有価証券報告書-第99期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,478億7千3百万円(前連結会計年度は2,580億7千9百万円)と、前連結会計年度比4.0%の減少となりました。
売上高につきましては、2,468億2千1百万円(前連結会計年度は2,594億1千1百万円)と、前連結会計年度比4.9%の減少となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比5.6%減少の257億2千万円(前連結会計年度は272億5千5百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比5.0%減少の263億3千8百万円(前連結会計年度は277億1千2百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比0.6%増加の199億1千8百万円(前連結会計年度は197億9千3百万円)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて、100億3千7百万円増加し、資産合計で2,845億9千7百万円となりました。これは主に、国内外での新型コロナウイルス感染拡大影響に備えた資金の流動性確保等により現金及び預金が107億6千1百万円増加したことに加え、保有株式の売却以上に時価が上昇したことで投資有価証券が28億2百万円増加したことによるものであります。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて52億6千7百万円減少し、負債合計で839億9千万円となりました。これは主に、仕入債務が65億3千万円減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて153億5百万円増加し、純資産合計で2,006億7百万円となりました。これは主に株主資本が、配当金の支払いにより70億7千3百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により199億1千8百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の66.7%から69.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は226億3百万円となり、前連結会計年度に比べて72億8百万円の減少となりました。これは主に、税率改正に伴い消費税の納付が増加したことに加え、前連結会計年度には2019年3月期末が金融機関の休日のため未決済であった売上債権の決済が含まれていたことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は2億8千3百万円(前年同期は41億7千2百万円の支出の超過)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が増加したことに加え、当連結会計年度において国内の工場統合を通じた有形固定資産の売却による収入があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は69億9千6百万円となり、前連結会計年度に比べて117億7千1百万円の支出の減少となりました。これは主に、前連結会計年度において取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出があったことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より159億9百万円増加し、906億5千2百万円となりました。
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの会計上の見積りに与える影響は軽微と判断しております。
(工事進行基準)
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については主として工事完成基準を適用しております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境は、大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が継続し、換気・省エネ対策に対する関心が高まりを見せており、新型コロナウイルス感染拡大の影響による改修案件等の一部計画の延期が見られましたが、その影響は限定的なものにとどまりました。生産設備につきましては、既存設備の維持・安全の確保等の需要が底堅く推移し、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞から、年間での需要は低調となりましたが、リモートワークや5Gサービスの急速な普及により半導体関連市場で回復が見られ、これを牽引役として、年度後半からは、コロナ禍で落ち込んだ受注が回復してきております。この結果、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は一定の範囲に収まり、当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、市況の低迷の影響を受けたアドバンスオートメーション(AA)事業が減少したことに加え、当連結会計年度は更新時期を迎える複数年契約のサービス案件が少ない端境期に当たるなどの理由からビルディングオートメーション(BA)事業が減少し、また、ライフオートメーション(LA)事業もLPガスメータ等の需要が減少したことにより、全体として前連結会計年度比4.0%減少の2,478億7千3百万円(前連結会計年度は2,580億7千9百万円)となりました。
売上高につきましては、BA事業が、前連結会計年度において新築大型建物向けに空調制御機器・システムを販売・施工する分野が高水準であったことの反動等により減少し、またAA事業及びLA事業が、受注同様、市況の低迷の影響を受けたことから、前連結会計年度比4.9%減少の2,468億2千1百万円(前連結会計年度は2,594億1千1百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、経費の抑制及び事業収益力強化策の効果等もありましたが、減収の影響により前連結会計年度比5.6%減少の257億2千万円(前連結会計年度は272億5千5百万円)となり、経常利益につきましても、営業利益の減少を主因に前連結会計年度比5.0%減少の263億3千8百万円(前連結会計年度は277億1千2百万円)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券売却益に加え、国内の工場統合を通じた固定資産売却益の計上等によりほぼ前連結会計年度並みの199億1千8百万円(前連結会計年度は197億9千3百万円)となりました。
セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く事業環境は、国内市場においては、一部計画の延期等が見られましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は限定的なものにとどまりました。首都圏における都市再開発案件の需要は継続しており、換気改善、省エネ・CO2削減や運用コスト低減に関するソリューションへの関心も拡大しております。一方、海外市場においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要の低迷・工事遅延等の影響等が見られました。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大を進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、新築大型建物向け空調制御機器・システムの販売・施工分野の需要が継続し、換気改善、省エネ・CO2削減等のソリューションに向けた既設改修・サービス需要も堅調ですが、当連結会計年度において更新時期を迎える複数年契約の案件が少ないことによりサービス事業の分野が減少し、加えて、当連結会計年度上期において、一部の案件で採算性を考慮した結果、既設建物向けの分野も一時的に減少したことなどから、全体としては前連結会計年度比3.6%減少の1,185億3百万円(前連結会計年度は1,229億5百万円)となりました。売上高につきましては、竣工が集中した前連結会計年度の反動で、引き続き高水準ながら、新築大型建物向けの分野が減少したことに加え、前述の要因から既設建物向けの分野が減少し、さらに海外事業も新型コロナウイルス感染拡大による工事遅延等の影響から減少したため、全体としては前連結会計年度比5.1%減少の1,175億2千1百万円(前連結会計年度は1,237億9千4百万円)となりました。セグメント利益につきましては、経費抑制及び採算性改善策の効果もありましたが、減収の影響により、前連結会計年度比5.8%減少の140億2千3百万円(前連結会計年度は148億9千万円)となりました。
中長期的には、2021年度以降も大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されており、納入実績を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する換気・入退室管理等の安全・安心に対するニューノーマル時代のオフィス需要等に対し、リモートメンテナンス、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高利益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、5G関連投資の広がりなどを受け半導体製造装置市場では需要が拡大するなど、製造装置市場を中心にコロナ禍からの回復傾向が見られております。新型コロナウイルス感染拡大の影響は予断を許さないところではありますが、今後も国内外の製造装置市場等の需要増加は続く見通しにあります。
こうした事業環境のもと、今後の更なる需要回復と将来の成長へ向けて、顧客開拓や海外での拠点・体制整備等の施策を着実に推し進め、さらに、これまで実績を上げてきた各種の収益力強化施策の徹底と拡大に取り組んでまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、第4四半期において前年同期比で増加いたしましたが、通期では新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界経済低迷の影響を受け、前連結会計年度比4.8%減少の875億2千3百万円(前連結会計年度は919億1千5百万円)となりました。売上高につきましても、海外事業の拡大や製造装置市場での市況の好転等がありましたが、全般では市況低迷による設備投資減少の影響を受け、前連結会計年度比5.8%減少の877億7千8百万円(前連結会計年度は931億5千6百万円)となりました。セグメント利益につきましては、減収の影響により、前連結会計年度比2.2%減少の102億5千1百万円(前連結会計年度は104億8千6百万円)となりましたが、成長戦略と収益力強化施策の更なる進展により、厳しい環境でも更なる利益率の改善を実現いたしました。
中長期的には、人手不足、脱炭素社会への対応、リモートワーク等のニューノーマルへの対応、新技術の導入による生産性向上等を目的とした継続的な製造装置・生産ラインの自動化に係る投資需要の拡大が見込まれます。引き続き3つの事業単位※1(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、MEMS※2等の技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、アズビルならではの新しいオートメーション領域を創出していくことで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
※1 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータ交換の需要を主体としており、基本的には安定した需要が見込まれますが、売上の一部を占めるLPガスメータが不需要期に入り、また、水道メータ市場において新型コロナウイルス感染拡大の影響により検定満期の延長が行われ、需要が先送りされるなどの変化が見られました。ライフサイエンスエンジニアリング分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、需要の増減がある中でも、引き続き事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に取り組み、成果を上げております。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による製薬市場での研究開発設備需要増によりライフサイエンスエンジニアリング分野は増加いたしましたが、LPガスメータの循環的な需要の減少等によりライフライン分野が減少したことを主因に、全体として前連結会計年度比3.2%減少の433億5千万円(前連結会計年度は448億6百万円)となりました。売上高につきましても、前連結会計年度における受注増加等を背景にライフサイエンスエンジニアリング分野は増加いたしましたが、ライフライン分野が減少したことにより、前連結会計年度比2.5%減少の429億4千2百万円(前連結会計年度は440億3千3百万円)となりました。セグメント利益につきましては、ライフライン分野での減収による減益の影響により、前連結会計年度比23.1%減少の14億3千4百万円(前連結会計年度は18億6千6百万円)となりました。
