訂正有価証券報告書-第103期(2024/04/01-2025/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が3,047億2千3百万円(前連結会計年度は2,878億5千1百万円)と、前連結会計年度比5.9%の増加となりました。
売上高につきましては、3,003億7千8百万円(前連結会計年度は2,909億3千8百万円)と、前連結会計年度比3.2%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比12.6%増加の414億8千6百万円(前連結会計年度は368億4千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比8.1%増加の421億7千万円(前連結会計年度は389億9千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比35.6%増加の409億5千5百万円(前連結会計年度は302億7百万円)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて13億4千4百万円増加し、資産合計で3,150億7千2百万円となりました。アズビルテルスター有限会社(以下、「アズビルテルスター」といいます。)の出資持分譲渡による連結の範囲からの除外の影響を含め棚卸資産が61億5千3百万円、売上債権等が60億1千4百万円それぞれ減少し、また、投資有価証券が32億1千7百万円減少いたしました。一方、現金及び預金はアズビルテルスターの出資持分譲渡による収入等があり、174億1千5百万円増加いたしました。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて142億8千5百万円減少し、負債合計で745億5千5百万円となりました。これは主に、アズビルテルスターの出資持分譲渡による連結の範囲からの除外の影響を含め仕入債務が43億8千3百万円、借入金が39億7千1百万円それぞれ減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて156億2千9百万円増加し、純資産合計で2,405億1千7百万円となりました。これは主に株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により149億9千9百万円、配当金の支払いにより112億1千8百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により409億5千5百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.6%から75.3%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は439億5千3百万円となり、前連結会計年度に比べて164億1千3百万円の増加となりました。これは主に、前連結会計年度において部品確保・調達力強化の対応等により増加していた棚卸資産が当連結会計年度では減少したことに加え、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の増加(収入と支出の純額)は、設備投資等の支出はあったものの、関係会社出資金の売却等の収入があり、20億3千2百万円となりました。前連結会計年度においては、投資有価証券の売却による収入があったものの、設備投資等の支出により、23億6千万円の支出の超過となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は297億7千1百万円となり、前連結会計年度に比べて73億1千6百万円の支出の増加となりました。これは主に、取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出が増加したことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より170億4千1百万円増加し、926億3千7百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)当連結会計年度において、ライフオートメーション事業の受注残高が著しく減少しております。これは主に、連結子会社であったアズビルテルスター有限会社の出資持分全てを譲渡したことに伴い、同社及びその子会社を連結の範囲から除外したことによるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(請負工事に関する収益認識)
請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。
国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要が継続し、また、ファクトリーオートメーション(FA)市場は前連結会計年度からの需要低迷から一部で回復の兆しが見られました。
この結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、アズビルテルスターの出資持分譲渡※1による影響からLA事業が減少しましたが、BA事業が堅調な市況に加えて、複数年の大型サービス契約の更改により増加したことを主因に、前連結会計年度比5.9%増加の3,047億2千3百万円(前連結会計年度は2,878億5千1百万円)となりました。売上高についても、LA事業が同様の理由で減少しましたが、BA事業が前連結会計年度における受注増加を背景に、平準化の取組みも着実に進展したことにより大きく増加したため、全体として前連結会計年度比3.2%増加の3,003億7千8百万円(前連結会計年度は2,909億3千8百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の増加に加え、DX関連費用、人件費やその他費用の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により大きく改善し、前連結会計年度比12.6%増加の414億8千6百万円(前連結会計年度は368億4千1百万円)となりました。経常利益は、為替差損の計上があるものの、営業利益の増加等により前連結会計年度比8.1%増加の421億7千万円(前連結会計年度は389億9千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、アズビルテルスターの出資持分譲渡による売却益(約76億円)の計上を主因に、前連結会計年度比35.6%増加の409億5千5百万円(前連結会計年度は302億7百万円)となりました。
