有価証券報告書-第151期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

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2020/06/29 13:08
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1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況は次のとおりである。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 概要
当連結会計年度の連結売上高は、2,444,870百万円(前連結会計年度比10.3%減)となった。利益については、営業利益は250,707百万円(前連結会計年度比37.0%減)となった。売上高営業利益率は前連結会計年度を4.3ポイント下回る10.3%となった。税引前当期純利益は、223,114百万円(前連結会計年度比40.9%減)、当社株主に帰属する当期純利益は153,844百万円(前連結会計年度比40.0%減)となった。
2019年度 実績前連結会計年度比
売上高2,444,870百万円10.3%
建設機械・車両2,211,263百万円10.8%
リテールファイナンス70,910百万円11.5%
産業機械他177,586百万円12.6%
消去△14,889百万円-
セグメント利益255,030百万円36.1%
建設機械・車両227,311百万円37.8%
リテールファイナンス12,673百万円27.6%
産業機械他13,703百万円26.5%
消去又は全社1,343百万円-
営業利益250,707百万円37.0%
税引前当期純利益223,114百万円40.9%
当社株主に帰属する当期純利益153,844百万円40.0%

② 為替レート変動の影響
当連結会計年度は前連結会計年度に比較し、為替レートが主に米ドル、ユーロ、豪ドルに対して円高に推移した。為替レートの変動により、建設機械・車両事業のセグメント利益は前連結会計年度比で約106億円減少したと試算される。為替レート変動の影響は、各社の外貨建取引額に各為替レートの変動を乗じて算出した金額の合計として試算されている。為替レート変動に対応した販売価格変更の影響は考慮していない。
③ 売上高
売上高は前連結会計年度の2,725,243百万円と比較して10.3%減少の2,444,870百万円となった。国内売上高は前連結会計年度の404,160百万円と比較して1.9%減少の396,584百万円、海外売上高は前連結会計年度の2,321,083百万円と比較して11.8%減少の2,048,286百万円となった。
④ 売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度比7.2%減少して1,749,048百万円となった。売上高に対する比率は71.5%と前連結会計年度比で2.3ポイント増加した。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度並みの440,792百万円となった。
なお、売上原価、販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は、前連結会計年度比1.8%増加して747億円となった。
⑤ 長期性資産等の減損
長期性資産等の減損は、前連結会計年度の1,251百万円と比較して1,943百万円増加の3,194百万円となった。当連結会計年度の長期性資産等の減損は、主として非償却無形固定資産及び有形固定資産の減損によるものである。
⑥ 営業権の減損
営業権の減損は、前連結会計年度に計上がなかったため、3,699百万円増加の3,699百万円となった。
⑦ その他の営業収益(△費用)
その他の営業収益(△費用)は、前連結会計年度の336百万円の費用に対し2,570百万円の収益となった。
⑧ 営業利益
営業利益は以上の結果、前連結会計年度の397,806百万円と比較して37.0%減少の250,707百万円となった。
⑨ その他の収益(△費用)
受取利息及び配当金は、前連結会計年度の7,154百万円と比較して224百万円増加の7,378百万円となった。支払利息は、前連結会計年度の24,101百万円と比較して491百万円増加の24,592百万円となった。
⑩ 税引前当期純利益
税引前当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の377,471百万円と比較して40.9%減少の223,114百万円となった。
⑪ 法人税等