LA事業では今後も引き続き、同事業を構成する各事業分野の収益の安定化・向上に取り組んでまいります。また、これと並行して、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、従来からの製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業を創出し、売上高拡大、利益の向上に取り組んでまいります。
(単位:百万円)
2021年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定しました。2021年度の事業環境を見ると、大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は堅調さを維持しており、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましては、先行的な動きを示す製造装置市場での回復が国内外で顕著となっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大については、当社グループの2020年度業績に対するその影響は限定的なものにとどまりましたが、同ウイルスの世界的な収束の見通しは未だたっておらず、世界経済並びに国内外におけるお客様の設備投資の状況は不透明さを残しております。2021年度においても国内外経済活動への影響は、当面継続するものと見ており、当社グループといたしましては、新型コロナウイルスの感染状況の変化を注視し、迅速に対応することで業績への影響を抑えてまいります。
上述の事業環境認識のもと、2021年度の業績につきましては、これまで築き上げたライフサイクル型事業の基盤を活かしつつ、回復基調にある市場の需要を確実におさえるとともに、将来の成長に向けた研究開発・設備投資を着実に実施しつつも、営業利益率の着実な改善等、事業収益力の強化に引き続き取り組み、増収を計画するとともに、営業利益ベースでは過去最高益の更新を目指してまいります。
新中期経営計画の初年度にあたる2021年度の売上高は、2020年度比5.3%増加の2,600億円を見込み、損益面につきましては、営業利益で2020年度比6.9%増加の275億円、経常利益は2020年度比4.4%増加の275億円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2020年度と同水準の200億円を見込んでおります。
BA事業は、大型建物向けの空調制御機器・システムの需要が引き続き高い水準で推移しており、新築建物における受注残高と既設改修における需要の拡大を背景に増収・増益を見込んでおります。
AA事業は、国内外での製造装置市場を牽引役に、設備投資の回復が全般として見込まれており、海外での積極的な顧客開拓や新製品の投入の効果と更なる収益力強化施策の進展により、増収・増益を見込んでおります。
LA事業は、法定によるメータ交換需要をベースにしつつも、クラウドを活用したサービス事業の拡大によるライフライン分野での伸長や、製薬市場の装置需要拡大によるライフサイエンスエンジニアリング分野での前連結会計年度受注残高増加を背景に、増収・増益を見込んでおります。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより2020年10月16日付で引き上げられた発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、新たにコマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は90億3千5百万円で、前連結会計年度末に比べて8億1千万円増加しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は50億3千9百万円、研究開発費の総額は111億8千1百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染拡大が続く中、以下の感染状況に関する前提に基づく業績への影響を踏まえて2020年11月5日に修正発表した業績予想において、売上高2,480億円、営業利益255億円を見込んでおりました。
<2020年度連結業績予想の前提>・新型コロナウイルスの感染拡大状況が世界的に長期化
・市場の不透明感が継続し、2020年度内は厳しい事業環境が続く
・感染拡大の中でもazbilグループの生産及びエンジニアリング、工事、サービス等の現場業務の全面的な停止は発生せず、事業は継続
この業績予想に対し、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞等、厳しい事業環境下にあってもお客様・社員の安全を第一に、社会インフラ・お客様の重要施設の維持のためのエンジニアリング・施工・サービス業務及び生産活動の継続により業績に対する影響は一定の範囲に収まり、売上高はほぼ計画通りの2,468億円、営業利益は257億円と計画を達成いたしました。また、ROEも10.4%と前年度に続き10%台を確保いたしました。
なお、当社グループは、2030年度をゴールとする新長期目標及びこの目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の新中期経営計画(2021~2024年度)を策定し、2021年5月14日に公表いたしました。新長期目標では、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しており、また新中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。さらに、2021年度より資本コストを意識した経営の観点から投下資本利益率(ROIC)を導入し、投下資本からの収益性に基づく経営資源活用の最大効率化と事業ポートフォリオ管理を実践することで、当社グループ全体の企業価値向上(ROEの向上)に繋げてまいります。
