業債権、のれん、無形資産が増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ6億49百万円増加し、215億70百万円となりました。これは主に、新工場建設に関連する借入れがあったものの短期借入金及び長期借入金の返済等による減少があったこと、営業債務及びその他の債務及び繰延税金負債の増加があったことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ21億70百万円増加し、174億33百万円となりました。これは主に配当金の支払いがあったものの、当期利益の計上による利益剰余金の増加及び外国為替相場が円安に推移した影響により在外子会社の換算金額が増加したことによるものです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により多様化する顧客ニーズに対応した設備投資を行うためのキャッシュ・フローの獲得を進めております。
当社グループは設備投資に必要な資金については自己資金の利用とともに、必要に応じて銀行借入金により調達しております。
資金の流動性については、金融機関との間に結んでいる当座貸越契約を活用することにより当連結会計年度に保有している27億24百万円の現金及び現金同等物を確保し、資金需要にタイムリーに対応ができる状況を維持しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループは2024年2月に公表した中期経営計画における2024年目標を売上収益229億円、営業利益41億円、当期利益24億円、EBITDA 60億円としておりましたが、2024年8月に売上収益204億円、営業利益25億円、当期利益16億円、EBITDA45億円に修正しました。
これに対し2024年の通期業績は売上収益202億96百万円、営業利益27億99百万円、当期利益は16億40百万円、EBITDA 45億36百万円となり、ほぼ修正目標通りの着地となりました。主な要因は② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に記載のとおりです。
2024年度の業績及び経営環境の変化を踏まえ、2025年2月に2025年~2027年中期経営計画を公表しました。2027年の目標を売上収益271億円、営業利益40億円、当期利益26億円、EBITDA 60億円と掲げ、目標達成に向けて①JVによる事業拡大 ②サステナビリティ推進 ③収益性改善 ④欧州戦略の策定・推進 を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度の世界経済はインフレが徐々に落ち着きを見せ、金融の引き締めを緩和していく中で総じて堅調に推移しました。米国経済は、インフレ率を上回る賃上げや底堅い雇用環境が個人消費を牽引し、前年度と同程度の経済成長を維持しました。コロナ禍以降、悪化していたオフィス市況も底打ちの兆しを見せています。円ドルレートは、日米の金融政策の変更により円高方向に振れる場面もありましたが、年度を通してみると2021年から続く円安傾向が継続しました。
今後につきましては、米トランプ政権の税制や通商・移民・エネルギー政策が、世界経済や為替動向に大きな影響を与えることが懸念され、それらを注視していく必要があります。
このような状況下、より広範な顧客層によって航空機向けの成長が継続し、一部で低迷していた家具向けが回復しました。しかしながら、モデルチェンジの立ち上げ遅れの影響が大きかった自動車向け、および高金利が原因で低迷したその他向けの減少分を埋め合わせすることはできず、前年比で減収となりました。想定より円安で推移したものの、原材料費の高騰と生産数量の減少で製造単価が上昇し、支払手数料や人件費等の増加の影響もあり、利益においても前年を下回りました。
この結果、2024年12月期の売上収益は202億96百万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は27億99百万円(同21.1%減)、税引前当期利益は22億74百万円(同21.4%減)、当期利益は16億40百万円(同30.9%減)となりました。
用途別の売上収益の概況は、次のとおりです。
①家具用
ホスピタリティ向けおよび住宅向けが好調だった上に、オフィス家具向けおよびヘルスケア向けが改善したことにより、家具向け全体の売上は前年を上回りました。
この結果、家具用の売上収益は56億58百万円(同13.3%増)となりました。
②自動車用
シート用素材は、新しいプログラムに基づくビジネスの増加もあったものの、主たるプログラムに対するモデルチェンジに時間がかかった影響が出ました。自動車向け全体の売上は前年を下回りました。
この結果、自動車用の売上収益は83億88百万円(同13.1%減)となりました。
③航空機用
民間航空機向けは、新規プログラムの納入期間が短縮されるほど需要が強く、好調でした。またビジネスジェット向けも堅調を維持しました。航空機向け全体の売上は前年を大きく上回りました。
この結果、航空機用の売上収益は31億62百万円(同31.3%増)となりました。
④その他
その他事業分野には、RV・アパレル・船舶・トラック用などが含まれます。インフレと高金利が大きく影響を及ぼしてRV向け、船舶向け、トラック向けは需要が低迷し、アパレル向け等では欧州の不景気の影響を受け、その他売上全体は前年を下回りました。
この結果、その他の売上収益は30億88百万円(同22.5%減)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ28億19百万円増加し、390億4百万円となりました。これは主に、有利子負債の返済及び配当金の支払いによる現預金の減少があったものの、新工場建設に関連する有形固定資産の増加及び為替相場が円安に推移した影響により外貨建の営業債権、のれん、無形資産が増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ6億49百万円増加し、215億70百万円となりました。これは主に、新工場建設に関連する借入れがあったものの短期借入金及び長期借入金の返済等による減少があったこと、営業債務及びその他の債務及び繰延税金負債の増加があったことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ21億70百万円増加し、174億33百万円となりました。これは主に配当金の支払いがあったものの、当期利益の計上による利益剰余金の増加及び外国為替相場が円安に推移した影響により在外子会社の換算金額が増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億8百万円減少し、27億24百万円(前年同期比25.0%減)となりました。これは主に税引前四半期利益の計上、減価償却費の計上、法人所得税の還付及び設備投資資金として長期借入金の借入があったものの、利息及び法人税の支払、借入金の返済、配当金の支払、有形固定資産の取得による支出があったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は36億42百万円(同24.3%増)となりました。これは主に利息及び法人所得税の支払額があったものの、税引前当期利益の計上、減価償却費及び償却費の計上及び法人所得税の還付があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は28億73百万円(同41.2%増)となりました。これは主に新工場建設に関連する有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は14億90百万円(同6.9%増)となりました。これは主に設備投資資金として長期借入金の収入があったものの、借入金の返済及び配当金の支払いがあったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