※1 アズビルテルスターの出資持分の全てを、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)付で譲渡しました。この譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社を2025年3月期第3四半期末にて当社の連結の範囲から除外しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりです。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発のオフィスビル向け需要が一旦踊り場を迎えていますが、高い水準を引き続き維持しています。省エネ・CO2排出量削減の需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューション対応への関心も継続しています。海外市場でも新型コロナウイルス感染拡大前の水準を超えて、投資が拡大しています。
こうした事業環境のもと、着実に受注を獲得するとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化とDX推進による効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、大型の複数年サービス契約の更改を主因に、人員等のリソースのシフト・体制強化を進めている既設建物向け分野も増加し、BA事業全体として大きく伸長し、前連結会計年度比12.3%増加の1,536億4千万円(前連結会計年度は1,367億8千2百万円)となりました。売上高は、国内事業における平準化の取組みが進展し、新設建物向けから既設建物向け・サービス分野が増加したことに加えて、海外事業の拡大により、前連結会計年度比10.5%増加と大きく伸長し1,487億7千万円(前連結会計年度は1,346億5千5百万円)となりました。セグメント利益は、外注費の高騰のほか、人件費、DX関連費用や研究開発投資等の費用の増加がありましたが、収益性の高い既設建物向け・サービス分野を中心とした増収及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により大きく改善し、前連結会計年度比25.8%増加の243億6千3百万円(前連結会計年度は193億7千3百万円)となりました。
中長期的には、引き続き大型の再開発案件が計画され、建物の改修計画も多数見込まれています。採算性に配慮しつつ、これらの需要に確実にお応えしてまいります。さらに、事業提携も含めて、脱炭素化に向けた省エネ・再生可能エネルギー利活用ニーズに応えるESP(Energy Service Provider)モデルの展開、データセンター市場の更なる拡張を進めてまいります。また、新型コロナウイルス感染拡大後に顕在化した安全・安心ニーズに利便性・快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィスの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。収益力強化の観点からは、営業・エンジニアリング等のDXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション(PA)市場は、国内の保守・改造需要を中心に堅調に推移しています。一方、FA市場では、中国での市況回復の遅れがありましたが、一部で回復の兆しが見られています。
このような事業環境のもと、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造という2つの成長施策を通じて事業拡大を図るとともに、部材調達難対応としての調達・生産プロセスの改善や収益力強化に継続して取り組みました。
この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度に大型案件が計上された影響がありましたが、PA市場の堅調さに加えてFA市場での需要に回復が見られたことなどから、前連結会計年度比4.4%増加の1,059億8千6百万円(前連結会計年度は1,014億8千1百万円)となりました。また、売上高は、FA市場の市況低迷の影響がありましたが、PA市場の堅調さにより、前連結会計年度と同水準となる1,068億3千6百万円(前連結会計年度は1,070億5千2百万円)となりました。セグメント利益につきましても、人件費をはじめとした各種経費の上昇や海外市場への投資、DX投資、研究開発投資の増加等はありましたが、価格転嫁を含む収益力強化施策の効果が引き続き認められたことにより、前連結会計年度と同水準となる159億9千7百万円(前連結会計年度は161億1千8百万円)となりました。
現在もFA市場は低い水準の市況動向が継続していますが、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造の2つの成長施策が着実に進展しており、今後の市況回復期での成長に寄与することに加え、長期的には工場の脱炭素化、人手不足対応、設備老朽化対応、新しい生産方式の導入等、お客様のオートメーションへのニーズ対応として、工業系オートメーション市場はグローバルに拡大していくことが期待されています。引き続き3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、微細加工等の先進的な技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、当社グループならではの新しいオートメーションを創造することで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
