有価証券報告書-第102期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,878億5千1百万円(前連結会計年度は2,969億3千万円)と、前連結会計年度比3.1%の減少となりました。
売上高につきましては、2,909億3千8百万円(前連結会計年度は2,784億6百万円)と、前連結会計年度比4.5%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比17.9%増加の368億4千1百万円(前連結会計年度は312億5千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比21.3%増加の389億9千9百万円(前連結会計年度は321億4千万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比33.6%増加の302億7百万円(前連結会計年度は226億2百万円)となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて168億5千4百万円増加し、資産合計で3,137億2千8百万円となりました。これは主に、棚卸資産が66億1千2百万円増加したことに加え、保有株式の時価の上昇等により投資有価証券が63億8千7百万円増加したことによるものであります。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて21億5千2百万円減少し、負債合計で888億4千万円となりました。これは主に、契約負債が22億6千6百万円増加したものの、仕入債務が42億3千3百万円減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて190億7百万円増加し、純資産合計で2,248億8千7百万円となりました。これは主に、株主資本が取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億9千9百万円、配当金の支払いにより94億7千8百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により302億7百万円増加したことに加え、その他有価証券評価差額金が45億7千7百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の68.3%から70.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は275億4千万円となり、前連結会計年度に比べて144億2千2百万円の増加となりました。これは主に、前連結会計年度において売上高の増加を背景に売上債権の計上が増加していたことに加え、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は23億6千万円となり、前連結会計年度に比べて3億8千3百万円の支出の増加となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は224億5千5百万円となり、前連結会計年度に比べて27億6千1百万円の支出の増加となりました。これは主に、配当による支出が増加したことに加え、一部の海外子会社において短期借入れによる収入が減少したことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より43億6千2百万円増加し、755億9千5百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(請負工事に関する収益認識)
請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。
国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要は継続していますが、ファクトリーオートメーション(FA)市場で需要低迷が継続しました。
この結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、アドバンスオートメーション(AA)事業がFA市場における市況の低迷により減少したことを主因に、前連結会計年度比3.1%減少の2,878億5千1百万円(前連結会計年度は2,969億3千万円)となりました。一方、売上高は、前連結会計年度における受注増加及び強化した調達・生産体制を背景に、ビルディングオートメーション(BA)・AA・ライフオートメーション(LA)の3事業全てで増加し、全体として前連結会計年度比4.5%増加の2,909億3千8百万円(前連結会計年度は2,784億6百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の計上、DX関連費用、人件費やその他経費の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により前連結会計年度比17.9%増加と大きく改善し、368億4千1百万円(前連結会計年度は312億5千1百万円)となりました。経常利益も、営業利益の増加により前連結会計年度比21.3%増加の389億9千9百万円(前連結会計年度は321億4千万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の増加に加えて前連結会計年度における製品保証引当金繰入額の特別損失での計上の影響等により、前連結会計年度比33.6%増加の302億7百万円(前連結会計年度は226億2百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発案件におけるオフィスビルや設備投資が続く工場向け空調の需要が高い水準で継続しています。省エネ・CO2排出量削減の需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューション対応への関心も継続しています。