訂正有価証券報告書-第99期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
有報資料
この経営方針、経営環境、対処すべき課題等には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
(1)中期経営計画の進捗状況
2017年5月に公表した中期経営計画「Driving Value Creation」(*)の初年度である2018年3月期の進捗は次のとおりです。
(*)「Driving Value Creation」に込められた意味:多様なプロ人材が、三井物産グループの総合力とネットワークを駆使し、主体的な事業創出に取り組み、新たな事業価値を持続的に創造する。
①中期経営計画の4つの重点施策
(a) 強固な収益基盤づくりと既存事業の徹底強化
(b) 新たな成長分野の確立
(c) キャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤の強化
(d) ガバナンス・人材・イノベーション機能の強化
②中期経営計画の進捗状況
◇重点施策(a) 強固な収益基盤づくりと既存事業の徹底強化
強固な収益力を有する金属資源・エネルギーに加え、鉄鋼製品や機械・インフラを中心に非資源分野も順調な伸びを示し、以下に示す具体的成果を中心に各セグメントにおいて収益基盤強化が進み、2020年3月期の中期経営計画目標達成に向けて確りとした足場固めが図られました。とりわけ、評価性損益を除く非資源分野の利益は1,700億円レベルまで向上し、2020年3月期の非資源分野の利益目標である2,000億円に向けて順調な滑り出しとなっています。

◇重点施策(b) 新たな成長分野の確立
2018年3月期は4つの成長分野のうち、特にモビリティとヘルスケアを中心に具体的な進捗がありました。
モビリティでは、欧州を起点とした商用車電動化へのさまざまな取組みを本格化しました。また、英国旅客鉄道など鉄道関連事業の拡充や、チリにおける自動車オペレーティングリース・レンタカー事業などの取組みも進めています。
ヘルスケアでは、従来から進めている東南アジアにおける病院事業を拡大したほか、ロシアの製薬会社への出資を通じた同国新薬ニーズの取込み、更には米国ヘルスケア専門職派遣・紹介事業への出資など、当社のヘルスケアエコシステムの構築・拡充を着実に進めています。
一方、ニュートリション・アグリカルチャーでは、東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資参画合意を通じて、ネットワークの拡充を進めたほか、曽田香料の公開買付けなど、フードサイエンス領域の強化を進めています。
また、リテール・サービスでは、国内外のアセットマネジメント事業を通じて投資家の多様なニーズに応えることで、過去1年間に運用資産を1.9兆円まで拡大しました。ファッション・リテール事業では、ビギホールディングスを買収し、同社の企画・販売プラットフォームを通じて消費者接点を拡充しマーケティング機能と販売力を強化していきます。
◇重点施策(c) キャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤の強化
中期経営計画におけるキャッシュ・フロー・アロケーションの進捗については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉 ④投融資と財務政策」を参照願います。
◇重点施策(d) ガバナンス・人材・イノベーション機能の強化
ガバナンスの強化では、取締役会メンバーの多様化を進めることでバランスを更に改善するとともに、取締役会では、当社の大きな方向性や戦略についてより多くの議論を行うなど、取締役会の実効性強化を進めました。また、従来のCSR推進委員会の役割を拡大して、新たにサステナビリティ委員会を設置することで、社会と当社の持続可能性をより意識した経営を推進しています。
人材の強化においては、コーポレート人材の営業現場へのシフトを大胆に進めており、2018年3月期において70名以上を営業の前線に送るなど、会社全体の「稼ぐ力」の強化を進めています。また、個人単位の時差出勤制度の導入など、社員の生産性向上のための諸施策を実行したほか、社員の挑戦を後押しする取組みとして社内起業制度を導入し、現在選定案件2件について事業化の準備を進めています。
イノベーション機能の強化については、チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を昨年5月に設置しました。CDOの強いリーダーシップの下、デジタルトランスフォーメーション活動を全社的に展開し、「既存事業のコスト削減」、「既存事業の売上増加」、「新規事業開発」の3つの枠組みにおいて、検討中のものも含め現在50~60件の案件に取り組んでいます。
(2)経営環境
①全般
注:本項目は、2018年5月の決算公表時点の経営環境認識を掲載したものであり、当社の現在の経済環境認識と異なる記載が含まれている場合があります。
