有価証券報告書-第21期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/28 14:15
【資料】
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【項目】
174項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
今後のわが国経済は、本年10月の消費増税による影響が懸念されるものの、企業収益や雇用・所得の改善などを背景に、緩やかな回復が続くものと期待されます。しかしながら、米中通商問題の動向が与える影響や中国経済の減速、英国のEU離脱を巡る混乱など、世界経済の先行き不透明感から、経営環境は予断を許さない状況が続くものと思われます。
当社グループを取り巻く事業環境につきましては、主要事業である国内セメント事業において、東京オリンピック・パラリンピック関連工事や都市部の再開発投資、防災・減災対策などによる需要が底堅く、今後はリニア中央新幹線関連工事向けの需要も期待されます。一方、人手不足の深刻化や原材料価格の高騰などの影響には引き続き留意が必要な状況です。
また米国経済は、企業収益や雇用環境が堅調に推移し、景気拡大が続くものと見込まれますが、政策運営への不透明感が高まる中で、今後の動向を注視する必要があります。
このような情勢の中で、当社グループは、2020年代半ばをイメージした「ありたい姿・目指す方向性」として「グループの総合力を発揮し、環太平洋において社会に安全・安心を提供する企業集団を目指す」ことを掲げ、持続的成長へ向けた中長期的な方向性を明確にした上で、その実現に至るまでを3つのステップに分けて積極的に取り組んでおります。2020年度までの3年間を実行期間とする「20中期経営計画」はその第2ステップとして位置付けており、本中期経営計画の2年目となる2019年度は、最終目標達成に向けて、以下の経営課題に対し精力的に取り組んでまいります。
(1) 20中期経営計画の基本方針
20中期経営計画では、以下の基本方針に基づき、強固な事業基盤の構築に向けて取り組んでまいります。
①将来の事業環境の変化を先取りし、あらゆる角度からのイノベーションを図り、成長に向けて前進する企業集団を構築する。
②社会基盤産業として、国土強靭化への取り組みに向けて、高品質な製品の安定供給、ソリューションの提供及び先進的な技術開発を通じて安全・安心社会の構築に貢献する。
③徹底的なコスト削減による既存事業の収益基盤の強化と財務体質の更なる改善を進めるとともに、当社グループの持続的な成長に資する成長分野への投資を積極的に実行する。
(2) 経営目標
20中期経営計画では、以下のとおり経営目標を設定し、強靭な収益基盤を構築してまいります。
<2020年度目標>売上高営業利益率 9%以上
ROA(経常利益) 8%以上
(3) 事業戦略
①既存事業の収益基盤強化と成長戦略の策定・実行
徹底的なコスト削減やプロセス・イノベーションの推進等を通じて収益基盤を強化するとともに、新たな価値創造と差別化により競争優位を追求してまいります。更に、収益力の創出に向けた成長投資を実行し、着実に事業戦略の実現に取り組むことで、社会課題の解決に貢献してまいります。
②国家的プロジェクトへの対応
今後本格化が見込まれる福島県の復旧・復興への取り組みや、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた様々なインフラ整備、その他大型インフラプロジェクトなどの国家的プロジェクトに対し、当社グループの強みを最大限に活かし総力を結集して、高品質な製品の安定供給とソリューションの提供を着実に実行してまいります。
(4) 研究開発戦略
各事業部門を支える成長のエンジンとして、グループ全体の成長に資する研究開発に取り組んでまいります。また、社会基盤産業としての社会課題解決の一翼を担う研究開発に注力するとともに、国家的プロジェクトへの対応として、必要とされる技術を的確に開発し提供してまいります。
(5) 経営基盤の強靭化
「CSR目標2025」で設定した目標の実現に向け、着実に取り組んでまいります。また、グローバル人材の確保・育成に取り組むとともに、働き方改革と健康経営の推進を通じて労働生産性の向上と快適な職場環境の構築に努めてまいります。更に、グループガバナンスの強化とコーポレートガバナンスの充実、選択と集中の継続、バリューチェーンの競争力強化などに取り組むことにより、経営基盤の強靭化を図ってまいります。