有価証券報告書-第94期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/27 9:27
【資料】
PDFをみる
【項目】
107項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、国内政治が不安定な情勢にありますものの、企業の設備投資や雇用環境の改善等を背景に緩やかな回復基調が継続いたしました。
しかしながら、世界経済につきましては、米国新大統領の経済政策による貿易摩擦の懸念等により先行きが不透明な状況にあります。
当社をとりまく市場動向につきましては、主要顧客である電力業界における原子力発電所の稼働停止等による発電コスト増大の影響が依然として継続しており、またここ数年来継続しておりました当社に関連する電力自由化に伴うスマートメーター・スマートグリッド関連機器への投資も一巡しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
イ.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億70百万円増加し、192億69百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ14百万円減少し、92億74百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億85百万円増加し、99億94百万円となりました。
ロ.経営成績
当社の当連結会計年度の売上高につきましては、ネットワーク工事保守事業が前年より持ち直したものの、情報通信機器製造販売事業が前年と比べ大幅に減少したため、238億30百万円(前年同期比8.6%減)となりました。
損益につきましては、ネットワーク工事保守事業において、売上増に伴う利益率の改善や費用改善があったものの、情報通信機器製造販売事業の大幅な規模減に伴う減少があったため、営業利益は60百万円(前年同期比77.7%減)、経常利益は1億62百万円(同60.3%減)となりました。以上の損益から独占禁止法関連の特別損失等、計1億62百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損益は1億16百万円の損失(前年同期比2億57百万円の減少)となりました。
以下、セグメントの概況をご報告いたします。
[情報通信機器製造販売]
スマートメーター・スマートグリッド関連機器が大幅に減少したため、売上高は127億29百万円(前年同期比20.3%減)となり、セグメント損益につきましては売上規模の減少に加え、機種構成変動による材料費率の上昇や不具合対策費用の発生等により3億37百万円の損失(前年同期比6億63百万円の減少)となりました。
[ネットワーク工事保守]
電力、キャリア向けの通信機器工事及び通信線路工事について、受注増や一部工事の前倒し等があったため、売上高は111億1百万円(前年同期比9.7%増)となり、セグメント損益につきましては売上規模増加及び工事分野の売上構成の変動に伴う利益改善に加え、改善策を進めておりました材料費及び外注費等の費用の圧縮が効果を上げたことにより、3億75百万円(前年同期比4億61百万円の増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億21百万円減少(前年同期比19.5%減)し、当連結会計年度末には38億11百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により減少した資金は3億10百万円(前年同期は6億96百万円の減少)となりました。
これは主に、未払金の増加による資金の増加が1億69百万円、法人税等の還付による資金の増加が3億2百万円あったものの、売上債権の増加による資金の減少が10億40百万円、たな卸資産の増加による資金の減少が3億35百万円、仕入債務の減少による資金の減少が2億88百万円あったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は4億98百万円(前年同期は2億36百万円の減少)となりました。
これは主に、固定資産の取得により資金が4億89百万円減少したことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により減少した資金は1億6百万円(前年同期は5億18百万円の減少)となりました。
これは主に、子会社株式の一部売却により資金が1億23百万円増加したものの、短期借入金の返済により資金が1億円減少、配当金の支払いにより資金が1億28百万円減少したことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
情報通信機器製造販売(千円)13,019,64180.0
ネットワーク工事保守(千円)--
合計13,019,64180.0

(注)1.上記生産実績は、製造会社における生産実績を販売価格により表示しております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.金額には消費税等は含まれておりません。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
情報通信機器製造販売12,108,50380.04,985,28288.9
ネットワーク工事保守11,462,78583.05,389,213107.2
合計23,571,28981.410,374,49597.6

(注) 金額には消費税等は含まれておりません。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前年同期比(%)
情報通信機器製造販売(千円)12,729,47279.8
ネットワーク工事保守(千円)11,101,061109.7
合計23,830,53491.4

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.金額には消費税等は含まれておりません。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
三菱電機株式会社5,949,19422.83,756,00115.8
東京電力パワーグリッド株式会社4,029,07315.53,500,44614.7
関西電力株式会社2,972,27611.42,672,63911.2

