有価証券報告書-第98期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
azbilグループを取り巻く事業環境は、国内の活発な都市再開発投資を背景に、大型建物向けの機器・システムの需要が引き続き堅調に推移いたしました。生産設備に対する設備投資につきましては、人手不足等を背景とした合理化・省力化等への需要は底堅いものの、市況は地域・市場により差異が見られ、全体としては需要の低迷が継続いたしました。第3四半期から一部の製造装置の市場では回復が見られ始めておりましたが、当連結会計年度終盤に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界的な消費の落ち込み、経済活動・生産活動の停滞や設備投資の低迷等が深刻化し、今後の事業環境につきましては不透明感が大きく増しております。
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,580億7千9百万円(前連結会計年度は2,642億5千2百万円)と、前連結会計年度比2.3%の減少となりました。
売上高につきましては、2,594億1千1百万円(前連結会計年度は2,620億5千4百万円)と、前連結会計年度比1.0%の減少となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比2.1%増加の272億5千5百万円(前連結会計年度は266億9千万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比0.2%増加の277億1千2百万円(前連結会計年度は276億6千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比4.4%増加の197億9千3百万円(前連結会計年度は189億5千1百万円)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて、現金及び預金が112億9千3百万円増加したことに加え、会計基準変更に伴うリース資産(純額)の増加が10億6千2百万円あったものの、売上債権が85億3百万円、短期運用目的の有価証券が42億5百万円それぞれ減少したことにより、資産合計で前連結会計年度末と同水準の2,745億5千9百万円(前連結会計年度末は2,755億1千8百万円)となりました。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて31億6千3百万円減少し、負債合計で892億5千7百万円となりました。これは主に、短期借入金が16億4千1百万円、仕入債務が16億1千9百万円それぞれ減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて22億4百万円増加し、純資産合計で1,853億1百万円となりました。これは主に、株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億2千1百万円、配当金の支払により68億8千7百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により197億9千3百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の65.7%から66.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は298億1千1百万円となり、前連結会計年度に比べて136億9千9百万円の増加となりました。これは主に、売上債権の回収が増加したことに加え、前連結会計年度において一部の国内連結子会社の退職一時金制度について退職給付信託の設定による支出があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は、投資有価証券の売却による収入は減少したものの、前連結会計年度とほぼ同水準の41億7千2百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において国内の工場統合・拡充に向けた設備投資の支出があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は187億6千7百万円となり、前連結会計年度に比べて67億4千2百万円の支出の増加となりました。これは主に、取締役会決議に基づく自己株式の取得並びに配当による支出の増加等、株主還元施策の実施によるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より66億9百万円増加し、747億4千3百万円となりました。
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(工事進行基準)
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については主として工事完成基準を適用しております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるazbilグループ業績につきましては、中期経営計画(2017年度~2019年度)の仕上げの最終年度として、収益力強化施策がさらに進展し、売上高は若干の減少となりましたが、営業利益が前連結会計年度を超過する着実な実績を上げることができました。なお、新型コロナウイルス感染拡大により、第4四半期以降の景況感は悪化したものの、業績への影響は一部にとどまりました。
受注高につきましては、ビルディングオートメーション(BA)事業が前連結会計年度に複数年の大型サービス案件を計上した影響から減少し、また、アドバンスオートメーション(AA)事業が、工作機械も含めた製造装置市場全般で低調に推移したことから、2,580億7千9百万円(前連結会計年度は2,642億5千2百万円)と、前連結会計年度比2.3%の減少となりました。
売上高につきましては、BA事業では積み上がった受注案件の施工を着実に進めたことで増加いたしましたが、AA事業では市況低迷の影響により減少したことなどから、全体としては前連結会計年度比1.0%減少の2,594億1千1百万円(前連結会計年度は2,620億5千4百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、事業収益力強化策の効果等により利益率が改善し、前連結会計年度比2.1%増加の272億5千5百万円(前連結会計年度は266億9千万円)となりました。経常利益につきましては、円高を背景とした為替差損の計上等により、前年度同水準の277億1千2百万円(前連結会計年度は276億6千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度においては確定給付企業年金制度の会計上の終了処理による損失※1を計上していた影響もあり、前連結会計年度比4.4%増加の197億9千3百万円(前連結会計年度は189億5千1百万円)となりました。
