有価証券報告書-第14期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2019/06/24 14:46
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(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における経済環境は、国内外とも緩やかな回復傾向で推移しましたが、経済全体の先行きについては不透明な状況が続きました。
このような環境のなか、当社グループは、2018年4月より、従来のビジネスモデルや常識にこだわることなく、次のステージに向けあらゆる面でCHANGEするという思いをこめた中期ビジョン「CHANGE for the NEXT 挑戦・成長・進化」を掲げる3ヵ年の中期計画をスタートしました。中長期的な成長に向け、IP(Intellectual Property:キャラクターなどの知的財産)の世界観や特性を活かし、最適なタイミングで、最適な商品・サービスとして提供することでIP価値の最大化をはかる「IP軸戦略」のさらなる進化のための取組み、成長の可能性が高い地域や事業の強化に向けた取組み、世界の各地域においてALL BANDAI NAMCOでグループが一体となり総合力の発揮を目指す取組み等の施策を推進しました。
当連結会計年度につきましては、各事業において主力IPや商品・サービスが好調に推移したほか、グループを横断した事業連携が効果を発揮しました。この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高732,347百万円(前期比8.0%増)、営業利益84,045百万円(前期比12.0%増)、経常利益86,863百万円(前期比15.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益63,383百万円(前期比17.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
[トイホビー事業]
トイホビー事業につきましては、国内及び海外において「機動戦士ガンダム」シリーズのプラモデルや、コレクターズフィギュア等のハイターゲット層(大人層)に向けた商品や「ドラゴンボール」シリーズのカード関連商品等が人気となりました。国内においては、ハイターゲット層向けの商品、「ドラゴンボール」シリーズや「仮面ライダー」シリーズ、「プリキュア」シリーズ等の定番IP商品が好調に推移しました。海外においては、アジア地域において「機動戦士ガンダム」シリーズや「ウルトラマン」シリーズ等の商品が人気となったほか、中国市場での事業展開強化に向けた取組みを行いました。欧米地域では、コレクターズフィギュアや「ドラゴンボール」シリーズのカード商品等のハイターゲット層に向けた展開を推進しました。
この結果、トイホビー事業における売上高は242,865百万円(前期比9.2%増)、セグメント利益は21,710百万円(前期比50.0%増)となりました。
[ネットワークエンターテインメント事業]
ネットワークエンターテインメント事業につきましては、ネットワークコンテンツにおいて、ワールドワイド展開している「ドラゴンボール」シリーズや「ワンピース」、国内の「アイドルマスター」シリーズ等の主力タイトルがユーザーに向けた継続的な施策により好調に推移しました。また、新プラットフォームの立ち上げ等の新たなサービス創出に向けた取組みを行いました。家庭用ゲームにおいては、「SOULCALIBUR Ⅵ」、「ACE COMBAT7: SKIES UNKNOWN」、「ジャンプフォース」等のワールドワイド向け新作タイトルの販売に加え、既存タイトルのリピート販売や国内新作タイトル等の販売が好調に推移しました。
この結果、ネットワークエンターテインメント事業における売上高は340,927百万円(前期比4.4%増)、セグメント利益は47,534百万円(前期比5.2%減)となりました。
[リアルエンターテインメント事業]
リアルエンターテインメント事業につきましては、業務用ゲームにおいて「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2」等の販売が好調に推移しました。アミューズメント施設においては、国内既存店売上高は前期に及びませんでしたが、バンダイナムコならではの体験を楽しむことができる場を提供する新業態等が好調に推移しました。
この結果、リアルエンターテインメント事業における売上高は101,493百万円(前期比12.1%増)、セグメント利益は4,264百万円(前期比34.6%増)となりました。
[映像音楽プロデュース事業]
映像音楽プロデュース事業につきましては、「ラブライブ!サンシャイン!!」や「アイドルマスター」シリーズの映像パッケージソフトや音楽パッケージソフト等が人気となりました。また、「アイドリッシュセブン」等のIPのライブイベントや関連商品の販売、ライブ映像のパッケージソフト販売が好調に推移しました。
この結果、映像音楽プロデュース事業における売上高は45,518百万円(前期比11.9%増)、セグメント利益は8,797百万円(前期比32.9%増)となりました。
[IPクリエイション事業]
IPクリエイション事業につきましては、「機動戦士ガンダム」シリーズや「ラブライブ!サンシャイン!!」、「アイカツ!」シリーズ等の新作映像の公開による話題喚起をはかり、人気となりました。また、IP創出強化に向け、体制強化や新たな作品の製作に取り組みました。
この結果、IPクリエイション事業における売上高は22,464百万円(前期比32.4%増)、セグメント利益は5,020百万円(前期比4.6%減)となりました。
[その他事業]
その他事業につきましては、グループ各社へ向けた物流事業、印刷事業、その他管理業務等を行っている会社から構成されており、これらのグループサポート関連業務における効率的な運営に取り組んでおります。
その他事業における売上高は29,764百万円(前期比7.7%増)、セグメント利益は1,197百万円(前期比56.1%増)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ72,465百万円増加し612,955百万円となりました。これは主に現金及び預金が28,334百万円、受取手形及び売掛金が5,021百万円、商品及び製品が4,281百万円、仕掛品が4,743百万円、投資有価証券が17,528百万円増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ30,175百万円増加し183,311百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が5,249百万円、未払法人税等が8,898百万円、未払賞与等が増加したことにより流動負債のその他が14,123百万円増加したことによるものです。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ42,289百万円増加し429,644百万円となりました。これは主に配当金の支払額28,366百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益63,383百万円を計上したことにより利益剰余金が35,051百万円、その他有価証券評価差額金が8,494百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の71.5%から70.0%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
増減額
営業活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
55,13879,81124,672
投資活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△63,338△24,89938,439
財務活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△17,086△28,972△11,885
現金及び現金同等物の期末残高
(百万円)
180,831206,27025,438

