有価証券報告書-第90期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

【提出】
2015/06/24 15:57
【資料】
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【項目】
124項目

対処すべき課題

(次期の見通し)
世界経済においては、中国は成長ペースが鈍化しているものの、米国は堅調を維持し、欧州は景気の底入れが期待され、アセアン諸国は総じて緩やかに回復すると見込まれます。
日本経済は、消費税増税の影響が解消に向かい、徐々に回復する見込みです。
国内鉄鋼需要は、上期は全体的には堅調を維持するものの、建設分野の季節要因等や自動車分野の在庫調整の影響による需要の減少が想定されます。一方、下期は自動車需要や住宅着工の回復、設備投資の増加が期待され、需要の回復が見込まれます。こうした状況のもと、第1四半期については、需要家の皆様の在庫調整に対応するとともに、市中在庫の適正化を図るため、適切な減産調整を行う必要があります。
海外鉄鋼需要は、アセアン諸国では緩やかな増加が期待されるものの、中国では減少に転じており、原油市況の急落によりエネルギー関連需要が減速した影響等から、全体としては横ばいに留まると見込まれます。また、国際市況も、中国をはじめとした東アジアの鋼材供給過剰が続くなか、引き続き弱含みで推移すると予想されます。
こうしたなか、当社は、引き続き鋼材需給動向や原料価格動向等に注意を払うとともに、最大限のコスト改善を実行してまいります。そのうえで、需要家の皆様への提案力の強化や、海外における供給体制の充実を図るとともに、鋼材価格の改定につきまして、需要家の皆様に御理解いただけるよう丁寧な対応を継続していく所存です。
平成27年度の業績見通しにつきましては、主原料価格及び鋼材価格の動向が不透明であること等から、平成27年4月28日決算発表時点では当社として合理的な算定・予想を行うことができません。従いまして、平成27年度の業績予想については未定とし、合理的な算定が可能となった時点で速やかに開示致します。
(2017年中期経営計画)
当社グループは、前中期計画において、統合シナジーの早期・最大発揮による持続的な利益成長を目指すこととし、過去2年間、コストダウン、設備集約、海外下工程の投資、グループ会社統合再編等を推進することにより、着実に成果をあげてまいりました。
一方で、製鉄事業を取り巻く環境は、原油・原料価格、為替等の市況変動や世界各地で高まる地政学リスク等、様々な変化が予想されますが、これらへ的確に対応することが求められております。
当社グループは、こうした事業環境の変化や当社グループの課題に着実に対応し、「技術力」「コスト競争力」「グローバル対応力」を進化させ、揺るぎない『総合力世界No.1の鉄鋼メーカー』を実現するため、本年3月に、平成27年度から平成29年度を実行期間とする「2017年中期経営計画」を策定致しました。
当社グループは、この「2017年中期経営計画」に掲げた各種施策を着実に実行してまいります。
(注) 上記次期の見通しには、平成27年4月28日決算発表時点の将来に関する前提・見通し・計画に基づく予測や目標が含まれている。実際の業績は、今後様々な要因によって大きく異なる結果となる可能性がある。
(財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に関する事項)
当社は、財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を次のとおり定めております。
<当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の内容>当社グループは、常に世界最高の技術とものづくりの力を追求し、優れた製品・サービスの提供を通じて、社会の発展に貢献することを企業理念に掲げ、この理念に基づき具体的経営戦略を立案・遂行し、競争力・収益力を向上させることにより、企業価値ひいては株主共同の利益の向上を目指しております。
この企業理念、経営戦略が当社株式の大量買付け行為等によってゆがめられ、結果として株主共同の利益が損なわれることのないよう、当社は、必要な措置を講じることと致します。即ち、第三者から当社株式の大量買付け行為等の提案(以下、「買収提案」)がなされた場合、これを受け入れるか否かの最終的な判断は、その時点における株主の皆様に委ねられるべきものと考えており、株主の皆様が買収提案について必要な情報に基づき相当な検討期間をもって適切な判断を行えるよう、必要なルール及び手続きを定めております。
<基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要>当社は、平成18年3月開催の取締役会において全会一致で決議し、「当社株式の大量買付け等」を行おうとする者が具体的買付行為を行う前に経るべき手続きを明確かつ具体的に示した『株式の大量買付けに関する適正ルール(買収防衛策)』(以下、「適正ルール」)を導入しており、この適正ルールの更新条項に基づき、平成24年3月開催の取締役会において当該ルールの更新を全会一致で決議しております。その後、平成26年3月開催の取締役会において、適正ルールの規定に従い当該ルールの見直し検討を行い、特段の変更を行わないことを全会一致で決議しております。また、当社は、適正ルールに基づく新株予約権について発行登録を行っております。
適正ルールは、当社取締役会が買収提案を検討するために必要な情報と相当な期間を確保することにより、株主の皆様が買収提案に関し、インフォームド・ジャッジメント(必要な情報と相当な検討期間に基づいた適切な判断)を行えるようにすること、加えて、当社の企業価値及び株主共同の利益を損なうこととなる悪質な株券等の大量買付けを阻止することを目的としております。
当社の株券等を15%以上取得しようとする者(以下、「買収提案者」)がいる場合に、買収提案が適正ルールに定める要件(買収提案者による必要情報の提出及び検討期間の満了)を満たすときは、その時点における株主の皆様が、対抗措置である新株予約権の無償割当ての可否に関し直接判断を下す仕組みとなっております。新株予約権の無償割当ては、①買収提案者が適正ルールに定める手続きを無視した場合、②買収提案者が裁判例上悪質と特定されている4類型のいずれかに該当し、その買収提案が株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのあるものと判断される場合(当該判断は、国際的評価を得ている法律事務所及び投資銀行の助言等に基づいて行われます。)、及び③株主の皆様が新株予約権の無償割当てに賛同した場合に限られます。
なお、当社の適正ルールは、当社ホームページに掲載しております。
<上記取組みについての取締役会の判断及びその判断に係る理由>適正ルールは、買収提案がなされた場合に、対抗措置(新株予約権の無償割当て)を発動するか否かを、株主の皆様に、必要な情報と相当な検討期間に基づき判断していただくためのルール及び手続きを定めたものです。適正ルールは、買収提案を受け入れるか否かの最終的な判断を当社株主の皆様に委ねることにより、当社の企業価値及び株主共同の利益の確保・向上を図る目的のものであり、当社の株主の共同の利益を損なうものではなく、また、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものでもありません。以上から、当社取締役会は、適正ルールが上記「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針」に沿うものであると判断しております。