海外市場では新型コロナウイルス感染拡大後に回復した投資が引き続き堅調です。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実に受注を獲得するとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、複数年サービス契約の更新が少ない時期にあたり、前連結会計年度における大型案件受注の影響や採算性重視の取組みにより新設建物向け分野が減少しましたが、市場環境は堅調であり、主に既設建物向け分野と海外事業が増加したことにより、全体としては前連結会計年度と同水準となる1,367億8千2百万円(前連結会計年度は1,353億1千1百万円)となりました。売上高は、堅調な事業環境を背景に新設建物向け分野が高い水準を維持し、既設建物向け分野、サービス分野、海外事業それぞれが増加したことから、前連結会計年度比4.7%増加の1,346億5千5百万円(前連結会計年度は1,285億6千1百万円)となりました。セグメント利益は、労務費・外注費のほか、DX関連費用やその他経費の増加等がありましたが、増収及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により、前連結会計年度比20.5%増加の193億7千3百万円(前連結会計年度は160億7千4百万円)となりました。
中長期的に、引き続き大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されています。BA事業では、納入実績等を基にこれらの需要に確実に応じてまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2排出量削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する安全・安心ニーズ、さらには利便性や快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィス・空間づくりの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、DXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション(PA)市場は、中国での市況停滞が継続していますが、全体では保守・改造需要を中心に堅調に推移しています。一方、FA市場では、製造装置市場の市況低迷が継続し、前連結会計年度における先行発注の反動もあって需要が低迷しました。
このような事業環境のもと、従来から取り組んでいる3つの主要施策である「海外での事業成長」、「新しいオートメーションの創造」、「収益力強化」に継続して取り組むとともに、部品調達難への対応としての調達・生産プロセスの改善に取り組みました。
この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、半導体製造装置市場での循環的な需要の落ち込みなどにより大きく減少し、前連結会計年度比11.0%減少の1,014億8千1百万円(前連結会計年度は1,139億6千8百万円)となりました。一方、売上高は、豊富な受注残のもと、調達・生産体制の強化及び部品調達難の緩和により生産が進んだことから売上高が増加し、前連結会計年度比2.9%増加の1,070億5千2百万円(前連結会計年度は1,039億8千8百万円)となりました。セグメント利益は、DX関連費用等の増加や研究開発投資がありましたが、増収及び価格転嫁を含む収益力強化の取組みにより、利益水準が向上し、前連結会計年度比10.6%増加の161億1千8百万円(前連結会計年度は145億7千9百万円)となりました。
足元ではFA市場の市況低迷が継続していますが、前述の3つの主要施策が着実に進展しており、今後の市況回復期での成長に寄与するものと考えます。また、長期的には工場の脱炭素化、人手不足対応、設備老朽化対応、新しい生産方式の導入等、お客様のオートメーションへのご要求は強く、工業系オートメーション市場はグローバルに拡大していくことが期待できます。引き続き3つの事業単位※(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、先進的なオートメーションの展開を通じて、持続可能な社会へ貢献する高収益な事業体を目指してまいります。
(単位:百万円)
※ 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるライフライン分野は、法定によるメーターの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメーター市場が循環的な不需要期にあります。また、海外で事業展開しているライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への需要は継続していますが、インフレ継続による投資・景気への影響も見られました。こうした事業環境において、LA事業として品質・コスト管理の強化とあわせて価格転嫁を含む収益力強化に取り組みました。
この結果、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフライン分野での増加を主体に、ライフサイエンスエンジニアリング、生活関連の分野も増加し、LA事業全体では前連結会計年度比4.1%増加の516億8千9百万円(前連結会計年度は496億4千6百万円)となりました。売上高についても、ライフライン分野を主体に他の分野も増加し、前連結会計年度比7.3%増加の514億4百万円(前連結会計年度は479億1千5百万円)となりました。セグメント利益は、増収及び収益力強化の取組みにより大きく改善し、前連結会計年度比133.6%増加の13億7千5百万円(前連結会計年度は5億8千8百万円)となりました。
