有価証券報告書-第90期(2022/04/01-2023/03/31)

【提出】
2023/06/23 15:00
【資料】
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【項目】
163項目
(3)【監査の状況】
① 監査等委員会監査の状況
1)組織
イ.構成・人員
監査等委員会は、男性3名、女性2名の計5名からなり、弁護士、公認会計士、事業経営経験者としてそれぞれ豊富な経験を持った3名の社外監査等委員と、当社事業に精通した社内監査等委員2名で構成されています。そして、独立した組織として、活動の透明性を高め、より実質的なガバナンスを強化する観点から、社外監査等委員 中矢一也氏を委員長に選定しています。監査等委員は、重要会議出席、重要書類閲覧、代表取締役・その他の取締役・執行役員や従業員との面談を通じ、法令・コンプライアンス遵守状況、リスクマネジメント体制の整備・運用状況、内部統制システムの整備・運用状況、財務報告開示内容の適正性等について監視し、相互に連携して取締役会から独立した客観的な立場から取締役の業務執行状況を監査するとともに、内部監査部門や会計監査人と連携を取り、取締役会やその他の重要な会議の場において、経営陣に対して意見を述べています。また、社外監査等委員は、指名諮問委員会及び報酬諮問委員会の委員を担っており、それぞれの委員会に参加して、助言や議論を行っています。
ロ.常勤監査等委員
日常的に取締役(監査等委員である取締役を除く)からの情報収集や、執行役員会等執行部門の重要な社内会議における情報収集及び報告の受領等を行い、並行して、内部監査部門を窓口とした管理部門との連携を図ることにより、情報収集力を活かして監査等委員会のモニタリング機能を強化するため、常勤監査等委員を選定しています。常勤監査等委員は、これらの活動を通じて得た情報を他の監査等委員と共有し、監査等委員会では、得られた監査情報に基づき、重点監査項目を中心に意見交換を行い、監査意見を形成しています。
ハ.財務及び会計に関する相当程度の知見を有する監査等委員
社外監査等委員 東葭葉子氏は、会計事務所における長年の会計監査経験と公認会計士として培われた専門的な知識・経験と幅広い見識を有しており、取締役会の意思決定の妥当性、適正性を確保するための積極的な発言を行っています。
ニ.監査等委員会の職務を補助するスタッフ
当社は、監査等委員会の職務を補助する部署を設け、経営企画、法務、コンプライアンス、営業・マーケティング、経理・財務、IR等の知識、能力、職務経験等を有する専任の監査等委員会スタッフを4名配置し、監査等委員会の職務遂行のサポートを行っています。
2)監査等委員会の活動状況
イ.開催実績・開催頻度・出席状況
監査等委員会は月1回の定例開催に加え、必要に応じて随時開催を行います。当事業年度は14回開催し、平均開催時間は1時間9分、出席状況は以下のとおりです。なお、監査等委員の詳しい略歴については、「(2)役員の状況」を参照ください。
役職名氏名出席状況(出席率)備考
監査等委員会委員長(社外)中矢 一也14回/14回(100%)
常勤監査等委員小林 俊則3回/3回(100%)2022年6月23日退任
常勤監査等委員笹尾 泰夫11回/11回(100%)2022年6月23日就任
監査等委員河原田 陽司14回/14回(100%)
監査等委員(社外)飯田 隆3回/3回(100%)2022年6月23日退任
監査等委員(社外)東葭 葉子14回/14回(100%)
監査等委員(社外)五味 祐子14回/14回(100%)

ロ.監査等委員会の主な検討事項
付議事項件数検討事項
決議事項11件監査方針、監査計画、委員長選任、職務分担、監査費用予算、会計監査人の選任等、会計監査人の報酬等の同意、監査報告書、執行側への意見・申し入れ事項、監査等委員会規則・監査等基準改訂、その他法令で定める事項等
審議事項35件取締役会議案事前確認、事前審議が必要な決議事項、KAM(Key Audit Matters)検討、SDGs/ESGの方向性、役員報酬に係る監査、監査等委員会実効性評価、監査等委員会からの情報発信、海外往査(欧州・北米)計画・結果、マネジメントレターに係る協議、監査法人グループによる非保証業務の事前了解等
報告事項112件監査等委員監査活動状況、株主総会関連、三様監査の連携概要、海外拠点監査、競業取引・利益相反取引・公的補助金等監査、内部監査部門からの聴取(内部監査報告、内部統制(会社法・金商法)報告、コンプライアンス報告、内部通報状況等)等

