四半期報告書-第191期第3四半期(平成26年10月1日-平成26年12月31日)

【提出】
2015/02/13 9:00
【資料】
PDFをみる
【項目】
33項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における当社及び連結子会社を取り巻く経済環境は、海外においては、米国の景気が回復基調をたどり、欧州の景気においても持ち直しの動きが見られますが、中国をはじめとする新興国では成長のペースが鈍化しており、楽観視できない状況が続いております。また国内においては、個人消費などに弱さが見られますが、景気の緩やかな回復基調が続いております。
このような状況の中、当第3四半期連結累計期間の販売の状況につきましては、為替による増収影響もあり、前年同期に比べ145億71百万円(4.7%)増加の3,232億46百万円となりました。セグメント別には、電子部品事業及びその他の事業が減収となったものの、楽器事業及び音響機器事業は増収となりました。
当第3四半期連結累計期間の損益につきましては、営業利益は、前年同期に比べ29億36百万円(12.9%)増加し、257億12百万円となりました。経常利益は、前年同期に比べ36億10百万円(16.2%)増加し、259億54百万円となりました。税金等調整前四半期純利益は、前年同期に比べ27億71百万円(12.3%)増加し、252億51百万円となりました。四半期純利益は、前年同期に比べ16億62百万円(8.7%)増加し、207億3百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 楽器事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ157億31百万円(8.0%)増加し、2,123億88百万円となりました。
商品別には、ピアノは国内での販売が低調でしたが、北米及び中国を中心に売上げを伸ばし、全体では堅調に推移しました。電子楽器は、デジタルピアノが全地域で増収となったほか、10年ぶりに新商品を発売したエレクトーンが国内で売上げを伸ばしました。また、ギターが全地域で、管楽器は北米を中心に売上げを伸ばしました。音楽教室は、生徒募集での苦戦が継続しました。
営業利益は、前年同期に比べ60億83百万円(38.3%)増加し、219億65百万円となりました。
② 音響機器事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ31億66百万円(4.0%)増加し、825億40百万円となりました。
商品別には、オーディオは全地域で販売が低迷しました。業務用音響機器は、新商品の導入により欧州で好調に推移したほか、国内の音響設備工事も増収に寄与しました。また、ICT(Information and Communication Technology)機器が売上げを伸ばしたものの、業務用通信カラオケ機器は減収となりました。
営業利益は、前年同期に比べ6億39百万円(12.1%)減少し、46億51百万円となりました。
③ 電子部品事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は、事業環境の厳しさが増し、前年同期に比べ42億88百万円(28.9%)減少し、105億50百万円となりました。
商品別には、主にスマートフォン向けの地磁気センサー(電子コンパス)及び音声処理用コーデックにおいて、販売が振るわず減収となりました。
営業損失は11億93百万円(前年同期は、営業利益12億81百万円)となりました。
④ その他の事業
当第3四半期連結累計期間の売上高は、前年同期に比べ38百万円(0.2%)減少し、177億66百万円となりました。
商品別には、自動車用内装部品は増収となりました。FA機器も受注が回復傾向にあり、増収となりました。一方で、ゴルフ用品及びリゾート事業は減収となりました。
営業利益は、前年同期に比べ31百万円(9.8%)減少し、2億88百万円となりました。
(2) 財政状態の分析
① 資産
総資産は、前連結会計年度末から801億12百万円(18.3%)増加し、5,190億45百万円となりました。
このうち流動資産は、現金及び預金やたな卸資産の増加等により、425億90百万円(19.9%)増加し、2,570億77百万円となりました。また固定資産は、保有有価証券の時価上昇に伴う投資有価証券の増加やのれんの増加等により、375億22百万円(16.7%)増加し、2,619億67百万円となりました。
② 負債
負債は、前連結会計年度末から251億90百万円(15.4%)増加し、1,892億79百万円となりました。
このうち流動負債は、短期借入金の増加等により、149億50百万円(20.4%)増加し、880億95百万円となりました。また固定負債は、長期繰延税金負債の増加等により、102億40百万円(11.3%)増加し、1,011億84百万円となりました。
③ 純資産
純資産は、前連結会計年度末から549億22百万円(20.0%)増加し、3,297億65百万円となりました。保有有価証券の時価上昇に伴うその他有価証券評価差額金の増加と為替換算調整勘定の変動、四半期純利益による利益剰余金の増加等によります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結累計期間において現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、116億94百万円増加(前年同期は162億42百万円増加)し、期末残高は701億61百万円となりました。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間において営業活動の結果得られた資金は、主として税金等調整前四半期純利益により、131億24百万円(前年同期に得られた資金は137億18百万円)となりました。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間において投資活動の結果使用した資金は、主として有形固定資産の取得による支出により、91億95百万円(前年同期に使用した資金は41億35百万円)となりました。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー
当第3四半期連結累計期間において財務活動の結果得られた資金は、主として短期借入金の増加により、24億98百万円(前年同期に得られた資金は33億33百万円)となりました。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりです。
① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の財務及び事業の内容や当社グループの企業価値の源泉を十分に理解し、当社の企業価値・株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保し、向上させていくことを可能とする者である必要があると考えております。
当社は、当社の支配権の移転を伴う買付提案がなされた場合にこれに応じるべきか否かの判断は、最終的には株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付けがなされる場合、これが当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。
しかしながら、株式の大量買付けの中には、その目的等からみて企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付の条件について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買付者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買付者との交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値・株主共同の利益に資さないものも少なくありません。
特に、当社株式の大量買付けを行う者が、当社の財務及び事業の内容を理解することはもちろんのこと、当社グループの企業価値の源泉を理解したうえで、これらを中長期的に確保し、向上させることができなければ、当社の企業価値・株主共同の利益は毀損されることになります。
当社は、このような当社の企業価値・株主共同の利益に資さない大量買付けを行う者は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付けに対しては、必要かつ相当な対抗措置を採ることにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針の実現に資する特別な取組みの概要
当社は、「感動を・ともに・創る~音・音楽を原点に培った技術と感性で新たな感動と豊かな文化を世界の人々とともに創りつづけます。」を企業目的として掲げ、経営の効率化を追求し、グローバルな競争力と高水準の収益性を確保するとともに、コンプライアンス・環境・安全・地域社会への貢献等、企業の社会的責任を果たすことにより、企業価値・ブランド価値の向上に努めております。その実現のために、経営上の組織体制や仕組みを整備し、必要な施策を実施するとともに、適切な情報開示を行うことにより、効率的かつ透明性の高い経営の実現に取り組んでおります。当社は、株主、顧客、従業員、地域社会それぞれのステークホルダー間の利益バランスを考慮した経営に努めております。それぞれのステークホルダー間の利害を適切に調整しながら、各ステークホルダーの満足度を高めつつ、企業価値の最大化に向け努力をしております。
中期経営計画YMP2016では、全体を「アコースティック楽器事業」、「エレクトロニクス事業」、「教育・余暇事業」、「産業用部品・機械事業」の4つの事業領域に括り直し、それぞれの事業領域でメリハリを付けた戦略を構築して、既存事業の着実な成長と新たな事業の開発を図るとともに、各事業領域の中で、コアコンピタンスを最大限に活用して、シナジー効果の創出にも力を入れてまいります。
また、当社は、取締役会の意思決定の迅速化・監督機能強化、業務執行力強化等を図るため、執行役員制度の導入、社外取締役の選任、役員人事委員会の設置、内部監査部門の整備等をとおして積極的にコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。
③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み
当社は、当社の企業価値・株主共同の利益を確保し、向上させることを目的として、平成25年6月26日開催の第189期定時株主総会において「当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の更新の件」の承認を受け、新株予約権の無償割当てを活用した方策(以下、本プラン)の更新をしております。
本プランは、当社株券等に対する買付等が行われる場合に、買付等を行う者(以下、買付者等)に対し、事前に当該買付等に関する情報の提供を求め、当社が、当該買付等についての情報収集・検討等を行う期間を確保したうえで、株主に当社経営陣の計画や代替案等を提示したり、買付者等との交渉等を行っていくための手続を定めております。
本プランは、(ⅰ)当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付その他の取得、(ⅱ)当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合及びその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けに該当する場合を対象とします。