法人税等は、前連結会計年度の106,599百万円と比較して43,726百万円減少の62,873百万円となった。税引前当期純利益に対する法人税等の比率(実効税率)は、前連結会計年度並みの28.2%となった。法定税率31.3%と実効税率28.2%との差異は、海外子会社の適用税率の差異等によるものである。
⑫ 持分法投資損益
持分法投資損益は、前連結会計年度の3,779百万円の利益と比較して336百万円減少の3,443百万円の利益となった。
⑬ 当期純利益
当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の274,651百万円と比較して110,967百万円減少の163,684百万円となった。
⑭ 非支配持分に帰属する当期純利益
非支配持分に帰属する当期純利益は、コマツマーケティングサポートオーストラリア㈱等の収益が減少したことから、非支配持分に帰属する部分が減少し、前連結会計年度の18,160百万円と比較して8,320百万円減少の9,840百万円となった。
⑮ 当社株主に帰属する当期純利益
当社株主に帰属する当期純利益は以上の結果、前連結会計年度の256,491百万円と比較して40.0%減少の
153,844百万円となった。1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の271.81円から162.93円
となった。潜在株式調整後1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の271.51円から162.80円となった。
⑯ セグメント利益の状況
(セグメント利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出している。)
建設機械・車両事業のセグメント利益は、販売価格の改善に取り組んだものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を含む販売量減少や地域構成差、円高の影響等により、前連結会計年度の365,346百万円と比較して138,035百万円減少の227,311百万円となった。
リテールファイナンス事業のセグメント利益は、中国での債権回収に関する引当金戻し益がなくなったこと等もあり、前連結会計年度の17,506百万円と比較して4,833百万円減少の12,673百万円となった。
産業機械他事業のセグメント利益は、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械は新型コロナウイルス感染拡大の影響も含め需要が減少したことに加え、半導体市場向けエキシマレーザー関連製品の需要減少もあり、前連結会計年度の18,637百万円と比較して4,934百万円減少の13,703百万円となった。
これらに、全社及びセグメント間取引消去を差し引いたセグメント利益(連結)は、前連結会計年度の
399,393百万円と比較して144,363百万円減少の255,030百万円となった。
なお、セグメント利益(連結)は米国会計基準に則っていないが、財務諸表利用者に有益な情報を提供するた
めに表示している。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、当期純利益が減少したものの、受取手形及び売掛金の回収が進んだこと等により、前連結会計年度に比べ92,633百万円増加し、295,181百万円の収入となった。 投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の購入は減少したものの、子会社株式の取得が増加したことにより、前連結会計年度に比べ3,726百万円支出が増加し190,930百万円の支出となった。
財務活動によるキャッシュ・フローは、コマーシャル・ペーパーの発行等による資金調達はあったものの、配当金の支払い等があったため、3,457百万円の支出となった。前連結会計年度は、配当金の支払い等により、3,660百万円の支出であった。
これらに為替変動の影響を加えた結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ99,137百万円増加し、247,616百万円となった。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、事業の種類別セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため生産、受注及び販売の実績については、「2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」における各事業の種類別セグメント業績に関連付けて示している。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものである。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に準拠して作成している。作成にあたって当社のマネジメントは、知り得る限りの情報に基づいて妥当であると考えられる見積りや判断を継続して実施している。これらの見積りや判断は、連結財務諸表において、決算日の資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値及び偶発資産・債務の開示情報に影響を与える。これらの見積りや判断は、当社グループの過去からの経験、既存の諸契約の内容、業界動向の分析、顧客からの情報、その他の外部からの情報に基づいているものであるが、その性質上、内在する不確実性の度合いが影響するため、実際の結果はこれらと異なる場合がある。当社の重要な会計方針は、連結財務諸表注記1に記載されている。
新型コロナウイルス感染症は経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等は不透明であるが、当社グループは2020年度の一定期間にわたり当該影響が継続するとの仮定のもと、会計上の見積りの中でも比較的重要性のある繰延税金資産の回収可能性の判断、長期性資産及び営業権の減損の判定を行っている。なお、当社グループは入手可能な情報に基づいて最善の見積りを行っているが、今後の実際の推移がこの仮定と乖離する場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性がある。
当社は特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表等に重要な影響を及ぼすと考えている。
① 貸倒引当金
当社グループは、それぞれの顧客の財務状態等を含む多くの要素を考慮して最終的な実現可能性を判定し、債権の回収可能性を推定している。
当社グループは、過去の実績を含む顧客の信用情報をもとに、貸倒れが発生すると推定される金額の引当を計上している。顧客の信用状況は継続的に内外の情報を入手して分析を行い把握している。これまで実際に発生した貸倒れは、当社グループが予測し、計上した引当金の範囲内であり、当社のマネジメントは、当社グループの見積りが妥当であると信じているが、債権の種類の構成が変化したり、予見できない大きな経済環境の変動により顧客の財務状態に変化が生じるような場合、見積りを変更する必要が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
詳細は、連結財務諸表注記4に記載されている。
② 法人税等と繰延税金資産
当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、各構成単位で納税地の税法に基づいて法人所得税・未払法人税の見積りを行っている。また、繰越欠損金や税務上と会計上の取扱いの違いにより生じる一時差異については、税効果計算を実施し、連結貸借対照表に繰延税金資産・負債を計上している。
繰延税金資産を計上するにあたっては、これらが将来の課税所得や有効な税務計画により実現されることの確実性を検証する必要がある。
当社のマネジメントは、取締役会で承認された経営計画や、期中での各社からの経営報告、将来の市場状況、実行性の高い税務戦略等に基づき、将来の課税所得を推定し繰延税金資産の回収可能性を判断しており、実現できないと考えられる部分については評価性引当金を計上している。将来の課税所得あるいは課税時期に関する当社のマネジメントの判断が変わることにより、評価性引当金が変動する可能性がある。
また、当社グループは、税務ポジションの不確実性から生じる影響額については、税務上の技術的な方法に基づき、50%超の可能性で認められる場合、財務諸表に認識している。その税務ポジションに関連する財務諸表への影響額は、税務当局との解決により50%超の可能性で実現が予想される最大金額で測定される。当社グループはその税務ポジションが有効的に解決されるまで、決算日ごとに持続可能性を検証し、見積りによる変動の影響を財務諸表へ反映させる。
当社のマネジメントは、計上した繰延税金資産(評価性引当金控除後)全額が実現可能であり、認識された不確実性のあるすべての主要な税務ポジションは瑕疵なく持続していると判断しているが、経営計画が実現できず、将来の課税所得の見積りが大幅に減少する場合や、関連する税務当局の解釈等、これらの判断が結果として現実と異なる場合には、評価性引当金や認識すべき財務諸表への影響額を見直す必要があり、追加の税金費用が発生することで当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
詳細は、連結財務諸表注記16に記載されている。
③ 長期性資産及び営業権の評価