ハ.重点監査項目
主な検討事項に加え、特に重点的に監査を実施する項目を定めており、当事業年度における重点監査項目及び取り組みは以下のとおりです。
・中期経営計画基本方針の浸透状況の確認
第2次中期経営計画(2022年4月~2025年3月)の初年度として、中期経営計画基本方針(行動指針、事業方針、事業目標)の浸透状況や、新型コロナウイルス感染症の影響に対する施策の遂行状況、マテリアリティの改訂やサステナビリティ課題への対応等を取締役会聴取、取締役・執行役員等との面談により確認し、経営陣に提言を行いました。
・内部統制システムの構築・運用状況の確認
会社法及び金融商品取引法の内部統制構築・運用状況、不備の是正状況を内部統制部門から報告聴取、取締役・執行役員等との面談により確認し、内部統制上の課題を識別した場合には、必要な改善要請を行って是正に向けた全社的な取り組みにつなげています。
ニ.会計監査人の監査の相当性
監査等委員会は、会計監査人から監査計画の概要を受領し、監査重点項目等について説明を受け、意見交換を行うとともに、事業報告及びその附属明細書の内容の確認等に係るスケジュールについても確認を行いました。また、四半期・通期の決算監査に加えて、財務諸表監査における監査上の主要な検討事項(KAM)やその他の記載事項の確認等について、会計監査人と緊密なコミュニケーションを取り、協議を行いました。そして、事業等のリスクがある項目等から固定資産の評価や繰延税金資産等の具体的なテーマを設定し、経理部門とも連携して検討を重ね、主要な検討事項を意識した監査を実施し、会計監査人から適時適切に報告を受け、監査手続が遅延なく予定通りに完了していることを確認しています。(当事業年度における会計監査人との面談は20回実施)その上で、会計監査人における審査等管理体制の状況確認や監査報酬の適正性の確認を行うとともに、会計監査チームの活動について、所属する監査法人の会計監査チームに属さない社員と打合せを持ち意見交換を行うなど、会計監査人の監査の相当性を確認しています。
ホ.監査環境の整備及び連携強化
監査等委員会は、適切に職務を遂行するため、取締役会、経営会議、執行役員会等重要会議に出席・傍聴するほか、代表取締役、その他の取締役、執行役員及び従業員(子会社を含む)と定期あるいは随時の面談を行っています。監査等委員でない社外取締役には、社外取締役連絡会及び監査等委員会が実施する上記の面談に参加して頂き、情報を共有し連係を図っています。また、内部監査部門とは、監査等委員会を含む毎月3回の定例打合せを行い、内部監査計画や定期及び随時に内部監査結果の報告を直接受け、内部統制システムの整備及びその運用状況等について確認を行っています。会計監査人とは、定期的・随時に会議を開催し、相互に必要な情報を適時提供し合うとともに、内部統制に関しても積極的に意見交換を行い、財務報告書の信頼性を確保するための取り組みを実施しています。当事業年度は、会計監査人からマネジメントレターの要点を取締役会で説明して頂き、執行側と会計的な課題の共有と意見交換を行いました。更に、海外拠点の往査は、コロナ禍による昨年度までのリモート監査から、欧州、米州拠点への往査に切替えて実施し、会計監査人は計画段階から参画、実際の往査も同行し、会計課題について助言や提言を受け、その結果を取締役会で報告しました。
このように、三様監査の実効性の更なる向上を目指し、内部監査部門及び会計監査人と、常日頃からコミュニケーションを取ることで、スタッフとともに情報収集及び監査環境の整備に努めており、両部門との連携を重視し、会議を開催して相互に必要な情報を適時提供し合い、意見交換や協議を適宜行っています。
ヘ.取締役会に対する監査等委員会からの提案及びモニタリング
当事業年度の取締役会監査及び取締役会実効性評価を通じて、監査等委員会から取締役会における意思決定の手続きの精度向上、議論のテーマ設定等に関して提案を行い、改善状況のモニタリングを実施しています。
ト.監査等委員会からの提言・発信
監査等委員会における議論を踏まえて、執行側に対して経営に関する提言を行いました。また、監査等委員会の活動内容や、近時のガバナンス動向や当社を取り巻くリスクに関する影響及びそれらへの取り組みに関する考察等をまとめ、四半期ごとに経営陣に向け情報発信を行っています。(当事業年度は4回発行)
チ.グループ監査等委員会連絡会
当社グループにおいては、グループ監査等委員会連絡会を年1回、それぞれの内部監査部門も出席して開催し、グループ全体のモニタリング強化のため、相互の情報を共有するとともに、当事業年度は「ビジネスと人権への取組と企業のリスク管理」について、同分野に知見がある社外監査等委員 五味祐子氏に講演頂き、ディスカッションを行うなど、グループ全体のレベルアップに取り組んでいます。(当事業年度は9月開催)
リ.監査等委員会の実効性評価
監査等委員会の実効性の向上を目的として、当事業年度の活動を振返り、翌事業年度監査方針・計画に反映する為、実効性評価を実施しています。取締役会の職務執行を監視監督する監査等委員会が適切に機能しているか、自らがその実効性を評価・分析することで取締役会で実施する実効性評価の前提にもなり、更に、取締役会実効性評価とともに一体的な評価、議論を行うことで、当社が目指すガバナンス向上の為の施策を明確にして、今後の経営に資することを目的としています。
方法としましては、監査等委員5名に対し、監査等委員会の構成、運営、活動・連携等について、記名式アンケートを行い、各々の所感を含む自己評価を実施しました。それらを監査等委員会において分析し、課題検証及び対策等の議論を行いました。そして、結果を取締役会に報告し経営陣と共有するとともに、抽出された課題から、当年度は、ガバナンスの更なる向上を目的とした取締役選任に関する提言を行いました。今後も継続的に実施し、監査等委員会活動の更なる精度向上に努めてまいります。
② 内部監査の状況
当社では代表取締役社長直轄の独立した組織として、コンプライアンス・監査室(11名)を設置しています。同室は、事業計画に合わせた中期・短期の内部監査計画を立案し、その計画に基づいて当社並びに各セグメントに属する国内外の関係会社に対する内部監査を実施し、業務の有効性と効率性を検証・評価しています。監査結果は、監査対象部門・関係会社の代表者の他、取締役会・執行役員会及び監査等委員会に報告を行い、適正な内部統制に向けた牽制機能の充実を図るとともに、業務改善提案を行ってその状況を確認するなどのフォローを実施しています。
当社グループの持分法適用会社である(株)アルプス物流(東証プライム市場)とは、定期的に開催しているグループ監査等委員会連絡会等において、内部監査の実施状況などの監査情報及び課題を共有しています。