※2 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
ライフライン分野は、法定によるメーターの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメーター市場が循環的な不需要期にあります。また、海外で事業展開してきたライフサイエンスエンジニアリング分野では、業界再編の進展、欧州地域の混迷による景況感の影響を受ける中で、事業ポートフォリオ再構築を進めるために同分野を担うアズビルテルスターの出資持分譲渡※3を実施しました。この譲渡による連結範囲からの除外が、LA事業の当連結会計年度の業績に影響いたしました。
※3 資本効率の向上を図る事業ポートフォリオ再構築に取り組み、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)、ライフサイエンスエンジニアリング分野を担うアズビルテルスターの出資持分全てをSyntegon Technology GmbHの100%子会社であるFalcon Acquisition, S.L.U.へ譲渡いたしました。なお、この出資持分譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社は2025年3月期第3四半期末をもって当社の連結の範囲から除外しております。
上記の事業環境や事業ポートフォリオ再構築により、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフサイエンスエンジニアリング分野が減少したことを主因に、全体として前連結会計年度比9.4%減少となる468億4千5百万円(前連結会計年度は516億8千9百万円)となりました。売上高につきましては、ライフライン分野、住宅用全館空調システム分野は前連結会計年度と同水準となりましたが、受注高と同様の理由によりライフサイエンスエンジニアリング分野が減少したことから、前連結会計年度比9.3%減少の466億3千4百万円(前連結会計年度は514億4百万円)となりました。セグメント利益についても、ライフサイエンスエンジニアリング分野の減少に加えて、人件費をはじめとした各種経費の上昇により前連結会計年度比14.9%減少の11億7千1百万円(前連結会計年度は13億7千5百万円)となりました。
ライフサイエンスエンジニアリング分野における事業譲渡後のLA事業では、引き続き価格転嫁の取組みを含めた収益力の改善、DXの推進による業務プロセスの見直しなどに取り組み、環境変化に応じた適切な変革を推進いたします。ライフライン分野では、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、スマートメーターを視野に入れた製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メーターからのデータを活用したサービスプロバイダーとしての新たな事業の創出に取り組んでまいります。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質も含めて、幅広く生活空間の快適性を提供する製品対応等により、事業を推進してまいります。
(単位:百万円)
2025年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、中期経営計画を段階的に策定して目標達成に向けた取組みを進めております。「持続可能な社会」の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要が増加しております。長期目標達成に向けた第一期間である前中期経営計画(2021~2024年度)は、コロナ禍を経ての顧客ニーズ、ライフスタイルの変化、インフレやグローバルサプライチェーンの課題等、事業を取り巻く環境が大きく変化する中での取組みとなりましたが、こうした需要の拡大、事業機会の増加を的確に捉えることで、2021年5月の計画公表時の業績目標を上回る成果をあげることができました。当社グループでは、第二期間となる新中期経営計画(2025~2027年度)においても、引き続き、オートメーションに求められる役割の拡大を事業機会として、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かし、お客様の施設・設備のライフサイクルにわたって価値を提供することで持続的な成長を目指してまいります。
新中期経営計画初年度である2025年度の当社グループを取り巻く事業環境は、グローバルでの地政学的リスク、米国相互関税による産業・経済への影響からインフレの継続、人件費等のコスト上昇等、不確実性が高まっておりますが、空調制御機器・システムに関する需要は引き続き堅調であり、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましても、PA市場での堅調さに加え、FA市場において緩やかな市況回復が見込まれます。
2026年3月期の連結業績予想につきましては、こうした事業環境の下、期首受注残の積み上がりを背景にBA、AA両事業において更なる成長を計画しますが、LA事業において、事業ポートフォリオ再構築の一環として2024年度においてアズビルテルスターの出資持分を他社に譲渡した影響から減収となり、グループ全体でも僅かながら減収となる見込みです。不確実性の高い米国関税政策の影響を当面織り込める範囲の前提においても、営業利益では引き続き増益を計画し、具体的には成長に向けた研究開発や設備、人的資本、DX推進等の投資に加えて、インフレによる影響を含め、人件費や各種コストの増加が見込まれますが、これまで進めてきた価格転嫁を含めた収益力強化施策の継続、DXによる業務効率化等により営業利益での増益を計画します。なお、経常利益につきましては、円高による影響等により前連結会計年度比同水準、親会社株主に帰属する当期純利益については、2024年度においてアズビルテルスターの出資持分譲渡による売却益の計上等があったことから減益を見込んでおります。
