有価証券報告書-第123期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)

【提出】
2017/06/21 15:07
【資料】
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【項目】
139項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1)当連結会計年度の経営成績の分析
① 売上高
当連結会計年度における連結売上高は、2,050,639百万円(前年度比 16.7%減)となりました。IoT通信では、携帯電話などの販売が減少しました。健康・環境システムでは、空調機器や冷蔵庫などの販売が減少しました。ビジネスソリューションでは、複合機の販売が減少しました。カメラモジュールでは、カメラモジュールの販売が減少しました。電子デバイスでは、センサモジュールの販売が減少しました。エネルギーソリューションでは、国内で太陽電池の販売が減少しました。ディスプレイデバイスでは、テレビ用大型液晶や中国スマートフォン向けの中小型液晶の販売が減少しました。
② 損益状況
売上原価は、1,666,784百万円(前年度比 25.2%減)となり、売上原価率は、前連結会計年度の90.5%に対し81.3%と低下しました。また、販売費及び一般管理費は、321,400百万円(前年度比 18.7%減)となり、売上高に対する比率は、前連結会計年度の16.1%に対し、15.7%と低下しました。なお、販売費及び一般管理費には研究開発費24,657百万円、従業員給料及び諸手当97,127百万円が含まれております。その結果、当連結会計年度の営業利益は、62,454百万円(前年度は161,967百万円の営業損失)となりました。
営業外収益は、前連結会計年度に比べ8,398百万円減の12,787百万円となり、営業外費用は、前連結会計年度に比べ1,507百万円減の50,171百万円となりました。その結果、経常利益は25,070百万円(前年度は192,460百万円の経常損失)となりました。
特別利益は、前連結会計年度に比べ14,526百万円減の13,901百万円、特別損失は、前連結会計年度に比べ27,531百万円減の39,559百万円となりました。その結果、税金等調整前当期純損失は587百万円(前年度は231,122百万円の税金等調整前当期純損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は24,877百万円(前年度は255,972百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ303,944百万円増加し、453,477百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ146,096百万円収入が増加し、127,231百万円の資金の収入となりました。これは、売上債権及びたな卸資産の増減額が減少から増加に転じたものの、税金等調整前当期純損失が減少したほか、仕入債務の増減額が減少から増加に転じたことなどによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ50,164百万円支出が増加し、90,677百万円の資金の支出となりました。これは、有形固定資産の取得による支出が31,033百万円増加したほか、有形固定資産の売却による収入が20,364百万円減少したことなどによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ287,559百万円収入が増加し、272,199百万円の資金の収入となりました。これは、種類株式の発行による収入が224,606百万円から99,624百万円に減少したほか、短期借入金の純減少額が190,177百万円増加したものの、長期借入れによる収入が328,672百万円増加し、また普通株式の発行による収入が287,495百万円あったことなどによるものであります。
② 資産、負債及び純資産
当連結会計年度末の資産合計は、現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したことなどにより1,773,682百万円(前連結会計年度末の資産合計は1,570,672百万円)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、長期借入金が増加する一方、短期借入金が減少したことなどにより1,465,881百万円(前連結会計年度末の負債合計は1,601,883百万円)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、第三者割当増資の完了などにより307,801百万円(前連結会計年度末の純資産合計は△31,211百万円)となりました。
(3)事業等のリスクに記載した重要事象等を解消するための対応策
当社グループは「4 事業等のリスク (19)継続企業の前提に関する重要事象等について」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況に対処すべく、以下の対応策を実施しております。
平成28年8月12日に鴻海精密工業股份有限公司等へ第三者割当による新株発行を行ったことを受け、取締役社長に戴正呉を迎えた新たな経営体制に移行いたしました。当連結会計年度は、前連結会計年度決算発表時に公表いたしました「早期黒字化に向けた3つの構造改革、①経営資源の最適化、②責任ある事業推進体制、③成果に報いる人事制度」の具体化に注力するとともに、新経営体制の発足に伴い、鴻海精密工業股份有限公司グループとのシナジーの発揮、重点事業への積極投資など、事業拡大に向けた取り組みへと軸足を移してまいりました。
また、平成29年5月26日の取締役会において、平成30年3月期から平成32年3月期までの新たな中期経営計画について決議いたしました。
当社は、中期経営計画における全社戦略として、「ビジネスモデルの変革」、「グローバルでの事業拡大」、「経営基盤の強化」の3つのトランスフォーメーションを通じて『人に寄り添うIoT』と『8Kエコシステム』を実現し、事業の拡大を図ることにより、最終年度である平成32年3月期は、売上高3兆2,500億円、営業利益1,500億円の実現を目指します。
資金面においては、第三者割当増資により総額3,888億円の新株式を発行したことにより、連結及び単体の債務超過は解消されました。シンジケートローン契約については、平成28年4月26日に主力行の㈱みずほ銀行、㈱三菱東京UFJ銀行及び他の参加行の合意を得て契約更改を行い、平成28年8月12日には、主力2行との間で借入総額3,000億円のシンジケート・コミットメントラインを設定いたしました。
これらの諸施策により、継続的な支援のもと、資金不足となるリスクを回避し、財務基盤の安定化を図ることができます。