有価証券報告書-第56期(令和2年1月1日-令和2年12月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、3月以降に新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動抑制の影響を受けて急速に悪化し、極めて厳しい状況にありました。段階的な経済活動の再開により回復傾向にありましたが、新規感染者数には収束の兆しが見られないことから、引き続き予断を許さない状況にあります。
このような状況下、民間航空機の大幅な運航停止、及び、多くの顧客の製造や販売の拠点が閉鎖されたこと等により当社の第2四半期の売上は殆どの分野で大きく減少しました。しかしながら、第3四半期には急速に需要が回復した北米市場向けの自動車シート用素材の販売の伸びが売上全体を大きく牽引し、その後、更に多くの分野で回復傾向がみられたことから、第4四半期の売上は第1四半期を上回る程度にまで回復しました。また販売全体の大きな落ち込みにより工場稼働率が低下して原価率が悪化することとなりました。
この結果、売上収益は100億円(前連結会計年度比12.6%減)、営業利益は4億6百万円(同56.5%減)、税引前当期損失は61百万円(前連結会計年度は税引前当期利益4億94百万円)、当期利益は35百万円(前連結会計年度比90.5%減)となりました。
用途別の売上収益の概況は、次のとおりであります。
家具用
家具用売上は第2四半期に前年比の半分程度まで落ち込みました。第3四半期も低調な販売が続いたものの、第4四半期には大手コントラクト家具メーカーの事業再開や、リモートワーク普及に伴うホームオフィス市場拡大によりコントラクト家具及び住宅用家具分野では力強い回復がみられました。一方でホスピタリティ分野を中心に、新規建築や内装プロジェクトの遅延やキャンセルは続いており、回復には時間が掛かることが見込まれます。市場や顧客の需要変化に対応して販売体制や商品構成を見直すとともに、デジタルマーケティングによる積極的な販売活動を継続しております。
この結果、家具用の売上収益は26億67百万円(同23.5%減)となりました。
自動車用
自動車用売上は米国自動車メーカーが操業を停止した第2四半期に大きく落ち込んだものの、第3四半期以降販売は堅調に推移しております。ギャップハイダーやシフトブーツ用製品の販売は第4四半期以降、回復傾向にあるものの、年間販売数量が減少しました。一方、シート用製品では主要顧客の堅調な販売、新規プログラム獲得により順調に販売を拡大し、自動車売上全体では増収となりました。
この結果、自動車用の売上収益は37億円(同12.3%増)となりました。
航空機用
航空機用売上は、第1四半期は順調に推移したものの、第2四半期以降売上の減少が続き、第4四半期も引き続き前年を大きく下回っております。旅客数の減少から、ビジネスジェット及び民間航空機の両分野において予定されていた新規及びメンテナンスの設備投資の多くが延期又はキャンセルされており、本傾向が長期間にわたって継続することが懸念されています。顧客との対話を継続してプログラムの維持・獲得に努めるとともに、高い抗菌性や簡易なメンテナンス等の新規需要に応える製品の販売拡大にも努めております。
この結果、航空機用の売上収益は7億57百万円(同28.7%減)となりました。
その他
その他の売上には、RV・ヘルスケア・手袋・アパレル・船舶用などが含まれます。第2四半期は前年比の半分程度まで販売が落ち込みました。第3四半期以降は大きなグループでの活動から家族単位での活動に消費者の嗜好変化したことを受け、RVや小型船舶向け製品の販売が大きく回復しました。一方、ヘルスケア分野では引き続き歯科医や小規模の病院の活動が制限されていることを受けて販売が低迷しており、ワクチンの普及による回復まで時間を要する見込みです。
この結果、その他の売上収益は28億75百万円(同20.0%減)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4億4百万円減少し、276億13百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより現金及び現金同等物が増加したものの、減価償却により有形固定資産、使用権資産、無形資産が減少したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ68百万円増加し、180億32百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による減少があったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより短期借入金が増加したことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ4億71百万円減少し、95億81百万円となりました。これは主に当期利益による増加があったものの、配当金の支払いによる減少及びその他の資本の構成要素の減少があったことによるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億1百万円増加し、30億49百万円(前年同期比110.5%増)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費の計上13億71百万円、短期借入れよる収入17億97百万円があったことに対し、税引前当期損失の計上61百万円、長期借入金の返済17億35百万円及び配当金の支払2億19百万円があったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は17億51百万円(同44.1%増)となりました。