当連結会計年度の世界経済は、堅調な消費や投資に支えられ、先進国、新興国共に緩やかな成長が継続しました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費が底堅く推移し、また税制改革による設備投資の押し上げ効果も期待され、当面は景気回復が続くとみられます。欧州では、消費や投資の拡大により景気は底堅く推移してきましたが、企業の景況感も頭打ちとなりつつあり、今後は成長鈍化が予想されます。日本は、雇用環境の改善により個人消費が底堅く推移するほか、オリンピック・パラリンピック関連投資に加え、省力化を中心とした設備投資の増加もあり、緩やかな景気回復が継続するとみられます。新興国では、中国は安定成長を維持しつつも、過剰な設備や債務の調整などに伴う成長鈍化が予想される一方で、インドでは物品サービス税導入などの経済改革が進み、今後の成長が期待されます。また、ブラジルでは消費や投資が持ち直し、緩やかな回復基調が継続するとみられますが、ロシアでは米国等による制裁が続いていることもあり、低成長が続くとみられます。
世界経済は、今後も緩やかな回復基調を辿るとみられますが、中東を巡る地政学リスクの高まりに加え、一部に成熟感が見られる欧米経済の先行きやFRBの金融引締めによる新興国経済への影響、更には米国の通商政策の動向には、引き続き注意が必要です。
②鉄鋼製品セグメント
2017年暦年の世界の粗鋼生産は前年比5.3%増の約17億トンとなり、中国・インドをはじめとした新興国のみならず、EU・北米などの先進国でも需要は増加しています。一方で供給サイドは世界の粗鋼生産の半分を占める中国を中心に過剰能力は解消されておらず、厳しい事業環境が継続しています。このような環境を受け、製鉄業統合に伴い、鋼材流通分野でも更なる業界再編が生じる可能性があります。
中長期的には、国内の鉄鋼市場が人口減少などにより緩やかに縮小する一方で、米州・アジアを牽引役とした世界経済の回復に伴い、海外では鉄鋼需要は増加していく見通しで、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。
③金属資源セグメント
短期的には中国や新興国の成長鈍化などにより市況が低迷するリスクがありますが、鉄鋼や非鉄金属は産業の基幹素材であり、その原料に対する需要は長期的な伸びが見込まれます。一方、開発・生産コストの上昇や既存鉱山の枯渇や品位悪化に加え、優良未開発案件には限りがあるため、供給が追いつかず、長期的には需給は逼迫していく見込みです。当セグメントが携わる金属資源分野は、引続き重要性が高いビジネスです。
④機械・インフラセグメント
人口増加・経済発展の著しい新興諸国では、電力・水・物流などの基幹インフラ整備の需要、先進国ではインフラ老朽化による改修需要が高まっています。また、環境負荷の低い再生可能エネルギーの急速な広がりなど低炭素社会へのインフラ投資需要が拡大しています。また、エネルギー分野では、資源開発にかかる設備の高度化・大型化・複雑化により、総合的な開発需要の増加が期待されます。例えば、米国においては、シェールガス・オイルの開発により、開発インフラのみならず、パイプライン輸送や下流の化学品製造、ガス火力発電、LNG出荷設備などのニーズが生じています。他方、先進国を中心とした各国中央銀行による量的緩和を背景に、政策金利は歴史的な低水準となっており、運用先を求める資金の増加から、安定収益を見込めるインフラ案件への関心は高まっており、引続き重要性が高いビジネスです。
新興国経済の成長に伴い、中長期的には資源・エネルギー需要も増加、それに伴い鉱山機械需要は回復、また陸海ともに物流増加による市況回復が期待されます。製造業回帰の進む米国の景気回復基調は、当社の自動車・トラック・工作機械・建設機械事業では追い風となります。新興国における経済成長に伴う環境問題への関心の高まりや、渋滞緩和に向けた公共交通機関へのモーダルシフトによる旅客・貨物鉄道整備の需要も高まると見込まれます。世界的に経済成長が緩やかながら続くことから、中長期的には航空旅客は増加し、機体・エンジン需要も伸びると期待されます。一方、地球温暖化、人口増、都市化、高齢化が進むと共に、素材、エンジン、AIを駆使した自動運転など、多様な技術革新が生まれ、また実用化されようとしています。人々の意識はそれらに応じて変化が生じており、安全・環境意識の高まりに加えて、移動手段について、所有から利用へのシフトが進んでいます。これらを背景に、業界慣習を超えた多様かつ革新的なビジネスモデルが、業種を超えて出現しつつあり、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。
⑤化学品セグメント
シェール革命により、北米の石油化学事業の競争力が回復し、中東と並ぶ供給拠点になったことで石油化学品のトレードフローにも変化が起こっています。一方、中国における資本・環境規制や、中東の地政学リスクに起因して石油化学品の市況のボラティリティが高まる可能性があります。
機能・先端材料およびスペシャリティケミカルの領域では、環境意識の高まりやQuality Of Lifeの向上、技術革新の進展といった世界的なマクロ環境を背景に、軽量化と電装化が進む「自動車」、食品・洗剤・パーソナルケアなどの「コンシューマープロダクツ」、電子材料・ロボティクス・ヘルスケアなどの「ICT・新産業」等の成長領域に着目しています。
農業化学や食品・栄養科学の領域では、世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い食糧増産ニーズが、また中間所得者層の増加や健康意識の向上に伴い食の高付加価値ニーズが増大し、市場は引続き拡大すると見込まれます。
⑥エネルギーセグメント