③ 会計監査の状況
1)監査法人の名称
EY新日本有限責任監査法人
2)継続監査期間
22年間
3)業務を執行した公認会計士
田島一郎
脇野守
4)監査業務に係る補助者の構成
当社の会計監査業務に係る補助者の構成は、公認会計士9名、その他34名です。
5)監査法人の選定方針と理由
当社の監査法人の選定方針は、日本監査役協会の「会計監査人の選定基準策定に関する実務指針」に準拠し、監査法人の概要、独立性、専門性、品質管理体制、監査の実施体制、監査報酬見積額等の視点から成る会計監査人の選定基準を定め、監査等委員会の決議に基づき、選定することとしています。
なお、監査等委員会は、会計監査人の職務の執行に支障がある場合等、その必要があると判断した場合は、株主総会に提出する会計監査人の解任又は不再任に関する議案の内容を決定します。また、会計監査人が会社法第340条第1項各号に定める項目に該当すると認められる場合は、監査等委員全員の同意に基づき、会計監査人を解任し、この場合、監査等委員会は、解任後最初に招集される株主総会において、会計監査人を解任した旨及びその理由を報告します。
以上を踏まえ、EY新日本有限責任監査法人を評価した結果、同監査法人を会計監査人として再任することが適当であると判断しました。
6)監査等委員及び監査等委員会による監査法人の評価
当社の監査等委員及び監査等委員会は、日本監査役協会の「会計監査人の評価基準策定に関する実務指針」に準拠し、監査法人の品質管理、監査チーム、監査報酬、監査等委員会とのコミュニケーション、経営者等との関係、グループ監査、不正リスク等の視点から成る会計監査人の評価基準を定めており、会計監査人の再任の適否について、取締役、社内関係部署及び会計監査人から必要な資料を入手し、かつ、報告を受け、その独立性及び専門性、監査体制、職務遂行状況等が適切であるかについて評価しています。
④ 監査報酬の内容等
1)監査公認会計士等に対する報酬
区分前連結会計年度当連結会計年度
監査証明業務に基づく報酬(百万円)非監査業務に基づく
報酬(百万円)
監査証明業務に基づく報酬(百万円)非監査業務に基づく
報酬(百万円)
提出会社145150
連結子会社(注1)8129
227180

2)監査公認会計士等と同一のネットワーク(Ernst & Young)に対する報酬(上記1)を除く)
区分前連結会計年度当連結会計年度
監査証明業務に基づく報酬(百万円)非監査業務に基づく
報酬(百万円)(注2)
監査証明業務に基づく報酬(百万円)非監査業務に基づく
報酬(百万円)(注2)
提出会社3166
連結子会社(注1)4787551783
478106517150

(注)1.当連結会計年度における報酬金額は、第1四半期連結会計期間末において、持分法適用会社に変更になった(株)アルプス物流及びその子会社が支払うべき3ヶ月分の金額を含めています。
2.当社及び連結子会社における前連結会計年度及び当連結会計年度の非監査業務の内容は、会計税務等に関するアドバイザリー業務等です。
3)その他の重要な監査証明業務に基づく報酬の内容
前連結会計年度及び当連結会計年度に当社の一部の連結子会社が当社監査公認会計士等と同一のネットワーク以外に属している監査公認会計士等へ支払っている監査証明業務に基づく報酬に、重要なものはありません。
4)監査報酬の決定方針
監査報酬は、会計監査人から提示された監査計画に基づく監査日数、当社の規模、特性等を勘案した上で決定しています。
5)監査等委員会が会計監査人の報酬等に同意した理由
監査等委員会は、社内関係部署及び会計監査人より必要な資料を入手し、報告を受けた上で、会計監査人の監査計画の内容、会計監査の職務遂行状況、報酬見積りの算定根拠について確認し、審議した結果、これらについて適切であると判断したため、会計監査人の報酬等について、会社法第399条第1項及び第3項の同意を行っています。