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,478億7千3百万円(前連結会計年度は2,580億7千9百万円)と、前連結会計年度比4.0%の減少となりました。
売上高につきましては、2,468億2千1百万円(前連結会計年度は2,594億1千1百万円)と、前連結会計年度比4.9%の減少となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比5.6%減少の257億2千万円(前連結会計年度は272億5千5百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比5.0%減少の263億3千8百万円(前連結会計年度は277億1千2百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比0.6%増加の199億1千8百万円(前連結会計年度は197億9千3百万円)となりました。
(単位:百万円)
| 2020年3月期前連結会計年度 | 2021年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 258,079 | 247,873 | △10,206 | △4.0% |
| 売上高 | 259,411 | 246,821 | △12,590 | △4.9% |
| 営業利益 (利益率) | 27,255 (10.5%) | 25,720 (10.4%) | △1,535 (△0.1pp) | △5.6% |
| 経常利益 | 27,712 | 26,338 | △1,374 | △5.0% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 (利益率) | 19,793 (7.6%) | 19,918 (8.1%) | 125 (0.4pp) | 0.6% |
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて、100億3千7百万円増加し、資産合計で2,845億9千7百万円となりました。これは主に、国内外での新型コロナウイルス感染拡大影響に備えた資金の流動性確保等により現金及び預金が107億6千1百万円増加したことに加え、保有株式の売却以上に時価が上昇したことで投資有価証券が28億2百万円増加したことによるものであります。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて52億6千7百万円減少し、負債合計で839億9千万円となりました。これは主に、仕入債務が65億3千万円減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて153億5百万円増加し、純資産合計で2,006億7百万円となりました。これは主に株主資本が、配当金の支払いにより70億7千3百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により199億1千8百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の66.7%から69.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は226億3百万円となり、前連結会計年度に比べて72億8百万円の減少となりました。これは主に、税率改正に伴い消費税の納付が増加したことに加え、前連結会計年度には2019年3月期末が金融機関の休日のため未決済であった売上債権の決済が含まれていたことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の増加は2億8千3百万円(前年同期は41億7千2百万円の支出の超過)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が増加したことに加え、当連結会計年度において国内の工場統合を通じた有形固定資産の売却による収入があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は69億9千6百万円となり、前連結会計年度に比べて117億7千1百万円の支出の減少となりました。これは主に、前連結会計年度において取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出があったことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より159億9百万円増加し、906億5千2百万円となりました。
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 40,102 | 93.3 |
| アドバンスオートメーション事業 | 27,307 | 96.0 |
| ライフオートメーション事業 | 29,182 | 99.8 |
| 報告セグメント計 | 96,592 | 95.9 |
| その他 | - | - |
| 合計 | 96,592 | 95.9 |
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 118,503 | 96.4 | 64,050 | 101.4 |
| アドバンスオートメーション事業 | 87,523 | 95.2 | 27,751 | 99.9 |
| ライフオートメーション事業 | 43,350 | 96.8 | 14,275 | 106.2 |
| 報告セグメント計 | 249,377 | 96.1 | 106,077 | 101.6 |
| その他 | 54 | 92.4 | 0 | - |
| 消去 | (1,558) | - | (211) | - |
| 連結 | 247,873 | 96.0 | 105,866 | 101.5 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 117,521 | 94.9 |
| アドバンスオートメーション事業 | 87,778 | 94.2 |
| ライフオートメーション事業 | 42,942 | 97.5 |
| 報告セグメント計 | 248,243 | 95.1 |
| その他 | 54 | 90.6 |
| 消去 | (1,477) | - |
| 連結 | 246,821 | 95.1 |
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社グループの会計上の見積りに与える影響は軽微と判断しております。
(工事進行基準)