世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も増加する見込みであり、中長期的に石油・天然ガス・石炭・原子燃料が主要一次エネルギーとして継続する見通しです。一方で気候変動問題への政策導入で化石燃料のエネルギー需要が2030年~2040年にはプラトーとなるシナリオもある為、コスト競争力のある優良資産のポートフォリオ構築が基本戦略の重要な柱となります。
原油市況は、中長期的には需要が増加する一方で、供給面では新規上流投資抑制による開発鈍化の影響、より高コストの油田開発必要性等により、緩やかな上昇基調を見込んでいます。一方で、EVの急速な普及や環境規制の強化等による原油需要の減少に関しては、蓋然性や影響を見極めて行く必要があります。
LNG市況は、短期的には豪州・米国などにおける新規大型LNGプロジェクトの立ち上がりに比し需要の伸長ペースが合わず、供給過剰の状態が当面継続する見込みですが、中長期的には新興輸入国の市場拡大や環境特性から堅調な需要伸長を背景に、2020年代初頭には需給ギャップが解消する見込みです。
当社は、E&P及びLNGプロジェクトを含む上流事業では主体的な取組みを強化し、市況下落による開発費用などの低下局面を活かして収益性を向上させ、未開発埋蔵量の開発促進や優良資産の取得を通じ、より強固な収益基盤の構築をさらに進めています。又、グローバルな事業推進・物流体制の強化によりプレゼンスを一層高めるとともに、新興国を中心とした新たな需要の取り込みや当社機能を通じた発電所・ターミナル等のインフラ事業への取組みなど、上流から中~下流までバリューチェーンで事業を展開し収益基盤を強化、事業ポートフォリオの持続的な価値創造力を高めていきます。
気候変動対応として、よりクリーンなエネルギーへのシフトや低炭素社会への対応が期待されています。急激な技術革新によるコスト低減を背景に、太陽光・風力等を中心とする再生可能エネルギーの増加率は高く、増加ペース次第では一次エネルギー供給構成に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は長期的な視点からエネルギービジネスのトレンドを捉えて、次世代を睨んだポートフォリオの構築を進めると共に、総合的なエネルギーの安定供給を通じて社会の持続的な成長に貢献していきます。
⑦生活産業セグメント
世界的な人口増加・世界経済の成長を背景に、食糧需要は今後も持続的に増加する見込みですが、先進国を中心とした農業人口の減少や気候変動による生産適地の変化などを背景に、食糧供給地の偏在化が進んでおり、食糧資源の確保と安定供給へのニーズが一層高まると予想されます。また、世界的な中間所得者層の増加に伴い、食糧需要は美味しさや動物性たんぱく質嗜好など高度化が進み、更に高齢化も相俟って健康向上・疾病予防・安全・安心など多様化が進んでおり、これら食の高付加価値ニーズへの対応も求められるようになります。
成熟した日本の消費市場では、人口減少や少子高齢化などにより、消費量は緩やかに減少していく見通しです。量だけでなく、高齢化や女性の社会進出による共働き世帯・少人数世帯の増加などに伴うライフスタイルの変化を背景に、例えば医療・健康の重視や利便性・安全性の追求など、求められるサービスの質も大きく変化しています。
アジアを中心とした新興国では、人口増加と高齢化、中間所得者層の拡大、経済発展に伴う慢性疾患の増加など疾病構造の変化に伴い、医療費支出の伸びが加速しています。一方、医療サービスの供給が追い付いておらず、医療の需給ギャップは更に拡大していくことが見込まれます。今後、質の高い医療サービスの供給を増やすことと、医療費支出を抑制していくという難しい課題への対応が求められるようになります。
⑧次世代・機能推進セグメント
ICT事業分野においては、人工知能やロボティクス、IoTの浸透により、データ資産の価値が益々増大し、消費者へのパワーシフトが着実に進行しています。高度なICT技術と実体経済が密接にかかわる次世代社会に向けて、技術革新とともに、今後も新たなサービスやビジネスモデルが創造される変化の激しい環境にあり、タイミングを逃さぬスピード感が必要とされています。
コーポレートディベロップメント分野においては、不動産事業と金融事業の知見を融合させた不動産アセットマネジメント事業が、先進国・新興国を問わずグローバルに拡大していますが、今後の欧米での量的緩和縮小と政策金利引き上げの動向には注視が必要です。また、企業が事業拡大を行う上で、経営ノウハウおよび資金の提供者であるバイアウトファンドといったPEファンドが果たすべき役割はますます重要となっています。
(3)2019年3月期における取組み
2019年3月期は中期経営計画最終年度となる2020年3月期の目標を達成するための非常に重要な1年であり、2018年3月期に引き続き、中期経営計画の重点施策を継続的に推進し、基礎収益力を着実に拡大させてまいります。
①2019年3月期アクションプラン
中核分野(金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品)のうち、金属資源・エネルギーでは、引き続き埋蔵量・生産量・コスト競争力の三位一体の強化を進めます。金属資源では、豪州での既存事業の収益基盤拡充を継続的に進めるほか、チリカセロネス銅鉱山の操業改善を図ります。エネルギーでは、モザンビークLNG事業の最終投資判断に向けた取組みを進めるほか、今期予定する米国Kaikias及びイタリアTempa Rossa両油田の生産を確実に開始します。また、TOBにより子会社化が決定した豪州AWEと当社グループの統合を着実に推進し、原油・ガスの上・中流事業基盤を強化するとともにオペレーター機能の装備を進めます。