※1 「確定給付企業年金制度の会計上の終了処理による損失」
当社及び一部の国内連結子会社の受給権者を対象とする確定給付企業年金制度(いわゆる閉鎖型年金)について、「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(企業会計基準適用指針第1号)及び「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第2号)に基づく退職給付制度の終了の会計処理を行い、その損失(3,210百万円)を退職給付制度終了損として特別損失に計上しております。なお、確定給付企業年金制度自体は終了しておらず、受給権者への給付は継続しております。
セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場では、首都圏における都市再開発案件に加え、省エネルギーや運用コスト低減に関するソリューション需要も高く、引き続き堅調に推移いたしました。海外市場においては、アジアで大型建物に対する国内外資本による投資が継続しておりましたが、米中貿易摩擦等の影響から投資を控える動きも見られました。
こうした事業環境を背景に、採算性にも配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの開発・強化も進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、堅調な事業環境を背景に新築大型建物向けに機器・システムを販売・施工する分野が引き続き伸長しましたが、前連結会計年度に複数年の大型サービス案件を計上した影響等により、前連結会計年度比0.7%減少の1,229億5百万円(前連結会計年度は1,237億6千6百万円)となりました。売上高につきましては、新築大型建物向けの分野が増加し、前連結会計年度比3.6%増加の1,237億9千4百万円(前連結会計年度は1,195億円)となりました。セグメント利益は、増収及び採算性改善の取組み成果を主因として増加し、さらに前年上期に一時的な引当費用を計上した影響もあり前連結会計年度比19.9%増加の148億9千万円(前連結会計年度は124億2千1百万円)となりました。
BA事業の中長期的な事業環境としましては、2020年以降も大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されており、納入実績を基にこれらの需要を確実に獲得し、業務を着実に遂行することで増収を図るとともに、更なる高利益体質確保に向け、事業プロセス変革を含めた取組みを進めてまいります。
(単位:百万円)
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く市場の動向につきましては、国内外の製造装置市場で投資が低迷した状況が続きました。下期におきましては、半導体製造装置市場等で回復の兆しが見られましたが、第4四半期に入ると新型コロナウイルス感染拡大の影響が徐々に表れ始め、足元では市場全体において不透明感が高まっております。一方、中長期的には、人手不足対応、環境対応、更なる生産性向上等を目的とした自動化に対しては、需要の継続が見込まれております。こうした事業環境の変化に対応し、グローバルでの競争力獲得を目指して、3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)によるマーケティングから販売・サービスに至る一貫体制でのオペレーションを徹底し、これら3つの事業単位を軸とした成長戦略と収益力強化を進めてまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高・売上高につきましては、プロセスオートメーション市場を主な対象とするIAP事業・SS事業が比較的順調に推移いたしましたが、国内外における製造装置市場の市況低迷により、CP事業が大きく減少し、受注高は前連結会計年度比6.5%減少の919億1千5百万円(前連結会計年度は983億3千1百万円)となり、売上高も前連結会計年度比6.3%減少の931億5千6百万円(前連結会計年度は993億8千9百万円)となりました。セグメント利益につきましては、減収の影響から前連結会計年度比14.1%減少の104億8千6百万円(前連結会計年度は122億1千1百万円)となりましたが、収益力強化施策の効果が継続し、収益性を示すセグメント利益率は引き続き10%超を確保いたしました。
AA事業では、引き続き3つの事業単位を軸に、これまでに実績を上げてきた収益力強化策を深化、徹底することで事業収益の維持に取り組んでまいります。併せて、将来の成長に向けて、海外事業の拡大をはじめとした成長戦略の展開を推し進めてまいります。また、製品開発力の強化に注力し、昨今の技術潮流の変化を捉えた新しいオートメーション領域を創出、アズビルならではの付加価値の高い製品・サービスを国内外のお客様に提供することで、高い収益力と成長力のある事業領域の開拓・拡大を進め、事業全体としての成長・収益力向上を目指してまいります。
(単位:百万円)
※2 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体としており、ガス販売の自由化による事業環境の変化は見られますが、引き続き安定した需要が見込まれております。LSE分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、需要の増減がある中でも、事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に継続して取り組み、成果を上げてまいりました。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、LSE分野における受注増加を要因として前連結会計年度比2.1%増加の448億6百万円(前連結会計年度は438億6千7百万円)となりましたが、売上高は前連結会計年度に受注の水準が低かったLSE分野での減収を主因に、前連結会計年度比1.8%減少の440億3千3百万円(前連結会計年度は448億4千万円)となりました。セグメント利益は、減収の影響により、前連結会計年度比9.4%減少の18億6千6百万円(前連結会計年度は20億6千万円)となりました。