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べ25,438百万円増加し、206,270百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は79,811百万円(前期比44.7%増)となりました。これは法人税等の支払額21,186百万円(前期は19,709百万円)等の資金の減少要因がありましたが、税金等調整前当期純利益が86,838百万円(前期は72,497百万円)、減価償却費が21,370百万円(前期は23,545百万円)となったことにより、全体としては資金が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は24,899百万円(前期比60.7%減)となりました。これは主に有形・無形固定資産の取得による支出が15,341百万円(前期は48,243百万円)、関係会社株式の取得による支出が4,018百万円(前期は80百万円)であったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は28,972百万円(前期比69.6%増)となりました。これは主に配当金の支払額が28,366百万円(前期は18,023百万円)であったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
トイホビー事業16,84911.3
ネットワークエンターテインメント事業57,46123.9
リアルエンターテインメント事業15,685105.4
映像音楽プロデュース事業13,7941.5
IPクリエイション事業5,50925.3
合計109,29925.4

(注)1.上記金額は製造原価によって表示しております。
2.上記金額には商品化権使用料が含まれております。
3.上記金額はセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
4.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、「前年同期比(%)」は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値で算出しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
トイホビー事業24,75914.010,35428.6
ネットワークエンターテインメント事業8,393182.83,832182.2
IPクリエイション事業2,2955.71,491△13.4
合計35,44932.015,67940.9

(注)1.上記金額はセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、「前年同期比(%)」は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値で算出しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
トイホビー事業234,92410.1
ネットワークエンターテインメント事業333,8054.5
リアルエンターテインメント事業100,69912.0
映像音楽プロデュース事業37,4254.4
IPクリエイション事業16,18656.5
その他 (注)29,305△0.9
合計732,3478.0

(注)1.上記金額はセグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
2.「その他」の区分は、報告セグメントに含まれない事業セグメントであります。
3.当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、「前年同期比(%)」は、変更後のセグメントの区分に組み替えた数値で算出しております。
4.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
Apple Inc.95,25914.04103,88314.19
Google Inc.82,37012.1484,67711.56