機械・インフラでは、建設中の新規発電事業の着実な立上げを行うほか、2017年3月期に買収した米国太陽光発電事業Forefront Powerによる分散電源・サービス型事業など、次世代電力領域への取組みも加速します。また、鉄道、自動車、航空機などの分野においてリース・レンタル・シェアリング事業といったモビリティーサービスの取組みを複合的に深化させていきます。
化学品では、米国タンクターミナル事業ITCの増設を進めるほか、関西ペイントとの合弁となるKansai Helios Coatingsを中心としたコーティングマテリアルズ事業を展開します。更には、米国飼料添加物製造販売事業Novus Internationalについて、メチオニン製造能力拡大など成長戦略を進めていきます。
また、前期に引き続き赤字会社の削減に継続的に取り組み、既存事業の良質化・果実化を徹底的に行うほか、4つの成長分野(モビリティ、ヘルスケア、ニュートリション・アグリカルチャー、リテール・サービス)での取組みを更に加速し、中核分野に続く次の収益の柱の育成に注力します。
②事業資産群とその利益貢献・キャッシュ創出開始時期
2019年3月期には、エネルギー、機械・インフラ、化学品の中核分野事業資産に加え、鉄鋼製品や生活産業などでも新規案件による利益貢献やキャッシュ創出の開始が見込まれます。案件の着実な立上げに万全を期すことで収益基盤の強化を進め、中期経営計画の定量目標の達成を目指します。

③キャッシュ・フロー配分の実績及び最新見通し(中期経営計画3年間累計)
2018年3月期の実績と2019年3月期の計画を踏まえて、昨年5月に公表した中期経営計画3年間累計のキャッシュ・フロー配分を今般以下のとおり見直しました。
基礎営業キャッシュ・フローの拡大及び株主還元の増加を反映する一方、投資規律の徹底を継続することで、3年間累計の投融資総額は1.7~1.9兆円、また、資産リサイクルは7,000億円を維持します。なお、株主還元の3年間累計の金額は、便宜的に、2020年3月期を昨年公表した下限配当1,000億円と置いて、算出したものです。
この結果、3年間累計での株主還元後のフリー・キャッシュ・フローは2,700~4,700億円まで増加することを見込んでおり、これを、その時々の経営状況に鑑みて、追加株主還元、有利子負債の返済、追加投資に配分します。

④利益配分に関する考え方
株主還元策については第4 提出会社の状況 3「配当政策」を参照願います。
(4)2019年3月期連結業績予想
①2019年3月期連結業績予想
為替レートは2018年3月期の110.70円/米ドル、85.77円/豪ドル及び34.25円/伯レアルに対し、2019年3月期はそれぞれ110円/米ドル、85円/豪ドル及び33円/伯レアルを想定します。また、2019年3月期の原油価格(JCC)を59米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の連結決算に適用される原油価格の平均を61米ドル/バレル(2018年3月期比7米ドル/バレル上昇)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
②2019年3月期連結業績予想における前提条件
2019年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
(*1)原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2019年3月期には51%が4~6ヵ月遅れで、40%が1~3ヵ月遅れで、9%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は連結油価に対する年間インパクト。
(*2)当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対する感応度ではなく、加重平均ガス販売価格に対する感応度。
(*3)HH連動の販売価格は、HH価格US$3.00/mmBtuを前提として使用している。
(*4)NYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの2017年1月~12月の直近限月終値のdaily平均値を記載。
(*5)鉄鉱石の前提価格は非開示。
(*6)複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaの2017年4月~2018年3月のdaily平均値(参考値)を記載。
(*7)銅価格は3ヶ月遅れで当社連結業績に反映される為、上記感応度は2018年3月~12月のLME cash selltement price平均価格がUS$100/トン変動した場合に対するインパクト。
(*8)LME cash settlement priceの2017年1月~12月のmonthly averageの平均値を記載。
(*9)各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する感応度。円安は機能通貨建て当期利益(損失)の円貨換算を通じて増益要因となる。金属資源・エネルギー生産事業における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。