当社グループは長期性資産に関して、経営環境の変化により、将来その資産から生み出されるキャッシュ・フローが減少するなど、帳簿価額相当額を回収することができないと判断されるような事象や状況の変化が生じた場合には、減損に関する検討を実施している。
当社グループが保有しかつ使用している資産の回収可能性は、帳簿価額とその資産から生じる割引前将来キャッシュ・フローとの比較で判定される。この割引前将来キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出される。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定される。もし、資産の帳簿価額が割引前将来キャッシュ・フローを上回り、回収可能性が認められずその資産が減損状態であると判定された場合、帳簿価額が公正価値を上回った額が減損額として測定され計上される。公正価値は、主に市場において想定されるキャッシュ・フローの変動リスクを考慮した加重平均資本コストを割引率として使用する割引後将来キャッシュ・フローモデル、あるいは独立した鑑定評価で測定される。処分予定の長期性資産については、帳簿価額と公正価値から処分のためのコストを差し引いた額とのいずれか低い方で評価される。
当社グループは営業権については、少なくとも各年度に1回、又は減損の可能性を示す事象や、状況の変化が生じた時点で減損の検討を実施している。
報告単位の公正価値の測定にあたっては、通常、割引後将来キャッシュ・フローモデルにより算定している。将来見積キャッシュ・フローは、承認された経営計画に基づき算出される。この経営計画は、外部調査機関や顧客からの情報をもとにした市場予測により売上量を推定し、それを前提に販売価格の変動、製造原価、販売費及び一般管理費の変動等マネジメントの最良の判断による推定を可能な限り織り込んで策定される。報告単位の帳簿価額が公正価値を上回る場合、その報告単位に配分された営業権の帳簿価額を限度とし、当該差額を営業権の減損損失として認識する。
現状では、長期性資産及び営業権については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、経営戦略の変更、市場の変化があった場合には、その資産から将来得られるキャッシュ・フローの予想や公正価値の算出に影響し、長期性資産及び営業権の回収可能性の評価判断が変更となり、当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性がある。
④ 金融商品の公正価値
主に外国為替予約や金利スワップ契約等のデリバティブ金融商品の公正価値は、市場で観察可能なインプットに基づいた業者からの情報をもとに評価している。この公正価値の情報は、特定のある時点での適切な市場の情報と商品についての情報に基づいて推定されるものであるが、これらの推定はその性格上、市場の不確実性を含んでいるため、実際の結果と異なってくる可能性がある。
市場性のある持分証券は、公正価額で評価されている。公正価額の変動は、当期純利益で認識している。
市場性がなく、容易に算定可能な公正価値がない持分証券は、1株当たり純資産価値で評価する方法、もしくは減損による評価下げ後の帳簿価額に同一発行体の同一又は類似する投資の秩序ある取引での観察可能な価格の変動を加減算する方法により測定している。
関連会社に対する投資の公正価値については、公正価値の下落があった場合、それが一時的かどうかについて、下落の期間や程度、被投資会社の財政状態及び業績予想等を考慮して判断している。
現状では、投資有価証券あるいは関連会社に対する投資については、重要な追加の減損の発生はないと考えているが、将来の経済環境の変化によっては投資先の企業の業績が悪化し、減損を認識する可能性がある。
詳細は、連結財務諸表注記20、21、22に記載されている。
⑤ 退職給付債務及び費用
当社グループの年金債務及び年金費用の額は、算出時に使用した仮定に影響される。これらの仮定は連結財務諸表注記12に記載されており、割引率、長期期待収益率、平均報酬水準増加率等を含む。当社グループは、仮定と実績が乖離した場合には、その差額を累積し従業員の平均残存勤務年数にわたって償却を実施する事で、将来の期間にわたり、費用として認識する。
割引率は、現在かつ年金受給が満期となる間に利用可能と予想される信用度の高い固定利付き債券の利率に基づいて算出される。また、長期期待収益率は、投資対象の様々な資産カテゴリー別に将来収益に対する予測や過去の運用実績を考慮し決定される。
当社グループは、これらの仮定は妥当なものであると信じているが、重要な実績との乖離もしくは重要な仮定の変化があった場合、年金債務と将来の費用に影響を与える可能性がある。