BA事業では、都市再開発計画や更新計画に基づく大型建物向けの空調制御機器・システムの販売からサービスまで、国内需要が引き続き堅調に推移しております。また、海外における需要も堅調です。こうした事業環境を背景に、着実に事業を進めることで、豊富な受注残を売上高へと転化し、前連結会計年度比増収を見込みます。セグメント利益につきましても、外注費の増加や成長のための人件費、DX関連費用等の増加がありますが、増収並びに受注時採算性の改善、適正な価格転嫁の取組みなどにより前連結会計年度比で増益を見込みます。
AA事業では、PA市場が引き続き堅調に推移することに加え、FA市場で在庫の調整も進みつつあり、期中での需要回復が見込まれます。このPA、FA両市場における需要の拡大を確実に捉えることで、増収を見込みます。セグメント利益についても、部材価格高騰によるコスト上昇や人件費の増加を見込みますが、増収及び価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果により前連結会計年度比で増益を計画します。
LA事業では、ガス・水道メーター等のライフライン分野で、LPガスメーターの需要回復等、法定による交換需要を着実に取り込むとともに、SMaaS(Smart Metering as a Service)関連市場の開拓を進めることで増収を見込み、住宅用全館空調システム分野も伸長を見込んでおりますが、2024年度の売上高の約3分の1を占めていたアズビルテルスターの出資持分譲渡による影響から、LA事業全体としては減収を見込みます。セグメント利益につきましても価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果等によりライフライン分野で利益の改善を見込みますが、アズビルテルスターの出資持分譲渡による影響から前連結会計年度比減益となる見込みです。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は48億6千2百万円で、前連結会計年度末に比べて26億6百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は98億3千9百万円、研究開発費の総額は127億2千6百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、2021年5月14日に策定した2030年度をゴールとする長期目標を、売上高4,200億円、営業利益650億円、営業利益率15.5%、ROE15%を目標として2025年5月13日に上方修正いたしました。前中期経営計画期間での収益力強化の取組みの成果を活かし、長年にわたる顧客基盤との強い関係を基にした事業に加えて、成長領域の開拓で更なる成長を目指しております。
この長期目標達成に向け、前中期経営計画の最終年度となる2024年度では、事業収益力の強化を進め、売上高3,000億円、営業利益375億円、営業利益率12.5%、ROE12.2%を計画し、実績として、売上高3,003億円、営業利益414億円、営業利益率13.8%、ROE17.9%を達成しました。
これを踏まえ、2027年度を最終年度とする3ヵ年の新中期経営計画では、最終年度の売上高3,400億円、営業利益を510億円、営業利益率15.0%、ROE14%を達成することを目標としております。
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が3,047億2千3百万円(前連結会計年度は2,878億5千1百万円)と、前連結会計年度比5.9%の増加となりました。
売上高につきましては、3,003億7千8百万円(前連結会計年度は2,909億3千8百万円)と、前連結会計年度比3.2%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比12.6%増加の414億8千6百万円(前連結会計年度は368億4千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比8.1%増加の421億7千万円(前連結会計年度は389億9千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比35.6%増加の409億5千5百万円(前連結会計年度は302億7百万円)となりました。
(単位:百万円)
| 2024年3月期 前連結会計年度 | 2025年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 287,851 | 304,723 | 16,872 | 5.9% |
| 売上高 | 290,938 | 300,378 | 9,439 | 3.2% |
| 営業利益 (利益率) | 36,841 (12.7%) | 41,486 (13.8%) | 4,644 (1.1pp) | 12.6% |
| 経常利益 | 38,999 | 42,170 | 3,171 | 8.1% |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 (利益率) | 30,207 (10.4%) | 40,955 (13.6%) | 10,747 (3.3pp) | 35.6% |
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて13億4千4百万円増加し、資産合計で3,150億7千2百万円となりました。アズビルテルスター有限会社(以下、「アズビルテルスター」といいます。)の出資持分譲渡による連結の範囲からの除外の影響を含め棚卸資産が61億5千3百万円、売上債権等が60億1千4百万円それぞれ減少し、また、投資有価証券が32億1千7百万円減少いたしました。一方、現金及び預金はアズビルテルスターの出資持分譲渡による収入等があり、174億1千5百万円増加いたしました。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて142億8千5百万円減少し、負債合計で745億5千5百万円となりました。これは主に、アズビルテルスターの出資持分譲渡による連結の範囲からの除外の影響を含め仕入債務が43億8千3百万円、借入金が39億7千1百万円それぞれ減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて156億2千9百万円増加し、純資産合計で2,405億1千7百万円となりました。