四半期報告書-第121期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

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2015/02/10 12:50
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37項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析


(1) 業績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、個人消費に弱さが見られたものの、雇用情勢が改善傾向にあるなど、緩やかな回復基調を辿った。また、海外も、一部資源国で景気が悪化し、中国で成長鈍化が見られたものの、米国経済は安定的に回復し、ユーロ圏でも持ち直しの動きが続くなど、総じて底堅く推移した。
こうした中、当社グループでは、スマートフォン「AQUOS CRYSTAL X」やヘルシオお茶プレッソ、IGZO 液晶ディスプレイ(注)1をはじめ、顧客ニーズを捉えた独自商品・特長デバイスの創出と販売強化に努めた。さらには、欧州における事業構造改革(注)2や全社に亘るコストダウン、総経費の徹底削減など、総力をあげて経営改善を進めた。
しかしながら、当第3四半期連結累計期間の業績は、液晶テレビやエネルギーソリューションの販売減少、中小型液晶の価格下落の影響などから、売上高が2,090,436百万円(前年同四半期比96.9%)、営業利益が51,256百万円(前年同四半期比62.9%)、経常利益が18,145百万円(前年同四半期比48.3%)となった。四半期純損益については、過年度法人税等(注)3の計上や、連結子会社における株式譲渡等に伴う法人税等調整額への影響もあり、7,160百万円の損失(前年同四半期は17,720百万円の四半期純利益)となった。
なお、当第3四半期連結累計期間には、特別利益として訴訟損失引当金戻入額19,234百万円、持分法適用関連会社株式の譲渡等に伴う投資有価証券売却益11,657百万円、特別損失として欧州太陽電池事業に係る解決金14,382百万円、欧州家電事業に係る事業構造改革費用14,688百万円などを計上している。
(注)1 IGZO 液晶ディスプレイ:㈱半導体エネルギー研究所との共同開発により量産化。
(注)2 詳細は、2014年7月11日公表の「欧州における太陽電池事業の構造改革に伴う特別損失発生に関するお知らせ」、2014年7月24日公表の「持分法適用関連会社の出資持分譲渡に関するお知らせ」、2014年9月26日公表の「欧州における家電事業の構造改革に伴う特別損失発生のお知らせ」及び2014年12月19日公表の「欧州における家電事業の構造改革に伴う特別損失についてのお知らせ」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2014/140711.pdf
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2014/140724.pdf
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2014/140926-2.pdf
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2014/141219.pdf
(注)3 詳細は、2015年2月3日公表の「移転価格課税に関するお知らせ」参照。
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2015/150203-2.pdf
セグメントの業績は、概ね次のとおりである。
①プロダクトビジネス
複合機の販売が海外で好調に推移した。一方、国内で太陽電池の販売が減少し、また、液晶テレビの販売も減少した。
この結果、売上高は1,214,434百万円(前年同四半期比 93.0%)、セグメント利益は45,969百万円(前年同四半期比 73.4%)となった。
②デバイスビジネス
スマートフォンやタブレット端末向けなどの中小型液晶パネルの売上が伸長したものの、テレビ用大型液晶パネルの売上が減少した。また、LEDなどの売上が減少したものの、カメラモジュールの売上が伸長した。利益面では、中小型液晶パネルの価格競争の激化等により収益性が悪化した。
この結果、売上高は1,004,956百万円(前年同四半期比 99.5%)、セグメント利益は32,452百万円(前年同四半期比 73.5%)となった。