LA事業では今後も引き続き、各事業分野における収益力の向上に取り組んでまいります。またこれと並行して、ガス販売自由化等、エネルギー供給市場における需要の変化を捉えた新たな事業機会の創出に取り組み、IoT等の技術革新の動きを捉えた新製品・高付加価値サービスの開発・投入を推し進めることにより、今後の事業成長を実現してまいります。
(単位:百万円)
2020年度の見通し
新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への影響規模や沈静化の時期については見通しが難しい状況ですが、当社グループでは、日々変化する事業環境を迅速に把握し、BCP対策を含めて強化した経営管理体制の下、適宜、適切な判断を行い、事業継続に努めてまいります。
当社グループの事業は、お客様の重要設備の維持に不可欠なエンジニアリング、サービスの提供や社会インフラの安全維持に必要な事業を展開しており、一定の需要が見込めます。また、将来的にはウイルスとの共生を前提とした新たな社会課題への対応として、建物・生産管理の自動化・自律化・省人化の加速等により、新たな需要の発生も想定されます。
しかしながら、足元においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界的な消費の落ち込み、経済活動・生産活動の停滞は、建物及びプラント・工場における設備投資の減少や工事の遅延・停止を引き起こし、当社グループのBA、AA、LA各事業の活動に影響を与えることが見込まれるため、このウイルスの世界規模での感染拡大が、お客様の設備投資の動向に与える影響を現在精査中であります。次期(2021年3月期)の連結業績予想につきましては、現時点では合理的な算定が困難であるため、未定とさせていただきます。今後、連結業績予想の算定が可能となった時点で速やかに開示いたします。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財政基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより「シングルA(安定的)」を獲得して、社債発行登録済枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。併せて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は82億2千5百万円で、前連結会計年度末に比べて16億4千1百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は49億3千3百万円、研究開発費の総額は118億9千6百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、2017年度から2019年度にかけての中期経営計画において、最終年度である2019年度に営業利益で265億円を計画しておりました。さらに、2021年度をゴールとした長期目標では、営業利益300億円以上、売上高3,000億円規模、ROE10%以上を目標としております。
達成状況につきましては、事業収益力強化施策の効果等により、当連結会計年度の営業利益は272億円を計上し、過去最高益を更新いたしました。また、ROEも10.9%と、前年度に続き10%台を確保いたしました。なお、2020年度につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、2020年度の見通し」のとおり、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現時点では合理的な算定が困難であるため、未定とさせていただいております。
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
azbilグループを取り巻く事業環境は、国内の活発な都市再開発投資を背景に、大型建物向けの機器・システムの需要が引き続き堅調に推移いたしました。生産設備に対する設備投資につきましては、人手不足等を背景とした合理化・省力化等への需要は底堅いものの、市況は地域・市場により差異が見られ、全体としては需要の低迷が継続いたしました。第3四半期から一部の製造装置の市場では回復が見られ始めておりましたが、当連結会計年度終盤に発生した新型コロナウイルス感染拡大の影響により世界的な消費の落ち込み、経済活動・生産活動の停滞や設備投資の低迷等が深刻化し、今後の事業環境につきましては不透明感が大きく増しております。
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,580億7千9百万円(前連結会計年度は2,642億5千2百万円)と、前連結会計年度比2.3%の減少となりました。
売上高につきましては、2,594億1千1百万円(前連結会計年度は2,620億5千4百万円)と、前連結会計年度比1.0%の減少となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比2.1%増加の272億5千5百万円(前連結会計年度は266億9千万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比0.2%増加の277億1千2百万円(前連結会計年度は276億6千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比4.4%増加の197億9千3百万円(前連結会計年度は189億5千1百万円)となりました。
(単位:百万円)
| 2019年3月期前連結会計年度 | 2020年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 264,252 | 258,079 | △6,172 | △2.3% |
| 売上高 | 262,054 | 259,411 | △2,643 | △1.0% |
| 営業利益 (利益率) | 26,690 (10.2%) | 27,255 (10.5%) | 565 (0.3pp) | 2.1% |
| 経常利益 | 27,664 | 27,712 | 47 | 0.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 (利益率) | 18,951 (7.2%) | 19,793 (7.6%) | 842 (0.4pp) | 4.4% |