LA事業では、価格転嫁の取組みを継続しつつ、品質管理や抜本的なコスト管理を通じて収益の安定化に取り組んでまいります。なお、これらと並行して、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メーターからのデータを活用したサービスプロバイダーとしての新たな事業の創出にも取り組んでまいります。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質も含めて、幅広く空間の快適性を提供する事業を推進してまいります。
(単位:百万円)
2024年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定、目標達成に向けた取組み、変革を進めています。持続可能な社会の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要の増加が期待されます。中期経営計画では、こうした事業機会を捉え、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かした新たな課題の解決策を提供することにより、自らも持続的に成長していくことを目指しています。
当社グループを取り巻く事業環境は、インフレの拡大による部品や人件費等の様々なコストの上昇、地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンやエネルギー価格への影響等、不透明な状況が継続すると思われます。工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましても、足元では半導体製造装置等のFA市場の低迷が続いており、中国市況の低迷も懸念されます。一方、大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は引き続き堅調さが見込まれており、低迷が続いているFA市場についても、在庫調整が進み、生成AI普及に伴う半導体需要等、下期以降は市況回復が期待できます。
2025年3月期の連結業績予想につきましては、こうした事業環境の不透明さを前提としつつも、改善・強化された生産・調達体制のもと受注残を着実に売上高に転化するとともに、堅調なビル関連事業の伸長に加えて、下期以降に見込まれるFA市場における需要の回復を着実に取り込むことで更なる増収を計画いたします。利益面につきましても、これまで進めてきた価格転嫁を含めた収益力強化施策に加え、研究開発や設備、人的資本等の成長に向けた投資を行う一方で、DX推進を通じた業務効率化等の取組みにより、着実な増益を目指します。
BA事業では、都市再開発計画や更新計画に基づく大型建物向けの空調制御機器・システムの販売からサービスまで、国内需要が堅調に推移しています。また、海外における需要も堅調です。こうした事業環境を背景に、着実に事業を進めることで、豊富な受注残を売上高へと転化し、前連結会計年度比増収を見込みます。セグメント利益については、外注費等の高騰や、成長に向けた人件費、DX関連費用等の増加を見込むものの、増収並びに受注時採算性の改善や適正な価格転嫁の取組みなどにより前連結会計年度比減少ながら190億円の水準を確保します。
AA事業では、半導体製造装置市場での循環的な需要の落ち込み等によりFA市場で需要の低迷が続いていますが、在庫調整も進みつつあり、下期からの緩やかな回復を見込んでいます。期首における受注残を基に、改善・強化した生産体制のもと、部品調達・生産を着実に進めるとともに、下期以降のFA市場の需要拡大を捉えることで、増収を見込みます。セグメント利益については、人件費や成長に向けた各種経費の増加を見込みますが、増収並びに価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果により引き続き増益を計画します。
LA事業では、LPガスメーターが循環的な不需要期にあたりますが、都市ガス・水道メーターでの法定による交換需要を着実に取り込むとともに、SMaaS(Smart Metering as a Service)関連市場の開拓を進めてまいります。ライフサイエンスエンジニアリング分野においても、医薬品製造装置市場における堅調な需要を背景に、受注残を着実に売上高へと転化することにより、LA事業全体として増収を見込みます。セグメント利益につきましても価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果やプロジェクト管理強化等の施策により引き続き、課題である収益性の改善を見込みます。
当社グループでは、社会・経済環境の変化や各事業における事業環境の変化を捉え、迅速・適切な施策を実施することにより、現中期経営計画最終年度である2025年3月期の連結業績予想の着実な達成を目指してまいります。引き続き、商品力強化、技術開発・設備投資並びに人的資本への投資強化を進め、成長のための変革を加速するとともに、市場環境の異なる事業ポートフォリオ(BA、AA、LA)による持続的な成長に取り組んでまいります。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は74億6千8百万円で、前連結会計年度末に比べて13億4千3百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は86億5千2百万円、研究開発費の総額は123億2千5百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする長期目標※として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、4ヵ年の現中期経営計画(2021~2024年度)※においては、売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としてまいりました。最終年度となる2024年度は事業収益力の強化を進め、2021年度に策定した営業利益・率、ROE目標を上回る、売上高3,000億円、営業利益375億円、営業利益率12.5%、ROE12.2%を計画しております。