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については主として工事完成基準を適用しております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境は、大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が継続し、換気・省エネ対策に対する関心が高まりを見せており、新型コロナウイルス感染拡大の影響による改修案件等の一部計画の延期が見られましたが、その影響は限定的なものにとどまりました。生産設備につきましては、既存設備の維持・安全の確保等の需要が底堅く推移し、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞から、年間での需要は低調となりましたが、リモートワークや5Gサービスの急速な普及により半導体関連市場で回復が見られ、これを牽引役として、年度後半からは、コロナ禍で落ち込んだ受注が回復してきております。この結果、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は一定の範囲に収まり、当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、市況の低迷の影響を受けたアドバンスオートメーション(AA)事業が減少したことに加え、当連結会計年度は更新時期を迎える複数年契約のサービス案件が少ない端境期に当たるなどの理由からビルディングオートメーション(BA)事業が減少し、また、ライフオートメーション(LA)事業もLPガスメータ等の需要が減少したことにより、全体として前連結会計年度比4.0%減少の2,478億7千3百万円(前連結会計年度は2,580億7千9百万円)となりました。
売上高につきましては、BA事業が、前連結会計年度において新築大型建物向けに空調制御機器・システムを販売・施工する分野が高水準であったことの反動等により減少し、またAA事業及びLA事業が、受注同様、市況の低迷の影響を受けたことから、前連結会計年度比4.9%減少の2,468億2千1百万円(前連結会計年度は2,594億1千1百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、経費の抑制及び事業収益力強化策の効果等もありましたが、減収の影響により前連結会計年度比5.6%減少の257億2千万円(前連結会計年度は272億5千5百万円)となり、経常利益につきましても、営業利益の減少を主因に前連結会計年度比5.0%減少の263億3千8百万円(前連結会計年度は277億1千2百万円)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、投資有価証券売却益に加え、国内の工場統合を通じた固定資産売却益の計上等によりほぼ前連結会計年度並みの199億1千8百万円(前連結会計年度は197億9千3百万円)となりました。
セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く事業環境は、国内市場においては、一部計画の延期等が見られましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響は限定的なものにとどまりました。首都圏における都市再開発案件の需要は継続しており、換気改善、省エネ・CO2削減や運用コスト低減に関するソリューションへの関心も拡大しております。一方、海外市場においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により需要の低迷・工事遅延等の影響等が見られました。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、お客様・社員の安全に十分配慮し、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの拡大を進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、新築大型建物向け空調制御機器・システムの販売・施工分野の需要が継続し、換気改善、省エネ・CO2削減等のソリューションに向けた既設改修・サービス需要も堅調ですが、当連結会計年度において更新時期を迎える複数年契約の案件が少ないことによりサービス事業の分野が減少し、加えて、当連結会計年度上期において、一部の案件で採算性を考慮した結果、既設建物向けの分野も一時的に減少したことなどから、全体としては前連結会計年度比3.6%減少の1,185億3百万円(前連結会計年度は1,229億5百万円)となりました。売上高につきましては、竣工が集中した前連結会計年度の反動で、引き続き高水準ながら、新築大型建物向けの分野が減少したことに加え、前述の要因から既設建物向けの分野が減少し、さらに海外事業も新型コロナウイルス感染拡大による工事遅延等の影響から減少したため、全体としては前連結会計年度比5.1%減少の1,175億2千1百万円(前連結会計年度は1,237億9千4百万円)となりました。セグメント利益につきましては、経費抑制及び採算性改善策の効果もありましたが、減収の影響により、前連結会計年度比5.8%減少の140億2千3百万円(前連結会計年度は148億9千万円)となりました。
中長期的には、2021年度以降も大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されており、納入実績を基にこれらの需要を確実に獲得してまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する換気・入退室管理等の安全・安心に対するニューノーマル時代のオフィス需要等に対し、リモートメンテナンス、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高利益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
| 2020年3月期前連結会計年度 | 2021年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 122,905 | 118,503 | △4,402 | △3.6% |
| 売上高 | 123,794 | 117,521 | △6,272 | △5.1% |
| セグメント利益 (利益率) | 14,890 (12.0%) | 14,023 (11.9%) | △867 (△0.1pp) | △5.8% |