買付者等が本プランにおいて定められた手続に従うことなく当社株券等に対する買付等を行う等、買付者等による買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を害するおそれがあると認められる場合には、当社は、当該買付者等による権利行使は認められないとの行使条件及び当社が当該買付者等以外の者から当社株式と引換えに新株予約権を取得する旨の取得条項が付された新株予約権を、その時点の当社を除く全ての株主に対して新株予約権無償割当ての方法により割り当てます。
本プランに従った本新株予約権の無償割当ての実施または不実施等の判断については、当社取締役会の恣意的判断を排するため、独立委員会規則に従い、独立性のある社外役員等のみから構成される独立委員会の客観的な判断を経るものとしております。また、当社取締役会は、これに加えて、所定の場合、株主の意思を確認するための株主総会を招集し、新株予約権無償割当ての実施に関する株主の意思を確認することがあります。
独立委員会は、買付者等からの必要情報を受領してから原則として最長90日を経過するまでの間に上記の判断を行い、当社取締役会に実施・不実施の勧告をします。この期間内において、独立委員会は、必要に応じて当社取締役会からも情報・意見を取得し、判断の材料とすることがあります。当社取締役会は、独立委員会の勧告を最大限尊重して、新株予約権の無償割当ての実施・不実施の決議を行います。また、新株予約権無償割当ての実施に関する株主の意思を確認するための総会決議があった場合、当社取締役会はこれに従います。
本プランの発動として本新株予約権の無償割当てを実施するための要件は、下記のとおりです。買付等の下記の要件への該当性については、必ず独立委員会の判断を経て決定されることになります。
(イ)本プランに定める手続を遵守しない買付等であり、かつ本新株予約権の無償割当てを実施することが相当である場合
(ロ)以下のいずれかに該当し、かつ本新株予約権の無償割当てを実施することが相当である場合
・当社の企業価値・株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等として本プランで定められた買付等である場合
・強圧的二段階買付等株主に株式の売却を事実上強要するおそれのある買付等である場合
・買付等の条件が当社の本源的価値に鑑み不十分または不適当な買付等である場合
・当社の企業価値を生み出すうえで必要不可欠な当社のブランド並びに当社と当社株主、従業員、取引先及び顧客等との関係を破壊し、当社の企業価値・株主共同の利益に反する重大なおそれをもたらす買付等である場合
本プランの運用に際しては、適用ある法令または金融商品取引所の規則等に従い、本プランの各手続の進捗状況、独立委員会による勧告等の概要、当社取締役会または株主意思確認総会の決議の概要、その他独立委員会または当社取締役会が適切と考える事項について、適時に情報開示をすることとしており、手続の透明性を確保しております。
本プランに従って本新株予約権の無償割当てがなされ、買付者等以外の株主により本新株予約権が行使された場合、または当社による本新株予約権の取得と引換えに、買付者等以外の株主に対して当社株式が交付された場合、当該買付者等の有する当社株式の議決権割合は、最大50%まで希釈化される可能性があります。
本プランの有効期間は、平成28年3月31日に終了する事業年度に関する定時株主総会の終結の時までとしております。また、有効期間の満了前であっても、当社株主総会または当社取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されるものとしております。
④ 取締役会の判断及びその判断に係る理由
本プランは、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって導入されたものであり、基本方針に沿うものです。特に本プランは、(ⅰ)経済産業省及び法務省による買収防衛策に関する指針の要件を完全に充足していること、(ⅱ)株主総会において株主の承認をもって更新されたものであり、当社取締役会は、一定の場合に、本プランの発動の是非について、株主意思確認総会において株主の意思を確認することができるものとされていること、(ⅲ)有効期間を約3年間とし、有効期限の満了前であっても、株主総会の決議により廃止が可能であること、(ⅳ)発動に際しては、独立性のある社外役員等のみから構成される独立委員会による勧告を必ず得ることとされていること、(ⅴ)予め定められた合理的かつ詳細な客観的要件が充足されなければ発動されないように設定されており、当社取締役会による恣意的な発動を防止するための仕組みが確保されていること、(ⅵ)当社取締役の任期が1年であることから、毎年の取締役の選任を通じて、株主の意向を反映させることが可能なことなどにより、公正性・客観性が担保されており、高度な合理性を有し、当社の企業価値・株主共同の利益に資するものであって、当社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
当社株式の大量買付行為に関する対応策(買収防衛策)の詳細を、次の当社ウェブサイトに掲載しております。
http://jp.yamaha.com/
(5) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、184億61百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間における研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数
① 連結会社の状況
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの従業員数に著しい増減はありません。
② 提出会社の状況
当第3四半期累計期間において、主として「楽器」事業で、当社の従業員数は1,300名減少しております。その主な要因は、平成26年4月1日付で会社分割した㈱ヤマハピアノ製造、㈱ヤマハミュージカルプロダクツ、㈱ヤマハミュージックエレクトロニクスに1,226名が出向したことによるものです。