当連結会計年度末の当社グループの年金制度において、割引率又は長期期待収益率が0.5%変動した場合、年金債務及び年金費用に及ぼす影響は、その他すべての仮定を一定とすると、それぞれ以下のとおりである。
仮定の変更変動率年金債務年金費用
割引率0.5%増/0.5%減245億円減/262億円増2億円減/3億円増
長期期待収益率0.5%増/0.5%減-15億円減/15億円増

⑥ 今後適用となる新会計基準
米国財務会計基準審議会は、2016年6月に会計基準アップデート2016-13「金融商品-信用損失:金融商品に関する信用損失の測定」を発行した。同アップデートは、多くの金融資産について、現行の発生損失モデルではなく予想信用損失モデルに基づいて損失を認識することを要求している。予想信用損失モデルでは、対象となる金融資産の残存期間に発生することが見込まれる予想信用損失をただちに認識することになる。当初同アップデートは、米国証券取引委員会(SEC)に登録していない企業においては、2020年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用される予定であったが、米国財務会計基準審議会は、2019年11月に適用日の変更を行い、同アップデートは、2022年12月16日以降開始する連結会計年度及びその四半期連結会計期間から適用されることとなった。なお、早期適用も認められている。同アップデートは、適用開始期間の期首の利益剰余金で累積影響額を調整する修正遡及適用アプローチにより適用される。当社グループは、現在、適用時期及び適用による財政状態及び経営成績に与える影響について検討中である。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の連結売上高は、2,444,870百万円(前連結会計年度比10.3%減)となった。建設機械・車両事業では、アジアをはじめとする戦略市場での需要減少に加え、当第4四半期連結会計期間には、新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要が減少した地域もあり、売上高は前連結会計年度を下回った。産業機械他事業では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械は新型コロナウイルス感染拡大の影響も含め需要が減少したことに加え、半導体市場向けエキシマレーザー関連製品の需要減少もあり、売上高は前連結会計年度を下回った。利益については、販売価格の改善に取り組んだものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響を含む販売量減少や地域構成差、円高の影響等により、営業利益は250,707百万円(前連結会計年度比37.0%減)となった。
当連結会計年度末は、手元流動性を確保するために現金を積増したことに加え、新会計基準の適用によりオペレーティングリース使用権資産を新たに連結貸借対照表上に認識した一方、売上債権やたな卸資産が減少したことにより、総資産は前連結会計年度末比15,467百万円増加の3,653,686百万円となった。有利子負債残高は、前連結会計年度末比81,678百万円増加の1,012,378百万円となった。株主資本は前連結会計年度末比43,976百万円減少の1,771,606百万円となった。これらの結果、株主資本比率は前連結会計年度末比1.4ポイント減少の48.5%となった。
② 流動性及び資金の源泉
<資金使途の考え方>当社グループは、持続的な企業価値の増大を目指して、外部環境の変化や需要変動に左右されない健全な財務体質の構築と競争力強化に努めている。資金を成長のための投資、バランスシート改善(財務健全性維持)、株主還元にバランスよく配分して、総合指標であるROE(自己資本利益率)をモニタリングしている。想定される株主資本コストを上回るROE10%以上を経営目標として、ROE向上と株主資本コスト低減の両面からエクイティ・スプレッド(ROE-株主資本コスト)の拡大に取り組んでいる。
0102010_010.jpg<資金調達と流動性管理>当社グループは、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを財務の基本方針と
している。この方針に従い、当社グループは金融機関借入、社債等の発行、融資枠の設定等、様々な資金調達
の源泉を確保している。設備投資資金及び運転資金については、営業活動から得られたキャッシュ・フロー及
び外部より調達した資金を充当している。更に、当社グループの資金の効率性を高めるため、海外子会社を含
めたグループ間のキャッシュマネジメントシステム(グローバル・キャッシュ・プーリング、以下、「GCP」)を特定の金融機関と構築しており、特定の金融機関に対する預入総額を上限にGCP参加会社は借入を行っている。当GCPにおいては、預入金及び借入金の残高を相殺できる条項が含まれており、当連結会計年度末現在の相殺金額は267,138百万円となっている。