注) 経営成績に対する外国為替相場の影響について
2017年3月期及び2018年3月期の海外の連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計はそれぞれ3,143億円及び3,121億円です。これらの海外所在の連結子会社及び持分法適用会社の機能通貨は、主として米ドル、豪ドル、伯レアルです。2019年3月期連結業績予想の当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する為替変動の影響について、当社は簡便的な推定を行っています。
(a)具体的には、業績予想策定の過程で、海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を各社の機能通貨別に集計し、まず豪ドル、伯レアル建ての予想当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計額を算出するほか、両通貨以外の機能通貨を使用する関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を全て米ドル相当額に換算しました。これら3つの通貨別に表示された予想当期利益(親会社の所有者に帰属)に対して為替変動の影響を評価しました。これによれば米ドルに対する円高は、1円当たり26億円程度の当期利益(親会社の所有者に帰属)の減少をもたらすと試算されます。また、豪ドル及び伯レアルを機能通貨とする連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)に係る円高の影響は、1豪ドル及び1伯レアル当たりでそれぞれ1円の円高で17億円及び7億円の減益となります。
(b)なお、豪ドル及び伯レアルを機能通貨とする資源・エネルギー関連生産会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)は、両通貨と契約上の建値通貨である米ドルとの間での為替変動の影響を大きく受けます。この影響額は、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。
(c)但し、資源・エネルギー関連生産会社などでは、一部において、販売契約の契約通貨である米ドルと機能通貨の為替ヘッジを行っているほか、外貨建の当期利益(親会社の所有者に帰属)の円貨相当評価に係る為替ヘッジを行っている場合があります。これらの影響額についても、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。
(1)中期経営計画の進捗状況
2017年5月に公表した中期経営計画「Driving Value Creation」(*)の初年度である2018年3月期の進捗は次のとおりです。
(*)「Driving Value Creation」に込められた意味:多様なプロ人材が、三井物産グループの総合力とネットワークを駆使し、主体的な事業創出に取り組み、新たな事業価値を持続的に創造する。
①中期経営計画の4つの重点施策
(a) 強固な収益基盤づくりと既存事業の徹底強化
(b) 新たな成長分野の確立
(c) キャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤の強化
(d) ガバナンス・人材・イノベーション機能の強化
②中期経営計画の進捗状況
◇重点施策(a) 強固な収益基盤づくりと既存事業の徹底強化
強固な収益力を有する金属資源・エネルギーに加え、鉄鋼製品や機械・インフラを中心に非資源分野も順調な伸びを示し、以下に示す具体的成果を中心に各セグメントにおいて収益基盤強化が進み、2020年3月期の中期経営計画目標達成に向けて確りとした足場固めが図られました。とりわけ、評価性損益を除く非資源分野の利益は1,700億円レベルまで向上し、2020年3月期の非資源分野の利益目標である2,000億円に向けて順調な滑り出しとなっています。

◇重点施策(b) 新たな成長分野の確立
2018年3月期は4つの成長分野のうち、特にモビリティとヘルスケアを中心に具体的な進捗がありました。
モビリティでは、欧州を起点とした商用車電動化へのさまざまな取組みを本格化しました。また、英国旅客鉄道など鉄道関連事業の拡充や、チリにおける自動車オペレーティングリース・レンタカー事業などの取組みも進めています。
ヘルスケアでは、従来から進めている東南アジアにおける病院事業を拡大したほか、ロシアの製薬会社への出資を通じた同国新薬ニーズの取込み、更には米国ヘルスケア専門職派遣・紹介事業への出資など、当社のヘルスケアエコシステムの構築・拡充を着実に進めています。
一方、ニュートリション・アグリカルチャーでは、東アフリカで農産物・農業資材取引や食品製造販売事業を展開するETC Groupへの出資参画合意を通じて、ネットワークの拡充を進めたほか、曽田香料の公開買付けなど、フードサイエンス領域の強化を進めています。
また、リテール・サービスでは、国内外のアセットマネジメント事業を通じて投資家の多様なニーズに応えることで、過去1年間に運用資産を1.9兆円まで拡大しました。ファッション・リテール事業では、ビギホールディングスを買収し、同社の企画・販売プラットフォームを通じて消費者接点を拡充しマーケティング機能と販売力を強化していきます。
◇重点施策(c) キャッシュ・フロー経営の深化と財務基盤の強化