これは主に減価償却費及び償却費13億71百万円、金融費用4億98百万円及び棚卸資産の減少2億28百万円があったことに対し、利息の支払額3億76百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1億41百万円(同53.8%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は31百万円(前年同期は7億7百万円の支出)となりました。これは主に短期借入れにより17億97百万円資金が増加したものの、長期借入金の返済により17億35百万円資金が減少したことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは単一事業のため、経営成績数値は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。
売上収益
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて民間航空機の大幅な運航停止、及び、多くの顧客の製造は販売の拠点が閉鎖されたこと等により販売が大きく落ち込み、前期対比で減収となりました。
・旅客数減少で予定していた新規及びメンテナンスの設備投資が延期又はキャンセルされて航空機用は失速
・新規建築や内装プロジェクトの遅延又はキャンセルで家具用が落ち込む
・歯科医院や小規模病院の活動制限によりヘルスケア用が低迷
・新規プログラムの獲得と共に急速に需要が回復して北米市場向け自動車シート用が伸長し全体を牽引
・大きなグループでの活動から家族単位での活動に消費者の嗜好が変化してRV・小型船舶用が大きく回復
・在宅勤務やデジタルマーケティング等、スムーズな働き方が定着したことで積極的な販売活動を継続
営業利益及び税引前当期利益
販売の落ち込みが大きく、品質問題もあって生産性が下がったため、販管費が減少したものの、前期比で大幅な減益となりました。
・生産量が減少したことにより工場稼働率が低下して製造原価が上昇
・設備投資やシステムインフラ強化プロジェクトを延期して費用削減
・在宅勤務の継続でマーケティングや販売の関連費用の減少
当期利益
・米国の新型コロナウイルス関連助成金の非課税措置により法人税額が減少
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4億4百万円減少し、276億13百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより現金及び現金同等物の増加したものの、減価償却により有形固定資産、使用権資産、無形資産が減少したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ68百万円増加し、180億32百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による減少があったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより短期借入金が増加したことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ4億71百万円減少し、95億81百万円となりました。これは主に当期利益による増加があったものの、配当金の支払いによる減少及びその他の資本の構成要素の減少があったことによるものです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により多様化する顧客ニーズに対応した設備投資を行うためのキャッシュ・フローの獲得を進めております。
当社グループは設備投資に必要な資金については自己資金の利用とともに、必要に応じて銀行借入金により調達しております。
資金の流動性については、金融機関との間に結んでいる当座貸越契約に加えセーフティネット保証融資や新型コロナウイルス感染症特別貸付等を活用することにより当連結会計年度に保有している30億49百万円の現金及び現金同等物を確保し、資金需要にタイムリーに対応ができる状況を維持しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループは2019年8月に公表した中期経営計画における2020年目標を売上収益127億円、営業利益16億円、当期利益8億60百万円、EBITDA29億円としておりました。
これに対し2020年の通期業績は売上収益100億00百万円、営業利益4億6百万円、当期利益は35百万円、EBITDA15億2百万円となり、目標を下回りました。主な要因は② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に記載のとおりです。
2020年の業績を踏まえ、2021年2月に2021年~2023年中期経営計画を公表しました。2023年の目標を売上収益145億円、営業利益21億円、当期利益は12億60百万円、EBITDA35億円と掲げ、目標達成に向けて①合成皮革のプレミアムブランドとしての地位を確立、②規模拡大、収益性改善による企業価値の増大、③製販が一体化したグループ総合力の強化を進めてまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績
当連結会計年度における世界経済は、3月以降に新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動抑制の影響を受けて急速に悪化し、極めて厳しい状況にありました。段階的な経済活動の再開により回復傾向にありましたが、新規感染者数には収束の兆しが見られないことから、引き続き予断を許さない状況にあります。
