有価証券報告書-第150期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/17 11:15
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1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりである。
なお、会計基準アップデート2017-07「期間年金費用及び期間退職後給付費用の表示の改善」の適用に伴い、前連結会計年度は、組替え後の数値を記載している。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 概要
当連結会計年度の連結売上高は、2,725,243百万円(前連結会計年度比9.0%増)となった。利益については、営業利益は397,806百万円(前連結会計年度比48.2%増)となった。売上高営業利益率は前連結会計年度を3.9ポイント上回る14.6%となった。税引前当期純利益は、377,471百万円(前連結会計年度比29.4%増)、当社株主に帰属する当期純利益は256,491百万円(前連結会計年度比30.6%増)となった。
2018年度 実績前連結会計年度比
売上高2,725,243百万円9.0%増
建設機械・車両2,478,986百万円8.7%増
リテールファイナンス63,585百万円5.4%増
産業機械他203,235百万円9.6%増
消去△ 20,563百万円
セグメント利益399,393百万円33.2%増
建設機械・車両365,346百万円33.8%増
リテールファイナンス17,506百万円35.0%増
産業機械他18,637百万円30.0%増
消去又は全社△ 2,096百万円
営業利益397,806百万円48.2%増
税引前当期純利益377,471百万円29.4%増
当社株主に帰属する当期純利益256,491百万円30.6%増

② 為替レート変動の影響
当連結会計年度は前連結会計年度に比較し、主に米ドルに対して円高に推移した。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前連結会計年度比で約60億円減少したと試算される。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されている。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していない。
③ 売上高
売上高は前連結会計年度の2,501,107百万円と比較して9.0%増加の2,725,243百万円となった。国内売上高は前連結会計年度の396,061百万円と比較して2.0%増加の404,160百万円、海外売上高は前連結会計年度の2,105,046百万円と比較して10.3%増加の2,321,083百万円となった。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度比6.8%増加して1,885,163百万円となった。売上高に対する比率は69.2%と前連結会計年度比で1.4ポイント減少した。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比1.2%増加して440,687百万円となった。
なお、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前連結会計年度比0.2%減少して734億円となった。
⑤ 長期性資産等の減損
長期性資産等の減損は、前連結会計年度の6,629百万円と比較して5,378百万円減少の1,251百万円となった。前連結会計年度の長期性資産等の減損は、主として非償却無形固定資産及び有形固定資産の減損によるものである。
⑥ 営業権の減損
営業権の減損は、当連結会計年度に計上がなかったため、13,413百万円減少となった。
⑦ その他の営業収益(△費用)
その他の営業収益(△費用)は、前連結会計年度の11,354百万円の費用に対し336百万円の費用となった。前連結会計年度の費用は、主として別荘地管理事業の譲渡により認識した損失によるものである。
⑧ 営業利益
営業利益は以上の結果、前連結会計年度の268,503百万円と比較して48.2%増加の397,806百万円となった。
⑨ その他の収益(△費用)
受取利息及び配当金は、前連結会計年度の5,255百万円と比較して1,899百万円増加の7,154百万円となった。支払利息は、前連結会計年度の18,372百万円と比較して5,729百万円増加の24,101百万円となった。前連結会計年度の投資有価証券売却損益(純額)の49,083百万円の収益は、市場性のある持分証券の売却益である。
⑩ 税引前当期純利益
税引前当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の291,807百万円と比較して29.4%増加の377,471百万円となった。
⑪ 法人税等
法人税等は、前連結会計年度の86,387百万円と比較して20,212百万円増加の106,599百万円となった。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前連結会計年度29.6%から1.4ポイント減少し、当連結会計年度は28.2%となった。法定税率31.3%と実効税率28.2%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものである。
⑫ 持分法投資損益
持分法投資損益は、前連結会計年度の3,545百万円の利益と比較して234百万円増加の3,779百万円の利益となった。
⑬ 当期純利益
当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の208,965百万円と比較して65,686百万円増加の274,651百万円となった。
⑭ 非支配持分に帰属する当期純利益
非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツマーケティングサポートオーストラリア㈱等の収益が増加したことから、非支配持分に帰属する部分が増加し、前連結会計年度の12,555百万円と比較して5,605百万円増加の18,160百万円となった。
⑮ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の196,410百万円と比較して30.6%増加の
256,491百万円となった。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の208.25円から271.81円
となった。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の207.97円から271.51円となった。
⑯ セグメント利益の状況
(セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出している。)