※ 2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。
当連結会計年度におけるazbilグループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における業績につきましては、受注高が2,878億5千1百万円(前連結会計年度は2,969億3千万円)と、前連結会計年度比3.1%の減少となりました。
売上高につきましては、2,909億3千8百万円(前連結会計年度は2,784億6百万円)と、前連結会計年度比4.5%の増加となりました。
損益面につきましては、営業利益は、前連結会計年度比17.9%増加の368億4千1百万円(前連結会計年度は312億5千1百万円)となりました。経常利益は、前連結会計年度比21.3%増加の389億9千9百万円(前連結会計年度は321億4千万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、前連結会計年度比33.6%増加の302億7百万円(前連結会計年度は226億2百万円)となりました。
(単位:百万円)
| 2023年3月期 前連結会計年度 | 2024年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 296,930 | 287,851 | △9,079 | △3.1% |
| 売上高 | 278,406 | 290,938 | 12,532 | 4.5% |
| 営業利益 (利益率) | 31,251 (11.2%) | 36,841 (12.7%) | 5,589 (1.4pp) | 17.9% |
| 経常利益 | 32,140 | 38,999 | 6,858 | 21.3% |
| 親会社株主に帰属する 当期純利益 (利益率) | 22,602 (8.1%) | 30,207 (10.4%) | 7,605 (2.3pp) | 33.6% |
当連結会計年度末の財政状態につきましては、以下のとおりです。
資産の状況
当連結会計年度末の資産の状況は、前連結会計年度末に比べて168億5千4百万円増加し、資産合計で3,137億2千8百万円となりました。これは主に、棚卸資産が66億1千2百万円増加したことに加え、保有株式の時価の上昇等により投資有価証券が63億8千7百万円増加したことによるものであります。
負債の状況
当連結会計年度末の負債の状況は、前連結会計年度末に比べて21億5千2百万円減少し、負債合計で888億4千万円となりました。これは主に、契約負債が22億6千6百万円増加したものの、仕入債務が42億3千3百万円減少したことによるものであります。
純資産の状況
当連結会計年度末の純資産の状況は、前連結会計年度末に比べて190億7百万円増加し、純資産合計で2,248億8千7百万円となりました。これは主に、株主資本が取締役会決議に基づく自己株式の取得により99億9千9百万円、配当金の支払いにより94億7千8百万円それぞれ減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により302億7百万円増加したことに加え、その他有価証券評価差額金が45億7千7百万円増加したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の68.3%から70.6%となりました。
② キャッシュ・フローの状況
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加は275億4千万円となり、前連結会計年度に比べて144億2千2百万円の増加となりました。これは主に、前連結会計年度において売上高の増加を背景に売上債権の計上が増加していたことに加え、税金等調整前当期純利益が増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における投資活動に使用された資金(支出と収入の純額)は23億6千万円となり、前連結会計年度に比べて3億8千3百万円の支出の増加となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度における財務活動に使用された資金(支出と収入の純額)は224億5千5百万円となり、前連結会計年度に比べて27億6千1百万円の支出の増加となりました。これは主に、配当による支出が増加したことに加え、一部の海外子会社において短期借入れによる収入が減少したことによるものであります。
以上の結果、資金の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末より43億6千2百万円増加し、755億9千5百万円となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 43,956 | 94.6 |
| アドバンスオートメーション事業 | 35,678 | 95.5 |
| ライフオートメーション事業 | 35,681 | 104.2 |
| 報告セグメント計 | 115,316 | 97.7 |
| その他 | - | - |
| 合計 | 115,316 | 97.7 |
(注)上記金額は、azbilグループにおける製品の製造に係る費用及び工事の施工に係る原価を集計したものであり、商品の仕入及び役務収益に対応する費用は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高 (百万円) | 前期比 (%) | 受注残高 (百万円) | 前期比 (%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 136,782 | 101.1 | 85,572 | 103.3 |
| アドバンスオートメーション事業 | 101,481 | 89.0 | 48,579 | 90.9 |
