有価証券報告書-第149期(平成28年4月1日-平成29年3月31日)
業績等の概要
(1) 業績
当期における世界経済は、米国においては個人消費の増加や雇用情勢の改善を受けて景気回復が続き、欧州、中国においても回復基調となっているものの、米政権交代後の政策動向や英国のEU離脱問題など、先行き不透明な状況が続いています。わが国経済については、米大統領選以降の円安進行などにより企業業績は改善しており、緩やかな回復基調が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは平成29年3月期をスタートとする5カ年の中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」を新たに策定し、基本的な考え方である「"Business to Specialist" Company」および「One Olympus」に基づき、持続的な発展を実現するための足下固めと攻めの事業ポートフォリオ構築を推し進めてまいりました。
医療事業においては、生産体制や保守体制の強化に必要な人員の拡大や品質・法規制対応の強化を推し進めたほか、外科分野において大型新製品の開発を進めてまいりました。科学事業においては、顧客群別の戦略遂行に向けた組織整備を進めたほか、共焦点レーザー走査型顕微鏡や工業用ビデオスコープなどの新製品を投入しました。映像事業においては、ミラーレス一眼のフラッグシップ機「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」を始めとする新製品を導入したほか、重点販売地域の絞り込みによる効率化や費用削減などの構造改革を一段と推し進めました。
当社グループの連結売上高は、円高の影響等により医療・科学・映像の主要3事業がいずれも減収となり、7,480億50百万円(前期比7.0%減)となりました。営業利益については売上の減少を主要因として、764億87百万円(前期比26.8%減)となりました。経常利益については、営業利益の減少を主要因として、621億49百万円(前期比31.6%減)となりました。また、投資有価証券売却益等の特別利益を277億57百万円計上したほか、法人税等が34億71百万円発生しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は781億91百万円(前期比24.9%増)と前期から大きく損益を改善しました。
また、当期においては、791億78百万円の研究開発費を投じるとともに、493億47百万円の設備投資を実施しました。
為替相場は前期と比べ、対米ドル、対ユーロともに円高で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=108.38円(前期は120.14円)、1ユーロ=118.79円(前期は132.58円)となり、売上高では前期比742億81百万円の減収要因、営業利益では前期比300億69百万円の減益要因となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。
医療事業
医療事業の連結売上高は5,752億85百万円(前期比5.5%減)、営業利益は1,154億82百万円(前期比17.6%減)となりました。
医療事業の売上高は円高により減収となりましたが、為替の影響を除いた現地通貨ベースでは前期比4%の増収となりました。消化器内視鏡分野においては、主力の内視鏡基幹システム「EVIS EXERA Ⅲ(イーヴィス エクセラスリー)」および「EVIS LUCERA ELITE(イーヴィス ルセラ エリート)」の売上がいずれも好調に推移しました。また、外科分野においては、4K技術を搭載した外科手術用内視鏡システムおよび3D内視鏡システムが堅調に推移したほか、バイポーラ高周波と超音波の統合エネルギーデバイス「THUNDERBEAT(サンダービート)」が引き続き売上を伸ばしました。処置具分野では、膵胆管等の内視鏡診断・治療に使用するディスポーザブルガイドワイヤ「VisiGlide 2(ビジグライド・ツー)」などの販売が好調でした。
医療事業の営業利益は円高により減益となりましたが、為替の影響を除けば、各分野が堅調に推移したことで前期比1%の増益となりました。
科学事業
科学事業の連結売上高は932億27百万円(前期比8.2%減)、営業利益は52億80百万円(前年同期比37.8%減)となりました。
科学事業の売上高は円高により減収となりましたが、為替の影響を除いた現地通貨ベースでは前期比1%の増収となりました。病院及びライフサイエンス研究向けの製品が欧州で予算の削減や執行遅れの影響を受けて減収となった一方、日本、米国、アジアでは堅調に推移しました。また、工業用顕微鏡は大学や研究機関向けの販売が伸び悩みましたが、非破壊検査装置は下期以降の資源価格回復を追い風に堅調に推移しました。
科学事業の営業利益は円高により減益となりましたが、為替の影響を除けば、費用支出をコントロールしたことで前期比3%の増益となりました。
映像事業
映像事業の連結売上高は655億74百万円(前期比16.2%減)、営業利益は4億98百万円(前年は20億64百万円の営業損失)となりました。
市場の縮小に合わせて事業規模の適正化を進めたほか、平成28年4月に発生した熊本地震の影響で一部製品の供給が遅れた影響もあり、映像事業の売上は減収となりました。
映像事業の営業利益は、費用の圧縮を進めたことや、ミラーレス一眼のフラッグシップ機「OLYMPUS OM-D E-M1Mark II」を始めとする新製品の導入効果などにより、前期の赤字から黒字に転じました。
その他事業
その他事業の連結売上高は139億64百万円(前期比11.4%減)、営業損失は46億21百万円(前期は58億円の営業損失)となりました。