建設機械・車両事業のセグメント利益は、北米、欧州・CIS、アジア・オセアニア等での売上高の増加や2017年4月より連結子会社に加わったコマツマイニング㈱において買収に係る一時費用の減少等があったことにより、前連結会計年度の273,019百万円と比較して92,327百万円増加の365,346百万円となった。
リテールファイナンス事業のセグメント利益は、中国で2016年度に貸倒引当金を計上した債権について回収が実現し、引当金の戻しを行ったこと等により、前連結会計年度の12,963百万円と比較して4,543百万円増加の17,506百万円となった。
産業機械他事業のセグメント利益は、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械の販売増加に加え、半導体市場でのエキシマレーザー関連製品の販売増加等により、前連結会計年度の14,333百万円と比較して4,304百万円増加の18,637百万円となった。
これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前連結会計年度の
299,899百万円と比較して99,494百万円増加の399,393百万円となった。
なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていないが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するた
めに表示している。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益の増加により、前連結会計年度に比べ54,154百万円増加し、202,548百万円の収入となった。 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入等により、187,204百万円の支出となった。前連結会計年度にジョイ・グローバル社買収に係わる支出が含まれているため、前連結会計年度に比べ190,541百万円の支出減となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払い等により、3,660百万円の支出となった。前連結会計年度は、上記ジョイ・グローバル社の買収資金の調達等により、243,949百万円の収入であった。
これらに為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ4,082百万円増加し、148,479百万円となった。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示している。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成している。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施している。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与える。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものであるが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合がある。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されている。
当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えている。
① 貸倒引当金
当社グループは、それぞれの顧客の財務状態等を含む多くの要素を考慮して最終的な実現可能性を判定し、債権の回収可能性を推定している。
当社グループは、過去の実績を含む顧客の信用情報をもとに、貸倒れが発生すると推定される金額の引当を計上している。顧客の信用状況は継続的に内外の情報を入手して分析を行い把握している。これまで実際に発生した貸倒れは、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると信じているが、債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財務状態に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
詳細は、連結財務諸表注記4に記載されている。
② 法人税等と繰延税金資産
当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っている。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上している。
繰延税金資産を計上するにあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要がある。
当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上している。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性がある。
また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な方法に基づき、50%超の可能性で認められる場合、財務諸表に認識している。その税務ポジションに関連する財務諸表への影響額は、税務当局との解決により50%超の可能性で実現が予想される最大金額で測定される。当社グループはその税務ポジションが有効的に解決されるまで、決算日ごとに持続可能性を検証し、見積りによる変動の影響を財務諸表へ反映させる。
当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断しているが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局の解釈等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
詳細は、連結財務諸表注記16に記載されている。
③ 長期性資産及び営業権の評価
当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施している。
当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定される。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出される。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定される。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上される。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定される。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価される。
当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回減損の検討を実施している。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識する。