当第3四半期連結会計期間末の財政状態については、資産合計が、前連結会計年度末に比べ27,015百万円増加の2,208,695百万円となった。これは、現金及び預金が減少したものの、未収入金やたな卸資産が増加したことなどによるものである。一方、負債合計は、支払手形及び買掛金が増加したものの、1年内償還予定の社債が減少したことなどから、前連結会計年度末に比べ17,829百万円減少の1,956,678百万円となった。また純資産合計は、前連結会計年度末に比べ44,844百万円増加の252,017百万円となった。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ126,893百万円(36.2%)減少し、当第3四半期連結累計期間末には223,741百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において営業活動による資金の支出は、3,638百万円であり、前第3四半期連結累計期間に比べ21,095百万円増加した。これは、前第3四半期連結累計期間に比べて、税金等調整前四半期純利益が減少したことなどによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において投資活動による資金の支出は、28,074百万円であり、前第3四半期連結累計期間に比べ56,789百万円(66.9%)減少した。これは、前第3四半期連結累計期間に比べて、定期預金の払戻による収入が19,929百万円増加し、投資有価証券の売却による収入が27,189百万円増加したことなどによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第3四半期連結累計期間において財務活動による資金の支出は、116,368百万円であり、前第3四半期連結累計期間に比べ253,792百万円増加した。これは、前第3四半期連結累計期間に比べて、長期借入れによる収入が177,162百万円減少し、社債の償還による支出が95,689百万円増加したことなどによるものである。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更はない。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
① 基本方針の内容
当社取締役会は、当社グループのように製造業を営む企業が、企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させるためには、中長期的な視点により先端技術や製造技術を自社内で開発、活用し、また、この間に顧客、取引先、従業員等のステークホルダーとの良好な協力関係を構築することが必要不可欠であると考えている。
また、当社グループの買収を企図した当社取締役会の賛同を得ない当社株式の買付行為であっても、これに応じるか否かは、最終的には当社株主において判断されるべきものであると考えているが、その目的等からみて企業価値・株主共同の利益に明白な侵害をもたらすものや、株主に株式の売却を強要するおそれのあるものなどの不適切な買付行為を行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切ではないと考えており、このような不適切な買付行為が行われる場合には、それに対して相当の対抗措置を発動することも必要であると考えている。
② 基本方針の実現に資する特別の取り組み
当社グループは、「誠意と創意」の経営信条の下、時代を先取りする独自商品の開発を通じて、企業価値の向上に努めるとともに、社会への貢献を果たしてきた。
また、当社グループは、先進のエレクトロニクス技術を駆使し、顧客のニーズを捉えた革新的な商品やサービスを創出することが、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させることにつながると考えている。
こうした考えの下、当社グループは、平成25年度以降、事業ポートフォリオの再構築を着実に実行し、安定的な利益成長とキャッシュ創出を果たす「新生シャープ」の実現に向け、次の3つを基本戦略とする「中期経営計画」を策定した。
イ 「勝てる市場・分野」へ経営資源をシフト
ロ 自前主義からの脱却、アライアンスの積極活用
ハ ガバナンス体制の変革による実行力の強化
具体的には、「事業ポートフォリオの再構築」「液晶事業の収益性改善」「アセアンを最重点地域とした海外事業の拡大」「全社コスト構造改革による固定費削減」「財務体質の改善」の重点施策に取り組み、企業価値の拡大を図っていく。
さらに、「中期経営計画」の先を見据え、徹底した顧客志向の取り組みに加え、当社の強みである技術を活かし、協業他社の有する販路や補完技術とのシナジー効果の創出により新たな事業領域を拡大していく。とくに、「ヘルスケア・医療」「ロボティクス」「スマートホーム/モビリティ(車載を含む)/オフィス」「食/水/空気の安心安全」「教育」を重点5事業領域とし、これら事業の展開に積極的に取り組むことにより、長期にわたる持続的な成長を図る。
このほか、コンプライアンス意識やステークホルダーの視点をもって事業活動に取り組むことにより企業の社会的責任を果たすとともに、環境・教育・社会福祉の分野を中心とした様々な社会貢献活動の推進により、広く社会からの期待に応え、信頼と評価を高めるよう推進していく。