短期資金需要に対しては、営業活動から得られたキャッシュ・フローを主として充当し、必要に応じ銀行借
入及びコマーシャル・ペーパーの発行等でまかなっている。一部の連結子会社は、当連結会計年度末現在、金
融機関との間に合計133,945百万円のコミットメントライン契約を締結して代替流動性を確保しており、その未使用枠は112,135百万円となっている。これに加え、新型コロナウイルス感染拡大に対する流動性確保の取り組みとして、当連結会計年度末後の2020年4月16日の取締役会決議に基づき、当社は300,000百万円のコミットメントライン契約を締結している。また2020年5月22日の取締役会決議に基づき、当社及びコマツアメリカ㈱で合わせて1,300百万米ドルのコミットメントライン契約を締結している。コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、当社で300,000百万円、コマツファイナンスアメリカ㈱で1,000百万米ドルのプログラムを保有しており、未使用枠はそれぞれ93,000百万円、100百万米ドルとなっている。
当社は、中長期資金需要に機動的に対応するため、社債発行枠とユーロ・ミディアム・ターム・ノート(以下、「EMTN」)プログラムを保有している。当社は2018年11月に2年間有効の100,000百万円の社債発行枠を登録した。当連結会計年度末現在の未使用枠は80,000百万円となっている。なお、これ以外の過去に登録した社債発行枠に基づいて発行した分も含めた当社グループの社債の当連結会計年度末現在の残高は156,961百万円である。また、当社、コマツファイナンスアメリカ㈱及び欧州コマツコーディネーションセンター㈱で合わせて1,500百万米ドルのEMTNプログラムを保有しており、このプログラムに基づいて、それぞれの発行体はディーラーとの間で合意されたすべての通貨の債券を発行できる。当連結会計年度末現在、当該EMTNプログラムにより発行された債券の残高は102,845百万円である。
当連結会計年度末現在、当社グループの短期債務残高は483,658百万円となり、前連結会計年度末に比べて78,999百万円増加した。短期債務は主にコマーシャル・ペーパーであり、運転資金等に使用されている。
当連結会計年度末現在、長期債務残高(1年以内期限到来分含む)は528,720百万円で、前連結会計年度末に比べて2,679百万円増加した。長期債務は銀行、保険会社等からの借入金等268,914百万円、無担保社債156,961百万円、EMTN102,845百万円で構成されており、主に設備投資資金及び長期運転資金に使用されている。
当連結会計年度末現在の有利子負債残高は前連結会計年度末比81,678百万円増加の1,012,378百万円となり、現預金を差し引いたネット有利子負債残高は前連結会計年度末比17,185百万円減少の762,705百万円となった。これらに加え株主資本が減少した結果、当連結会計年度末現在のネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット有利子負債と株主資本の比率)は前連結会計年度末から横ばいの0.43となった。
当連結会計年度末現在、流動資産は1,946,790百万円となり、前連結会計年度末に対し、22,170百万円減少し、また流動負債は1,158,625百万円となり、前連結会計年度末に対し76,486百万円増加した。その結果、流動比率は168.0%と前連結会計年度末に対し13.9ポイント減少となった。
営業活動から得られるキャッシュ・フロー、様々な資金調達手段、流動比率の水準に基づき、当社グループ
は、流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えている。
なお、当連結会計年度末現在の現金及び現金同等物の残高は247,616百万円であり、そのうち169,388百万円は海外子会社が保有している。
当社グループは、スタンダード&プアーズ、ムーディーズ・インベスターズ・サービス及び㈱格付投資情報
センターから信用格付を取得している。当連結会計年度末現在、当社の発行体格付けは、スタンダード&プア
ーズ:A(長期)、A-1(短期)、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:A2(長期)、Prime1(短
期)、㈱格付投資情報センター:AA-(長期)、a-1+短期となっている。