| ライフオートメーション事業 | 51,689 | 104.1 | 22,176 | 110.2 |
| 報告セグメント計 | 289,952 | 97.0 | 156,327 | 99.9 |
| その他 | 57 | 101.8 | - | - |
| 消去 | (2,159) | - | (355) | - |
| 連結 | 287,851 | 96.9 | 155,972 | 100.0 |
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前期比(%) |
| ビルディングオートメーション事業 | 134,655 | 104.7 |
| アドバンスオートメーション事業 | 107,052 | 102.9 |
| ライフオートメーション事業 | 51,404 | 107.3 |
| 報告セグメント計 | 293,112 | 104.5 |
| その他 | 57 | 101.9 |
| 消去 | (2,231) | - |
| 連結 | 290,938 | 104.5 |
(注)総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点によるazbilグループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
azbilグループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、見積りが必要となる事項においては合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に次の項目が連結財務諸表作成における重要な会計上の見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
(請負工事に関する収益認識)
請負工事契約については、履行義務の充足に係る工事の進捗度を合理的に見積もり、履行義務を充足する一定の期間にわたり収益を認識しております。工事の進捗度の見積りは主に、当連結会計年度末までに実施した工事に関して発生したコストが見積総原価に占める割合に基づく方法(インプット法)によっております。
なお、収益総額、見積総原価及び決算日における進捗度について、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注残案件のうち売上時に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能な案件について、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金に計上しております。
なお、将来発生する可能性のある損失をカバーするだけの十分な引当金残高を有しているかどうかを判断するために、様々な仮定や要素を考慮しておりますが、新技術・新領域の案件等において、見積り時には予見不能な事象の発生やプロジェクト案件の進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
azbilグループを取り巻く事業環境認識は次のとおりです。
国内大型建物向け空調制御機器・システムにつきましては、都市再開発計画に基づく需要が高い水準で継続し、省エネ・CO2排出量削減対策を含めた改修案件の需要も堅調に推移しています。生産設備向けの各種機器・システムにつきましては、工場・プラントの脱炭素化やDX推進に向けた需要は継続していますが、ファクトリーオートメーション(FA)市場で需要低迷が継続しました。
この結果、当連結会計年度における業績につきましては次のとおりとなりました。
受注高は、アドバンスオートメーション(AA)事業がFA市場における市況の低迷により減少したことを主因に、前連結会計年度比3.1%減少の2,878億5千1百万円(前連結会計年度は2,969億3千万円)となりました。一方、売上高は、前連結会計年度における受注増加及び強化した調達・生産体制を背景に、ビルディングオートメーション(BA)・AA・ライフオートメーション(LA)の3事業全てで増加し、全体として前連結会計年度比4.5%増加の2,909億3千8百万円(前連結会計年度は2,784億6百万円)となりました。
損益面につきましては、営業利益は、中期経営計画に基づく研究開発費の計上、DX関連費用、人件費やその他経費の増加がありましたが、増収及び価格転嫁も含めた収益力強化施策により前連結会計年度比17.9%増加と大きく改善し、368億4千1百万円(前連結会計年度は312億5千1百万円)となりました。経常利益も、営業利益の増加により前連結会計年度比21.3%増加の389億9千9百万円(前連結会計年度は321億4千万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、営業利益の増加に加えて前連結会計年度における製品保証引当金繰入額の特別損失での計上の影響等により、前連結会計年度比33.6%増加の302億7百万円(前連結会計年度は226億2百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては次のとおりであります。
ビルディングオートメーション(BA)事業
BA事業を取り巻く環境は、国内市場においては、都市再開発案件におけるオフィスビルや設備投資が続く工場向け空調の需要が高い水準で継続しています。省エネ・CO2排出量削減の需要に加えて、新型コロナウイルス感染拡大後の安全や新しい働き方に適応した新たなソリューション対応への関心も継続しています。海外市場では新型コロナウイルス感染拡大後に回復した投資が引き続き堅調です。
こうした事業環境のもと、採算性に配慮しつつ着実に受注を獲得するとともに、働き方改革への対応も踏まえ、施工・サービスの現場を主体に業務の遂行能力の強化と効率化を進めてまいりました。また、IoTやクラウド等の技術活用を志向する国内外のお客様のニーズに対応するための製品・サービスの拡大も進めてまいりました。
