有価証券報告書-第149期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 16:08
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132項目

研究開発活動

当社グループ(当社および連結子会社)における当連結会計年度の研究開発は、『“One-Basic Energy”で未来に踏み出そう!』というスローガンのもと「事業の成長」「質の向上」「人財の成長」の実行力を、One-Basic Energyでさらに高めることを目指してきました。特に安全第一を最優先課題とし、コミュニケーションを密にして目的・目標を共有し、スピードを常に意識して課題解決に取り組んでいます。そして、“グリーン”“クリーン”“ファイン”の事業領域において、新たな価値を提供し、グローバル化のセカンドステージを展開してきています。
CTO(Chief Technology Officer)を中心とするR&Dマネジメント体制をさらに強化し、「粘着技術」「塗工技術」「高分子機能制御技術」「高分子分析・評価技術」の4つのコア・テクノロジーをベースにして、様々な技術を融合し、ステークホルダーの皆様に新たな価値を提供し続けています。
その推進体制としては、全社技術機能には全社技術部門として、国内には基幹技術研究センター、環境・エネルギー研究センター、ライフサイエンス研究センター、機能設計技術センター、海外にはアドンバンストテクノロジーセンター(米国)、日東電工アジアテクニカルセンター(シンガポール)、日東電工ヨーロッパテクニカルセンター(スイス)を配置し、世界4極でのグローバルコーポレートR&D体制を確立しています。そして各事業執行体には開発部を配置し、各関係会社の研究開発部も含め相互に密接な連携をとりながら、技術立社としての基幹技術の深耕、新製品、新技術の開発に取り組んでいます。また、2013年(平成25年)10月にはNitto Innovations, Inc.(以下NII)を新設しました。NIIは米国シリコンバレーに拠点を構え、同地域周辺やその他地域における新技術・新事業を探索し、「多軸の創出」の一環としてベンチャー企業との連携を通じた新規事業の立ち上げを目指します。
当連結会計年度の研究開発部門の人員は、当社単体で956名、グループ全体で1,423名です。また、当グループが支出した研究開発費の総額は28,573百万円です。このうち、各事業セグメントに直接関連しない全社技術部門の研究開発費は10,433百万円です。
セグメント別の研究開発活動成果は下記のとおりです。
(1)インダストリアルテープ
モバイル市場に対して、薄層・耐衝撃性、通音性能向上のお客様の要望に応えるため、部品固定用両面接合テープ、クリーン超薄手発泡体、高機能多孔体“テミッシュ®”の高性能化・品揃えの拡充を行いました。中国および韓国顧客に対する製品開発のスピード対応、コミュニケーションの向上のため、韓国・中国にそれぞれ試作・サービス拠点を設立しました。
また、航空機分野での事業拡大をすすめ、防錆用シーリングテープ“AEROSEALTM”や塗装用マスキングテープなどの高性能化・品揃えによる商品グローバル展開を行いました。
自動車分野では、インド・ブラジル等新興国で防音・制振製品および鋼板補強材の現地生産を始めました。更に、お客様の海外生産の動きに対応した商品供給体制を構築していきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は4,710百万円です。
(2)オプトロニクス
成長を続けているスマートフォン及びタブレットPC用途では、タッチパネルの性能の向上、ディスプレイサイズの大型化・薄型化・狭額縁化が進んでおり、これに対応するため、透明導電性ITOフィルム「エレクリスタ」の低抵抗化、薄型対応および薄型偏光板の開発、偏光板の加工精度向上に取り組んでいます。
コモディティ化が著しいTV用LCDに対してはRoll to Panel技術によりビジネスモデルを転換する対応を行なっており採算性の改善を図っています。また、LCD以外にもOLED用反射防止フィルムの製品開発も行なってきました。今後も新需要を創出する新製品開発を継続的に行なっていきます。
また液晶ディスプレイパネルはモバイルサイズ・TVサイズ共に中国での成長が著しく、中国のお客様に対応した製品開発・物量対応を行なっています。
プリント回路関係では、スマートフォンの高精細ディスプレイに対応するため、ノイズ対策を施したFPCが好調です。HDD(ハード・ディスク・ドライブ)分野においては、成長鈍化しておりますが、データーセンターを中心に高容量化のニーズは引き続き強く、CISFLEX、FPCともに配線微細化を中心とした新製品を継続的に創出していきます。
半導体分野では、スマートフォンに加え、タブレットの拡大により、フラッシュメモリー向けに使用されるダイアタッチフィルムが大きく伸長しました。熱伝導性などの機能を付与することにより、放熱問題が顕在化している通信、CPUなどへの用途展開により、更なる売上拡大を目指します。
半導体向けプロセス材料としては、耐薬品性、耐熱性などの機能を付与したプロセステープが好評です。成長が期待されるパワー半導体、TSVなどの新規プロセスへの展開を積極的に進めていきます。また、光半導体向けの封止材料に関しては、照度センサーなどへの用途展開を引き続き進めていきます。
LED照明分野におきましては、2013年度に熱硬化性シリコーン封止シートを中華圏の顧客より少額ながら初受注頂きました。現在、安定した受注拡大に向けて中国、台湾拠点における各種インフラを整備しています。また2014年度はLEDデバイスの新しい小型パッケージの技術開発に注力し、スペックイン活動を加速させていきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は11,629百万円です。
(3)その他(メディカルおよびメンブレン)
医薬品関係では、世界初のβ1遮断薬含有経皮吸収型製剤(高血圧症)が日本で承認され、製造を開始しました。同じくリドカイン含有経皮吸収型製剤(ペンレス®テープ18mg:疼痛緩和)は、皮膚レーザー照射療法時の疼痛緩和の国内における追加承認を取得しました。
医療衛生材料関係では、皮膚保護用フィルムドレッシング材の中でも高い透湿性を有する「ブレスロール」を上市しました。また、筋肉サポート用として剥離時の痛みを抑えたスポーツシーンでも使用できる「キネロジEX」を上市しました。
核酸関係では、米国子会社の核酸原体製造受託会社であるNitto Denko Avecia Inc.にて、多数の前期~後期臨床試験用の核酸原体の製造案件を受託し、プロセス開発-製造を実施しました。また、2012年度に資産買収した旧Girindus America Inc.をNitto Denko Avecia Inc.(シンシナティ工場)として統合し、少量核酸原体合成(主に前臨床試験用)、放射性標識化合物製造、低分子有機合成においても、多数の案件を受託し、プロセス開発-製造を実施しました。
メンブレン関係では、市場の要求が年々厳しくなってきており、海水淡水化、その他用途においても、造水コスト低減を求める要望が増加しています。今後は、逆浸透膜の性能及び耐久性の向上、省エネルギー化に貢献できる製品開発を進めていきます。また、グローバル化を促進させ、メンブレンセパレーション技術により世界各地で最適な製品開発を行い、事業を拡大させていきます。
当連結会計年度における研究開発費の金額は1,800百万円です。