訂正有価証券報告書-第190期(平成25年4月1日-平成26年3月31日)

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2018/06/21 13:04
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。このような見積りについて経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの採用している重要な会計方針のなかで、経営者の見積りが大きな影響を与える事項は次のとおりです。
① 貸倒引当金算定における見積り
一般債権についての引当金算定における貸倒実績率と、貸倒懸念債権等特定の債権についての個別の回収不能見込額について、見積りを行っております。
② たな卸資産評価における見積り
たな卸資産評価において、総平均法単価等と比較すべき時価の一部の算定について、見積りを行っております。
③ 固定資産の減損会計における見積り
減損損失の認識及び回収可能価額の算定に際し、将来キャッシュ・フロー及び割引率について見積りを行っております。
④ 時価のあるその他有価証券の減損処理における見積り
「著しく下落した」と判断し減損対象として候補にあがった銘柄についての回復可能性について、判定を行っております。
⑤ 繰延税金資産算定における見積り
繰延税金資産の回収可能性評価のために、将来の合理的な課税所得を算定するうえで、見積りを行っております。
⑥ 製品保証引当金算定における見積り
製品販売後に発生する補修費用の算定における、売上高もしくは販売台数に対する経験率による見積り及び個別見積りを行っております。
⑦ 退職給付に係る負債算定における見積り
退職給付に係る負債算定の前提になる退職給付債務について、見積りを行っております。

(2) 経営成績の分析
① 報告セグメントごとの売上高の状況
当連結会計年度の売上高は、前年同期に比べ433億63百万円(11.8%)増加し4,103億4百万円となりました。為替影響による売上げ増加約427億円に加え、電子部品の増収等によるものです。
楽器事業の売上高は、前年同期に比べ268億3百万円(11.4%)増加し2,623億10百万円となりました。為替による増収影響約276億円を除いた売上高は、前年同期に比べ約8億円(0.4%)の減収となりました。
ピアノは、国内では消費税増税前の駆け込み需要もあったことで前年同期を上回り、北米も堅調に推移しました。これまで高い成長を継続してきた中国市場が、市況悪化に伴う競合激化により成長が鈍化し、欧州、その他の市場も厳しい状況が継続しましたが、商品全体では為替影響を除く実質ベースで前年同期を上回りました。電子楽器は、デジタルピアノが国内、中国、その他の市場で為替影響を除く実質ベースで二桁成長を果たし、北米、欧州市場も前年同期を上回りました。ポータブルキーボードは、新商品が好調に推移した欧州市場をはじめとして、概ね堅調に推移しました。管楽器は、国内で消費税増税前の駆け込み需要が中高級品をはじめとして発生し、北米市場も堅調で前年同期を上回りました。弦・打楽器は、主力のギターがインドネシアのギター製造子会社のストライキによる操業停止に伴い、各市場への商品供給に影響が発生するなど減収となりました。音楽教室、英語教室による収入は、在籍生徒数減少で対前年同期減収となりました。また、音楽教室の教材等は消費税増税前の需要があり増収となりましたが、音楽ソフト事業は減収となりました。
音響機器事業の売上高は、前年同期に比べ129億14百万円(14.0%)増加し1,054億85百万円となりました。為替影響による増収約140億円を除いた売上高は、前年同期に比べ約10億円(1.2%)の減収となりました。
オーディオは、テレビ周辺機器やデスクトップオーディオが競合激化により低迷しましたが、全体としては円安効果により対前年同期増収となりました。業務用音響機器は、デジタルミキサーの競合激化等により設備用音響機器が低迷しましたが、アンプ内蔵スピーカーが欧米で売上げを伸ばし、また音楽制作用インターフェース機器・ソフトウェアも好調に推移しました。業務用カラオケ機器は想定した売上げを上回ったものの、対前年同期減収となりました。ルーターは期初に市場在庫の調整による出荷減がありましたが、その後国内での業務用需要が伸び、好調に売上げを伸ばしました。
電子部品事業の売上高は、前年同期に比べ37億90百万円(25.2%)増加し188億28百万円となりました。スマートフォン・タブレットPC向けの地磁気センサー(電子コンパス)及び音声処理用コーデック並びにアミューズメント向けの音声及び画像LSIが売上げを伸ばしました。