これは主に株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により149億9千9百万円、配当金の支払いにより112億1千8百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により409億5千5百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の70.6%から75.3%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は439億5千3百万円となり、前連結会計年度に比べて164億1千3百万円の増加となりました。これは主に、前連結会計年度において部品確保・調達力強化の対応等により増加していた棚卸資産が当連結会計年度では減少したことに加え、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動による資金の増加(収入と支出の純額)は、設備投資等の支出はあったものの、関係会社出資金の売却等の収入があり、20億3千2百万円となりました。前連結会計年度においては、投資有価証券の売却による収入があったものの、設備投資等の支出により、23億6千万円の支出の超過となりました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は297億7千1百万円となり、前連結会計年度に比べて73億1千6百万円の支出の増加となりました。これは主に、取締役会決議に基づく自己株式の取得による支出が増加したことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より170億4千1百万円増加し、926億3千7百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 45,723 | 104.0 |
| アドバンスオートメーション事業 | 33,219 | 93.1 |
| ライフオートメーション事業 | 31,918 | 89.5 |
| 報告セグメント計 | 110,861 | 96.1 |
| その他 | - | - |
| 合計 | 110,861 | 96.1 |
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 153,640 | 112.3 | 90,350 | 105.6 |
| アドバンスオートメーション事業 | 105,986 | 104.4 | 48,650 | 100.1 |
| ライフオートメーション事業 | 46,845 | 90.6 | 4,573 | 20.6 |
| 報告セグメント計 | 306,472 | 105.7 | 143,575 | 91.8 |
| その他 | 59 | 102.7 | - | - |
| 消去 | (1,808) | - | (218) | - |
| 連結 | 304,723 | 105.9 | 143,357 | 91.9 |
(注)当連結会計年度において、ライフオートメーション事業の受注残高が著しく減少しております。これは主に、連結子会社であったアズビルテルスター有限会社の出資持分全てを譲渡したことに伴い、同社及びその子会社を連結の範囲から除外したことによるものであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 148,770 | 110.5 |
| アドバンスオートメーション事業 | 106,836 | 99.8 |
| ライフオートメーション事業 | 46,634 | 90.7 |
| 報告セグメント計 | 302,241 | 103.1 |
| その他 | 59 | 102.6 |
| 消去 | (1,922) | - |
| 連結 | 300,378 | 103.2 |
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(請負工事に関する収益認識)
請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。
国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要が継続し、また、ファクトリーオートメーション(FA)市場は前連結会計年度からの需要低迷から一部で回復の兆しが見られました。
この結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、アズビルテルスターの出資持分譲渡※1による影響からLA事業が減少しましたが、BA事業が堅調な市況に加えて、複数年の大型サービス契約の更改により増加したことを主因に、前連結会計年度比5.9%増加の3,047億2千3百万円(前連結会計年度は2,878億5千1百万円)となりました。売上高についても、LA事業が同様の理由で減少しましたが、BA事業が前連結会計年度における受注増加を背景に、平準化の取組みも着実に進展したことにより大きく増加したため、全体として前連結会計年度比3.2%増加の3,003億7千8百万円(前連結会計年度は2,909億3千8百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の増加に加え、DX関連費用、人件費やその他費用の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により大きく改善し、前連結会計年度比12.6%増加の414億8千6百万円(前連結会計年度は368億4千1百万円)となりました。経常利益は、為替差損の計上があるものの、営業利益の増加等により前連結会計年度比8.1%増加の421億7千万円(前連結会計年度は389億9千9百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、アズビルテルスターの出資持分譲渡による売却益(約76億円)の計上を主因に、前連結会計年度比35.6%増加の409億5千5百万円(前連結会計年度は302億7百万円)となりました。
