有価証券報告書-第129期(2025/04/01-2026/03/31)

【提出】
2026/06/22 14:10
【資料】
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【項目】
189項目
(2)戦略
当社グループは、「技術の力で、人類と自然の調和に挑む」をブランドコンセプトとし、脱炭素化社会、資源循環社会及び安全で豊かな社会の実現に寄与するため、環境事業、機械・インフラ事業及び脱炭素化事業を展開している。いずれの事業も、気候及び自然との結びつきが強く、事業の推進と地域社会の環境負荷低減が連動するところに特徴がある。このため、当社グループは、新たな事業機会の獲得、当社グループの持続可能な成長のため、サステナビリティ経営を実践している。
当社グループが策定した2050年にめざす姿「サステナブルビジョン」では、「環境負荷をゼロ*にする」こと(*環境負荷ゼロとは、自社の事業活動に由来する環境負荷はもちろん、当社グループのサプライチェーンの環境負荷、当社グループの製品・サービスを利用する顧客の環境負荷を、その地域が本来有する環境復元力の範囲内にとどめることを指す。)と「人々の幸福を最大化する」ことを掲げている。
当社グループにおいて、マテリアリティはサステナブルビジョンを実現するためのドライバーであると位置付けており、「成功の柱」と呼んでいるが、この「成功の柱」は、長期的な視点での外部環境認識と「持続可能性4原則」を出発点とし、「社会とステークホルダーの視点」と「事業継続へのインパクトの視点」、「達成の難易度」を考慮して、7つを特定した。
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成功の柱は、外部環境の変化や社会のニーズ・期待の変化を反映させ、事業の持続可能性と社会の要請に対する柔軟性を確保する観点から、特定から3年を経た当連結会計年度において妥当性の再評価を実施した。その結果、重要性及び妥当性に変更はなく、現行の内容を維持している。
当社グループの事業は環境・社会課題と密接に関連し、その変化が事業に重大な影響を与えうる。このため、当社グループはTCFD及びTNFDに基づき、リスク・機会の識別、財務インパクト評価並びに事業戦略及び移行計画への反映を一体的に行う統合アプローチを採用している。
ア.リスク・機会の特定プロセス(TCFD × TNFD 統合プロセス)
当社グループは、TCFDの4要素(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)とTNFDの LEAP アプローチを統合し、次の手順でリスク・機会を特定した。
① 外部環境分析
国際政策(1.5℃目標、排出規制、炭素価格制度、廃棄物規制、自然関連の開示義務化)、社会トレンド、主要市場の技術進展をレビューし、中期経営計画の前提とする。
② 自然資本への依存・影響評価(TNFD:LEAP)
TNFD v1.0の推奨に従い、Locate(事業領域の特定)、Evaluate(依存・影響の評価)、Assess(リスク・機会の統合評価)、Prepare(対応方針の策定)を実施する。特に ENCORE を用いて、主要事業における自然資本への依存度とインパクトを5段階で評価し、重要度の高い領域を抽出している。
③ 気候シナリオ分析(TCFD)
次の代表的シナリオで財務・操業への影響を評価している。
1.5℃シナリオ:炭素コスト増加、規制強化、顧客の省エネ需要の増大
4℃シナリオ:豪雨・台風の激甚化、猛暑、洪水、水ストレスの増大
シナリオ分析では、収益(需要変化、価格影響)、コスト(炭素コスト、災害関連コスト)、供給網(調達停止、物流寸断)、設備・操業(事業継続計画(BCP)・停止期間・修繕費)への影響を定性的に整理し、事業ごとの脆弱性を把握している。1.5℃シナリオでは、炭素コストの上昇や規制強化により、顧客による脱炭素投資・省エネ投資が加速することが想定される。この結果、当社グループの脱炭素化・資源循環に資する技術・サービスへの要請が高まる可能性がある。一方で、当社グループにおいても、炭素コスト増等によりコストが上昇する可能性がある。4℃シナリオでは、豪雨・台風等の激甚化により、設備・操業・サプライチェーンへの物理的影響(修繕費、停止期間、調達・物流寸断等)が増大する可能性がある。その一方で、災害廃棄物対応や防災・減災に関する社会的ニーズの高まりを背景に、当社グループの関連ソリューションへの要請が高まる可能性がある。
④ 自然資本のシナリオ分析(TNFD)
移行リスクと物理リスクを組み合わせ、4つの象限に分けて影響を評価している。
⑤ 財務インパクト評価
まず、気候と自然に関連したリスクの財務影響について、以下のレンジにより「影響度」を定義している。
・大:100億円超
・中:10億円以上100億円以下
・小:10億円未満
また、機会については、同一のレンジを用いて「機会規模(上方ポテンシャル)」を評価し、リスク(下方影響)と区別して記載する。
