有価証券届出書(新規公開時)

【提出】
2020/11/11 15:00
【資料】
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【項目】
140項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。
(1) 経営の基本方針 (経営理念)
ローランド・グループの経営理念は、以下の3つのスローガンに集約されています。これらは、ローランド・グループが何のために存在し、どのような企業であろうとしているのかを表した、創業時から変わらない考え方です。
- 創造の喜びを世界にひろめよう
- BIGGESTよりBESTになろう
- 共感を呼ぶ企業にしよう
「創造の喜びを世界にひろめよう」
いつでも、誰でも、どこにいても、自分にあった音や映像の楽しみ方に一人でも多くの人がめぐり合える。そんなワクワクする世界の実現を、私たちは目指します。新たな作品を創りだす喜び、仲間たちと楽器を演奏する時の充実感、そして、それを多くの人と分かち合うひととき―無限に拡がる喜びの可能性を、追求し続けます。
「BIGGESTよりBESTになろう」
お客様一人ひとりにとって、常にBESTで特別な企業であること。私たちはそのためにたゆまず努力し、最善を尽くします。日々成長し続け、お客様の想いにこたえる。そしてまた、新たな夢や期待を寄せていただく。そんな信頼関係を大切にしていきます。
「共感を呼ぶ企業にしよう」
私たちは、支えていただいているお客様、取引先様、そして株主様など多くの方々に愛され、応援される企業を目指します。新しい価値を創り出す中においてもこうした方々の信頼を決して裏切らず、事業活動をよりよく理解していただく。そうして皆様からの共感を力にかえ、すべてのステークホルダーにとっての事業価値を持続的に向上させていきます。
(2) 中長期的な経営戦略と対処すべき課題
当社グループの属する世界楽器市場は、新興国においては市場の拡大が期待されるものの、主要市場である先進国においては、少子高齢化、趣味の多様化など、その成熟度を増しています。当社グループの継続的な成長には、顧客をより深く理解した価値ある製品・サービスの提供、欠品や過剰在庫が最小化されたSCM(サプライチェーンマネジメント)の構築、製品・サービスの真の価値を伝える顧客創造活動、そしてそれらを担う人材の育成が重要な課題であると認識しています。
こうした環境下、当社では2020年度からの3年間を対象とした、中期経営計画を策定しています。引き続き以下の基本方針に則り、事業のさらなる成長を目指していきます。
・中期経営計画2020-2022 概要
<ビジョン>世界中の人々をワクワクさせる
<重点戦略>① <生み出す>当社にしかできない高付加価値な製品/サービスの開発
② <伝える>顧客創造と熱狂ファンの絆づくりによる市場開拓
③ <届ける>欠品/過剰在庫のない事業継続にも配慮したSCMの実現
④ <支える>すべての成長を支える人づくりと、徹底した見える化によるガバナンス強化の基盤作り
<基本方針>① 当社にしかできない高付加価値な製品/サービスの開発
当社の独自技術を結集した共通プラットフォームを積極的に活用し、鍵盤楽器、打楽器、ギター関連機器といった既存コア分野での開発効率の向上を図り、収益力を強化します。同時に、新たな市場の創造や、新規顧客の獲得を目指した、当社ならではの付加価値を持った「新機軸(ゲームチェンジャー)製品」の開発も積極的に推し進めます。また、ソフトウェア音源のサブスクリプションサービスであるRoland Cloudの会員数増加に向け、継続的なコンテンツ供給体制やアプリ開発体制を構築するとともに、共通プラットフォームを採用したハードウェアとソフトウェアのシームレスな連携により、これまで出来なかった更なる付加価値向上にも取り組んでいきます。
② 顧客創造と熱狂ファンの絆づくりによる市場開拓
デジタルマーケティングを活用し、グループ全体でより密接に顧客と結びつき、真の顧客ニーズの把握、休眠層(注)の掘り起しを行うとともに、顧客との絆づくりを強化していきます。また、中国・新興国といった成長市場へのマーケティングを強化し、新中間層(注)の旺盛な購買力を獲得していきます。
(注)休眠層とは、かつて楽器を演奏したことがあるものの現在は辞めてしまっている顧客層を指します。また、新中間層とは、経済の高度成長に伴い一定の所得を得ることで、消費を拡大している消費者層のことを指します。
③ 欠品/過剰在庫のない事業継続にも配慮したSCMの実現
販売在庫関連データの整備、一元化、見える化を進め、精度の高い生産計画の立案に取り組みます。また、事業継続を見据えた需要変動へのタイムリーな対応に向け、リードタイムの短縮を図るとともに、高収益機種への絞り込みによる効率化も進めていきます。
④ すべての成長を支える人づくりと、徹底した見える化によるガバナンス強化の基盤作り
社員一人ひとりが安心して自分らしく働ける環境整備、社風づくりに取り組み、人と組織の活性化により、労働生産性の向上を図ります。また、クリーンなバランスシートと健全なキャッシュフローを維持向上させ、持続的な連結経営基盤の拡充を図るべく、徹底的な数値の見える化と、分かりやすいコミュニケーションによる透明性を目指し、ガバナンスの確立した本社管理部門のグローバル本社機能を更に強化していきます。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社では、株主価値や企業価値の向上を計る指標として、ROE(自己資本利益率)及びROIC(投下資本利益率)を重要な経営指標と位置付けています。