その他の事業の売上高は、前年同期に比べ1億44百万円(0.6%)減少し236億79百万円となりました。ゴルフ用品は、韓国市場での回復と新商品投入効果により全体で増収となりました。自動車用内装部品は、欧州高級車向け販売が伸長しましたが、モデルチェンジによる需要が減少したことから減収となりました。FA事業も、リークテスターが売上げを伸ばしましたが、プレシジョンマシンは納入先である部品メーカーの投資が一巡したこともあり低迷しました。リゾート事業は、冬季の誘客企画が期待には及ばなかったものの、前年同期並みの売上げとなりました。
② 地域別売上高の状況
国内売上高は、前年同期に比べ21億13百万円(1.3%)増加し、1,679億3百万円となりました。消費税増税前の駆け込み需要がピアノ、デジタルピアノをはじめとする電子楽器、管楽器を中心に発生し、大きく売上げを伸ばし、通期でも前期並みの売上げを維持しました。音響機器も、オーディオ、業務用音響機器、業務用通信カラオケ機器は、対前年同期減収となったものの、ルーター及び会議システムは堅調に推移し、全体では前年同期並みに推移しました。電子部品事業は、スマートフォン・タブレットPC向けの地磁気センサー(電子コンパス)及び音声処理用コーデック並びにアミューズメント向けの音声及び画像LSIが好調に推移し、増収となりました。その他の事業は、リゾートが前年同期並みの売上げとなったものの、ゴルフ用品、自動車用内装部品、FA機器は減収となりました。
海外売上高は、前年同期に比べ412億49百万円(20.5%)増加し2,424億円となりました。現地通貨ベースでの販売は、北米市場及び新興国市場が前年同期を上回ったものの、欧州市場及び中国市場は概ね前年同期並みの水準にとどまりました。しかしながら、為替による影響が大きく、各地域とも増収となりました。海外売上高比率は前年同期の54.8%から4.3ポイント上昇し、59.1%となりました。
地域別では、北米は前年同期に比べ114億79百万円(20.8%)増加し666億35百万円となりました。弦・打楽器を除く楽器が対前年同期実質増収となりましたが、音響機器はオーディオが競合激化に伴い対前年同期減収、業務用音響機器も設備用音響機器が振るわず、対前年同期実質減収となりました。為替による増収影響が約110億円あり、為替の影響を除いた売上高は、前年同期に比べ約4億円(0.8%)の増収となりました。
欧州は、前年同期に比べ142億51百万円(23.5%)増加し748億63百万円となりました。厳しい経済環境の下、ポータブルキーボードの新商品効果により電子楽器は増収となりましたが、ピアノ、管楽器、弦・打楽器が減収となりました。為替による増収影響が約154億円あり、為替の影響を除いた売上高は、前年同期に比べ約11億円(1.9%)の減収となりました。
アジア・オセアニア・その他の地域では、前年同期に比べ155億18百万円(18.2%)増加し1,009億1百万円となりました。中国では、ピアノが経済成長の減速や、競合激化、市場在庫増加などの要因で実質前年同期並みにとどまりましたが、電子楽器、弦・打楽器が好調で実質二桁の増収となりました。音響機器は総じて厳しい状況が続き、市場全体では前年同期から実質減収となりました。その他の地域は、ピアノが前年を割り込むなど、厳しい状況が継続しました。地域全体では、為替による増収影響が約152億円あり、為替の影響を除いた売上高は前年同期に比べ約3億円(0.3%)の増収となりました。
③ 売上原価と販売費及び一般管理費
売上原価は、前年同期に比べ240億49百万円(10.1%)増加し2,623億10百万円となりました。為替影響と、当連結会計年度より当社及び連結製造子会社の製造機能を見直し、販売費及び一般管理費の一部を売上原価に区分変更した事等がその要因です。売上原価率は、前年同期から1ポイント改善し63.9%となりました。
売上総利益は、前年同期に比べ193億13百万円(15.0%)増加し1,479億94百万円となりました。売上総利益率は、前年同期から1ポイント改善し36.1%となりました。
また販売費及び一般管理費は、上述の区分変更により減少したものの、為替影響等により前年同期に比べ25億34百万円(2.1%)増加し1,219億99百万円となりました。このうち、広告費及び販売促進費は前年同期の156億80百万円から21億44百万円(13.7%)増加の178億25百万円、人件費は前年同期の498億17百万円から1億66百万円(0.3%)増加の499億84百万円となりました。売上高販売管理費比率は、前年同期から2.9ポイント低下し29.7%となりました。
④ 営業利益