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて、現金及び預金が112億9千3百万円増加したことに加え、会計基準変更に伴うリース資産(純額)の増加が10億6千2百万円あったものの、売上債権が85億3百万円、短期運用目的の有価証券が42億5百万円それぞれ減少したことにより、資産合計で前連結会計年度末と同水準の2,745億5千9百万円(前連結会計年度末は2,755億1千8百万円)となりました。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて31億6千3百万円減少し、負債合計で892億5千7百万円となりました。これは主に、短期借入金が16億4千1百万円、仕入債務が16億1千9百万円それぞれ減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて22億4百万円増加し、純資産合計で1,853億1百万円となりました。これは主に、株主資本が、取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億2千1百万円、配当金の支払により68億8千7百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により197億9千3百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の65.7%から66.7%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は298億1千1百万円となり、前連結会計年度に比べて136億9千9百万円の増加となりました。これは主に、売上債権の回収が増加したことに加え、前連結会計年度において一部の国内連結子会社の退職一時金制度について退職給付信託の設定による支出があったことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は、投資有価証券の売却による収入は減少したものの、前連結会計年度とほぼ同水準の41億7千2百万円となりました。これは主に、前連結会計年度において国内の工場統合・拡充に向けた設備投資の支出があったことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は187億6千7百万円となり、前連結会計年度に比べて67億4千2百万円の支出の増加となりました。これは主に、取締役会決議に基づく自己株式の取得並びに配当による支出の増加等、株主還元施策の実施によるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より66億9百万円増加し、747億4千3百万円となりました。
「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」における各事項の記載につきましては、消費税等抜きの金額で表示しております。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 43,001 | 106.3 |
| アドバンスオートメーション事業 | 28,434 | 80.5 |
| ライフオートメーション事業 | 29,249 | 100.1 |
| 報告セグメント計 | 100,685 | 95.9 |
| その他 | - | - |
| 合計 | 100,685 | 95.9 |
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 122,905 | 99.3 | 63,190 | 98.4 |
| アドバンスオートメーション事業 | 91,915 | 93.5 | 27,785 | 95.9 |
| ライフオートメーション事業 | 44,806 | 102.1 | 13,447 | 103.5 |
| 報告セグメント計 | 259,626 | 97.6 | 104,423 | 98.3 |
| その他 | 59 | 97.7 | - | - |
| 消去 | (1,606) | - | (133) | - |
| 連結 | 258,079 | 97.7 | 104,289 | 98.4 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 123,794 | 103.6 |
| アドバンスオートメーション事業 | 93,156 | 93.7 |
| ライフオートメーション事業 | 44,033 | 98.2 |
| 報告セグメント計 | 260,984 | 99.0 |
| その他 | 60 | 97.8 |
| 消去 | (1,633) | - |
| 連結 | 259,411 | 99.0 |
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(工事進行基準)
当連結会計年度末までの進捗部分について成果の確実性が認められる工事については工事進行基準(工事の進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の工事については主として工事完成基準を適用しております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるazbilグループ業績につきましては、中期経営計画(2017年度~2019年度)の仕上げの最終年度として、収益力強化施策がさらに進展し、売上高は若干の減少となりましたが、営業利益が前連結会計年度を超過する着実な実績を上げることができました。なお、新型コロナウイルス感染拡大により、第4四半期以降の景況感は悪化したものの、業績への影響は一部にとどまりました。
受注高につきましては、ビルディングオートメーション(BA)事業が前連結会計年度に複数年の大型サービス案件を計上した影響から減少し、また、アドバンスオートメーション(AA)事業が、工作機械も含めた製造装置市場全般で低調に推移したことから、2,580億7千9百万円(前連結会計年度は2,642億5千2百万円)と、前連結会計年度比2.3%の減少となりました。