この結果、BA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、複数年サービス契約の更新が少ない時期にあたり、前連結会計年度における大型案件受注の影響や採算性重視の取組みにより新設建物向け分野が減少しましたが、市場環境は堅調であり、主に既設建物向け分野と海外事業が増加したことにより、全体としては前連結会計年度と同水準となる1,367億8千2百万円(前連結会計年度は1,353億1千1百万円)となりました。売上高は、堅調な事業環境を背景に新設建物向け分野が高い水準を維持し、既設建物向け分野、サービス分野、海外事業それぞれが増加したことから、前連結会計年度比4.7%増加の1,346億5千5百万円(前連結会計年度は1,285億6千1百万円)となりました。セグメント利益は、労務費・外注費のほか、DX関連費用やその他経費の増加等がありましたが、増収及び価格転嫁を含む収益力強化の効果により、前連結会計年度比20.5%増加の193億7千3百万円(前連結会計年度は160億7千4百万円)となりました。
中長期的に、引き続き大型の再開発案件や多数の大型建物の改修が計画されています。BA事業では、納入実績等を基にこれらの需要に確実に応じてまいります。さらに、脱炭素化の動きを受けての省エネ・CO2排出量削減に向けたニーズや、新型コロナウイルス感染拡大に起因する安全・安心ニーズ、さらには利便性や快適性を備え、新しい働き方にも適応したウェルネスオフィス・空間づくりの需要に対し、クラウドサービスや新空調システムといったソリューションを提供することで、持続的な成長を目指してまいります。あわせて、DXの推進や事業プロセス変革を含めた取組みを進め、更なる高収益体質を実現してまいります。
(単位:百万円)
| 2023年3月期 前連結会計年度 | 2024年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 135,311 | 136,782 | 1,470 | 1.1% |
| 売上高 | 128,561 | 134,655 | 6,094 | 4.7% |
| セグメント利益 (利益率) | 16,074 (12.5%) | 19,373 (14.4%) | 3,299 (1.9pp) | 20.5% |
アドバンスオートメーション(AA)事業
AA事業を取り巻く国内外の市場の動向につきましては、プロセスオートメーション(PA)市場は、中国での市況停滞が継続していますが、全体では保守・改造需要を中心に堅調に推移しています。一方、FA市場では、製造装置市場の市況低迷が継続し、前連結会計年度における先行発注の反動もあって需要が低迷しました。
このような事業環境のもと、従来から取り組んでいる3つの主要施策である「海外での事業成長」、「新しいオートメーションの創造」、「収益力強化」に継続して取り組むとともに、部品調達難への対応としての調達・生産プロセスの改善に取り組みました。
この結果、AA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、半導体製造装置市場での循環的な需要の落ち込みなどにより大きく減少し、前連結会計年度比11.0%減少の1,014億8千1百万円(前連結会計年度は1,139億6千8百万円)となりました。一方、売上高は、豊富な受注残のもと、調達・生産体制の強化及び部品調達難の緩和により生産が進んだことから売上高が増加し、前連結会計年度比2.9%増加の1,070億5千2百万円(前連結会計年度は1,039億8千8百万円)となりました。セグメント利益は、DX関連費用等の増加や研究開発投資がありましたが、増収及び価格転嫁を含む収益力強化の取組みにより、利益水準が向上し、前連結会計年度比10.6%増加の161億1千8百万円(前連結会計年度は145億7千9百万円)となりました。
足元ではFA市場の市況低迷が継続していますが、前述の3つの主要施策が着実に進展しており、今後の市況回復期での成長に寄与するものと考えます。また、長期的には工場の脱炭素化、人手不足対応、設備老朽化対応、新しい生産方式の導入等、お客様のオートメーションへのご要求は強く、工業系オートメーション市場はグローバルに拡大していくことが期待できます。引き続き3つの事業単位※(CP事業、IAP事業、SS事業)を軸に、先進的なオートメーションの展開を通じて、持続可能な社会へ貢献する高収益な事業体を目指してまいります。
(単位:百万円)
| 2023年3月期 前連結会計年度 | 2024年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 113,968 | 101,481 | △12,487 | △11.0% |
| 売上高 | 103,988 | 107,052 | 3,064 | 2.9% |
| セグメント利益 (利益率) | 14,579 (14.0%) | 16,118 (15.1%) | 1,538 (1.0pp) | 10.6% |
※ 3つの事業単位(管理会計上のサブセグメント)
CP事業 :コントロールプロダクト事業(コントローラやセンサ等のファクトリーオートメーション向けプロダクト事業)
IAP事業:インダストリアルオートメーションプロダクト事業(差圧・圧力発信器やコントロールバルブ等のプロセスオートメーション向けプロダクト事業)
SS事業 :ソリューション&サービス事業(制御システム、エンジニアリングサービス、メンテナンスサービス、省エネソリューションサービス等を提供する事業)
ライフオートメーション(LA)事業
LA事業は、ガス・水道等のライフライン、製薬・研究所向けのライフサイエンスエンジニアリング、そして住宅用全館空調システムの生活関連の3つの分野で事業を展開しており、事業環境はそれぞれ異なります。