営業利益は、前年同期に比べ167億79百万円(182.1%)増益の259億94百万円となりました。主力の楽器事業が大幅な増益になったことに加え、電子部品事業が増収及び構造改革効果などによって粗利率が良化し、損益が改善、黒字転換を果たしたことが主な要因です。対前年同期では、海外生産拠点の労務費上昇による製造コストアップ(約27億円)、インドネシアのギター製造子会社の操業停止影響(約8億円)による減益影響がありましたが、為替影響(約137億円)、製造原価改善(約27億円)、国内営業及び半導体事業の構造改革効果(約23億円)、為替影響を除いた販売管理費の減少(約10億円)などの増益要因がこれらをカバーし大幅な増益となりました。
セグメントごとの営業利益では、楽器事業は前年同期の64億51百万円から132億77百万円(205.8%)増益となり、197億28百万円となりました。
音響機器事業は、前年同期の45億53百万円から13億13百万円(28.8%)増益の58億66百万円となりました。
電子部品事業は、前年同期の20億44百万円の営業損失から、増収及び構造改革効果などにより28億14百万円改善し、7億70百万円の営業利益に回復、黒字転換となりました。
その他の事業は、前年同期の2億54百万円から6億24百万円減益となり、3億70百万円の営業損失となりました。
⑤ 営業外損益
営業外収益は、前年同期の23億9百万円から11億98百万円(51.9%)増加の35億7百万円となりました。このうち、受取利息・受取配当金は前年同期の13億39百万円から7億69百万円(57.5%)増加し、21億8百万円となりました。その他の営業外収益は、前年同期の9億70百万円から4億28百万円(44.2%)増加し、13億98百万円となりました。このうち、当連結会計年度において特許関連収入3億53百万円を計上しております。
営業外費用は、前年同期の29億43百万円から4億11百万円(14.0%)増加し、33億55百万円となりました。このうち、支払利息は前年同期の2億59百万円から43百万円(16.7%)減少し、2億16百万円となりました。売上割引は前年同期の19億80百万円から4億24百万円(21.4%)増加し、24億4百万円となりました。その他の営業外費用は前年同期の7億3百万円から30百万円(4.3%)増加し、7億34百万円となりました。このうち、為替差損は前年同期の57百万円から69百万円(120.0%)増加し、1億26百万円となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は前年同期の29億55百万円から13億77百万円(46.6%)減少し、15億78百万円となりました。このうち、投資有価証券売却益は前年同期の10億89百万円から98百万円(9.1%)減少し、9億90百万円となりました。また固定資産売却益は、主に工場跡地等の遊休資産売却があった前年同期の18億57百万円から12億70百万円(68.4%)減少し、5億87百万円となりました。
特別損失は、前年同期の37億40百万円から18億34百万円(49.0%)減少し、19億6百万円となりました。このうち、構造改革費用として、前年同期は国内営業構造改革に伴う要員対策費用、営業拠点の集約に係る資産の減損損失等及び半導体事業構造改革に伴う要員対策費用を30億59百万円計上し、当連結会計年度は、国内営業構造改革に伴う要員対策費用、店舗・教室の統廃合に係る資産の減損損失等を8億69百万円計上しております。また、インドネシア製造子会社の操業停止に伴う損失5億25百万円を計上しております。
⑦ 税金等調整前当期純利益
税金等調整前当期純利益は、前年同期の77億95百万円から180億22百万円(231.2%)増加し、258億18百万円となりました。売上高税金等調整前当期純利益率は、前年同期の2.1%から改善し、6.3%となりました。
⑧ 法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額
法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額は、前年同期の34億55百万円から7億65百万円減少し、26億90万円となりました。なお、最近の業績動向等を踏まえ、繰延税金資産の回収可能性について慎重に見直しを行った結果、当連結会計年度において繰延税金資産を追加計上しております。これに伴い、法人税等調整額を30億88百万円計上しております。
⑨ 少数株主利益
少数株主利益は、前年同期の2億17百万円から12百万円(5.6%)増加し2億29百万円となりました。
⑩ 当期純利益
以上の結果、当連結会計年度の当期純利益は、前年同期の41億22百万円から187億76百万円(455.5%)増加し、228億98百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前年同期の21円29銭から118円26銭となりました。
⑪ 為替変動とリスクヘッジ
