有価証券報告書-第112期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/23 16:00
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【項目】
123項目

対処すべき課題

今後のわが国経済の見通しにつきましては、日銀の追加緩和や先進国を中心とした協調的な財政政策の発動効果が期待されるものの、中国・アセアンなどの経済減速や昨年末以降の急激な円高の進行など国内景気の下振れリスクが高まってきております。
特殊鋼業界においては、「軽量化」「小型化」など自動車機構の変化、不安定な原材料価格、途上国を中心とした自動車生産・販売の増加トレンドとFCV(燃料電池車)をはじめとする次世代自動車の普及など、取り巻く環境は激しく変化しておりますが、当社グループとしても今が自らの変革の好機ととらえ、顧客ニーズへの対応や社会への貢献を確実に行ってまいります。
こうしたなか、当面の課題は、本年1月8日の爆発事故を忘れず、全社一丸となりゼロから再出発し、一日も早い復旧から復興を成し遂げ、さらに各機能強化への「ステップアップ」につなげていくことです。
そして、顧客の信頼と信用を取り戻し、“EVER BETTER(これまで以上)”の精神で基幹事業の競争力とオンリーワン技術・商品の強みをさらに強化し、2020年ビジョンに掲げた当社グループのありたい姿「世界中で選ばれる会社(Company of Choice Globally)」をめざしていきたいと考えております。
具体的には、以下の施策を中心に取り組んでまいります。
1)「安全・安心」の再構築
①よりやり易い作業への手順見直しと作業手順・ルール遵守のための徹底した教育による再発防止
②製造現場でのロックアウト化(不意の設備起動防止)やフェイルセーフ化による安心な場づくり
③顧客工程を含む在庫の一元・一貫管理と、生産リスクに備えたBCP(Business Continuity Plan:
事業継続の対応策)、BAP(Backup Action Plan:代替生産対応)の再構築
2)基幹事業の競争力強化
①2020年ビジョン達成を見据えてのZZZ200の着実な実行と原価の見える化の加速により収益力を強化
②4Sリエンジをはじめとする計画的設備投資のやり切りにより、整流化、モノづくり改革の効果を発揮
③開発初期段階からの顧客との協働により、「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に対応した着実なものづくり
3)グローバル展開の強化
①海外鍛造拠点の限量経営(限りある生産量、限りある資源で効率よく経営すること)の徹底による経営基盤の改革と安定収益の確保
②ウッシャー・マーティン社との提携強化により、グローバルでの鍛鋼一貫効果の実現
4)新事業による収益体質強化
①当社独自の「オンリーワン」技術・商品を活かした技術開発・新商品企画の積極的展開による次世代への対応
②ステンレス商品の特性や魅力の市場への浸透により、インフラ再構築や水素社会への対応
③電磁品のブランド力・安定供給体制など強みを活かしたビジネスの発掘・拡充により収益拡大