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、5G関連投資の広がりなどを受け半導体製造装置市場では需要が拡大するなど、製造装置市場を中心にコロナ禍からの回復傾向が見られております。新型コロナウイルス感染拡大の影響は予断を許さないところではありますが、今後も国内外の製造装置市場等の需要増加は続く見通しにあります。
こうした事業環境のもと、今後の更なる需要回復と将来の成長へ向けて、顧客開拓や海外での拠点・体制整備等の施策を着実に推し進め、さらに、これまで実績を上げてきた各種の収益力強化施策の徹底と拡大に取り組んでまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、第4四半期において前年同期比で増加いたしましたが、通期では新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界経済低迷の影響を受け、前連結会計年度比4.8%減少の875億2千3百万円(前連結会計年度は919億1千5百万円)となりました。売上高につきましても、海外事業の拡大や製造装置市場での市況の好転等がありましたが、全般では市況低迷による設備投資減少の影響を受け、前連結会計年度比5.8%減少の877億7千8百万円(前連結会計年度は931億5千6百万円)となりました。セグメント利益につきましては、減収の影響により、前連結会計年度比2.2%減少の102億5千1百万円(前連結会計年度は104億8千6百万円)となりましたが、成長戦略と収益力強化施策の更なる進展により、厳しい環境でも更なる利益率の改善を実現いたしました。
中長期的には、人手不足、脱炭素社会への対応、リモートワーク等のニューノーマルへの対応、新技術の導入による生産性向上等を目的とした継続的な製造装置・生産ラインの自動化に係る投資需要の拡大が見込まれます。引き続き3つの事業単位※1(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、MEMS※2等の技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、アズビルならではの新しいオートメーション領域を創出していくことで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
| 2020年3月期前連結会計年度 | 2021年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 91,915 | 87,523 | △4,391 | △4.8% |
| 売上高 | 93,156 | 87,778 | △5,377 | △5.8% |
| セグメント利益 (利益率) | 10,486 (11.3%) | 10,251 (11.7%) | △235 (0.4pp) | △2.2% |
※1 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
※2 MEMS(Micro Electro Mechanical Systems):センサ、アクチュエータ、電子回路を一つの基盤の上に微細加工技術によって集積した機器。
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータ交換の需要を主体としており、基本的には安定した需要が見込まれますが、売上の一部を占めるLPガスメータが不需要期に入り、また、水道メータ市場において新型コロナウイルス感染拡大の影響により検定満期の延長が行われ、需要が先送りされるなどの変化が見られました。ライフサイエンスエンジニアリング分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、需要の増減がある中でも、引き続き事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に取り組み、成果を上げております。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による製薬市場での研究開発設備需要増によりライフサイエンスエンジニアリング分野は増加いたしましたが、LPガスメータの循環的な需要の減少等によりライフライン分野が減少したことを主因に、全体として前連結会計年度比3.2%減少の433億5千万円(前連結会計年度は448億6百万円)となりました。売上高につきましても、前連結会計年度における受注増加等を背景にライフサイエンスエンジニアリング分野は増加いたしましたが、ライフライン分野が減少したことにより、前連結会計年度比2.5%減少の429億4千2百万円(前連結会計年度は440億3千3百万円)となりました。セグメント利益につきましては、ライフライン分野での減収による減益の影響により、前連結会計年度比23.1%減少の14億3千4百万円(前連結会計年度は18億6千6百万円)となりました。
LA事業では今後も引き続き、同事業を構成する各事業分野の収益の安定化・向上に取り組んでまいります。また、これと並行して、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、従来からの製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メータからのデータを活用したサービスプロバイダとしての新たな事業を創出し、売上高拡大、利益の向上に取り組んでまいります。
(単位:百万円)
| 2020年3月期前連結会計年度 | 2021年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 44,806 | 43,350 | △1,455 | △3.2% |
| 売上高 | 44,033 | 42,942 | △1,090 | △2.5% |
| セグメント利益 (利益率) | 1,866 (4.2%) | 1,434 (3.3%) | △431 (△0.9pp) | △23.1% |
2021年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定しました。2021年度の事業環境を見ると、大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は堅調さを維持しており、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましては、先行的な動きを示す製造装置市場での回復が国内外で顕著となっています。また、新型コロナウイルスの感染拡大については、当社グループの2020年度業績に対するその影響は限定的なものにとどまりましたが、同ウイルスの世界的な収束の見通しは未だたっておらず、世界経済並びに国内外におけるお客様の設備投資の状況は不透明さを残しております。2021年度においても国内外経済活動への影響は、当面継続するものと見ており、当社グループといたしましては、新型コロナウイルスの感染状況の変化を注視し、迅速に対応することで業績への影響を抑えてまいります。