海外連結子会社の売上高は、市場の期中平均レートを換算基準としており、当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前年同期に対し17円円安の100円となり、前年同期に比べ約144億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前年同期に対し27円円安の134円となり、前年同期に比べ約154億円の増収影響となりました。また、カナダドル、豪ドルなど、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に比べ約130億円の増収影響となり、売上高全体では前年同期に比べ約428億円の増収影響となりました。
また営業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、在外子会社の営業利益の換算等により、約18億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前年同期に対し26円円安の129円となり、約97億円の増益影響となりました。また、全体では前年同期に比べ約137億円の増益影響となりました。
(3) 財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末の3,906億10百万円から483億円22百万円(12.4%)増加し、4,389億32百万円となりました。このうち、流動資産は、前年同期末の1,979億2百万円から165億84百万円(8.4%)増加し、2,144億87百万円となりました。また、固定資産は、前年同期末の1,927億7百万円から317億37百万円(16.5%)増加し、2,244億45百万円となりました。
流動資産は、現金及び預金、受取手形及び売掛金、たな卸資産、繰延税金資産が増加しました。現金及び預金は、前年同期末に比べ91億12百万円(17.7%)増加し、605億58百万円となりました。受取手形及び売掛金(貸倒引当金控除後)は、前年同期末に比べ57億29百万円(11.2%)増加し、567億10百万円となりました。たな卸資産は、前年同期末に比べ6億76百万円(0.8%)増加し、826億90百万円となりました。この中には、為替影響による増加約50億円が含まれており、それを除けば約43億円(5.3%)の減少となりました。繰延税金資産は、前年同期末に比べ25億36百万円(113.2%)増加し、47億78百万円となりました。その他の流動資産は、前年同期末に比べ12億20百万円(11.1%)減少し、97億49百万円となりました。流動資産と後述の流動負債を比較した流動比率は293%(前年同期末は277%)で、引き続き高い流動性を維持しています。
有形固定資産は前年同期末に比べ3億41百万円(0.3%)減少し、1,099億84百万円となりました。なお、建設仮勘定は、3億36百万円減少の17億68百万円となりました。無形固定資産は、前年同期末に比べ82百万円(2.6%)増加し、33億7百万円となりました。投資有価証券は、前年同期末に比べ316億2百万円(44.2%)増加し、1,031億70百万円となりました。主として、保有有価証券の時価が上昇したことによります。繰延税金資産は、前年同期末に比べ2億27百万円(17.6%)増加し、15億17百万円となりました。
② 負債
負債残高は、前年同期末の1,609億73百万円から31億15百万円(1.9%)増加し、1,640億89百万円となりました。流動負債は、前年同期末の715億50百万円から15億94百万円(2.2%)増加し、731億45百万円となりました。また、固定負債は前年同期末の894億22百万円から15億21百万円(1.7%)増加し、909億44百万円となりました。
流動負債は、支払手形及び買掛金並びに、未払金及び未払費用、未払法人税等などが増加し、短期借入金並びに、1年内返済予定の長期借入金などが減少しました。支払手形及び買掛金は、前年同期末に比べ12億55百万円(6.2%)増加し、215億95百万円となりました。また、未払金及び未払費用は、前年同期末に比べ4億95百万円(1.6%)増加し、318億5百万円となりました。未払法人税等は、前年同期末に比べ12億3百万円(76.1%)増加し、27億86百万円となりました。短期借入金は、前年同期末に比べ7億69百万円(8.2%)減少し、85億90百万円に、1年内返済予定の長期借入金も4億53百万円(93.3%)減少し、32百万円となりました。
固定負債は、繰延税金負債が増加し、長期借入金、再評価に係る繰延税金負債、長期預り金, 退職給付に係る負債が減少しました。長期借入金は、前年同期末に比べ32百万円(19.8%)減少し、1億33百万円となりました。再評価に係る繰延税金負債は、23百万円(0.2%)減少し、124億15百万円となりました。繰延税金負債は、前年同期末に比べ55億67百万円(30.1%)増加し、240億59百万円となりました。