現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
④ 金融商品の公正価値
主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価している。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものであるが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性がある。
市場性のある持分証券は、公正価額で評価されている。公正価額の変動は、当期純利益で認識している。
市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券は、減損による評価下げ後の帳簿価額に同一発行体の同一又は類似する投資の秩序ある取引での観察可能な価格の変動を加減算する方法により測定している。
関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断している。
現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性がある。
詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されている。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響される。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含む。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識する。
割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出される。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定される。
当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると信じているが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性がある。
当連結会計年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、年金債務及び年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりである。
仮定の変更変動率年金債務年金費用
割引率0.5%増/0.5%減226億円減/213億円増3億円減/3億円増
長期期待収益率0.5%増/0.5%減15億円減/15億円増

⑥ 今後適用となる新会計基準
米国財務会計基準審議会は、2016年2月に会計基準アップデート2016-02「リース」を発行した。同アップデートは、借手については、ほとんどすべてのリース契約に対して、貸借対照表上での使用権資産とリース負債の計上を要求している。貸手については、現行基準から概ね変更されていない。また、米国財務会計基準審議会は、リースの定義について修正を行った。加えて同アップデートは、質的及び量的開示の拡充を要求している。同アップデートは、2018年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用され、早期適用も認められる。当社グループは、現在、適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。
米国財務会計基準審議会は、2017年8月に会計基準アップデート2017-12「ヘッジ活動に関する会計処理の限定的改善」を発行した。同アップデートは、企業のリスク管理活動の経済的結果をより的確に財務諸表へ反映するため、特定の状況におけるヘッジ会計の適用を改善している。同アップデートは、ヘッジの有効部分と非有効部分を分けて測定・表示する要求事項を削除し、また、ヘッジ手段の公正価値変動全額をヘッジ対象から生じる損益と同一の損益計算書の表示科目に計上することを要求している。同アップデートは、2018年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用される。当社グループは、現在、適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結売上高は、2,725,243百万円(前連結会計年度比9.0%増)となった。建設機械・車両事業では、北米やアジア・オセアニアを中心に多くの地域で需要を着実に取り込んだことから、売上高は前連結会計年度を上回った。産業機械他事業では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械の販売が増加したこと等により、売上高は前連結会計年度を上回った。利益については、各地での売上げの増加や2017年4月より連結子会社に加わったコマツマイニング㈱において買収に係る一時費用の減少等があったことにより、営業利益は397,806百万円(前連結会計年度比48.2%増)となった。
当連結会計年度末は、売上債権やたな卸資産の増加等により、総資産は前連結会計年度末比265,681百万円増加の3,638,219百万円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末比120,103百万円増加の930,700百万円となった。株主資本は前連結会計年度末比151,042百万円増加の1,815,582百万円となった。これらの結果、株主資本比率は前連結会計年度末比0.5ポイント増加の49.9%となった。
② 流動性及び資金の源泉
<資金調達と流動性管理>当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針としている。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達の源泉を確保している。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及び外部より調達した資金を充当している。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバル・キャッシュ・プーリング、以下、「GCP」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCP参加会社は借入を行っている。当GCPにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当連結会計年度末現在の相殺金額は256,615百万円となっている。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっている。一部の連結子会社は、当連結会計年度末現在、金融機関との間に合計136,014百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は124,150百万円となっている。コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、当社で200,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で1,000百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ81,000百万円及び200百万米ドルとなっている。