その他事業の売上高は、当社子会社のNOC日本アウトソーシング株式会社を平成28年10月31日付で譲渡するなど非事業ドメインの整理を進めたことにより減収となり、営業損失は費用の減少に伴い損失幅が縮小しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して331億8百万円増加し、1,994億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は901億94百万円(前連結会計年度は486億21百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益816億86百万円の計上、減価償却費446億58百万円、のれん償却額86億42百万円、証券訴訟関連損失69億22百万円等の非資金項目の損益の調整によるものです。主な減少要因は、投資有価証券売却益238億79百万円、たな卸資産の増加額148億1百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は83億5百万円(前連結会計年度は528億97百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出435億42百万円、貸付けによる支出73億58百万円等によるものです。主な増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入422億39百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は442億44百万円(前連結会計年度は338億70百万円の減少)となりました。主な減少要因は、社債の償還による支出300億円、長期借入金の返済による支出202億17百万円等によるものです。主な増加要因は、長期借入れによる収入200億円等によるものです。
売上高 (百万円) | 営業利益 (百万円) | 経常利益 (百万円) | 親会社株主に帰属する当期純利益 (百万円) | 1株当たり 当期純利益 (円) | |
当連結会計年度 | 748,050 | 76,487 | 62,149 | 78,191 | 228.47 |
前連結会計年度 | 804,578 | 104,464 | 90,898 | 62,594 | 182.90 |
増減率 | △7.0% | △26.8% | △31.6% | 24.9% | 24.9% |
当期における世界経済は、米国においては個人消費の増加や雇用情勢の改善を受けて景気回復が続き、欧州、中国においても回復基調となっているものの、米政権交代後の政策動向や英国のEU離脱問題など、先行き不透明な状況が続いています。わが国経済については、米大統領選以降の円安進行などにより企業業績は改善しており、緩やかな回復基調が続きました。
このような経営環境の中、当社グループは平成29年3月期をスタートとする5カ年の中期経営計画「2016経営基本計画(16CSP)」を新たに策定し、基本的な考え方である「"Business to Specialist" Company」および「One Olympus」に基づき、持続的な発展を実現するための足下固めと攻めの事業ポートフォリオ構築を推し進めてまいりました。
医療事業においては、生産体制や保守体制の強化に必要な人員の拡大や品質・法規制対応の強化を推し進めたほか、外科分野において大型新製品の開発を進めてまいりました。科学事業においては、顧客群別の戦略遂行に向けた組織整備を進めたほか、共焦点レーザー走査型顕微鏡や工業用ビデオスコープなどの新製品を投入しました。映像事業においては、ミラーレス一眼のフラッグシップ機「OLYMPUS OM-D E-M1 Mark II」を始めとする新製品を導入したほか、重点販売地域の絞り込みによる効率化や費用削減などの構造改革を一段と推し進めました。
当社グループの連結売上高は、円高の影響等により医療・科学・映像の主要3事業がいずれも減収となり、7,480億50百万円(前期比7.0%減)となりました。営業利益については売上の減少を主要因として、764億87百万円(前期比26.8%減)となりました。経常利益については、営業利益の減少を主要因として、621億49百万円(前期比31.6%減)となりました。また、投資有価証券売却益等の特別利益を277億57百万円計上したほか、法人税等が34億71百万円発生しました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は781億91百万円(前期比24.9%増)と前期から大きく損益を改善しました。
また、当期においては、791億78百万円の研究開発費を投じるとともに、493億47百万円の設備投資を実施しました。
為替相場は前期と比べ、対米ドル、対ユーロともに円高で推移しました。期中の平均為替レートは、1米ドル=108.38円(前期は120.14円)、1ユーロ=118.79円(前期は132.58円)となり、売上高では前期比742億81百万円の減収要因、営業利益では前期比300億69百万円の減益要因となりました。
セグメントの業績は次のとおりです。
売上高 | セグメント利益又はセグメント損失(△) | |||||
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | 前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減率 (%) | |
医療 | 608,927 | 575,285 | △5.5 | 140,220 | 115,482 | △17.6 |
科学 | 101,608 | 93,227 | △8.2 | 8,482 | 5,280 | △37.8 |
映像 | 78,284 | 65,574 | △16.2 | △2,064 | 498 | - |
その他 | 15,759 | 13,964 | △11.4 | △5,800 | △4,621 | - |
