有価証券報告書-第149期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

【提出】
2014/06/20 16:08
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【項目】
132項目

業績等の概要

(1)業績
当事業年度における経済環境は、海外では米国において住宅等の民間需要により緩やかな景気回復が続き、欧州においても持ち直しつつありました。一方、中国では成長スピードが減速して弱含みで推移しました。国内では企業収益の改善や個人消費の増加など、景気は回復傾向にありました。
このような経済環境のもと、日東電工グループは、当事業年度を「越える年」と位置づけ、一人一人がこれまでの意識を越えて果敢にチャレンジすることで、世界で戦う実力を身につけることに取り組みました。ブランド刷新による知名度や認知度の拡大、本社と大阪支店の移転統合による業務効率の向上、更に全グループ従業員が持つべき共通の価値観や行動基準をわかりやすく示した新たな経営理念を制定するなど2018年の100周年に向け企業価値をグローバルに発展するための活動を展開しました。主力のエレクトロニクス業界では、スマートフォンやタブレット端末市場の成長に対し新製品の投入やタッチパネル用材料の生産能力増強など実行しました。自動車業界では生産台数の伸びを逃さず捉え、既存顧客の採用材料の拡大や新規顧客の開拓をグローバルに行いました。
以上の結果、売上高は前年度と比較し11.7%増(以下の比較はこれに同じ)の749,835百万円に、営業利益は5.5%増の72,254百万円となりました。経常利益は6.7%増の71,658百万円、当期純利益は16.8%増の51,018百万円となりました。
セグメントの業績概況
① インダストリアルテープ
自動車業界向けは円高の是正に加え、グローバルな自動車生産台数の伸び、更には海外生産拠点の生産性改善などにより、好調に推移しました。エレクトロニクス業界向けは、両面粘着テープやシーリング材料がスマートフォンやタブレット端末の市場拡大、および新規顧客への採用促進により堅調に推移しました。工業用途全般に使用される汎用性の高い両面粘着テープや耐熱性に優れるフッ素樹脂製品などは全体的に堅調に推移しました。また、住宅業界では消費税増税前の駆け込み需要で保護フィルムが好調でした。
以上の結果、売上高は283,059百万円(12.3%増)、営業利益は17,330百万円(41.9%増)となりました。
② オプトロニクス
情報機能材料では、液晶テレビ用パネルが中国エコ家電補助金の制度終了による影響を受けましたが、年末から一転して需要が回復するなど従来の季節要因では読み切ることの難しい状況にありました。加えて、想定していた以上のテレビ用パネルの価格下落の影響がありました。一方で、スマートフォンやタブレット端末用パネルでは、生産台数の拡大に伴い堅調に推移しました。タッチパネル用透明導電性フィルムは、競合する方式の透明導電性ガラスと比較して「より薄く、より軽く、割れない」との利点が認知され、採用が増加しました。同時に積極的な生産能力の増強により競合する透明導電性フィルムメーカーとの差別化を図りました。プリント回路は、スマートフォン用途では、年度を通じて顧客層の拡大ができたこと、更には年度後半にWindowsXPのサポート終了に伴うパソコン買い替えが生じたことでHDD(ハード・ディスク・ドライブ)用途の需要が回復したため順調に推移しました。プロセス材料は、主にスマートフォンやタブレット端末で使用される半導体市場が堅調であったため工程材および構造材一体型テープが好調に推移しました。なお、当セグメントでは平成25年3月期に半導体封止材料事業(光半導体向け封止材料は除く)を日立化成株式会社へ譲渡していますので、年度比較上では減収となっています。
以上の結果、売上高は452,543百万円(10.2%増)、営業利益は52,415百万円(7.1%減)となりました。
③ その他(メディカルおよびメンブレン)
メディカル(医療関連材料)は、経皮吸収型テープ製剤のひとつであるビソノテープ(高血圧治療用テープ製剤)が製造販売の承認を受け、出荷を開始しました。また、米国の核酸医薬グループ会社において核酸医薬の少量合成の受注が堅調に推移しました。メンブレン(高分子分離膜)は、中国やインド等、成長を続けてきた新興国市場において需要が減速する厳しい環境にありましたが、円高是正の効果に加え、メキシコなどの新市場における案件を受注することで全体としては堅調に推移しました。
以上の結果、売上高は37,745百万円(11.8%増)、営業利益は1,867百万円(436.1%増)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は203,446百万円となり、前連結会計年度末より51,171百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は78,286百万円(前連結会計年度は68,152百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益69,641百万円および減価償却費43,188百万円による増加、退職給付に関連する負債の減少額4,106百万円および法人税等の支払額25,664百万円による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は15,735百万円(前連結会計年度は56,269百万円の減少)となりました。
これは主に、固定資産の取得による支出74,250百万円による減少、定期預金の減少額60,277百万円による増加によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は18,131百万円(前連結会計年度は14,822百万円の減少)となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出6,000百万円、配当金の支払額16,488百万円によるものであります。