当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有している。当社は2018年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録した。当連結会計年度末現在の未使用枠は100,000百万円となっている。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当連結会計年度末現在の残高は158,708百万円である。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて20億米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できる。当連結会計年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は111,101百万円である。
当連結会計年度末現在、当社グループの短期債務残高は404,659百万円となり、前連結会計年度末に比べて145,566百万円増加した。短期債務は主に銀行借入であり、運転資金等に使用されている。
当連結会計年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は526,041百万円で、前連結会計年度末に比べて25,463百万円減少した。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等254,615百万円、無担保社債158,708百万円、EMTN111,101百万円、キャピタルリース債務1,617百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されている。
当連結会計年度末現在のキャピタルリース債務を含めた有利子負債残高は前連結会計年度末比120,103百万円増加の930,700百万円となり、更に現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前連結会計年度末比116,150百万円増加の779,890百万円となった。これらに加え株主資本が増加した結果、当連結会計年度末現在のネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット有利子負債と株主資本の比率)は前連結会計年度末の0.40に対して0.43となった。
当連結会計年度末現在、流動資産は1,968,960百万円となり、前連結会計年度末に対し、171,369百万円増加し、また流動負債は1,082,139百万円となり、前連結会計年度末に対し92,478百万円増加した。その結果、流動比率は182.0%と前連結会計年度末に対し0.3ポイント増加となった。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループは、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えている。
なお、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は148,479百万円であり、そのうち119,169百万円は海外子会社が保有している。
当社グループは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス及び㈱格付投資情報センターから信用格付を取得している。当連結会計年度末現在、当社の発行体格付けは、スタンダード&プアーズ:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:A2(長期)、Prime-1(短期)、㈱格付投資情報センター:AA-(長期)、a-1+(短期)となっている。
<設備投資>建設機械・車両事業では、主に生産性向上のための設備投資及び循環事業強化のための設備投資等を行った。リテールファイナンス事業では、賃貸用資産に係る設備投資等を行った。産業機械他事業では、老朽設備更新等のための設備投資を行った。これらの結果、当連結会計年度の設備投資額は179,210百万円と前連結会計年度比33,542百万円の増加となった。
<契約上の債務>当連結会計年度末現在の契約上の債務は次のとおりである。
期間別支払見込額(百万円)
合計1年以内1-3年3-5年5年超
短期債務404,659404,659
長期債務
(キャピタルリース債務を除く)
524,42452,847199,846229,20442,527
キャピタルリース債務1,617709760148
オペレーティングリース債務29,4678,62010,2845,4885,075
有利子負債に関する利息
(キャピタルリース債務を含む)
42,62216,42819,4086,186600
年金及びその他の退職給付債務4,9264,926
合計1,007,715488,189230,298241,02648,202

(注)1. 長期債務の公正価額の調整額はない。
2. 有利子負債に関する利息は、当連結会計年度末現在有効な利率に基づき計算されている。
3. 年金及びその他の退職給付債務は、2020年度以降の拠出額は未確定であるため、2019年度に生じるものだけを記載している。
なお、当連結会計年度末現在の設備発注残高は、約29,300百万円である。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<建設機械・車両事業セグメント>建設機械・車両事業の売上高は前連結会計年度を8.7%上回る2,478,986百万円となった。
2015年2月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を着実に推進し、これまでに7,500を超える現場に導入した。同事業については、2018年5月より新サービス
「EverydayDrone」を開始し、自動運航する専用ドローンと現場で高速にデータ処理ができるエッジコンピューティングを使うことで、これまで丸1日かかっていた現場の3D現況測量データ生成を約20分で完了させる等、現場の進捗管理を日々可能にした。10月には、アジア最大級の規模を誇る国際展示会「CEATEC JAPAN 2018」に初出展し、「もっと安全で、もっと生産性の高い、もっとスマートな未来の現場」をテーマに、開発中の自律稼働建機や5Gを用いた遠隔操縦技術等、「スマートコンストラクション」の新しい挑戦を紹介した。今後は、これらの技術の早期実用化へ向けた研究開発等を進め、安全と生産性を高めた「未来の現場」の実現を加速させていく。