退職給付引当金は、改正退職給付会計基準を早期適用したことにより、科目を「退職給付引当金」から「退職給付に係る負債」に変更しました。これに加え、退職給付債務の計算方法等の変更により期首の残高が70億62百万円減少した上、未認識債務の計上により期末残高が38億71百万円増加したことで、前期末に比べ46億98百万円(11.4%)減少し、退職給付に係る負債は364億50百万円となりました。また、長期預り金は、リゾートの会員預託金の返還により、前期末に比べ1億6百万円(0.7%)減少し、153億39百万円となりました。
③ 実質有利子負債
有利子負債である長短借入金が87億56百万円ありますが、現金及び預金が605億58百万円あり、現金及び預金から長短借入金を差し引いたネットでの現金及び預金は518億1百万円となり、前年同期末の414億31百万円に比べ103億69百万円の増加となりました。
④ 純資産
純資産は、前年同期末の2,296億36百万円から452億6百万円(19.7%)増加し、2,748億43百万円となりました。当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことと、その他有価証券評価差額金の増加、為替換算調整勘定の変動により増加となりました。為替換算調整勘定は前年同期末に比べ100億96百万円マイナス幅が縮小しました。利益剰余金は、当期純利益228億98百万円、改正退職給付会計基準の早期適用による影響額70億62百万円、配当金の支払い24億20百万円などにより、前年同期末に比べ278億64百万円(19.8%)増加し、1,683億38百万円となりました。その他有価証券評価差額金は、保有有価証券の時価の上昇により、前年同期末に比べ107億30百万円(30.8%)増加し、455億40百万円となりました。また、土地再評価差額金は、前年同期末に比べ44百万円(0.3%)減少し、171億39百万円となりました。少数株主持分は、前年同期末に比べ3億96百万円(14.4%)増加し、31億61百万円となりました。自己資本比率は前年同期末の58.1%から61.9%へ3.8ポイント上昇しました。なお、自己資本利益率(ROE)は、前年同期の1.9%から9.2%へ7.3ポイント上昇しました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は、332億13百万円(前年同期は77億55百万円)となりました。前年同期に対して254億58百万円の増加となりました。
投資活動の結果使用した資金は、229億50百万円の支出(前年同期は126億17百万円の支出)となりました。投資有価証券の取得による支出が増加したこと等により、前年同期に対して103億32百万円支出が増加しました。
財務活動の結果使用した資金は、47億45百万円の支出(前年同期は55億36百万円の支出)となりました。借入金の返済による支出の減少等により、前年同期に対して7億91百万円支出が減少しました。
以上により、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前年同期末に対し80億60百万円増加し、575億24百万円となりました。
② 資金需要
当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。
当社グループにおける当連結会計年度の設備投資額は、前年同期の138億44百万円から30億45百万円(22.0%)減少し、107億99百万円となりました。楽器事業は、前年同期の89億27百万円から23億6百万円(25.8%)減少し、66億21百万円となりました。音響機器事業は、前年同期の24億67百万円から3億21百万円(13.0%)増加し、27億88百万円となりました。また、電子部品事業は、前年同期の13億81百万円から11億65百万円(84.3%)減少し、2億16百万円となりました。その他の事業は前年同期の10億68百万円から1億4百万円(9.8%)の増加となり、11億72百万円となりました。
減価償却費は、前年同期の116億13百万円から11億46百万円(9.9%)増加し、127億59百万円となりました。
研究開発費は、前年同期の221億49百万円から4億12百万円(1.9%)増加し、225億61百万円となりました。売上高研究開発費比率は前年同期の6.0%から0.5ポイント下がり、5.5%となりました。
③ 資金調達
運転資金及び設備投資資金について、一部の子会社において借入金により調達しております。借入については通常、会社毎に現地通貨による短期借入を行っておりますが、借入金額・期間・金利等を勘案し、長期借入を行う場合があります。なお、当社及び国内完全子会社についてはグループファイナンスを実施しております。