売上高につきましては、BA事業では積み上がった受注案件の施工を着実に進めたことで増加いたしましたが、AA事業では市況低迷の影響により減少したことなどから、全体としては前連結会計年度比1.0%減少の2,594億1千1百万円(前連結会計年度は2,620億5千4百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、事業収益力強化策の効果等により利益率が改善し、前連結会計年度比2.1%増加の272億5千5百万円(前連結会計年度は266億9千万円)となりました。経常利益につきましては、円高を背景とした為替差損の計上等により、前年度同水準の277億1千2百万円(前連結会計年度は276億6千4百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度においては確定給付企業年金制度の会計上の終了処理による損失※1を計上していた影響もあり、前連結会計年度比4.4%増加の197億9千3百万円(前連結会計年度は189億5千1百万円)となりました。
※1 「確定給付企業年金制度の会計上の終了処理による損失」
当社及び一部の国内連結子会社の受給権者を対象とする確定給付企業年金制度(いわゆる閉鎖型年金)について、「退職給付制度間の移行等に関する会計処理」(企業会計基準適用指針第1号)及び「退職給付制度間の移行等の会計処理に関する実務上の取扱い」(実務対応報告第2号)に基づく退職給付制度の終了の会計処理を行い、その損失(3,210百万円)を退職給付制度終了損として特別損失に計上しております。なお、確定給付企業年金制度自体は終了しておらず、受給権者への給付は継続しております。
セグメント毎の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場では、首都圏における都市再開発案件に加え、省エネルギーや運用コスト低減に関するソリューション需要も高く、引き続き堅調に推移いたしました。海外市場においては、アジアで大型建物に対する国内外資本による投資が継続しておりましたが、米中貿易摩擦等の影響から投資を控える動きも見られました。
こうした事業環境を背景に、採算性にも配慮しつつ着実な受注の獲得に取り組むとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoT等の技術活用を志向する国内外の顧客ニーズに対応するための製品・サービスの開発・強化も進めてまいりました。この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、堅調な事業環境を背景に新築大型建物向けに機器・システムを販売・施工する分野が引き続き伸長しましたが、前連結会計年度に複数年の大型サービス案件を計上した影響等により、前連結会計年度比0.7%減少の1,229億5百万円(前連結会計年度は1,237億6千6百万円)となりました。売上高につきましては、新築大型建物向けの分野が増加し、前連結会計年度比3.6%増加の1,237億9千4百万円(前連結会計年度は1,195億円)となりました。セグメント利益は、増収及び採算性改善の取組み成果を主因として増加し、さらに前年上期に一時的な引当費用を計上した影響もあり前連結会計年度比19.9%増加の148億9千万円(前連結会計年度は124億2千1百万円)となりました。
BA事業の中長期的な事業環境としましては、2020年以降も大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されており、納入実績を基にこれらの需要を確実に獲得し、業務を着実に遂行することで増収を図るとともに、更なる高利益体質確保に向け、事業プロセス変革を含めた取組みを進めてまいります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期前連結会計年度 | 2020年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 123,766 | 122,905 | △860 | △0.7% |
| 売上高 | 119,500 | 123,794 | 4,293 | 3.6% |
| セグメント利益 (利益率) | 12,421 (10.4%) | 14,890 (12.0%) | 2,469 (1.6pp) | 19.9% |
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く市場の動向につきましては、国内外の製造装置市場で投資が低迷した状況が続きました。下期におきましては、半導体製造装置市場等で回復の兆しが見られましたが、第4四半期に入ると新型コロナウイルス感染拡大の影響が徐々に表れ始め、足元では市場全体において不透明感が高まっております。一方、中長期的には、人手不足対応、環境対応、更なる生産性向上等を目的とした自動化に対しては、需要の継続が見込まれております。こうした事業環境の変化に対応し、グローバルでの競争力獲得を目指して、3つの事業単位※2(CP事業、IAP事業、SS事業)によるマーケティングから販売・サービスに至る一貫体制でのオペレーションを徹底し、これら3つの事業単位を軸とした成長戦略と収益力強化を進めてまいりました。この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高・売上高につきましては、プロセスオートメーション市場を主な対象とするIAP事業・SS事業が比較的順調に推移いたしましたが、国内外における製造装置市場の市況低迷により、CP事業が大きく減少し、受注高は前連結会計年度比6.5%減少の919億1千5百万円(前連結会計年度は983億3千1百万円)となり、売上高も前連結会計年度比6.3%減少の931億5千6百万円(前連結会計年度は993億8千9百万円)となりました。セグメント利益につきましては、減収の影響から前連結会計年度比14.1%減少の104億8千6百万円(前連結会計年度は122億1千1百万円)となりましたが、収益力強化施策の効果が継続し、収益性を示すセグメント利益率は引き続き10%超を確保いたしました。
AA事業では、引き続き3つの事業単位を軸に、これまでに実績を上げてきた収益力強化策を深化、徹底することで事業収益の維持に取り組んでまいります。併せて、将来の成長に向けて、海外事業の拡大をはじめとした成長戦略の展開を推し進めてまいります。また、製品開発力の強化に注力し、昨今の技術潮流の変化を捉えた新しいオートメーション領域を創出、アズビルならではの付加価値の高い製品・サービスを国内外のお客様に提供することで、高い収益力と成長力のある事業領域の開拓・拡大を進め、事業全体としての成長・収益力向上を目指してまいります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期前連結会計年度 | 2020年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 98,331 | 91,915 | △6,416 | △6.5% |