小計 | 804,578 | 748,050 | △7.0 | 140,838 | 116,639 | △17.2 |
消去又は全社 | - | - | - | △36,374 | △40,152 | - |
連結計 | 804,578 | 748,050 | △7.0 | 104,464 | 76,487 | △26.8 |
(注) 製品系列を基礎として設定された事業に、販売市場の類似性を加味してセグメント区分を行っています。
医療事業
医療事業の連結売上高は5,752億85百万円(前期比5.5%減)、営業利益は1,154億82百万円(前期比17.6%減)となりました。
医療事業の売上高は円高により減収となりましたが、為替の影響を除いた現地通貨ベースでは前期比4%の増収となりました。消化器内視鏡分野においては、主力の内視鏡基幹システム「EVIS EXERA Ⅲ(イーヴィス エクセラスリー)」および「EVIS LUCERA ELITE(イーヴィス ルセラ エリート)」の売上がいずれも好調に推移しました。また、外科分野においては、4K技術を搭載した外科手術用内視鏡システムおよび3D内視鏡システムが堅調に推移したほか、バイポーラ高周波と超音波の統合エネルギーデバイス「THUNDERBEAT(サンダービート)」が引き続き売上を伸ばしました。処置具分野では、膵胆管等の内視鏡診断・治療に使用するディスポーザブルガイドワイヤ「VisiGlide 2(ビジグライド・ツー)」などの販売が好調でした。
医療事業の営業利益は円高により減益となりましたが、為替の影響を除けば、各分野が堅調に推移したことで前期比1%の増益となりました。
科学事業
科学事業の連結売上高は932億27百万円(前期比8.2%減)、営業利益は52億80百万円(前年同期比37.8%減)となりました。
科学事業の売上高は円高により減収となりましたが、為替の影響を除いた現地通貨ベースでは前期比1%の増収となりました。病院及びライフサイエンス研究向けの製品が欧州で予算の削減や執行遅れの影響を受けて減収となった一方、日本、米国、アジアでは堅調に推移しました。また、工業用顕微鏡は大学や研究機関向けの販売が伸び悩みましたが、非破壊検査装置は下期以降の資源価格回復を追い風に堅調に推移しました。
科学事業の営業利益は円高により減益となりましたが、為替の影響を除けば、費用支出をコントロールしたことで前期比3%の増益となりました。
映像事業
映像事業の連結売上高は655億74百万円(前期比16.2%減)、営業利益は4億98百万円(前年は20億64百万円の営業損失)となりました。
市場の縮小に合わせて事業規模の適正化を進めたほか、平成28年4月に発生した熊本地震の影響で一部製品の供給が遅れた影響もあり、映像事業の売上は減収となりました。
映像事業の営業利益は、費用の圧縮を進めたことや、ミラーレス一眼のフラッグシップ機「OLYMPUS OM-D E-M1Mark II」を始めとする新製品の導入効果などにより、前期の赤字から黒字に転じました。
その他事業
その他事業の連結売上高は139億64百万円(前期比11.4%減)、営業損失は46億21百万円(前期は58億円の営業損失)となりました。
その他事業の売上高は、当社子会社のNOC日本アウトソーシング株式会社を平成28年10月31日付で譲渡するなど非事業ドメインの整理を進めたことにより減収となり、営業損失は費用の減少に伴い損失幅が縮小しました。
(2) キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度 (百万円) | 当連結会計年度 (百万円) | 増減 (百万円) | |
営業活動によるキャッシュ・フロー | 48,621 | 90,194 | 41,573 |
投資活動によるキャッシュ・フロー | △52,897 | △8,305 | 44,592 |
財務活動によるキャッシュ・フロー | △33,870 | △44,244 | △10,374 |
現金及び現金同等物期末残高 | 166,323 | 199,431 | 33,108 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比較して331億8百万円増加し、1,994億31百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により増加した資金は901億94百万円(前連結会計年度は486億21百万円の増加)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益816億86百万円の計上、減価償却費446億58百万円、のれん償却額86億42百万円、証券訴訟関連損失69億22百万円等の非資金項目の損益の調整によるものです。主な減少要因は、投資有価証券売却益238億79百万円、たな卸資産の増加額148億1百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により減少した資金は83億5百万円(前連結会計年度は528億97百万円の減少)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出435億42百万円、貸付けによる支出73億58百万円等によるものです。主な増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入422億39百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により減少した資金は442億44百万円(前連結会計年度は338億70百万円の減少)となりました。主な減少要因は、社債の償還による支出300億円、長期借入金の返済による支出202億17百万円等によるものです。主な増加要因は、長期借入れによる収入200億円等によるものです。