上記の金額レンジは、TCFD/TNFD分析に基づく気候・自然関連リスク・機会に限定して適用している。事業等のリスク全般に対しては、別途、質的評価を中心に適切に重要性判断を行っている。
次に、依存・インパクトの評価においてリスクが高かった事業又はプロセスについて、その財務インパクトと低減施策を検討した(詳細は、「TCFD・TNFD統合レポート2025(2025年10月発行)」のAppendix「2. 自然資本に関するリスクと機会」を参照されたい)。具体的には、サプライチェーンの上流に関わる自然関連リスクでは、鉄製造における水利用について、水ストレスの増大や取水制限等の物理リスクが顕在化した場合、鉄鋼製品の調達に支障が生じ、当社グループの事業活動に影響が及びうることから、財務影響(下方影響)は「大」であると評価している。一方で、当社グループは、設備の建設・現地調整、運転、メンテナンス・廃棄といった現場でのオペレーションにおける環境負荷の抑制・削減を実施し、そこから得た知見を自社におけるマーケティング、調達、設計・開発に反映するところに強みがある。この強みを背景としたGHG/非GHG大気汚染物質排出、水利用、固体廃棄物排出に関する機会による財務上の上方ポテンシャル(機会規模)は、「大」であると評価している。
このような気候と自然資本のシナリオ分析結果、財務インパクトの評価結果を踏まえると、気温上昇に大きな変化がなく、移行リスク・物理リスクの顕在化が限定的である場合、脱炭素化・資源循環・防災減災に関する投資の立ち上がりが想定より緩やかとなり、関連市場の形成や需要拡大の時期が後ろ倒しとなる可能性がある。これに対し、1.5℃シナリオのように移行対応が加速する局面では、規制強化や顧客の脱炭素化投資の進展を背景に、脱炭素化技術の社会実装が進展し、当社グループの関連技術・サービスへの要請が高まる可能性がある。
また、4℃シナリオのように物理的影響が増大する局面では、豪雨・台風等の激甚化により、当社グループの操業・サプライチェーン・コスト面への負の影響が増大しうる。一方で、仮に政策・投資の優先度が相対的に高まらず、移行が緩やかな社会となった場合であっても、途上国を中心とした工業化・インフラ整備の進展に伴い、廃棄物・排水処理等の需要が増加することが想定され、環境事業、機械事業、社会インフラ事業において、当社グループの関連ソリューションへの要請が高まる可能性がある。詳細は、次の図及び「TCFD・TNFD統合レポート2025(2025年10月発行)」を参照されたい。
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イ.サステナビリティ戦略と事業戦略の統合
以上の分析を踏まえ、2050年サステナブルビジョンを実現するため、成功の柱と主要事業を統合した戦略は次のとおりである。
(ア)カーボンニュートラル
2050年までの Scope1・2・3 ネットゼロを目標とし、製品使用段階(Scope3カテゴリー11)の削減に重点的に取り組む。また、社会や顧客に対する削減貢献量を主要KPIとし、削減貢献量の最大化を図る。水素・メタネーションなど脱炭素技術の高度化、ごみ焼却発電・リサイクルとの統合ソリューションの提供、顧客設備のGHG削減を支援するサービス展開に取り組む。
(イ)資源の完全循環
循環率向上と最終処分量の最少化を指標とし、廃棄物資源化技術、リサイクル・リユース設計、顧客事業の循環化支援を強化する。
(ウ)環境復元力の最大化
オープンダンピングサイト閉鎖支援、土壌・水質の浄化・環境改善を通じて、地域の環境復元力向上に貢献する。
(エ)災害激甚化への対応
防災・減災インフラ技術、耐震・耐風補強ソリューションの社会実装を拡大する。
(オ)サステナブル調達
Scope3 カテゴリー1対策として、主要サプライヤーのサステナビリティ推進スコア向上を重点施策とする。また、調達網の多様化に取り組む。
(カ)人々の幸福の最大化
人権リスクゼロを目標とし、当社グループ及びサプライチェーンの労働環境改善を推進する。
(キ)コーポレート・ガバナンスの高度化
エンタープライズリスクマネジメント(以下、ERMという)の導入、品質・安全コンプライアンス体制の再構築を中核とし、取締役会が重要リスクを定期的にレビューし、必要な是正指示を行う監督体制を確立する。
ウ.移行計画
当社グループは、TCFD及びTNFDが求める移行計画を以下の三段階で整理している。
2020年代:脱炭素・循環ビジネスの基盤構築
2030年代:カーボンニュートラルサービス/サステナブル調達の完全実装
2040年代:サーキュラーエコノミーサービスの世界展開
2050年:Resilience Eco Society-Set の提供による環境負荷ゼロ社会への貢献
詳細は、「TCFD・TNFD統合レポート2025(2025年10月発行)」にて開示している。

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