有価証券報告書-第122期(2023/04/01-2024/03/31)
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度の日本および世界経済は、各国の政策金利引き上げや中国経済の先行き懸念などがあり、回復のペースに減速の傾向がありました。自動車業界においては、車両生産の一時的な変動が見られたものの、市場バックオーダーの解消に向けて、全体としては稼働が堅調に推移しました。一方、原材料・エネルギー価格の高止まりや、賃金上昇などによるインフレ、為替の変動、国際的な緊張の高まりによる影響など、依然として不透明な状況が継続しております。
このような経営環境のなか、パワートレイン製品事業の競争力強化や電動化製品開発の加速、クリーンエネルギー活用技術の向上など愛三グループ一丸となって、企業価値向上に向けて取り組んでまいりました。
「パワートレイン製品事業の競争力強化」としましては、競争力が高く環境にも優しい次期型ダントツ製品の市場投入やMMK(もっとものづくり強化)活動のグローバル展開、生産設備の自働化などによる高効率なものづくり革新により、サプライチェーン全体での競争力を高め、厳しい経営環境下でも収益が確保できる体質とすることができました。
また、2022年9月に株式会社デンソーから譲り受けた燃料ポンプモジュール事業については、一部地域の生産自前化を完了するとともに、競争力強化に向けた製品の品揃えの統合などにより、収益力の拡大を進めております。
「電動化製品開発の加速」としましては、電池システムを含めた電池事業領域の拡大に向けた足掛かりとして、2025年4月から電池セルケース/カバーの量産開始を予定しており、2023年12月より新しく安城プレス工場の建設を開始しました。
さらに、需要が急拡大する車載用電池に関する技術力向上と電池セルケース/カバーの安定供給に向け、2023年11月に株式会社アイエムアイを子会社化いたしました。
「クリーンエネルギー活用技術の向上」としましては、アンモニア・水素発電システムの開発を進めるとともに、燃料電池の発電効率向上、長寿命化や排熱制御などの燃料電池発電制御技術の研究開発に取り組んでおります。さらに、クリーンエネルギー活用事業の成長に寄与するとともに、燃料電池に関するコア技術を蓄積するため、2023年6月に、燃料電池分野に強みを持つマグネクス株式会社を子会社化しました。
このようななか、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は314,336百万円と前期に比べて30.5%の増収となりました。利益につきましては、営業利益は15,498百万円と前期に比べて13.7%の増益、経常利益は17,201百万円と前期に比べて22.1%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は11,744百万円と前期に比べて38.1%の増益となりました。
地域別の業績は次のとおりであります。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
[日本]
売上高は、販売数量の増加により113,932百万円(前年同期比18.0%増)となりましたが、営業利益は諸経費の増加により760百万円(前年同期比81.0%減)となりました。
[アジア]
売上高は、販売数量の増加および為替の影響により136,960百万円(前年同期比25.9%増)となりましたが、営業利益は諸経費の増加により7,659百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
[米州]
売上高は、販売数量の増加により71,210百万円(前年同期比64.2%増)となり、営業利益は5,564百万円(前年同期比3.7倍)となりました。
[欧州]
売上高は、販売数量の増加および為替の影響により15,655百万円(前年同期比24.1%増)となり、営業利益は926百万円(前年同期は営業損失159百万円)となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間内部振替後の数値によっております。
② 受注状況
当社グループは、トヨタ自動車株式会社はじめ各納入先よりおおむね四半期ごとの生産計画の提示をうけ、当社グループの生産能力を勘案して、これにより生産計画をたてております。なお、主たる受注先は、トヨタ自動車株式会社で約50%を占めております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金の増加および円安による海外子会社資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ46,786百万円増加し、272,549百万円となりました。負債は、買掛債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ17,610百万円増加し、132,990百万円となりました。
また、純資産は、円安による為替換算調整勘定の増加および利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ29,176百万円増加し、139,558百万円となりました。
地域別の資産は、次のとおりであります。
[日本]
退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、14,950百万円増加し、109,190百万円となりました。
[アジア]
現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、14,669百万円増加し、91,579百万円となりました。
[米州]
現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、12,125百万円増加し、49,067百万円となりました。
[欧州]
現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、443百万円増加し、10,757百万円となりました。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、66,494百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,522百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益および減価償却費により38,627百万円の収入となりました。前年同期に比べ18,358百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得に伴う支出により9,664百万円の支出となりました。前年同期に比べ19,934百万円の支出減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済などにより11,431百万円の支出となりました。前年同期に比べ14,967百万円の支出増加となりました。
資本の財源および資金の流動性については、下記のとおりとしております。
① 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入および新製品生産や増産対応等にかかる設備投資によるものであります。
② 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、当社および一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、設備投資資金については、原則内部資金または借入により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金を各連結子会社が、設備等の長期借入金を当社および各連結子会社が調達しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ会社間で融資を行っております。
当社グループは財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
(1) 経営成績
当連結会計年度の日本および世界経済は、各国の政策金利引き上げや中国経済の先行き懸念などがあり、回復のペースに減速の傾向がありました。自動車業界においては、車両生産の一時的な変動が見られたものの、市場バックオーダーの解消に向けて、全体としては稼働が堅調に推移しました。一方、原材料・エネルギー価格の高止まりや、賃金上昇などによるインフレ、為替の変動、国際的な緊張の高まりによる影響など、依然として不透明な状況が継続しております。
このような経営環境のなか、パワートレイン製品事業の競争力強化や電動化製品開発の加速、クリーンエネルギー活用技術の向上など愛三グループ一丸となって、企業価値向上に向けて取り組んでまいりました。