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。連結財務諸表の作成に当たっては、資産・負債の評価及び収益・費用の認識に関して、必要な見積り及び判断を行っております。これらの見積り及び判断には不確実性が伴うことから、実際の結果は見積り及び判断と異なる場合があります。
イ.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、実現可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を判断するに当たっては、将来の課税所得等の慎重な見積りを行い検討しますが、繰延税金資産の全部又は一部を将来実現できないと判断した場合、当該判断を行った期間に繰延税金資産の調整額を費用として計上します。同様に、計上金額を上回る繰延税金資産を今後実現できると判断した場合、繰延税金資産への調整により当該判断を行った期間に利益を増加させることになります。
ロ.退職給付に係る負債
当社グループでは確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度及び退職一時金制度を採用しており、退職給付費用及び退職給付債務は数理計算に使用される前提条件に基づいて算出しております。その前提条件には、割引率、退職率、死亡率、昇給率及び年金資産の期待運用収益率等の重要な見積りが含まれております。
実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は数理計算上の差異として把握され、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
ハ.工事損失引当金
当社グループは、受注工事に係る将来の損失に備えるため、手持ち受注工事のうち損失の発生が見込まれ、かつ、その金額を合理的に見積もることができる工事について、損失見積額を工事損失引当金として計上しておりますが、当初予想しえなかった見積りを超える追加原価等により損失が発生した場合、追加の引当が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは電力会社、官公庁及び大手メーカー等の顧客へ、製品あるいは工事等のサービスを長年に亘って提供してまいりました。工事関連の事業につきましても、電力会社及びその関連会社へのサービス提供が主であり、規模としては底堅く当社グループの業績を下支えしてまいりました。当社グループの主要顧客である電力会社の設備投資計画は、東日本大震災の経験を経て、通信インフラの耐災害性強化、エネルギー制約の克服やCO2削減にも繋がるエネルギー効率化へ向けた新規投資、また、ユビキタス、安心・安全社会に向けての情報ネットワークの高度化等、顧客のニーズに貢献できるものと考えております。従来以上にこれら顧客との関係を強化し、顧客ニーズの的確な把握と提案活動を進めることにより、安定的な収益力の維持・拡大を図ってまいります。
ロ.経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、ネットワーク工事保守事業が前年より持ち直したものの、情報通信機器製造販売事業が前年と比べ大幅に減少したため、238億30百万円(前年同期比8.6%減)となりました。
当連結会計年度における営業利益は、ネットワーク工事保守事業において、売上増に伴う利益率の改善や費用改善があったものの、情報通信機器製造販売事業の大幅な規模減に伴う減少があったため、60百万円(前年同期比77.7%減)となりました。
当連結会計年度における経常利益は、1億62百万円(前年同期比60.3%減)となりました。
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損益は、独占禁止法関連の特別損失等、計1億62百万円を計上した結果、1億16百万円の損失(前年同期比2億57百万円の減少)となりました。
ハ.財政状態の分析
a. 資産
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1億70百万円増加し192億69百万円となりました。これは主に、売上の減少に伴い現金及び預金が9億21百万円減少したものの、受取手形及び売掛金が10億16百万円増加、仕掛品が2億77百万円増加したことによります。
b. 負債
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末に比べ14百万円減少し92億74百万円となりました。これは主に、独占禁止法関連損失引当金が1億62百万円増加、未払金が1億15百万円増加、工事損失引当金が1億円増加したものの、仕入の減少に伴い支払手形及び買掛金が2億82百万円減少、短期借入金が1億円減少、退職給付に係る負債が1億89百万円減少したことによります。
c. 純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べ1億85百万円増加し99億94百万円となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上により2億44百万円減少したものの、子会社株式の一部売却に伴う持分の変動もあり非支配株主持分が3億67百万円増加したことによります。
ニ.資本の財源及び資金の流動性
a. キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末の47億33百万円から9億21百万円減少し、38億11百万円となりました。これは営業活動によるキャッシュ・フローでは、未払金の増加、法人税等の還付により資金の増加がありましたが、売上債権の増加、たな卸資産の増加等により差引き3億10百万円の資金が減少し、投資活動によるキャッシュ・フローでは、固定資産の取得等で4億98百万円の資金が減少、財務活動によるキャッシュ・フローでは、子会社株式の一部売却により資金の増加がありましたが、短期借入金の返済、配当金の支払等により差引き1億6百万円の資金が減少したことによります。
b. キャッシュ・フロー指標のトレンド
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
平成29年3月期平成30年3月期
自己資本比率 (%)48.747.3
時価ベースの自己資本比率 (%)20.522.4
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)--
インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)--

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産
2.時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
4.インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
5.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
6.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
7.キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
8.平成29年3月期及び平成30年3月期については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
c. 資金需要の主な内容
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料費、労務費、製造経費及び外注費から構成される製品製造費用及び工事原価費用があります。
その他に販売費及び一般管理費からなる営業費用があり、営業費用の主なものは、人件費及び販売活動費用であります。また、当社グループの研究開発費は営業費用の一部として計上されております。
また、設備資金需要としましては、製品製造や品質向上のための設備投資として、有形及び無形の固定資産の購入があります。
d. 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は借入により資金調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入で、設備投資等の長期資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
また、金融機関との間に当座借越契約の枠を設定することで、急な資金需要や不測の事態にも備えております。
なお、当連結会計年度末における短期借入金の残高は4億50百万円であります。
ホ.経営上の目標の達成・進捗状況
平成29年6月29日提出の有価証券報告書の「第一部企業情報 第2事業の状況 3.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載の中期3年計画の初年度である平成29年度の達成・進捗状況は次のとおりです。
売上につきまして、情報通信機器製造販売について、電力向け光伝送装置の需要減及びキャリア向け監視制御装置の次期への延伸の影響による減少があったものの、ネットワーク工事保守において、電力、キャリア向けの通信機器工事及び通信線路工事について受注増や一部工事の前倒しがあったため、概ね計画どおりとなりました。
営業利益につきましては、好採算機種案件の失注・延伸等による機種構成変動に伴う材料比率の上昇や不具合対策費用の発生、次期に向けた受注活動費用の増加等の要因によるコスト増のため、計画比10.9%の60百万円となりました。
単位:百万円
中期3年計画最終年度
(平成31年度)
平成29年度
計画実績計画比
売上高27,00023,50023,830101.4%
営業利益8005506010.9%