中期経営計画におけるキャッシュ・フロー・アロケーションの進捗については、3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)流動性と資金調達の源泉 ④投融資と財務政策」を参照願います。
◇重点施策(d) ガバナンス・人材・イノベーション機能の強化
ガバナンスの強化では、取締役会メンバーの多様化を進めることでバランスを更に改善するとともに、取締役会では、当社の大きな方向性や戦略についてより多くの議論を行うなど、取締役会の実効性強化を進めました。また、従来のCSR推進委員会の役割を拡大して、新たにサステナビリティ委員会を設置することで、社会と当社の持続可能性をより意識した経営を推進しています。
人材の強化においては、コーポレート人材の営業現場へのシフトを大胆に進めており、2018年3月期において70名以上を営業の前線に送るなど、会社全体の「稼ぐ力」の強化を進めています。また、個人単位の時差出勤制度の導入など、社員の生産性向上のための諸施策を実行したほか、社員の挑戦を後押しする取組みとして社内起業制度を導入し、現在選定案件2件について事業化の準備を進めています。
イノベーション機能の強化については、チーフ・デジタル・オフィサー(CDO)を昨年5月に設置しました。CDOの強いリーダーシップの下、デジタルトランスフォーメーション活動を全社的に展開し、「既存事業のコスト削減」、「既存事業の売上増加」、「新規事業開発」の3つの枠組みにおいて、検討中のものも含め現在50~60件の案件に取り組んでいます。
(2)経営環境
①全般
注:本項目は、2018年5月の決算公表時点の経営環境認識を掲載したものであり、当社の現在の経済環境認識と異なる記載が含まれている場合があります。
当連結会計年度の世界経済は、堅調な消費や投資に支えられ、先進国、新興国共に緩やかな成長が継続しました。
米国は、良好な雇用所得環境を背景に個人消費が底堅く推移し、また税制改革による設備投資の押し上げ効果も期待され、当面は景気回復が続くとみられます。欧州では、消費や投資の拡大により景気は底堅く推移してきましたが、企業の景況感も頭打ちとなりつつあり、今後は成長鈍化が予想されます。日本は、雇用環境の改善により個人消費が底堅く推移するほか、オリンピック・パラリンピック関連投資に加え、省力化を中心とした設備投資の増加もあり、緩やかな景気回復が継続するとみられます。新興国では、中国は安定成長を維持しつつも、過剰な設備や債務の調整などに伴う成長鈍化が予想される一方で、インドでは物品サービス税導入などの経済改革が進み、今後の成長が期待されます。また、ブラジルでは消費や投資が持ち直し、緩やかな回復基調が継続するとみられますが、ロシアでは米国等による制裁が続いていることもあり、低成長が続くとみられます。
世界経済は、今後も緩やかな回復基調を辿るとみられますが、中東を巡る地政学リスクの高まりに加え、一部に成熟感が見られる欧米経済の先行きやFRBの金融引締めによる新興国経済への影響、更には米国の通商政策の動向には、引き続き注意が必要です。
②鉄鋼製品セグメント
2017年暦年の世界の粗鋼生産は前年比5.3%増の約17億トンとなり、中国・インドをはじめとした新興国のみならず、EU・北米などの先進国でも需要は増加しています。一方で供給サイドは世界の粗鋼生産の半分を占める中国を中心に過剰能力は解消されておらず、厳しい事業環境が継続しています。このような環境を受け、製鉄業統合に伴い、鋼材流通分野でも更なる業界再編が生じる可能性があります。
中長期的には、国内の鉄鋼市場が人口減少などにより緩やかに縮小する一方で、米州・アジアを牽引役とした世界経済の回復に伴い、海外では鉄鋼需要は増加していく見通しで、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。
③金属資源セグメント
短期的には中国や新興国の成長鈍化などにより市況が低迷するリスクがありますが、鉄鋼や非鉄金属は産業の基幹素材であり、その原料に対する需要は長期的な伸びが見込まれます。一方、開発・生産コストの上昇や既存鉱山の枯渇や品位悪化に加え、優良未開発案件には限りがあるため、供給が追いつかず、長期的には需給は逼迫していく見込みです。当セグメントが携わる金属資源分野は、引続き重要性が高いビジネスです。
④機械・インフラセグメント
人口増加・経済発展の著しい新興諸国では、電力・水・物流などの基幹インフラ整備の需要、先進国ではインフラ老朽化による改修需要が高まっています。また、環境負荷の低い再生可能エネルギーの急速な広がりなど低炭素社会へのインフラ投資需要が拡大しています。また、エネルギー分野では、資源開発にかかる設備の高度化・大型化・複雑化により、総合的な開発需要の増加が期待されます。例えば、米国においては、シェールガス・オイルの開発により、開発インフラのみならず、パイプライン輸送や下流の化学品製造、ガス火力発電、LNG出荷設備などのニーズが生じています。他方、先進国を中心とした各国中央銀行による量的緩和を背景に、政策金利は歴史的な低水準となっており、運用先を求める資金の増加から、安定収益を見込めるインフラ案件への関心は高まっており、引続き重要性が高いビジネスです。