※1 アズビルテルスターの出資持分の全てを、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)付で譲渡しました。この譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社を2025年3月期第3四半期末にて当社の連結の範囲から除外しております。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりです。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発のオフィスビル向け需要が一旦踊り場を迎えていますが、高い水準を引き続き維持しています。省エネ・CO2排出量削減の需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューション対応への関心も継続しています。海外市場でも新型コロナウイルス感染拡大前の水準を超えて、投資が拡大しています。
こうした事業環境のもと、着実に受注を獲得するとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化とDX推進による効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、大型の複数年サービス契約の更改を主因に、人員等のリソースのシフト・体制強化を進めている既設建物向け分野も増加し、BA事業全体として大きく伸長し、前連結会計年度比12.3%増加の1,536億4千万円(前連結会計年度は1,367億8千2百万円)となりました。売上高は、国内事業における平準化の取組みが進展し、新設建物向けから既設建物向け・サービス分野が増加したことに加えて、海外事業の拡大により、前連結会計年度比10.5%増加と大きく伸長し1,487億7千万円(前連結会計年度は1,346億5千5百万円)となりました。セグメント利益は、外注費の高騰のほか、人件費、DX関連費用や研究開発投資等の費用の増加がありましたが、収益性の高い既設建物向け・サービス分野を中心とした増収及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により大きく改善し、前連結会計年度比25.8%増加の243億6千3百万円(前連結会計年度は193億7千3百万円)となりました。
中長期的には、引き続き大型の再開発案件が計画され、建物の改修計画も多数見込まれています。採算性に配慮しつつ、これらの需要に確実にお応えしてまいります。さらに、事業提携も含めて、脱炭素化に向けた省エネ・再生可能エネルギー利活用ニーズに応えるESP(Energy Service Provider)モデルの展開、データセンター市場の更なる拡張を進めてまいります。また、新型コロナウイルス感染拡大後に顕在化した安全・安心ニーズに利便性・快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィスの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。収益力強化の観点からは、営業・エンジニアリング等のDXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
| 2024年3月期 前連結会計年度 | 2025年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 136,782 | 153,640 | 16,858 | 12.3% |
| 売上高 | 134,655 | 148,770 | 14,115 | 10.5% |
| セグメント利益 (利益率) | 19,373 (14.4%) | 24,363 (16.4%) | 4,989 (2.0pp) | 25.8% |
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション(PA)市場は、国内の保守・改造需要を中心に堅調に推移しています。一方、FA市場では、中国での市況回復の遅れがありましたが、一部で回復の兆しが見られています。
このような事業環境のもと、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造という2つの成長施策を通じて事業拡大を図るとともに、部材調達難対応としての調達・生産プロセスの改善や収益力強化に継続して取り組みました。
この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、前連結会計年度に大型案件が計上された影響がありましたが、PA市場の堅調さに加えてFA市場での需要に回復が見られたことなどから、前連結会計年度比4.4%増加の1,059億8千6百万円(前連結会計年度は1,014億8千1百万円)となりました。また、売上高は、FA市場の市況低迷の影響がありましたが、PA市場の堅調さにより、前連結会計年度と同水準となる1,068億3千6百万円(前連結会計年度は1,070億5千2百万円)となりました。セグメント利益につきましても、人件費をはじめとした各種経費の上昇や海外市場への投資、DX投資、研究開発投資の増加等はありましたが、価格転嫁を含む収益力強化施策の効果が引き続き認められたことにより、前連結会計年度と同水準となる159億9千7百万円(前連結会計年度は161億1千8百万円)となりました。
現在もFA市場は低い水準の市況動向が継続していますが、海外での事業成長、新しいオートメーションの創造の2つの成長施策が着実に進展しており、今後の市況回復期での成長に寄与することに加え、長期的には工場の脱炭素化、人手不足対応、設備老朽化対応、新しい生産方式の導入等、お客様のオートメーションへのニーズ対応として、工業系オートメーション市場はグローバルに拡大していくことが期待されています。引き続き3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、海外事業をはじめとした成長領域への展開を推し進め、AIやクラウド、微細加工等の先進的な技術を取り入れた製品・サービスの開発、市場投入を加速し、当社グループならではの新しいオートメーションを創造することで、高い競争力を持った事業成長を目指してまいります。