<設備投資>建設機械・車両事業では、主に生産性向上のための設備投資及び循環事業強化のための設備投資等を行った。リテールファイナンス事業では、賃貸用資産に係る設備投資等を行った。産業機械他事業では、老朽設備更新等のための設備投資を行った。これらの結果、当連結会計年度の設備投資額は166,552百万円と前連結会計年度比12,658百万円の減少となった。
<契約上の債務>当連結会計年度末現在の契約上の債務は次のとおりである。
期間別支払見込額(百万円)
合計1年以内1-3年3-5年5年超
短期債務483,658483,658---
長期債務528,720118,880323,29386,547-
オペレーティングリース債務58,57315,52216,4157,92918,707
有利子負債に関する利息32,29915,63714,0592,603-
年金及びその他の退職給付債務4,9464,946---
合計1,108,196638,643353,76797,07918,707

(注)1. 長期債務の公正価額の調整額はない。
2. 有利子負債に関する利息は、当連結会計年度末現在有効な利率に基づき計算されている。
3. 年金及びその他の退職給付債務は、2021年度以降の拠出額は未確定であるため、2020年度に生じるものだけを記載している。
なお、当連結会計年度末現在の設備発注残高は、約52,300百万円である。
③ セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
<建設機械・車両事業セグメント>建設機械・車両事業の売上高は前連結会計年度を10.8%下回る2,211,263百万円となった。
中期経営計画における成長戦略3本柱の重点活動を推進し、安全で生産性の高いスマートでクリーンな未来の現場の実現に向けて取り組んだ。2020年1月よりバッテリー駆動式ミニショベル「PC30E-5」をレンタル車として国内市場へ導入した。また、人との衝突事故発生の抑制に寄与する「KomVision人検知衝突軽減システム」を油圧ショベルに業界で初めて標準装備し、国内市場に導入開始する等、幅広いお客様の建設現場の安全性向上の実現に向けて取り組んだ。更に、2015年2月にスタートした建設現場向けソリューション事業「スマートコンストラクション」を確実に推進し、これまでに国内においては10,000を超える現場に導入した。また2020年4月より建設現場のデジタルトランスフォーメーションの実現を加速するレトロフィットキットをはじめとする新たなデバイスとアプリケーションを順次導入するとともに、米国及び欧州4カ国(英国、ドイツ、フランス、デンマーク)にスマートコンストラクションを本格導入することを発表した。無人ダンプトラック運行システム(AHS)については、順調に総稼働台数を増やした。新型コロナウイルス感染拡大等の影響に対して、生産・調達部門においては、車体や部品のグローバルクロスソーシング、グローバル調達をより強化する代替調達や在庫再配置に取り組み、営業・サービス部門においては、供給ルートやシフト体制の見直し等の対策を行うことにより、お客様への製品・部品・サービスの継続的な供給に努めた。
(以下、地域別売上高は外部顧客向け売上高を表示している。)
(日本)
2017年9月に施行された新排出ガス規制に伴う駆け込み需要の反動減からの回復やインフラ関連需要が堅調に推移したこと等により、売上高は前連結会計年度並みの310,856百万円となった。
(米州)
北米では、レンタル向け一般建機を中心に需要が堅調であったものの、代理店在庫の調整を進めたことや、新型コロナウイルス感染拡大の影響等もあり、売上高は前連結会計年度を6.3%下回る573,587百万円となった。中南米では、チリにおける一般建機及び鉱山機械の需要が堅調であったものの、経済情勢悪化が続くアルゼンチンやメキシコにおいて需要が減少したことから、売上高は前連結会計年度を5.0%下回る309,255百万円となった。(欧州・CIS)
欧州では、主要市場である英国での需要が減少したことや当第4四半期連結会計期間より新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたものの、当第3四半期連結累計期間までのフランス、ドイツ等での需要が堅調であったことから、売上高は前連結会計年度を5.9%上回る219,728百万円となった。CISでは、石炭向けの鉱山機械需要が減少したこと等により、売上高は前連結会計年度を5.4%下回る127,410百万円となった。
(中国)
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、2020年2月の春節(旧正月)後の需要が大幅に減少したことに加え、国産メーカーの販売比率の上昇により、売上高は前連結会計年度を22.9%下回る127,064百万円となった。
(アジア・オセアニア)
