有価証券報告書-第69期(平成27年4月1日-平成28年3月31日)

【提出】
2016/06/29 15:29
【資料】
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【項目】
116項目

対処すべき課題

(1)当面の対処すべき課題の内容等
今後の見通しにつきましては、欧米経済は引き続き緩やかな回復基調で推移することが見込まれるものの、中国を始めとする新興国経済は総じて減速傾向が続くものと予想されます。また、国内におきましては、為替の円高傾向やそれによる企業収益の悪化が懸念されるなど、当社グループを取り巻く経営環境は引き続き予断を許さない状況が続くものと予想されます。
当社グループにおきましては、平成28年度の基本戦略を「全社経営革新の実践:再生から成長軸への転換」と定め、経営革新のための諸施策を実行することにより、業績の早期回復に努めてまいります。具体的には、平成28年4月1日付で、執行役員の担当変更を含めた大規模な機構改革を実行し、「事業統括体制」を導入致しました。大きく製品事業統括と機能材料事業統括に2分類し、製品事業統括に関しては、大形品、小形品等5つの商品群各々に執行役員を配置するなど、事業責任の明確化を図り、製造・販売・技術が一体となって製品開発のスピードアップとそれを背景にした拡販活動に取り組んでまいります。あわせて、販売・生産・材料調達間の情報の連携を強化し、グループ内の物流の最適化を図ることにより、在庫の圧縮、輸送費の削減に努め、事業収益の最大化につなげてまいります。また、品質管理体制の一層の充実を図り、品質に関するリスクの低減や顧客満足度の向上にも努めてまいります。具体的には、原材料のサプライヤーの育成・監査を実施し、サプライヤーまでを含めた品質管理体制を構築してまいります。同時に、電気二重層キャパシタで培ったTier1メーカー(自動車メーカーに直接納品する1次サプライヤー)としての品質に関する知見を他の製品にも展開し品質の向上に努めてまいります。
(2)株式会社の支配に関する基本方針
当社は、1931年の創業以来、アルミ電解コンデンサのリーディングカンパニーとしてエレクトロニクス市場にアルミ電解コンデンサをはじめとする各種電子部品を安定的に供給してまいりました。当社グループの特色は、これらの材料研究から生産設備の設計、製品化に至るまでのあらゆるプロセスをグループ内で一貫して行うことにあり、これにより当社グループは顧客に対して常に独創的で信頼性の高い電子部品を供給することが可能になっております。また、当社グループではアルミ電解コンデンサ用電極箔等の材料開発や将来を見据えた素材の基礎研究に積極的に取り組んでおり、これらを活かした新製品の開発・事業化には多くの時間と経営資源を投入しております。このため当社は、経営方針の継続性を一定期間維持する必要があり、定期的に3ヵ年の中期経営計画を策定し経営の効率化に努めております。更に、これらの事業運営にあたっては、「環境と人にやさしい技術への貢献」を企業理念に掲げ、研究開発から生産活動などの企業活動の全域にわたり地球環境の保全に取り組んでおり、当社はこの企業理念のもと、各種電子部品の開発・供給を通じてエレクトロニクス産業の発展に寄与することが当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上につながるものと考えております。
従って、当社では、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者とは、以上のような当社グループの経営、企業理念及び様々なステークホルダー(顧客、取引先、従業員、地域社会等)との間に築かれた関係等、当社の企業価値の源泉を十分に理解し、当社が企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保・向上していくことを可能とする者でなければならないと考えております。
当社は、上場会社であり市場の判断に基づく経営支配権の異動を通じた経営革新の効果や企業活動の活性化を否定するものではありませんが、当社株式の大量取得を目的とする買付けについては、当該買付け行為又は買収提案の当社の企業価値、株主共同の利益への影響を慎重に検討し判断する必要があると考えております。
現在のところ、当社ではいわゆる「買収防衛策」を予め定めることはしておりません。しかし、当社と致しましては、株主の皆様から経営を負託された者の責務として、常に当社の株式取引や異動の状況に重大な関心を持つと共に、有事対応のコンテンジェンシー・プランを策定し、当社株式を大量に取得しようとする者が出現した場合には、社外の専門家を含めたプロジェクトチームを組織し、当該買収提案の評価や当該取得者との交渉を行い、当社の企業価値、株主共同の利益に資さないと判断された場合には、直ちに具体的な対抗措置の要否、内容等を速やかに決定し、実行する体制を整えるなど、当社として最も適切と考えられる措置を講じてまいります。