有価証券報告書-第72期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
154項目

対処すべき課題

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「環境と人にやさしい技術への貢献」を企業理念に掲げ、研究開発から生産活動などの企業活動の全域にわたり地球環境の保全に取り組んでおります。
当社はこの企業理念のもと、各電子部品の開発・供給を通じてエレクトロニクス産業の発展に寄与することが、企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながると考え、基本方針として推進してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループにおきましては、企業価値の向上を図るため資産効率の改善に継続的に取り組んでおり、総資産利益率(ROA)及び自己資本利益率(ROE)を重要な指標として位置づけております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社グループが属する電子機器業界は、技術の進歩、参加企業のグローバルな事業展開等において、もっとも変化の速い業界の一つであります。
このような経営環境の中にあり、他に先んじたスピード感のあるグループ経営を行うことが最も重要なことであると認識しております。
スピード感のある経営とは、先を見据えた経営、常に他社の先を行く経営であります。
このため、当社グループにおきましては3ヵ年の中期経営計画を策定し、経営にあたっております。
2017年4月より、「創業90周年に向けた事業構造変革による強固な経営基盤づくり:経営革新のさらなる深化」を目標とする「第8次中期経営計画」をスタート致しました。
現在、世界各地域では、第4次産業革命と呼ばれる、次期製造業の強化に向けた新たな取り組みが活発化しており、今後は、IoTの進行により新たな社会の仕組みづくりとして、長期にわたるグローバルでの産業・社会インフラ整備が拡大していくことが予想されます。
このような社会・環境変化の中、長期目標である「持続的成長と中長期的な企業価値向上」を実現するために、第8次中期経営計画を策定致しました。
「お客様に喜ばれるサービスの提供と真のニーズに応える新たな価値の創出」を基本戦略として、成長性と収益性の改善を進め、「第8次中期経営計画」を達成してまいります。
中期重点施策
1. 成長戦略の明確化
2. 収益体質の強化
3. ガバナンスの強化
4. クオリティファーストによる顧客満足度の向上とスピード経営の実践
5. 明るく、活力のある企業風土づくりと10年後を担う人財の育成
(4)会社の対処すべき課題の内容等
今後の見通しにつきましては、米国では引き続き着実な景気拡大が見込まれ、欧州でも総じて緩やかな回復傾向で推移するものと期待されております。一方、中国経済の減速や米中貿易摩擦の長期化による世界経済への影響が懸念されるなど、当社グループを取り巻く経営環境は、依然として予断を許さない状況が続くものと予想されます。
当社グループにおきましては、第8次中期経営計画の最終年度を迎えるにあたり、2019年度の基本戦略を、「信頼回復と創業90周年に向けた企業価値向上(株主視点での積極経営推進)『第9次中期経営計画での2,000億円企業への基盤づくり』」と定め、中期経営計画の目標達成に向けた重点施策を着実に実行してまいります。今後も需要の拡大が見込まれる車載市場、通信市場、パワーエレクトロニクス市場等に向けた拡販活動を積極的に展開致します。あわせて、海外市場へ向けて、電気二重層キャパシタ、CMOSカメラモジュール、積層セラミックコンデンサ、アモルファスチョークコイル等の製品を重点的に拡販することにより、新たな需要の拡大につなげてまいります。また、スマートファクトリーの実現に向けた取り組みとして、IoTを活用し生産設備から稼働状況等のデータを取得するなど生産工程を可視化することにより、稼働率の飛躍的向上を図り、更なる生産性の向上を目指してまいります。
(5)株式会社の支配に関する基本方針
当社は、1931年の創業以来、アルミ電解コンデンサのリーディングカンパニーとしてエレクトロニクス市場にアルミ電解コンデンサをはじめとする各種電子部品を安定的に供給してまいりました。当社グループの特色は、これらの材料研究から生産設備の設計、製品化に至るまでのあらゆるプロセスをグループ内で一貫して行うことにあり、これにより当社グループは顧客に対して常に独創的で信頼性の高い電子部品を供給することが可能になっております。また、当社グループではアルミ電解コンデンサ用電極箔等の材料開発や将来を見据えた素材の基礎研究に積極的に取り組んでおり、これらを活かした新製品の開発・事業化には多くの時間と経営資源を投入しております。このため当社は、経営方針の継続性を一定期間維持する必要があり、定期的に3ヵ年の中期経営計画を策定し経営の効率化に努めております。更に、これらの事業運営にあたっては、「環境と人にやさしい技術への貢献」を企業理念に掲げ、研究開発から生産活動などの企業活動の全域にわたり地球環境の保全に取り組んでおり、当社はこの企業理念のもと、各種電子部品の開発・供給を通じてエレクトロニクス産業の発展に寄与することが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながるものと考えております。
従って、当社では、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者とは、以上のような当社グループの経営、企業理念及び様々なステークホルダー(顧客、取引先、従業員、地域社会等)との間に築かれた関係等、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者でなければならないと考えております。
当社は、上場会社であり市場の判断に基づく経営支配権の異動を通じた経営革新の効果や企業活動の活性化を否定するものではありませんが、当社株式の大量取得を目的とする買付けについては、当該買付け行為又は買収提案の当社の企業価値、株主共同の利益への影響を慎重に検討し判断する必要があると考えております。
現在のところ、当社ではいわゆる「買収防衛策」を予め定めることはしておりません。しかし、当社と致しましては、株主の皆様から経営を負託された者の責務として、常に当社の株式取引や異動の状況に重大な関心を持つと共に、有事対応のコンテンジェンシー・プランを策定し、当社株式を大量に取得しようとする者が出現した場合には、社外の専門家を含めたプロジェクトチームを組織し、当該買収提案の評価や当該取得者との交渉を行い、当社の企業価値、株主共同の利益に資さないと判断された場合には、直ちに具体的な対抗措置の要否、内容等を速やかに決定し、実行する体制を整えるなど、当社として最も適切と考えられる措置を講じてまいります。