有価証券報告書-第47期(平成26年7月1日-平成27年6月30日)

【提出】
2015/09/28 15:01
【資料】
PDFをみる
【項目】
96項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5.経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
①収益の認識基準
当社の売上高は、通常、発注書に基づき顧客に対して製品が出荷された時点で計上されます。
②貸倒引当金の計上基準
当社は、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が必要となる可能性があります。
③たな卸資産の評価基準
当社は、たな卸資産の収益性の低下に基づき評価減を計上しております。実際の将来需要または市場が悪化した場合、評価減が必要となる可能性があります。
④繰延税金資産
当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存いたしますので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2)財政状態の分析
①流動資産
当事業年度末における流動資産残高は12,620百万円(前事業年度末は11,785百万円)となり、834百万円増加いたしました。これは、売掛金が535百万円減少(3,357百万円から2,821百万円へ減少)しましたが、現金及び預金が457百万円(701百万円から1,158百万円へ増加)、たな卸資産が680百万円(6,653百万円から7,334百万円へ増加)各々増加したことが主たる要因であります。
②固定資産
当事業年度末における固定資産残高は9,157百万円(前事業年度末は10,444百万円)となり、1,287百万円減少いたしました。これは、有形固定資産が、641百万円、長期繰延税金資産が637百万円減少したことが主たる要因であります。
③流動負債
当事業年度末における流動負債残高は4,340百万円(前事業年度末は5,252百万円)となり、912百万円減少いたしました。これは、短期借入金が800百万円減少(800百万円全額返済)したことが主たる要因であります。
④固定負債
当事業年度末における固定負債残高は2,466百万円(前事業年度末は2,868百万円)となり、401百万円減少いたしました。これは、長期借入金が434百万円減少(2,079百万円から1,645百万円へ減少)したことが主たる要因であります。
⑤純資産
当事業年度末における純資産の残高は14,970百万円(前事業年度末は14,109百万円)となり、861百万円増加いたしました。これは、繰越利益剰余金が836百万円増加(3,442百万円から4,279百万円へ増加)したことが主たる要因であります。
(3)経営成績の分析
当事業年度におけるわが国の経済は、米国経済の順調な回復などを背景に急激な円安が進行したことで、輸出環境の改善期待から株式市場が活況を呈したものの、消費税増税前の駆け込み需要の反動と天候不順による個人消費の伸び悩みに加え、円安に伴う輸入原材料価格の上昇、中東やウクライナ情勢、中国・ロシア経済の減速感など先行き不透明な状況が続き、6月にはギリシャの債務問題が再燃し混迷の度を深めました。
このような経済環境の中、各種電子部品や半導体の市況は、スマートフォンやタブレット端末関連需要に支えられて好調を維持し、リチウムタンタレート単結晶育成装置向けイリジウムルツボや、半導体製造装置向け温度センサーの受注も堅調に推移しました。また、人工サファイア単結晶育成装置向けイリジウムルツボの受注が回復し、サーバー向け需要などを背景にHD向けルテニウムターゲットの受注も第3四半期まで回復基調が続きました。また、触媒製造事業も本格稼働いたしました。一方、一部の貴金属価格の下落に伴い、たな卸資産の評価減を実施し、第1四半期会計期間に54百万円、第3四半期会計期間に77百万円、及び第4四半期会計期間に21百万円を製造原価に計上いたしました。
これらを背景といたしまして、当事業年度の業績は、売上高21,564百万円(前期比21.2%減)、売上総利益3,954百万円(前期比24.5%増)、営業利益1,924百万円(前期比56.7%増)、経常利益2,005百万円(前期比60.6%増)、当期純利益1,133百万円(前期は2,933百万円の当期純損失)となりました。
以下、損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。
①売上高の分析
当事業年度の売上高は21,564百万円であります。これをセグメント別に分析すると、「電子」の売上は11,368百万円(前事業年度比31.1%減)、「薄膜」の売上は5,559百万円(前事業年度比7.9%増)、「センサー」の売上は1,757百万円(前事業年度比11.4%増)、「その他」の売上は2,878百万円(前事業年度比30.5%減)となりました。「電子」につきましては、貴金属価格の下落から販売単価は下がったものの、スマートフォンなどのSAWフィルター(必要な周波数信号を取り出すデバイス)に使用されるリチウムタンタレート単結晶育成装置向けのイリジウムルツボや、ガラス溶解装置向け強化白金ルツボの受注が堅調に推移したほか、LED基板に使用される人工サファイア単結晶育成装置向けイリジウムルツボの受注も回復しました。「薄膜」につきましては、HD向けルテニウムターゲットは、サーバー向けの需要に加えて、マーケットシェアの拡大などから受注が回復し、スマートフォンなどのタッチパネル配線向け銀合金ターゲットの受注も一部回復しました。「センサー」につきましては、半導体製造装置メーカーや、台湾などの海外半導体メーカーからの受注が堅調に推移しました。「その他」につきましては、当第3四半期には触媒製造事業が本格稼働したものの、使用済み電極の回収精製や有機EL向け貴金属化合物が伸び悩みました。
②売上原価の分析
当事業年度において、売上原価は17,610百万円、売上総利益は3,954百万円となり、原価率は81.7%と前事業年度比6.7ポイント下落いたしました。これは、前事業年度において20,571百万円を計上した材料費が14,327百万円に減少したことによるものです。
③販売費及び一般管理費の分析
当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ4.2%増加し、2,029百万円となっております。これは主に支払手数料が前事業年度比62百万円増加したことによるものです。
④営業外損益の分析
当事業年度の営業外収益は前事業年度に比べ51.5%増加し、145百万円となっております。これは主に為替差益が前事業年度比64百万円増加したことによるものです。また、当事業年度の営業外費用は前事業年度に比べ14.6%減少し64百万円となっております。これは主に支払利息が前事業年度比17百万円減少したことによるものです。
⑤特別損益の分析
当事業年度の特別利益は前事業年度と同様、計上なしとなりました。また、当事業年度の特別損失は前事業年度に比べ6,486百万円減少し、2百万円となっております。これは前事業年度に6,480百万円計上したたな卸資産評価損が当事業年度は計上なしとなったことによるものです。