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しています。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、主として内部資金により充当することとしており、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は206,270百万円となっております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、営業活動で得られるキャッシュ・フローは、当連結会計年度に比べ法人税等の支払いの増加が見込まれることから、当連結会計年度を下回る見込みであります。また、投資活動により使用するキャッシュ・フローについては、設備投資等の資金需要は当連結会計年度とほぼ同水準で見込んでおり、財務活動により使用するキャッシュ・フローについては、当連結会計年度に比べ配当金の支払いの増加が見込まれるため、当連結会計年度より上回ることを見込んでおります。翌連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高については、営業活動で得られるキャッシュ・フローが、投資活動及び財務活動により使用するキャッシュ・フローを上回ることが見込まれるため、当連結会計年度末に比べて増加となる見込みであります。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題認識、今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
当連結会計年度は、IP軸戦略をさらに進化させグローバル市場での浸透・拡大を目指し2018年4月にスタートした3ヵ年の中期計画の初年度として、ALL BANDAI NAMCOで各事業が一体となり重点戦略を推進しました。当連結会計年度の業績は、各事業において主力IPや商品・サービスが好調に推移したほか、グループが一体となり総合力の発揮を目指す取組み等の施策が効果を発揮しました。この結果、売上高732,347百万円 営業利益84,045百万円となり、年初計画である売上高650,000百万円 営業利益60,000百万円をいずれも上回り過去最高売上高、過去最高益を更新することができました。
トイホビー事業におきましては、国内及び海外で、定番IP商品やハイターゲット層向け展開が好調に推移しました。また、中国市場における事業展開強化に向けた取組みを進めるとともに、北米地域においては体制の見直し等により収益が改善しました。この結果、トイホビー事業全体では、年初計画 売上高230,000百万円 セグメント利益15,000百万円に対し、売上高242,865百万円 セグメント利益21,710百万円となりました。
ネットワークエンターテインメント事業におきましては、国内外のネットワークコンテンツの主力タイトル、海外の家庭用ゲームの新作タイトルやリピートタイトルの販売が好調に推移したこと等により同事業の収益に貢献しました。この結果、ネットワークエンターテインメント事業全体では年初計画 売上高300,000百万円 セグメント利益35,000百万円に対し、売上高340,927百万円 セグメント利益47,534百万円となりました。
リアルエンターテインメント事業におきましては、業務用ゲームの新作の販売が好調に推移したほか、バンダイナムコならではの体験を楽しむことができる新業態の施設が人気となりました。この結果、リアルエンターテインメント事業全体では年初計画 売上高100,000百万円 セグメント利益3,500百万円に対し、売上高101,493百万円 セグメント利益4,264百万円となりました。
映像音楽プロデュース事業におきましては、主力IPの付加価値の高い映像・音楽パッケージソフト及びライブイベント関連ビジネスが好調に推移しました。この結果、映像音楽プロデュース事業全体では年初計画 売上高40,000百万円 セグメント利益6,000百万円に対し、売上高45,518百万円 セグメント利益8,797百万円となりました。
IPクリエイション事業におきましては、同事業が製作した主力IPの新作映像が公開され人気となったほか、映像作品の海外販売等のライセンス収入が好調に推移しました。この結果、IPクリエイション事業全体では年初計画 売上高15,000百万円 セグメント利益4,500百万円に対し、売上高22,464百万円 セグメント利益5,020百万円となりました。
経営方針・経営戦略または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。当社グループでは、売上高と営業利益に加え、営業利益率、ROE(自己資本当期純利益率)を重視しております。当連結会計年度の年初におきましては、営業利益率9.2% ROE10.9%を計画していましたが、年間を通じ、複数の利益率の高い事業が好調に推移したことにより、営業利益率11.5% ROE15.5%となりました。
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。