売上の大半を占めるライフライン分野は、法定によるメーターの交換需要を主体として一定の需要が継続的に見込まれますが、現在LPガスメーター市場が循環的な不需要期にあります。また、海外で事業展開しているライフサイエンスエンジニアリング分野では、製薬プラント設備への需要は継続していますが、インフレ継続による投資・景気への影響も見られました。こうした事業環境において、LA事業として品質・コスト管理の強化とあわせて価格転嫁を含む収益力強化に取り組みました。
この結果、LA事業の当連結会計年度の業績は次のとおりとなりました。
受注高は、ライフライン分野での増加を主体に、ライフサイエンスエンジニアリング、生活関連の分野も増加し、LA事業全体では前連結会計年度比4.1%増加の516億8千9百万円(前連結会計年度は496億4千6百万円)となりました。売上高についても、ライフライン分野を主体に他の分野も増加し、前連結会計年度比7.3%増加の514億4百万円(前連結会計年度は479億1千5百万円)となりました。セグメント利益は、増収及び収益力強化の取組みにより大きく改善し、前連結会計年度比133.6%増加の13億7千5百万円(前連結会計年度は5億8千8百万円)となりました。
LA事業では、価格転嫁の取組みを継続しつつ、品質管理や抜本的なコスト管理を通じて収益の安定化に取り組んでまいります。なお、これらと並行して、エネルギー供給市場における事業環境の変化を捉え、製品提供型の事業に加え、IoT等の技術を活用し、各種メーターからのデータを活用したサービスプロバイダーとしての新たな事業の創出にも取り組んでまいります。住宅用全館空調システム分野では新設建物から既設建物まで、省エネや空気質も含めて、幅広く空間の快適性を提供する事業を推進してまいります。
(単位:百万円)
| 2023年3月期 前連結会計年度 | 2024年3月期 当連結会計年度 | 増減 | 増減率 | |
| 受注高 | 49,646 | 51,689 | 2,042 | 4.1% |
| 売上高 | 47,915 | 51,404 | 3,489 | 7.3% |
| セグメント利益 (利益率) | 588 (1.2%) | 1,375 (2.7%) | 786 (1.4pp) | 133.6% |
2024年度の見通し
azbilグループは、2030年度をゴールとする長期目標を設定し、この第1ステップとして4ヵ年の中期経営計画(2021~2024年度)を策定、目標達成に向けた取組み、変革を進めています。持続可能な社会の実現に向けて、現在、様々な社会課題やお客様の課題が生まれており、こうした課題への解決策を提供できるオートメーションの役割が拡大、需要の増加が期待されます。中期経営計画では、こうした事業機会を捉え、当社グループならではの技術・製品・サービスを活かした新たな課題の解決策を提供することにより、自らも持続的に成長していくことを目指しています。
当社グループを取り巻く事業環境は、インフレの拡大による部品や人件費等の様々なコストの上昇、地政学的リスクの高まりによるサプライチェーンやエネルギー価格への影響等、不透明な状況が継続すると思われます。工場・プラント等の生産設備に関する需要につきましても、足元では半導体製造装置等のFA市場の低迷が続いており、中国市況の低迷も懸念されます。一方、大型建物向けの空調制御機器・システムに関する需要は引き続き堅調さが見込まれており、低迷が続いているFA市場についても、在庫調整が進み、生成AI普及に伴う半導体需要等、下期以降は市況回復が期待できます。
2025年3月期の連結業績予想につきましては、こうした事業環境の不透明さを前提としつつも、改善・強化された生産・調達体制のもと受注残を着実に売上高に転化するとともに、堅調なビル関連事業の伸長に加えて、下期以降に見込まれるFA市場における需要の回復を着実に取り込むことで更なる増収を計画いたします。利益面につきましても、これまで進めてきた価格転嫁を含めた収益力強化施策に加え、研究開発や設備、人的資本等の成長に向けた投資を行う一方で、DX推進を通じた業務効率化等の取組みにより、着実な増益を目指します。
BA事業では、都市再開発計画や更新計画に基づく大型建物向けの空調制御機器・システムの販売からサービスまで、国内需要が堅調に推移しています。また、海外における需要も堅調です。こうした事業環境を背景に、着実に事業を進めることで、豊富な受注残を売上高へと転化し、前連結会計年度比増収を見込みます。セグメント利益については、外注費等の高騰や、成長に向けた人件費、DX関連費用等の増加を見込むものの、増収並びに受注時採算性の改善や適正な価格転嫁の取組みなどにより前連結会計年度比減少ながら190億円の水準を確保します。
AA事業では、半導体製造装置市場での循環的な需要の落ち込み等によりFA市場で需要の低迷が続いていますが、在庫調整も進みつつあり、下期からの緩やかな回復を見込んでいます。期首における受注残を基に、改善・強化した生産体制のもと、部品調達・生産を着実に進めるとともに、下期以降のFA市場の需要拡大を捉えることで、増収を見込みます。セグメント利益については、人件費や成長に向けた各種経費の増加を見込みますが、増収並びに価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果により引き続き増益を計画します。
LA事業では、LPガスメーターが循環的な不需要期にあたりますが、都市ガス・水道メーターでの法定による交換需要を着実に取り込むとともに、SMaaS(Smart Metering as a Service)関連市場の開拓を進めてまいります。ライフサイエンスエンジニアリング分野においても、医薬品製造装置市場における堅調な需要を背景に、受注残を着実に売上高へと転化することにより、LA事業全体として増収を見込みます。セグメント利益につきましても価格転嫁を含めた収益力強化施策の効果やプロジェクト管理強化等の施策により引き続き、課題である収益性の改善を見込みます。