また、2019年3月、コマツ中近東㈱の本社敷地内に「ドバイトレーニング&デモンストレーションセンタ」を開設した。本施設は、代理店に必要な営業、サービス、運転操作等様々なトレーニングに加え、販売促進として、お客様向けの商品デモンストレーションや試乗、オペレーター向けのトレーニング等、幅広い用途に対応していく。今後、本施設を活用し、中近東・アフリカ地域における事業拡大に向けて代理店の人材育成を強化していく。
(以下、地域別売上高は外部顧客向け売上高を表示している。)
(日本)
災害復興等によるレンタル需要の増加があったものの、2017年9月に施行された新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減等の影響により、売上高は前連結会計年度を0.9%下回る312,791百万円となった。
(米州)
北米では、エネルギー関連やインフラ工事関連を中心に一般建機・鉱山機械ともに需要が引き続き好調であり、売上高は前連結会計年度を13.7%上回る612,245百万円となった。また、中南米では、アルゼンチンにおいて経済情勢悪化に伴い需要が減少したものの、ブラジルでの需要が増加したこと等により売上高は前連結会計年度を3.4%上回る325,605百万円となった。
(欧州・CIS)
欧州では、主要市場であるドイツや英国、フランスを中心に需要が堅調であり、売上高は前連結会計年度を15.0%上回る207,570百万円となった。CISでは、一般建機・鉱山機械ともに需要が引き続き好調であり、売上高は前連結会計年度を24.0%上回る134,643百万円となった。
(中国)
全国的にインフラ工事関連に伴う需要が増加したものの、下期に大きく減速したこと等から、売上高は前連結会計年度並みの164,803百万円となった。
(アジア・オセアニア)
アジアでは、最大市場であるインドネシアにおいて伸び率は鈍化したものの、一般建機・鉱山機械の需要が増加したこと等から、売上高は前連結会計年度を13.5%上回る339,008百万円となった。オセアニアでは、一般建機・鉱山機械ともに需要が引き続き好調であり、売上高は前連結会計年度を18.5%上回る215,603百万円となった。
(中近東・アフリカ)
中近東では、イエメンの内戦に伴う各国政府の緊縮財政の影響等により公共工事の需要が減少したことや、トルコの通貨安の影響もあり、売上高は前連結会計年度を23.4%下回る30,290百万円となった。アフリカでは、南アフリカでの鉱山機械の需要が増加したものの、他地域での需要減少の影響等により、売上高は前連結会計年度を0.4%下回る124,102百万円となった。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比125,141百万円増加の2,559,432百万円となった。
なお、建設機械・車両事業全体の生産規模は、前連結会計年度比9.4%増加し、約2兆6,380億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。
<リテールファイナンス事業セグメント>リテールファイナンス事業では、前連結会計年度にチリでのリース契約の中途解約に伴う中古車売上という特異要因があったものの、北米等において増収となり、売上高は前連結会計年度を5.4%上回る63,585百万円となった。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比113,629百万円増加の842,147百万円となった。
<産業機械他事業セグメント>産業機械他事業では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械の販売増加に加え、半導体市場でのエキ
シマレーザー関連製品の販売増加等により、売上高は前連結会計年度を9.6%上回る203,235百万円となった。
コマツ産機㈱では、2018年12月に新型レベラーフィーダ「SF100H-1」を発売しました。当該機は、搬送能力を高めるとともに、2018年3月に発売した新型サーボプレス「H2FM」との完全同期運転に対応している。プレスとレベラーフィーダが一体となって機能する構造等により、簡易な操作で従来機比約30%の生産性向上を実現した。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比3,057百万円減少の206,419百万円となった。
なお、産業機械他事業全体の生産規模は、前連結会計年度比3.0%減少し、約2,004億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
2019年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、最終年の3年目の実績は順調に推移した。当連結会計年度の売上高成長率は前連結会計年度比+9.0%となった。売上高営業利益率は14.6%となり、前連結会計年度の10.7%から更に改善した。ROEは14.7%となり、前連結会計年度の12.1%から2.6ポイント改善し、目標である10%レベルを上回った。リテールファイナンス事業については、ROAは2.2%となり、目標を上回った。ネット・デット・エクイティ・レシオは、3.64倍となり、引き続き5倍以下となった。
3年間の平均で設定されている経営目標に対してはリテールファイナンス事業のROAを除く全ての目標を達成した。成長性では、対前年売上高成長率の3年平均は+15.0%となり、成長率は業界水準を超えた。収益性も営業利益率の3年平均は11.7%となり、業界トップレベルの営業利益率を達成した。効率性についてもROEの3年平均が11.4%となり、10%を超える水準を達成した。リテールファイナンス事業については、ROAは目標を達成できなかったが、ネット・デット・エクイティ・レシオは5倍以下を維持することができた。
経営目標年度指標2018年度2016-18年度*1
成長性業界水準を超える成長率を目指す。売上高成長率9.0%15.0%
収益性業界トップレベルの営業利益率を目指す。営業利益率14.6%11.7%
効率性ROE*2は10%レベルを目指す。ROE14.7%11.4%
株主還元①成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買い
を含む)とのバランスをとる。
連結配当性向40.5%43.0%
②連結配当性向を40%以上とし、60%を超えない限り減配
はしない。
健全性業界トップレベルの財務体質を目指す。ネット・デット・
エクイティ・
レシオ*3
0.430.34

リテールファイナンス事業①ROA*4 2.0%以上ROA2.2%1.6%
②ネット・デット・エクイティ・レシオを5倍以下ネット・デット・
エクイティ・
レシオ
3.643.60

*1 2016-18の各年度の平均にて算出
*2 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*3 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*4 ROA=税引前当期純利益/((期首総資産+期末総資産)/2)