また、当社は、株主への利益還元を経営上の最重要課題の一つと考えており、連結業績と財務状況並びに今後の事業展開等を総合的に勘案し、長期的な視点に立って、株主への利益還元に取り組んでいく。
これらのほか、③の取り組みを行っている。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって支配されることを防止するための取り組み
当社は、特定の株主グループの議決権割合が20%以上となるような当社株式の買付行為(以下、「大量買付行為」といい、そのような買付行為を行う者を「大量買付者」という。)に関するルールを『当社株式の大量買付行為に関する対応プラン』(以下、「本プラン」という。)として定めており、その概要は次のとおりである。
イ ①の基本方針に記載のとおり、当社取締役会は、当社株式の大量買付行為に応じるか否かについては、最終的には当社株主において判断されるべきものであると考えているが、株主が適切な判断を行うためには、大量買付者及び当社取締役会の双方から必要かつ十分な情報が提供される必要があると考えており、そのためには、大量買付行為が行われる際の一定の合理的なルールを設定しておくことが不可欠であると考えている。
ロ 当社取締役会が設定するルールでは、大量買付者に対して、a)一定の期間内に当社取締役会に対して必要かつ十分な情報提供をすること、b)当社取締役会による一定の評価期間が経過した後に大量買付行為を開始することを求めている。
ハ 当社取締役会は、大量買付者がルールを遵守しない場合、あるいは、ルールを遵守していてもその行為が当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうと判断される場合には、当社グループの企業価値・株主共同の利益を確保するため、対抗措置を発動することがある。
ニ 当社取締役会による大量買付行為の検討・対抗措置の発動にあたっては、社外取締役、社外監査役及び外部の有識者の中から選任される3名以上の委員により構成される特別委員会の勧告を最大限尊重し、最終決定する。なお、以下の場合には、原則として株主意思確認総会を開催し、当社取締役会はその決議に従う。
・特別委員会が、対抗措置発動についてあらかじめ株主総会の承認を得るべき旨の留保を付した場合
・当社取締役会が株主の意思を確認することが適切であると判断した場合
ホ 当社取締役会が、対抗措置の発動を決定した後、大量買付者から必要かつ十分な情報の提供があり、当社グループの企業価値・株主共同の利益の確保・向上に資すると特別委員会が勧告し、当社取締役会が判断した場合は、対抗措置を取り止める。
④ 本プランに対する取締役会の意見
当社取締役会は、以下の理由から、本プランが①の基本方針に沿っており、また、当社グループの企業価値・株主共同の利益を損なうものではなく、かつ、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断している。
イ 本プランは、大量買付者が大量買付行為に関する必要かつ十分な情報を当社取締役会に事前に提供すること、及び当社取締役会の評価期間が経過した後にのみ当該大量買付行為を開始することを求め、これを遵守しない場合、あるいは、遵守していても当社グループの企業価値・株主共同の利益を著しく損なうような不適切な大量買付行為が行われる場合には、当社取締役会が大量買付者に対して相当の対抗措置を発動することがあることを明記している。
ロ 本プランは、当社株主が大量買付行為に応じるか否かを判断するために必要な情報や当社取締役会の代替案の提示を受ける機会の提供をルール化し、当社株主及び投資家が適切な投資判断を行える環境を整えるものである。また、本プランの発効・継続は、当社株主の承認を条件としている。
ハ 本プランは、不適切な大量買付行為に対して、当社取締役会が対抗措置を発動する場合を事前かつ詳細に開示するものであり、対抗措置の発動は本プランに従って行われる。さらに、大量買付行為に関して当社取締役会が評価、検討、対抗措置の発動等を行う際には、外部専門家等から助言を得るとともに、特別委員会の意見を最大限尊重すること、株主の意思を確認することが適切と判断した場合は株主意思確認総会を開催し、取締役会はその決議に従うことを定めており、本プランには当社取締役会による適正な運用を担保するための手続が盛り込まれている。
⑤ 本プランの有効期間
本プランは、平成26年6月25日に開催された当社第120期定時株主総会において株主の承認を得ており、その有効期間は平成29年6月30日までに開催される第123期定時株主総会終結の時までとなっている。
(注)本プランの詳細については、当社ホームページに掲載のニュースリリース参照。
・平成26年5月12日付ニュースリリース
http://www.sharp.co.jp/corporate/ir/pdf/2014/140512-1.pdf
(4) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)全体の研究開発費は104,034百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はない。