このような状況下、民間航空機の大幅な運航停止、及び、多くの顧客の製造や販売の拠点が閉鎖されたこと等により当社の第2四半期の売上は殆どの分野で大きく減少しました。しかしながら、第3四半期には急速に需要が回復した北米市場向けの自動車シート用素材の販売の伸びが売上全体を大きく牽引し、その後、更に多くの分野で回復傾向がみられたことから、第4四半期の売上は第1四半期を上回る程度にまで回復しました。また販売全体の大きな落ち込みにより工場稼働率が低下して原価率が悪化することとなりました。
この結果、売上収益は100億円(前連結会計年度比12.6%減)、営業利益は4億6百万円(同56.5%減)、税引前当期損失は61百万円(前連結会計年度は税引前当期利益4億94百万円)、当期利益は35百万円(前連結会計年度比90.5%減)となりました。
用途別の売上収益の概況は、次のとおりであります。
家具用
家具用売上は第2四半期に前年比の半分程度まで落ち込みました。第3四半期も低調な販売が続いたものの、第4四半期には大手コントラクト家具メーカーの事業再開や、リモートワーク普及に伴うホームオフィス市場拡大によりコントラクト家具及び住宅用家具分野では力強い回復がみられました。一方でホスピタリティ分野を中心に、新規建築や内装プロジェクトの遅延やキャンセルは続いており、回復には時間が掛かることが見込まれます。市場や顧客の需要変化に対応して販売体制や商品構成を見直すとともに、デジタルマーケティングによる積極的な販売活動を継続しております。
この結果、家具用の売上収益は26億67百万円(同23.5%減)となりました。
自動車用
自動車用売上は米国自動車メーカーが操業を停止した第2四半期に大きく落ち込んだものの、第3四半期以降販売は堅調に推移しております。ギャップハイダーやシフトブーツ用製品の販売は第4四半期以降、回復傾向にあるものの、年間販売数量が減少しました。一方、シート用製品では主要顧客の堅調な販売、新規プログラム獲得により順調に販売を拡大し、自動車売上全体では増収となりました。
この結果、自動車用の売上収益は37億円(同12.3%増)となりました。
航空機用
航空機用売上は、第1四半期は順調に推移したものの、第2四半期以降売上の減少が続き、第4四半期も引き続き前年を大きく下回っております。旅客数の減少から、ビジネスジェット及び民間航空機の両分野において予定されていた新規及びメンテナンスの設備投資の多くが延期又はキャンセルされており、本傾向が長期間にわたって継続することが懸念されています。顧客との対話を継続してプログラムの維持・獲得に努めるとともに、高い抗菌性や簡易なメンテナンス等の新規需要に応える製品の販売拡大にも努めております。
この結果、航空機用の売上収益は7億57百万円(同28.7%減)となりました。
その他
その他の売上には、RV・ヘルスケア・手袋・アパレル・船舶用などが含まれます。第2四半期は前年比の半分程度まで販売が落ち込みました。第3四半期以降は大きなグループでの活動から家族単位での活動に消費者の嗜好変化したことを受け、RVや小型船舶向け製品の販売が大きく回復しました。一方、ヘルスケア分野では引き続き歯科医や小規模の病院の活動が制限されていることを受けて販売が低迷しており、ワクチンの普及による回復まで時間を要する見込みです。
この結果、その他の売上収益は28億75百万円(同20.0%減)となりました。
② 財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4億4百万円減少し、276億13百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより現金及び現金同等物が増加したものの、減価償却により有形固定資産、使用権資産、無形資産が減少したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ68百万円増加し、180億32百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による減少があったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより短期借入金が増加したことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ4億71百万円減少し、95億81百万円となりました。これは主に当期利益による増加があったものの、配当金の支払いによる減少及びその他の資本の構成要素の減少があったことによるものです。
③ キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ16億1百万円増加し、30億49百万円(前年同期比110.5%増)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費の計上13億71百万円、短期借入れよる収入17億97百万円があったことに対し、税引前当期損失の計上61百万円、長期借入金の返済17億35百万円及び配当金の支払2億19百万円があったことによるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は17億51百万円(同44.1%増)となりました。
これは主に減価償却費及び償却費13億71百万円、金融費用4億98百万円及び棚卸資産の減少2億28百万円があったことに対し、利息の支払額3億76百万円があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1億41百万円(同53.8%減)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は31百万円(前年同期は7億7百万円の支出)となりました。これは主に短期借入れにより17億97百万円資金が増加したものの、長期借入金の返済により17億35百万円資金が減少したことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