(単位:百万円)
| 2024年3月期 前連結会計年度 | 2025年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 101,481 | 105,986 | 4,505 | 4.4% |
| 売上高 | 107,052 | 106,836 | △215 | △0.2% |
| セグメント利益 (利益率) | 16,118 (15.1%) | 15,997 (15.0%) | △120 (△0.1pp) | △0.7% |
※2 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
ライフライン分野は、法定によるメーターの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメーター市場が循環的な不需要期にあります。また、海外で事業展開してきたライフサイエンスエンジニアリング分野では、業界再編の進展、欧州地域の混迷による景況感の影響を受ける中で、事業ポートフォリオ再構築を進めるために同分野を担うアズビルテルスターの出資持分譲渡※3を実施しました。この譲渡による連結範囲からの除外が、LA事業の当連結会計年度の業績に影響いたしました。
※3 資本効率の向上を図る事業ポートフォリオ再構築に取り組み、2024年10月31日(中央ヨーロッパ時間)、ライフサイエンスエンジニアリング分野を担うアズビルテルスターの出資持分全てをSyntegon Technology GmbHの100%子会社であるFalcon Acquisition, S.L.U.へ譲渡いたしました。なお、この出資持分譲渡に伴いアズビルテルスター及びその子会社は2025年3月期第3四半期末をもって当社の連結の範囲から除外しております。
上記の事業環境や事業ポートフォリオ再構築により、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフサイエンスエンジニアリング分野が減少したことを主因に、全体として前連結会計年度比9.4%減少となる468億4千5百万円(前連結会計年度は516億8千9百万円)となりました。売上高につきましては、ライフライン分野、住宅用全館空調システム分野は前連結会計年度と同水準となりましたが、受注高と同様の理由によりライフサイエンスエンジニアリング分野が減少したことから、前連結会計年度比9.3%減少の466億3千4百万円(前連結会計年度は514億4百万円)となりました。セグメント利益についても、ライフサイエンスエンジニアリング分野の減少に加えて、人件費をはじめとした各種経費の上昇により前連結会計年度比14.9%減少の11億7千1百万円(前連結会計年度は13億7千5百万円)となりました。
ライフサイエンスエンジニアリング分野における事業譲渡後のLA事業では、引き続き価格転嫁の取組みを含めた収益力の改善、DXの推進による業務プロセスの見直しなどに取り組み、環境変化に応じた適切な変革を推進いたします。ライフライン分野では、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、スマートメーターを視野に入れた製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メーターからのデータを活用したサービスプロバイダーとしての新たな事業の創出に取り組んでまいります。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質も含めて、幅広く生活空間の快適性を提供する製品対応等により、事業を推進してまいります。
(単位:百万円)
| 2024年3月期 前連結会計年度 | 2025年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 51,689 | 46,845 | △4,843 | △9.4% |
| 売上高 | 51,404 | 46,634 | △4,770 | △9.3% |
| セグメント利益 (利益率) | 1,375 (2.7%) | 1,171 (2.5%) | △204 (△0.2pp) | △14.9% |
2025年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、中期経営計画を段階的に策定して目標達成に向けた取組みを進めております。「持続可能な社会」の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要が増加しております。長期目標達成に向けた第一期間である前中期経営計画(2021~2024年度)は、コロナ禍を経ての顧客ニーズ、ライフスタイルの変化、インフレやグローバルサプライチェーンの課題等、事業を取り巻く環境が大きく変化する中での取組みとなりましたが、こうした需要の拡大、事業機会の増加を的確に捉えることで、2021年5月の計画公表時の業績目標を上回る成果をあげることができました。当社グループでは、第二期間となる新中期経営計画(2025~2027年度)においても、引き続き、オートメーションに求められる役割の拡大を事業機会として、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かし、お客様の施設・設備のライフサイクルにわたって価値を提供することで持続的な成長を目指してまいります。
新中期経営計画初年度である2025年度の当社グループを取り巻く事業環境は、グローバルでの地政学的リスク、米国相互関税による産業・経済への影響からインフレの継続、人件費等のコスト上昇等、不確実性が高まっておりますが、空調制御機器・システムに関する需要は引き続き堅調であり、工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましても、PA市場での堅調さに加え、FA市場において緩やかな市況回復が見込まれます。
