有価証券報告書-第54期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

【提出】
2019/03/28 15:40
【資料】
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【項目】
55項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、相次ぐ自然災害や原材料価格上昇などの影響を受けながらも、底堅い企業収益を背景に雇用・所得環境は改善し景気は拡大基調を継続いたしました。また、世界経済は米国と中国の貿易摩擦や新興国の景気減速など不確実性の高い状況はあるものの、米国において好調な景気状態が継続し、全体としては堅調に推移いたしました。
このような状況の下で当社グループは、グループ3社(ホールディングス、第一化成、ウルトラファブリックス)で1月をスタートする初めての年となり、販路の拡大や生産基盤の拡充・強化を注力課題として取り組んでまいりました。当社製品に対する旺盛な需要が続く中、第一化成では夏までラインの増強工事をしながらの生産となり、フル稼働生産に追われる期間も長く続きました。ウルトラファブリックスは順調なマーケティングを行い、4月にはドイツハンブルグでの航空機内装ショーでパートナーと共同で初めてブースを出展し、5月にはイギリスロンドンにショールームをオープンいたしました。製品開発面では、風の吹き荒れる鳥取砂丘のイメージに触発されたデザインを特徴とするUltraleather Tottoriを9月に発売し、再生可能資源で作られる製品への需要にも応えるべく、バイオベース製品の開発を進めてまいりました。
この結果、2018年12月期の売上収益は119億1百万円、営業利益は11億68百万円、税引前当期利益は6億72百万円となり、2018年11月14日に上方修正致しました業績予想との比較でいずれも上回る結果となりましたが、2019年12月期に導入予定の連結納税制度の影響等により当期利益は業績予想を若干下回り3億77百万円となりました。なお、2017年12月期は決算期を3月より12月に変更したことによる変則決算となるため、前年比情報は記載しておりません。
用途別の売上収益の概況は、次のとおりであります。
①家具用
当社のポリウレタンレザーはその風合いの良さ(柔らかさ)、通気性に代表される高い機能性、及び優れたデザイン性が評価され、北米を中心に椅子をはじめとしたハイエンドのオフィス家具に採用されております。ハイエンドの家具ではユーザーが素材を組み合わせることができますが、家具メーカーが当社製品専用のカタログを用意してくれることで販売につながってまいります。このビジネスモデルには、カタログに採用されるまでに長い時間がかかる一方、高品質とサービス向上により一度採用されると販売が長期間継続するという特徴があります。また当社製品はホテル、レストラン、劇場などで使用される家具、内装材にも使われております。
当期におきましては年初に生産がタイトな状況が続いたため、生産能力の向上を行い、年末にかけて通常の在庫レベルまで回復いたしました。
この結果、家具用の売上収益は33億71百万円となりました。
②自動車用
当社製品は製品の柔らかさに起因する低温特性の良さや光の反射が抑制されるといった外観の特徴から、従来ギアシフトブーツ等に使われてまいりました。最近になり摩耗強度や耐光性等特に自動車で素材に求められる機能が向上し、人が触ることから触感が重視されるシートを含む他の内装材での採用が増えております。また欧米の自動車メーカーでは、動物由来の素材を避けるトレンド(ヴィーガン)から本革以外の高級素材が内装材のオプションとして検討されており、この観点からも当社製品への注目も高まっております。
ギアシフトブーツ等従来用途の売上が堅調に推移する中、シート向けが伸長し全体を押し上げた結果、自動車用の売上収益は35億87百万円となりました。
③航空機用
航空機の内装材には機内の雰囲気を作り出すデザイン性に加え、高い難燃性が機能面で求められております。一般的に難燃性の上がる加工をすると素材が固くなる傾向がありますが、当社では難燃性と風合いが両立するような製品作りを行っております。また、燃費向上の観点から当社製品の特長の一つである軽さも注目されており、民間航空会社での様々な検討が進んでおります。
当期におきましては採用までのリードタイムの長い民間航空会社プログラムの検討を中心に行う中、既存プログラムの需要が旺盛で売上の増加に貢献いたしました。
この結果、航空機用の売上収益は10億83百万円となりました。
④その他
当社では用途別の個別ニーズに合わせてデザイン性、機能性、触感のバランスをとる製品開発を行い、幅広い分野における採用につなげております。上記の主要3分野に加え、スポーツ用手袋や衣料用素材、キャンピングカー、トラック、ボート等の内装材、医療用の椅子等にも当社製品が使われております。
当期においては生産能力との関係から幾つかの用途では受注の調整を行わざるを得ず、売上の減少を招きました。
この結果、その他の売上収益は38億60百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億32百万円減少し、12億48百万円となりました。これは主に長期借入れによる収入30億円があったことに対し、長期借入金の返済により12億10百万円、棚卸資産の増加により5億96百万円、有形固定資産の取得により15億63百万円等の支出があったことによるものであります。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は11億4百万円となりました。
これは主に税引前当期利益6億72百万円、減価償却費及び償却費10億円及び金融費用5億58百万円を計上したことに対し、棚卸資産の増加5億96百万円、利息の支払額4億56百万円及び法人所得税の支払額2億円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は16億42百万円となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1億19百万円となりました。これは主に長期借入れによる収入30億円に対し短期借入金の純減少額16億70百万円及び長期借入金の返済12億10百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループはポリウレタンレザーの専門メーカーであり、当該事業以外の異なる事業を営んでおりません。
当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。
用途別の名称当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
金額(百万円)
ポリウレタンレザー7,110

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.2017年12月期は決算期変更により2017年4月1日から2017年12月31日までの9ヶ月間であるため、前年同期比情報は記載しておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は次のとおりであります。
用途別の名称当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
受注高
(百万円)
受注残高
(百万円)
ポリウレタンレザー12,1141,685

(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.2017年12月期は決算期変更により2017年4月1日から2017年12月31日までの9ヶ月間であるため、前年同期比情報は記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。
用途別の名称当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
金額(百万円)
ポリウレタンレザー11,901

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.2017年12月期は決算期変更により2017年4月1日から2017年12月31日までの9ヶ月間であるため、前年同期比情報は記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。これらの見積り及び判断・評価は、過去の実績や状況に応じ合理的であると考えられる様々な要因等に基づき行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためにこれらと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは単一事業のため、売上収益の概況は「第2 事業の状況 1.業績等の概要」に記載のとおりであります。なお、2017年12月期は決算期を3月より12月に変更したことによる変則決算となるため、前年比情報は記載しておりません。
当連結会計年度の業績は以下の要因により実現いたしました。
売上収益:ドルベースで当初の中期経営計画を上回っており、自動車用シート向けの伸長が牽引しております。
営業利益:旺盛な需要対応して当社グループは拡大しておりますが、この体制を強化する間接部門コストの増加・生産ラインの2ライン化が実現したものの、稼働遅れにより人件費及び輸送コストが増加・品質向上を目的として販売費が増加したものの、株式報酬費用の減少、内部統制整備や組織再編に関連した外部委託費用が減少いたしました。