新興国経済の成長に伴い、中長期的には資源・エネルギー需要も増加、それに伴い鉱山機械需要は回復、また陸海ともに物流増加による市況回復が期待されます。製造業回帰の進む米国の景気回復基調は、当社の自動車・トラック・工作機械・建設機械事業では追い風となります。新興国における経済成長に伴う環境問題への関心の高まりや、渋滞緩和に向けた公共交通機関へのモーダルシフトによる旅客・貨物鉄道整備の需要も高まると見込まれます。世界的に経済成長が緩やかながら続くことから、中長期的には航空旅客は増加し、機体・エンジン需要も伸びると期待されます。一方、地球温暖化、人口増、都市化、高齢化が進むと共に、素材、エンジン、AIを駆使した自動運転など、多様な技術革新が生まれ、また実用化されようとしています。人々の意識はそれらに応じて変化が生じており、安全・環境意識の高まりに加えて、移動手段について、所有から利用へのシフトが進んでいます。これらを背景に、業界慣習を超えた多様かつ革新的なビジネスモデルが、業種を超えて出現しつつあり、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。
⑤化学品セグメント
シェール革命により、北米の石油化学事業の競争力が回復し、中東と並ぶ供給拠点になったことで石油化学品のトレードフローにも変化が起こっています。一方、中国における資本・環境規制や、中東の地政学リスクに起因して石油化学品の市況のボラティリティが高まる可能性があります。
機能・先端材料およびスペシャリティケミカルの領域では、環境意識の高まりやQuality Of Lifeの向上、技術革新の進展といった世界的なマクロ環境を背景に、軽量化と電装化が進む「自動車」、食品・洗剤・パーソナルケアなどの「コンシューマープロダクツ」、電子材料・ロボティクス・ヘルスケアなどの「ICT・新産業」等の成長領域に着目しています。
農業化学や食品・栄養科学の領域では、世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い食糧増産ニーズが、また中間所得者層の増加や健康意識の向上に伴い食の高付加価値ニーズが増大し、市場は引続き拡大すると見込まれます。
⑥エネルギーセグメント
世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も増加する見込みであり、中長期的に石油・天然ガス・石炭・原子燃料が主要一次エネルギーとして継続する見通しです。一方で気候変動問題への政策導入で化石燃料のエネルギー需要が2030年~2040年にはプラトーとなるシナリオもある為、コスト競争力のある優良資産のポートフォリオ構築が基本戦略の重要な柱となります。
原油市況は、中長期的には需要が増加する一方で、供給面では新規上流投資抑制による開発鈍化の影響、より高コストの油田開発必要性等により、緩やかな上昇基調を見込んでいます。一方で、EVの急速な普及や環境規制の強化等による原油需要の減少に関しては、蓋然性や影響を見極めて行く必要があります。
LNG市況は、短期的には豪州・米国などにおける新規大型LNGプロジェクトの立ち上がりに比し需要の伸長ペースが合わず、供給過剰の状態が当面継続する見込みですが、中長期的には新興輸入国の市場拡大や環境特性から堅調な需要伸長を背景に、2020年代初頭には需給ギャップが解消する見込みです。
当社は、E&P及びLNGプロジェクトを含む上流事業では主体的な取組みを強化し、市況下落による開発費用などの低下局面を活かして収益性を向上させ、未開発埋蔵量の開発促進や優良資産の取得を通じ、より強固な収益基盤の構築をさらに進めています。又、グローバルな事業推進・物流体制の強化によりプレゼンスを一層高めるとともに、新興国を中心とした新たな需要の取り込みや当社機能を通じた発電所・ターミナル等のインフラ事業への取組みなど、上流から中~下流までバリューチェーンで事業を展開し収益基盤を強化、事業ポートフォリオの持続的な価値創造力を高めていきます。
気候変動対応として、よりクリーンなエネルギーへのシフトや低炭素社会への対応が期待されています。急激な技術革新によるコスト低減を背景に、太陽光・風力等を中心とする再生可能エネルギーの増加率は高く、増加ペース次第では一次エネルギー供給構成に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社は長期的な視点からエネルギービジネスのトレンドを捉えて、次世代を睨んだポートフォリオの構築を進めると共に、総合的なエネルギーの安定供給を通じて社会の持続的な成長に貢献していきます。
⑦生活産業セグメント
世界的な人口増加・世界経済の成長を背景に、食糧需要は今後も持続的に増加する見込みですが、先進国を中心とした農業人口の減少や気候変動による生産適地の変化などを背景に、食糧供給地の偏在化が進んでおり、食糧資源の確保と安定供給へのニーズが一層高まると予想されます。また、世界的な中間所得者層の増加に伴い、食糧需要は美味しさや動物性たんぱく質嗜好など高度化が進み、更に高齢化も相俟って健康向上・疾病予防・安全・安心など多様化が進んでおり、これら食の高付加価値ニーズへの対応も求められるようになります。
成熟した日本の消費市場では、人口減少や少子高齢化などにより、消費量は緩やかに減少していく見通しです。量だけでなく、高齢化や女性の社会進出による共働き世帯・少人数世帯の増加などに伴うライフスタイルの変化を背景に、例えば医療・健康の重視や利便性・安全性の追求など、求められるサービスの質も大きく変化しています。