上述の事業環境認識のもと、2021年度の業績につきましては、これまで築き上げたライフサイクル型事業の基盤を活かしつつ、回復基調にある市場の需要を確実におさえるとともに、将来の成長に向けた研究開発・設備投資を着実に実施しつつも、営業利益率の着実な改善等、事業収益力の強化に引き続き取り組み、増収を計画するとともに、営業利益ベースでは過去最高益の更新を目指してまいります。
新中期経営計画の初年度にあたる2021年度の売上高は、2020年度比5.3%増加の2,600億円を見込み、損益面につきましては、営業利益で2020年度比6.9%増加の275億円、経常利益は2020年度比4.4%増加の275億円、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、2020年度と同水準の200億円を見込んでおります。
BA事業は、大型建物向けの空調制御機器・システムの需要が引き続き高い水準で推移しており、新築建物における受注残高と既設改修における需要の拡大を背景に増収・増益を見込んでおります。
AA事業は、国内外での製造装置市場を牽引役に、設備投資の回復が全般として見込まれており、海外での積極的な顧客開拓や新製品の投入の効果と更なる収益力強化施策の進展により、増収・増益を見込んでおります。
LA事業は、法定によるメータ交換需要をベースにしつつも、クラウドを活用したサービス事業の拡大によるライフライン分野での伸長や、製薬市場の装置需要拡大によるライフサイエンスエンジニアリング分野での前連結会計年度受注残高増加を背景に、増収・増益を見込んでおります。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
| (単位:億円) | |||||
| 2021年3月期 実績 | 2022年3月期 見通し | 増減 | 増減率 | ||
| ビルディングオートメーション事業 | 売上高 | 1,175 | 1,214 | 38 | 3.3% |
| セグメント利益 (利益率) | 140 (11.9%) | 143 (11.8%) | 2 (△0.2pp) | 2.0% | |
| アドバンス オートメーション事業 | 売上高 | 877 | 942 | 64 | 7.3% |
| セグメント利益 (利益率) | 102 (11.7%) | 116 (12.3%) | 13 (0.6pp) | 13.2% | |
| ライフオートメーション事業 | 売上高 | 429 | 457 | 27 | 6.4% |
| セグメント利益 (利益率) | 14 (3.3%) | 16 (3.5%) | 1 (0.2pp) | 11.5% | |
| その他 | 売上高 | 0 | 1 | 0 | 82.4% |
| セグメント利益 (利益率) | 0 (12.2%) | 0 (0.0%) | △0 (△12.2pp) | - | |
| 連結 | 売上高 | 2,468 | 2,600 | 131 | 5.3% |
| 営業利益 (利益率) | 257 (10.4%) | 275 (10.6%) | 17 (0.2pp) | 6.9% | |
| 経常利益 | 263 | 275 | 11 | 4.4% | |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 (利益率) | 199 (8.1%) | 200 (7.7%) | 0 (△0.4pp) | 0.4% |
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより2020年10月16日付で引き上げられた発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、新たにコマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は90億3千5百万円で、前連結会計年度末に比べて8億1千万円増加しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は50億3千9百万円、研究開発費の総額は111億8千1百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2020年度につきましては、新型コロナウイルス感染拡大が続く中、以下の感染状況に関する前提に基づく業績への影響を踏まえて2020年11月5日に修正発表した業績予想において、売上高2,480億円、営業利益255億円を見込んでおりました。
<2020年度連結業績予想の前提>・新型コロナウイルスの感染拡大状況が世界的に長期化
・市場の不透明感が継続し、2020年度内は厳しい事業環境が続く
・感染拡大の中でもazbilグループの生産及びエンジニアリング、工事、サービス等の現場業務の全面的な停止は発生せず、事業は継続
この業績予想に対し、新型コロナウイルス感染拡大の影響による経済活動の停滞等、厳しい事業環境下にあってもお客様・社員の安全を第一に、社会インフラ・お客様の重要施設の維持のためのエンジニアリング・施工・サービス業務及び生産活動の継続により業績に対する影響は一定の範囲に収まり、売上高はほぼ計画通りの2,468億円、営業利益は257億円と計画を達成いたしました。また、ROEも10.4%と前年度に続き10%台を確保いたしました。
なお、当社グループは、2030年度をゴールとする新長期目標及びこの目標実現に向けた第1ステップとして4ヵ年の新中期経営計画(2021~2024年度)を策定し、2021年5月14日に公表いたしました。新長期目標では、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しており、また新中期経営計画においては、最終年度の売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としております。さらに、2021年度より資本コストを意識した経営の観点から投下資本利益率(ROIC)を導入し、投下資本からの収益性に基づく経営資源活用の最大効率化と事業ポートフォリオ管理を実践することで、当社グループ全体の企業価値向上(ROEの向上)に繋げてまいります。