2026年3月期の連結業績予想につきましては、こうした事業環境の下、期首受注残の積み上がりを背景にBA、AA両事業において更なる成長を計画しますが、LA事業において、事業ポートフォリオ再構築の一環として2024年度においてアズビルテルスターの出資持分を他社に譲渡した影響から減収となり、グループ全体でも僅かながら減収となる見込みです。不確実性の高い米国関税政策の影響を当面織り込める範囲の前提においても、営業利益では引き続き増益を計画し、具体的には成長に向けた研究開発や設備、人的資本、DX推進等の投資に加えて、インフレによる影響を含め、人件費や各種コストの増加が見込まれますが、これまで進めてきた価格転嫁を含めた収益力強化施策の継続、DXによる業務効率化等により営業利益での増益を計画します。なお、経常利益につきましては、円高による影響等により前連結会計年度比同水準、親会社株主に帰属する当期純利益については、2024年度においてアズビルテルスターの出資持分譲渡による売却益の計上等があったことから減益を見込んでおります。
BA事業では、都市再開発計画や更新計画に基づく大型建物向けの空調制御機器・システムの販売からサービスまで、国内需要が引き続き堅調に推移しております。また、海外における需要も堅調です。こうした事業環境を背景に、着実に事業を進めることで、豊富な受注残を売上高へと転化し、前連結会計年度比増収を見込みます。セグメント利益につきましても、外注費の増加や成長のための人件費、DX関連費用等の増加がありますが、増収並びに受注時採算性の改善、適正な価格転嫁の取組みなどにより前連結会計年度比で増益を見込みます。
AA事業では、PA市場が引き続き堅調に推移することに加え、FA市場で在庫の調整も進みつつあり、期中での需要回復が見込まれます。このPA、FA両市場における需要の拡大を確実に捉えることで、増収を見込みます。セグメント利益についても、部材価格高騰によるコスト上昇や人件費の増加を見込みますが、増収及び価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果により前連結会計年度比で増益を計画します。
LA事業では、ガス・水道メーター等のライフライン分野で、LPガスメーターの需要回復等、法定による交換需要を着実に取り込むとともに、SMaaS(Smart Metering as a Service)関連市場の開拓を進めることで増収を見込み、住宅用全館空調システム分野も伸長を見込んでおりますが、2024年度の売上高の約3分の1を占めていたアズビルテルスターの出資持分譲渡による影響から、LA事業全体としては減収を見込みます。セグメント利益につきましても価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果等によりライフライン分野で利益の改善を見込みますが、アズビルテルスターの出資持分譲渡による影響から前連結会計年度比減益となる見込みです。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
| (単位:億円) | |||||
| 2025年3月期 実績 | 2026年3月期 見通し | 増減 | 増減率 | ||
| ビルディング オートメーション事業 | 売上高 | 1,487 | 1,530 | 42 | 2.8% |
| セグメント利益 (利益率) | 243 (16.4%) | 250 (16.3%) | 6 (△0.0pp) | 2.6% | |
| アドバンス オートメーション事業 | 売上高 | 1,068 | 1,110 | 41 | 3.9% |
| セグメント利益 (利益率) | 159 (15.0%) | 170 (15.3%) | 10 (0.3pp) | 6.3% | |
| ライフ オートメーション事業 | 売上高 | 466 | 345 | △121 | △26.0% |
| セグメント利益 (利益率) | 11 (2.5%) | 10 (2.9%) | △1 (0.4pp) | △14.6% | |
| その他 | 売上高 | 0 | 1 | 0 | 68.1% |
| セグメント利益 (利益率) | △0 (△62.5%) | 0 (0.0%) | 0 (62.5pp) | - | |
| 連結 | 売上高 | 3,003 | 2,970 | △33 | △1.1% |
| 営業利益 (利益率) | 414 (13.8%) | 430 (14.5%) | 15 (0.7pp) | 3.6% | |
| 経常利益 | 421 | 422 | 0 | 0.1% | |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 (利益率) | 409 (13.6%) | 310 (10.4%) | △99 (△3.2pp) | △24.3% |
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は48億6千2百万円で、前連結会計年度末に比べて26億6百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は98億3千9百万円、研究開発費の総額は127億2千6百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、2021年5月14日に策定した2030年度をゴールとする長期目標を、売上高4,200億円、営業利益650億円、営業利益率15.5%、ROE15%を目標として2025年5月13日に上方修正いたしました。前中期経営計画期間での収益力強化の取組みの成果を活かし、長年にわたる顧客基盤との強い関係を基にした事業に加えて、成長領域の開拓で更なる成長を目指しております。
この長期目標達成に向け、前中期経営計画の最終年度となる2024年度では、事業収益力の強化を進め、売上高3,000億円、営業利益375億円、営業利益率12.5%、ROE12.2%を計画し、実績として、売上高3,003億円、営業利益414億円、営業利益率13.8%、ROE17.9%を達成しました。
これを踏まえ、2027年度を最終年度とする3ヵ年の新中期経営計画では、最終年度の売上高3,400億円、営業利益を510億円、営業利益率15.0%、ROE14%を達成することを目標としております。