有価証券報告書-第46期(平成25年7月1日-平成26年6月30日)

【提出】
2014/09/26 15:31
【資料】
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【項目】
98項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社が判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5.経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
①収益の認識基準
当社の売上高は、通常、発注書に基づき顧客に対して製品が出荷された時点で計上されます。
②貸倒引当金の計上基準
当社は、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上または貸倒損失が必要となる可能性があります。
③たな卸資産の評価基準
当社は、たな卸資産の収益性の低下に基づき評価減を計上しております。実際の将来需要または市場が悪化した場合、評価減が必要となる可能性があります。
④繰延税金資産
当社は、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存いたしますので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2)財政状態の分析
①流動資産
当事業年度末における流動資産残高は11,785百万円(前事業年度末は21,306百万円)となり、9,521百万円減少いたしました。これは、たな卸資産が9,982百万円減少(16,636百万円から6,653百万円へ減少)、現金及び預金が1,028百万円減少(1,729百万円から701百万円への減少)したことが主たる要因であります。たな卸資産の減少9,982百万円は、評価減(製造原価に5百万円、特別損失に6,480百万円)を実施したことが主たる要因であります。
②固定資産
当事業年度末における固定資産残高は10,444百万円(前事業年度末は6,792百万円)となり、3,652百万円増加いたしました。これは、有形固定資産が、たな卸資産から機械及び装置への振替1,619百万円を含め2,030百万円、長期繰延税金資産が1,649百万円増加したことが主たる要因であります。
③流動負債
当事業年度末における流動負債残高は5,252百万円(前事業年度末は7,217百万円)となり、1,964百万円減少いたしました。これは、短期借入金が1,200百万円減少(2,000百万円から800百万円への減少)、買掛金が956百万円減少(2,937百万円から1,980百万円への減少)したことが主たる要因であります。
④固定負債
当事業年度末における固定負債残高は2,868百万円(前事業年度末は3,564百万円)となり、696百万円減少いたしました。これは、長期借入金が715百万円減少(2,794百万円から2,079百万円への減少)したことが主たる要因であります。
⑤純資産
当事業年度末における純資産の残高は14,109百万円(前事業年度末は17,316百万円)となり、3,207百万円減少いたしました。これは、繰越利益剰余金が3,226百万円減少(6,669百万円から3,442百万円への減少)したことが主たる要因であります。
(3)経営成績の分析
当事業年度におけるわが国の経済は、円安に伴う原材料価格の上昇、近隣諸国との政治的軋轢、及び緊迫するウクライナやイラク情勢などもあり、先行き不透明な状況はあったものの、ユーロ圏経済の緩やかな持ち直し、米国経済の回復基調、及び中国の成長率の下げ止まりなどで外部環境が改善する中、円安による輸出採算の改善、鉱工業生産や設備投資の緩やかな回復、2020年の東京オリンピック開催決定による投資への期待感、消費税率引上げ前の駆け込み需要も相まって、回復基調が続きました。
このような経済環境の中、各種電子部品や半導体の需要は、スマートフォンやタブレット端末関連が好調で、リチウムタンタレート単結晶育成装置向けのイリジウムルツボや、半導体製造装置向け温度センサーなどの受注が堅調に推移しました。また、個人向けパソコン需要の減少から軟調に推移していたHD向けルテニウムターゲットの受注は、WindowsXPのサポート終了に伴うパソコン需要や、サーバー向けの需要などから、徐々に回復して参りました。一方、LED関連では、取引先の設備投資環境に一部改善の兆しは見られるものの、当社主力製品であるイリジウムルツボの受注は、改鋳中心にとどまりました。
こうした一部の貴金属製品市場の著しい環境悪化の継続に伴い、当事業年度において、たな卸資産の評価減を実施し、貴金属相場の大幅な下落が認められた一部の貴金属については、特別損失に6,480百万円を計上いたしました。
これらを背景といたしまして、当事業年度の業績は、売上高27,367百万円(前期比4.0%増)、営業利益1,228百万円(前期比36.5%増)、経常利益1,248百万円(前期比36.5%増)、当期純損失2,933百万円となりました。
以下、損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。
①売上高の分析
当事業年度の売上高は27,367百万円であります。これをセグメント別に分析すると、「電子」の売上は16,497百万円(前事業年度比4.0%増)、「薄膜」の売上は5,151百万円(前事業年度比11.6%減)、「センサー」の売上は1,577百万円(前事業年度比19.9%増)、「その他」の売上は4,141百万円(前事業年度比24.7%増)となりました。「電子」につきましては、スマートフォンなどに使用されるリチウムタンタレート単結晶育成装置向けのイリジウムルツボの受注は好調に推移いたしましたが、LED基板に使用される人工サファイア単結晶育成装置向けイリジウムルツボは、一部に改善の兆しが見られるものの、改鋳中心の受注にとどまりました。「薄膜」につきましては、スマートフォンなどのタッチパネル配線向け銀合金ターゲットは、生産調整の動きから受注が伸び悩み、HD向けルテニウムターゲットは、WindowsXPのサポート終了に伴うパソコン需要やサーバー向けの需要などから受注が回復途上にあるものの、個人向けパソコンの売上・出荷の伸び悩みに伴うHDDの在庫調整が長らく続きました。「センサー」につきましては、半導体製造装置メーカーからの受注環境が急回復し、半導体メーカーからの受注も回復しました。「その他」につきましては、使用済み電極等の回収・精製や、化学・化成品プラント向け及び有機EL向けの貴金属化合物の受注が好調に推移いたしました。
②売上原価の分析
当事業年度において、売上原価は24,191百万円、売上総利益は3,176百万円となり、原価率は88.4%と前事業年度比0.6ポイント下落いたしました。これは、前事業年度において426百万円を計上したたな卸資産評価損が5百万円に減少したことによるものです。
③販売費及び一般管理費の分析
当事業年度の販売費及び一般管理費は前事業年度に比べ2.2%減少し、1,947百万円となっております。これは支払手数料が前事業年度比28百万円増加しましたが、給料手当等人件費が61百万円減少したことによるものです。
④営業外損益の分析
当事業年度の営業外収益は前事業年度に比べ12.1%減少し、95百万円となっております。これは営業外収益その他が前事業年度比16百万円増加しましたが、助成金収入が38百万円減少したことによるものです。また、当事業年度の営業外費用は前事業年度に比べ20.2%減少し75百万円となっております。これは支払利息が前事業年度比17百万円減少したことによるものです。
⑤特別損益の分析
当事業年度の特別利益は前事業年度と同様、計上なしとなりました。また、当事業年度の特別損失は前事業年度に比べ4,163百万円増加し、6,489百万円となっております。これはたな卸資産評価損を6,480百万円計上したことによるものです。