| 売上高 | 99,389 | 93,156 | △6,233 | △6.3% |
| セグメント利益 (利益率) | 12,211 (12.3%) | 10,486 (11.3%) | △1,724 (△1.0pp) | △14.1% |
※2 「3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)」
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング(LSE)、そして住宅用全館空調システムの生活関連(ライフ)の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるガス・水道等のライフライン分野は、法定によるメータの交換需要を主体としており、ガス販売の自由化による事業環境の変化は見られますが、引き続き安定した需要が見込まれております。LSE分野及び住宅用全館空調システムの生活関連分野におきましては、需要の増減がある中でも、事業構造改革による安定的な収益の実現と向上に継続して取り組み、成果を上げてまいりました。こうした事業環境や取組みを背景に、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高につきましては、LSE分野における受注増加を要因として前連結会計年度比2.1%増加の448億6百万円(前連結会計年度は438億6千7百万円)となりましたが、売上高は前連結会計年度に受注の水準が低かったLSE分野での減収を主因に、前連結会計年度比1.8%減少の440億3千3百万円(前連結会計年度は448億4千万円)となりました。セグメント利益は、減収の影響により、前連結会計年度比9.4%減少の18億6千6百万円(前連結会計年度は20億6千万円)となりました。
LA事業では今後も引き続き、各事業分野における収益力の向上に取り組んでまいります。またこれと並行して、ガス販売自由化等、エネルギー供給市場における需要の変化を捉えた新たな事業機会の創出に取り組み、IoT等の技術革新の動きを捉えた新製品・高付加価値サービスの開発・投入を推し進めることにより、今後の事業成長を実現してまいります。
(単位:百万円)
| 2019年3月期前連結会計年度 | 2020年3月期当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 43,867 | 44,806 | 938 | 2.1% |
| 売上高 | 44,840 | 44,033 | △807 | △1.8% |
| セグメント利益 (利益率) | 2,060 (4.6%) | 1,866 (4.2%) | △194 (△0.4pp) | △9.4% |
2020年度の見通し
新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への影響規模や沈静化の時期については見通しが難しい状況ですが、当社グループでは、日々変化する事業環境を迅速に把握し、BCP対策を含めて強化した経営管理体制の下、適宜、適切な判断を行い、事業継続に努めてまいります。
当社グループの事業は、お客様の重要設備の維持に不可欠なエンジニアリング、サービスの提供や社会インフラの安全維持に必要な事業を展開しており、一定の需要が見込めます。また、将来的にはウイルスとの共生を前提とした新たな社会課題への対応として、建物・生産管理の自動化・自律化・省人化の加速等により、新たな需要の発生も想定されます。
しかしながら、足元においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による世界的な消費の落ち込み、経済活動・生産活動の停滞は、建物及びプラント・工場における設備投資の減少や工事の遅延・停止を引き起こし、当社グループのBA、AA、LA各事業の活動に影響を与えることが見込まれるため、このウイルスの世界規模での感染拡大が、お客様の設備投資の動向に与える影響を現在精査中であります。次期(2021年3月期)の連結業績予想につきましては、現時点では合理的な算定が困難であるため、未定とさせていただきます。今後、連結業績予想の算定が可能となった時点で速やかに開示いたします。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財政基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保していると認識しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上を重要な経営課題として認識しており、当社グループは格付投資情報センターより「シングルA(安定的)」を獲得して、社債発行登録済枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。併せて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図っております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は82億2千5百万円で、前連結会計年度末に比べて16億4千1百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は49億3千3百万円、研究開発費の総額は118億9千6百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、2017年度から2019年度にかけての中期経営計画において、最終年度である2019年度に営業利益で265億円を計画しておりました。さらに、2021年度をゴールとした長期目標では、営業利益300億円以上、売上高3,000億円規模、ROE10%以上を目標としております。
達成状況につきましては、事業収益力強化施策の効果等により、当連結会計年度の営業利益は272億円を計上し、過去最高益を更新いたしました。また、ROEも10.9%と、前年度に続き10%台を確保いたしました。なお、2020年度につきましては、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容、2020年度の見通し」のとおり、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、現時点では合理的な算定が困難であるため、未定とさせていただいております。