「パワートレイン製品事業の競争力強化」としましては、競争力が高く環境にも優しい次期型ダントツ製品の市場投入やMMK(もっとものづくり強化)活動のグローバル展開、生産設備の自働化などによる高効率なものづくり革新により、サプライチェーン全体での競争力を高め、厳しい経営環境下でも収益が確保できる体質とすることができました。
また、2022年9月に株式会社デンソーから譲り受けた燃料ポンプモジュール事業については、一部地域の生産自前化を完了するとともに、競争力強化に向けた製品の品揃えの統合などにより、収益力の拡大を進めております。
「電動化製品開発の加速」としましては、電池システムを含めた電池事業領域の拡大に向けた足掛かりとして、2025年4月から電池セルケース/カバーの量産開始を予定しており、2023年12月より新しく安城プレス工場の建設を開始しました。
さらに、需要が急拡大する車載用電池に関する技術力向上と電池セルケース/カバーの安定供給に向け、2023年11月に株式会社アイエムアイを子会社化いたしました。
「クリーンエネルギー活用技術の向上」としましては、アンモニア・水素発電システムの開発を進めるとともに、燃料電池の発電効率向上、長寿命化や排熱制御などの燃料電池発電制御技術の研究開発に取り組んでおります。さらに、クリーンエネルギー活用事業の成長に寄与するとともに、燃料電池に関するコア技術を蓄積するため、2023年6月に、燃料電池分野に強みを持つマグネクス株式会社を子会社化しました。
このようななか、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は314,336百万円と前期に比べて30.5%の増収となりました。利益につきましては、営業利益は15,498百万円と前期に比べて13.7%の増益、経常利益は17,201百万円と前期に比べて22.1%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は11,744百万円と前期に比べて38.1%の増益となりました。
地域別の業績は次のとおりであります。なお、売上高には、セグメント間の内部売上高を含んでおります。
[日本]
売上高は、販売数量の増加により113,932百万円(前年同期比18.0%増)となりましたが、営業利益は諸経費の増加により760百万円(前年同期比81.0%減)となりました。
[アジア]
売上高は、販売数量の増加および為替の影響により136,960百万円(前年同期比25.9%増)となりましたが、営業利益は諸経費の増加により7,659百万円(前年同期比4.6%減)となりました。
[米州]
売上高は、販売数量の増加により71,210百万円(前年同期比64.2%増)となり、営業利益は5,564百万円(前年同期比3.7倍)となりました。
[欧州]
売上高は、販売数量の増加および為替の影響により15,655百万円(前年同期比24.1%増)となり、営業利益は926百万円(前年同期は営業損失159百万円)となりました。
生産、受注および販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 生産高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 79,677 | 125.0 |
アジア | 112,094 | 124.1 |
米州 | 62,062 | 156.4 |
欧州 | 12,674 | 113.9 |
合計 | 266,508 | 130.1 |
(注) 金額は製造原価によっており、セグメント間内部振替後の数値によっております。
② 受注状況
当社グループは、トヨタ自動車株式会社はじめ各納入先よりおおむね四半期ごとの生産計画の提示をうけ、当社グループの生産能力を勘案して、これにより生産計画をたてております。なお、主たる受注先は、トヨタ自動車株式会社で約50%を占めております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(百万円) | 前年同期比(%) |
日本 | 91,948 | 118.8 |
アジア | 135,682 | 126.1 |
米州 | 71,096 | 164.2 |
欧州 | 15,608 | 124.3 |
合計 | 314,336 | 130.5 |
(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 | 前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) | 当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) | ||
販売高(百万円) | 割合(%) | 販売高(百万円) | 割合(%) | |
トヨタ自動車㈱ | 122,323 | 50.8 | 150,053 | 47.7 |
現代自動車㈱ | 30,360 | 12.6 | 34,976 | 11.1 |
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金の増加および円安による海外子会社資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ46,786百万円増加し、272,549百万円となりました。負債は、買掛債務の増加等により、前連結会計年度末に比べ17,610百万円増加し、132,990百万円となりました。
また、純資産は、円安による為替換算調整勘定の増加および利益剰余金の増加等により、前連結会計年度末に比べ29,176百万円増加し、139,558百万円となりました。
地域別の資産は、次のとおりであります。
[日本]
退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、14,950百万円増加し、109,190百万円となりました。
[アジア]
現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、14,669百万円増加し、91,579百万円となりました。
[米州]
現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、12,125百万円増加し、49,067百万円となりました。
[欧州]
現金及び預金の増加などにより、前連結会計年度末に比べ、443百万円増加し、10,757百万円となりました。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、66,494百万円となり、前連結会計年度末に比べ22,522百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前当期純利益および減価償却費により38,627百万円の収入となりました。前年同期に比べ18,358百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に固定資産の取得に伴う支出により9,664百万円の支出となりました。前年同期に比べ19,934百万円の支出減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に借入金の返済などにより11,431百万円の支出となりました。前年同期に比べ14,967百万円の支出増加となりました。
資本の財源および資金の流動性については、下記のとおりとしております。
① 資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループ製品の製造のための材料や部品の購入および新製品生産や増産対応等にかかる設備投資によるものであります。
② 財務政策
当社グループは現在、運転資金については、当社および一部の国内連結子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入し、各社における余剰資金を当社へ集中し一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。また、設備投資資金については、原則内部資金または借入により資金調達することとしております。借入による資金調達に関しては、運転資金としての短期借入金を各連結子会社が、設備等の長期借入金を当社および各連結子会社が調達しております。また、その一部はグループ内資金の効率化を目的としグループ会社間で融資を行っております。
当社グループは財務の健全性を保ち、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、当社グループの将来必要な運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。