アジアでは、燃料炭価格の低迷に伴い、最大市場であるインドネシアでの鉱山機械の需要が減少したことに加え、各国の一般建機の需要が低調に推移したことや新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたことにより、売上高は前連結会計年度を39.3%下回る205,761百万円となった。オセアニアでは、鉱山機械の部品・サービスの売上高を着実に取り込んだものの、一般建機の売上高が減少したこと等により、売上高は前連結会計年度を5.7%下回る203,397百万円となった。
(中近東・アフリカ)
中近東では、UAE等における一般建機の需要が堅調に推移したことにより、売上高は前連結会計年度を1.2%上回る30,655百万円となった。アフリカでは、南部アフリカ地域での一般建機の売上高は前連結会計年度並みであったものの、その他地域での需要が低調に推移したこと等により、売上高は前連結会計年度20.8%下回る98,263百万円となった。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比37,786百万円減少の2,521,646百万円となった。
なお、建設機械・車両事業全体の生産規模は、前連結会計年度比16.2%減少し、約2兆2,098億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。
<リテールファイナンス事業セグメント>リテールファイナンス事業では、北米、欧州等での資産増加効果に伴い、売上高は前連結会計年度を11.5%上回る70,910百万円となった。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比1,084百万円減少の841,063百万円となった。
<産業機械他事業セグメント>産業機械他事業では、自動車業界向けの鍛圧機械及び工作機械は新型コロナウイルス感染拡大の影響も含め需要が減少したことに加え、半導体市場向けエキシマレーザー関連製品の需要減少もあり、売上高は前連結会計年度を12.6%下回る177,586百万円となった。
コマツ産機㈱は、板金機械「プレスブレーキ」の省力化を実現するベンディングサポートの販売を開始した。
ギガフォトン㈱では、半導体リソグラフィ以外の新分野向け「GIGANEXシリーズ」の新商品として「微細アブレーションビア加工用KrFレーザー G300K」の販売を2020年3月より開始し、本格参入に向けて取り組んだ。
当連結会計年度末のセグメント資産は、前連結会計年度末比10,309百万円増加の216,728百万円となった。
なお、産業機械他事業全体の生産規模は、前連結会計年度比8.6%減少し、約1,832億円(販売価格ベース、連結ベース)であった。
④ 目標とする経営指標の達成状況等
2022年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画の経営目標に対し、中期経営計画の初年度となる2019年度の実績は以下のとおりとなった。
経営目標年度指標2019年度
成長性業界水準を超える成長率売上高成長率△10.3%
収益性業界トップレベルの営業利益率営業利益率10.3%
効率性ROE*1 10%以上ROE8.6%
健全性業界トップレベルの財務体質ネット・デット・
エクイティ・
レシオ*2
0.43
リテールファイナンス事業①ROA*3 1.5%-2.0%ROA1.5%
②ネット・デット・エクイティ・レシオ5倍以下ネット・デット・
エクイティ・
レシオ
3.80
ESG①環境負荷低減
CO2排出削減:2030年50%減(2010年比)
再生可能エネルギー使用率:2030年50%
環境負荷低減CO2 2021年に40%減
再生可能エネルギー
2021年に15%
②外部評価
DJSI*4選定(ワールド、アジアパシフィック)
CDP*5 Aリスト選定(気候変動、水リスク)等
外部評価DJSI選定
CDP気候変動 評価A
CDP水リスク 評価A-
株主還元①成長への投資を主体としながら、株主還元(自社株買い
を含む)とのバランスをとる。
連結配当性向57.7%
②連結配当性向を40%以上とする。

*1 ROE=当社株主に帰属する当期純利益/((期首株主資本+期末株主資本)/2)
*2 ネット・デット・エクイティ・レシオ(ネット負債資本比率)=(有利子負債-現預金)/株主資本
*3 ROA=税引前当期純利益/((期首総資産+期末総資産)/2)
*4 ダウ・ジョーンズ・サステナビリティ・インディシーズ:米国S&Pダウ・ジョーンズ社とスイスのロベコ・サム社によるSRI指標
*5 企業や政府が温室効果ガス排出量を削減し、水資源や森林を保護することを推進する国際的な非営利団体

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