用途別の名称 | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年同期比(%) |
ポリウレタンレザー(百万円) | 7,436 | 80.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
用途別の名称 | 受注高 | 前年同期比(%) | 受注残高 | 前年同期比(%) |
ポリウレタンレザー(百万円) | 19,975 | 103.7 | 2,964 | 90.2 |
(注)金額は販売価格によっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
用途別の名称 | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | 前年同期比(%) |
ポリウレタンレザー(百万円) | 20,296 | 96.4 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) | 当連結会計年度 (自 2024年1月1日 至 2024年12月31日) | ||
金額(百万円) | 割合(%) | 金額(百万円) | 割合(%) | |
Saltillo Lamination S.A de C.V | 5,004 | 23.8 | 3,446 | 17.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第312条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは単一事業のため、経営成績数値は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。
売上収益
より広範な顧客層によって航空機向けの成長が継続し、一部で低迷していた家具向けが回復しましたが、モデルチェンジの立ち上げ遅れの影響が大きかった自動車向け、および高金利が原因で低迷したその他向けの減少分を埋め合わせすることはできず、前年比で減収となりました。
・市場の好転でプロジェクトが増加したホスピタリティ向けと新たな注力分野である住宅向けは大幅な販売増
・オフィス回帰の動きで回復したオフィス家具向けと在庫調整が進んだヘルス向けは販売増
・自動車向けシート素材は主要顧客向けのモデルチェンジの立ち上げ遅れで大幅な販売減
・自動車向けスモールパーツは低価格競争の影響で販売減
・顧客の需要増に前倒しで対応したビジネスジェット向けは堅調
・新たなプログラムの納入期間が短縮されて民間航空各社は大幅な販売増
・インフレと高金利による嗜好品消費抑制でRV向けと船舶向けは大幅な販売減
・在庫調整が進まなかったトラック向けと欧州の不景気の影響があったアパレル向けは低調
営業利益及び税引前当期利益
想定より円安で推移したものの、原材料費の高騰と生産数量の減少で製造単価が上昇し、支払手数料や人件費等の増加の影響もあり、前期比で減益となりました。
・円安と人件費や燃料費の高騰などに起因する原材料単価の上昇
・生産量が減少したことにより工場稼働率が低下して製造原価が上昇
・システム導入費用や航空機向け販売手数料の増加で支払手数料増
・人件費も含めて顧客要求高度化への対応費用の増加
・新商品開発に向けての人員増や品質試験費用の増加で研究開発費用の増加
・想定より円安で推移して為替差益増
当期利益
移転価格税制による日米間の税金調整は減り実効税率が上昇したため、前期比で減益となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ28億19百万円増加し、390億4百万円となりました。これは主に、有利子負債の返済及び配当金の支払いによる現預金の減少があったものの、新工場建設に関連する有形固定資産の増加及び為替相場が円安に推移した影響により外貨建の営業債権、のれん、無形資産が増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ6億49百万円増加し、215億70百万円となりました。これは主に、新工場建設に関連する借入れがあったものの短期借入金及び長期借入金の返済等による減少があったこと、営業債務及びその他の債務及び繰延税金負債の増加があったことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ21億70百万円増加し、174億33百万円となりました。これは主に配当金の支払いがあったものの、当期利益の計上による利益剰余金の増加及び外国為替相場が円安に推移した影響により在外子会社の換算金額が増加したことによるものです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により多様化する顧客ニーズに対応した設備投資を行うためのキャッシュ・フローの獲得を進めております。
当社グループは設備投資に必要な資金については自己資金の利用とともに、必要に応じて銀行借入金により調達しております。
資金の流動性については、金融機関との間に結んでいる当座貸越契約を活用することにより当連結会計年度に保有している27億24百万円の現金及び現金同等物を確保し、資金需要にタイムリーに対応ができる状況を維持しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループは2024年2月に公表した中期経営計画における2024年目標を売上収益229億円、営業利益41億円、当期利益24億円、EBITDA 60億円としておりましたが、2024年8月に売上収益204億円、営業利益25億円、当期利益16億円、EBITDA45億円に修正しました。
これに対し2024年の通期業績は売上収益202億96百万円、営業利益27億99百万円、当期利益は16億40百万円、EBITDA 45億36百万円となり、ほぼ修正目標通りの着地となりました。主な要因は② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に記載のとおりです。
2024年度の業績及び経営環境の変化を踏まえ、2025年2月に2025年~2027年中期経営計画を公表しました。2027年の目標を売上収益271億円、営業利益40億円、当期利益26億円、EBITDA 60億円と掲げ、目標達成に向けて①JVによる事業拡大 ②サステナビリティ推進 ③収益性改善 ④欧州戦略の策定・推進 を進めてまいります。