当社グループでは、社会・経済環境の変化や各事業における事業環境の変化を捉え、迅速・適切な施策を実施することにより、現中期経営計画最終年度である2025年3月期の連結業績予想の着実な達成を目指してまいります。引き続き、商品力強化、技術開発・設備投資並びに人的資本への投資強化を進め、成長のための変革を加速するとともに、市場環境の異なる事業ポートフォリオ(BA、AA、LA)による持続的な成長に取り組んでまいります。
なお、業績予想等は、当社が現時点で入手可能な情報と合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績は様々な要因により異なる可能性があります。
| (単位:億円) | |||||
| 2024年3月期 実績 | 2025年3月期 見通し | 増減 | 増減率 | ||
| ビルディング オートメーション事業 | 売上高 | 1,346 | 1,420 | 73 | 5.5% |
| セグメント利益 (利益率) | 193 (14.4%) | 190 (13.4%) | △3 (△1.0pp) | △1.9% | |
| アドバンス オートメーション事業 | 売上高 | 1,070 | 1,090 | 19 | 1.8% |
| セグメント利益 (利益率) | 161 (15.1%) | 167 (15.3%) | 5 (0.3pp) | 3.6% | |
| ライフ オートメーション事業 | 売上高 | 514 | 520 | 5 | 1.2% |
| セグメント利益 (利益率) | 13 (2.7%) | 18 (3.5%) | 4 (0.8pp) | 30.8% | |
| その他 | 売上高 | 0 | 1 | 0 | 72.5% |
| セグメント利益 (利益率) | △0 (△36.1%) | 0 (0.0%) | 0 (36.1pp) | - | |
| 連結 | 売上高 | 2,909 | 3,000 | 90 | 3.1% |
| 営業利益 (利益率) | 368 (12.7%) | 375 (12.5%) | 6 (△0.2pp) | 1.8% | |
| 経常利益 | 389 | 375 | △14 | △3.8% | |
| 親会社株主に帰属 する当期純利益 (利益率) | 302 (10.4%) | 280 (9.3%) | △22 (△1.0pp) | △7.3% |
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
azbilグループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおり健全な財務基盤を維持し、必要な運転資金等への十分な流動性も確保しております。加えて、パンデミック、大規模な自然災害の発生等、不測の事態でも事業を継続し、供給責任を果たすことのできる強固な財務基盤を引き続き維持しております。また、安定的な外部資金調達能力の維持向上のため、当社グループは格付投資情報センターより発行体格付「シングルA+(安定的)」を取得して社債発行枠200億円を設定するとともに、コマーシャル・ペーパーについて格付「a-1」を取得して発行枠200億円を設定しております。さらには、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントラインを設定し、緊急時の流動性を確保しております。あわせて、国内子会社については親会社を通じたキャッシュ・マネジメントにより、資金調達の一元化と資金効率化、流動性の確保を図るとともに、海外の一部地域においても域内でのグループファイナンスを実施しております。
当社グループの資金需要としましては、営業活動上の運転資金に加えて、設備投資及び研究開発のための資金や配当支払いなどを見込んでおり、主に営業活動によるキャッシュ・フローや内部資金のほか、一部借入による資金調達も行っております。借入による資金調達に関しましては、主に短期借入金で調達しておりますが、当連結会計年度末現在で短期借入金の残高は74億6千8百万円で、前連結会計年度末に比べて13億4千3百万円減少しております。
他方、営業活動によるキャッシュ・フローや内部留保を含めた資本を活用し、持続的な成長の実現や事業基盤の整備・強化に向けて、国内外生産拠点の再編・拡充をはじめとする設備投資や技術革新に対応した研究開発、サービスの高付加価値化や事業の効率化に必要なDX等への投資を実現しております。当連結会計年度の設備投資の総額は86億5千2百万円、研究開発費の総額は123億2千5百万円となりました。今後につきましても、成長に向けた商品・サービスの拡充、先進的なグローバル生産・開発の構造改革等、事業基盤の強化・拡充に注力するとともに、M&Aといった将来の成長投資を進めてまいります。
株主還元につきましては、経営の重要課題の一つと位置付けており、連結業績、純資産配当率(DOE)・自己資本当期純利益率(ROE)等の水準に加え、上記の成長投資及び健全な財務基盤の確保のための内部留保等を総合的に勘案し、配当水準の向上に努めつつ安定した配当を維持していきたいと考えております。詳細は「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、株主価値増大に向けて連結ROE(自己資本当期純利益率)の向上を基本的な目標としており、収益性と資本効率の向上を通して、2030年度をゴールとする長期目標※として、売上高4,000億円規模、営業利益600億円規模、営業利益率15%程度、ROE13.5%程度を目指しております。また、この長期目標達成に向け、4ヵ年の現中期経営計画(2021~2024年度)※においては、売上高3,000億円、営業利益360億円、営業利益率12%、ROE12%程度を達成することを目標としてまいりました。最終年度となる2024年度は事業収益力の強化を進め、2021年度に策定した営業利益・率、ROE目標を上回る、売上高3,000億円、営業利益375億円、営業利益率12.5%、ROE12.2%を計画しております。
※ 2021年5月14日、当社グループは長期目標、中期経営計画(2021~2024年度)を策定・公表いたしました。