用途別の名称 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比(%) | |
ポリウレタンレザー(百万円) | 5,854 | 86.6 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
用途別の名称 | 受注高 | 前年同期比(%) | 受注残高 | 前年同期比(%) | |
ポリウレタンレザー(百万円) | 10,539 | 94.0 | 1,977 | 137.5 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
用途別の名称 | 当連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) | 前年同期比(%) | |
ポリウレタンレザー(百万円) | 10,000 | 87.4 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは単一事業のため、経営成績数値は上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績」に記載のとおりであります。
当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。
売上収益
新型コロナウイルス感染症の影響を受けて民間航空機の大幅な運航停止、及び、多くの顧客の製造は販売の拠点が閉鎖されたこと等により販売が大きく落ち込み、前期対比で減収となりました。
・旅客数減少で予定していた新規及びメンテナンスの設備投資が延期又はキャンセルされて航空機用は失速
・新規建築や内装プロジェクトの遅延又はキャンセルで家具用が落ち込む
・歯科医院や小規模病院の活動制限によりヘルスケア用が低迷
・新規プログラムの獲得と共に急速に需要が回復して北米市場向け自動車シート用が伸長し全体を牽引
・大きなグループでの活動から家族単位での活動に消費者の嗜好が変化してRV・小型船舶用が大きく回復
・在宅勤務やデジタルマーケティング等、スムーズな働き方が定着したことで積極的な販売活動を継続
営業利益及び税引前当期利益
販売の落ち込みが大きく、品質問題もあって生産性が下がったため、販管費が減少したものの、前期比で大幅な減益となりました。
・生産量が減少したことにより工場稼働率が低下して製造原価が上昇
・設備投資やシステムインフラ強化プロジェクトを延期して費用削減
・在宅勤務の継続でマーケティングや販売の関連費用の減少
当期利益
・米国の新型コロナウイルス関連助成金の非課税措置により法人税額が減少
③ 当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ4億4百万円減少し、276億13百万円となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより現金及び現金同等物の増加したものの、減価償却により有形固定資産、使用権資産、無形資産が減少したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ68百万円増加し、180億32百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による減少があったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に備え金融機関より運転資金を借入れたことにより短期借入金が増加したことによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末に比べ4億71百万円減少し、95億81百万円となりました。これは主に当期利益による増加があったものの、配当金の支払いによる減少及びその他の資本の構成要素の減少があったことによるものです。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により多様化する顧客ニーズに対応した設備投資を行うためのキャッシュ・フローの獲得を進めております。
当社グループは設備投資に必要な資金については自己資金の利用とともに、必要に応じて銀行借入金により調達しております。
資金の流動性については、金融機関との間に結んでいる当座貸越契約に加えセーフティネット保証融資や新型コロナウイルス感染症特別貸付等を活用することにより当連結会計年度に保有している30億49百万円の現金及び現金同等物を確保し、資金需要にタイムリーに対応ができる状況を維持しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループは2019年8月に公表した中期経営計画における2020年目標を売上収益127億円、営業利益16億円、当期利益8億60百万円、EBITDA29億円としておりました。
これに対し2020年の通期業績は売上収益100億00百万円、営業利益4億6百万円、当期利益は35百万円、EBITDA15億2百万円となり、目標を下回りました。主な要因は② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容に記載のとおりです。
2020年の業績を踏まえ、2021年2月に2021年~2023年中期経営計画を公表しました。2023年の目標を売上収益145億円、営業利益21億円、当期利益は12億60百万円、EBITDA35億円と掲げ、目標達成に向けて①合成皮革のプレミアムブランドとしての地位を確立、②規模拡大、収益性改善による企業価値の増大、③製販が一体化したグループ総合力の強化を進めてまいります。