アジアを中心とした新興国では、人口増加と高齢化、中間所得者層の拡大、経済発展に伴う慢性疾患の増加など疾病構造の変化に伴い、医療費支出の伸びが加速しています。一方、医療サービスの供給が追い付いておらず、医療の需給ギャップは更に拡大していくことが見込まれます。今後、質の高い医療サービスの供給を増やすことと、医療費支出を抑制していくという難しい課題への対応が求められるようになります。
⑧次世代・機能推進セグメント
ICT事業分野においては、人工知能やロボティクス、IoTの浸透により、データ資産の価値が益々増大し、消費者へのパワーシフトが着実に進行しています。高度なICT技術と実体経済が密接にかかわる次世代社会に向けて、技術革新とともに、今後も新たなサービスやビジネスモデルが創造される変化の激しい環境にあり、タイミングを逃さぬスピード感が必要とされています。
コーポレートディベロップメント分野においては、不動産事業と金融事業の知見を融合させた不動産アセットマネジメント事業が、先進国・新興国を問わずグローバルに拡大していますが、今後の欧米での量的緩和縮小と政策金利引き上げの動向には注視が必要です。また、企業が事業拡大を行う上で、経営ノウハウおよび資金の提供者であるバイアウトファンドといったPEファンドが果たすべき役割はますます重要となっています。
(3)2019年3月期における取組み
2019年3月期は中期経営計画最終年度となる2020年3月期の目標を達成するための非常に重要な1年であり、2018年3月期に引き続き、中期経営計画の重点施策を継続的に推進し、基礎収益力を着実に拡大させてまいります。
①2019年3月期アクションプラン
中核分野(金属資源・エネルギー、機械・インフラ、化学品)のうち、金属資源・エネルギーでは、引き続き埋蔵量・生産量・コスト競争力の三位一体の強化を進めます。金属資源では、豪州での既存事業の収益基盤拡充を継続的に進めるほか、チリカセロネス銅鉱山の操業改善を図ります。エネルギーでは、モザンビークLNG事業の最終投資判断に向けた取組みを進めるほか、今期予定する米国Kaikias及びイタリアTempa Rossa両油田の生産を確実に開始します。また、TOBにより子会社化が決定した豪州AWEと当社グループの統合を着実に推進し、原油・ガスの上・中流事業基盤を強化するとともにオペレーター機能の装備を進めます。
機械・インフラでは、建設中の新規発電事業の着実な立上げを行うほか、2017年3月期に買収した米国太陽光発電事業Forefront Powerによる分散電源・サービス型事業など、次世代電力領域への取組みも加速します。また、鉄道、自動車、航空機などの分野においてリース・レンタル・シェアリング事業といったモビリティーサービスの取組みを複合的に深化させていきます。
化学品では、米国タンクターミナル事業ITCの増設を進めるほか、関西ペイントとの合弁となるKansai Helios Coatingsを中心としたコーティングマテリアルズ事業を展開します。更には、米国飼料添加物製造販売事業Novus Internationalについて、メチオニン製造能力拡大など成長戦略を進めていきます。
また、前期に引き続き赤字会社の削減に継続的に取り組み、既存事業の良質化・果実化を徹底的に行うほか、4つの成長分野(モビリティ、ヘルスケア、ニュートリション・アグリカルチャー、リテール・サービス)での取組みを更に加速し、中核分野に続く次の収益の柱の育成に注力します。
②事業資産群とその利益貢献・キャッシュ創出開始時期
2019年3月期には、エネルギー、機械・インフラ、化学品の中核分野事業資産に加え、鉄鋼製品や生活産業などでも新規案件による利益貢献やキャッシュ創出の開始が見込まれます。案件の着実な立上げに万全を期すことで収益基盤の強化を進め、中期経営計画の定量目標の達成を目指します。

③キャッシュ・フロー配分の実績及び最新見通し(中期経営計画3年間累計)
2018年3月期の実績と2019年3月期の計画を踏まえて、昨年5月に公表した中期経営計画3年間累計のキャッシュ・フロー配分を今般以下のとおり見直しました。
基礎営業キャッシュ・フローの拡大及び株主還元の増加を反映する一方、投資規律の徹底を継続することで、3年間累計の投融資総額は1.7~1.9兆円、また、資産リサイクルは7,000億円を維持します。なお、株主還元の3年間累計の金額は、便宜的に、2020年3月期を昨年公表した下限配当1,000億円と置いて、算出したものです。
この結果、3年間累計での株主還元後のフリー・キャッシュ・フローは2,700~4,700億円まで増加することを見込んでおり、これを、その時々の経営状況に鑑みて、追加株主還元、有利子負債の返済、追加投資に配分します。

④利益配分に関する考え方
株主還元策については第4 提出会社の状況 3「配当政策」を参照願います。
(4)2019年3月期連結業績予想
①2019年3月期連結業績予想
| [業績予想の前提条件] | ||
| 期中平均米ドル為替レート | 110.00 | 110.70 |
| 原油価格(JCC) | 59ドル | 57ドル |
| 期ずれを考慮した当社連結決算に反映される原油価格 | 61ドル | 54ドル |
| 単位:億円 | 2019年3月期業績予想 | 2018年3月期 実績 | 増減 | 増減要因 |
| 売上総利益 | 8,300 | 7,907 | +393 | 原油価格上昇 |
| 販売費及び一般管理費 | △5,600 | △5,717 | +117 | カセロネス償却関係経費反動 |
| 有価証券・固定資産 関係損益等 | 0 | 357 | △357 | Valepar再編・Multigrain引当金反動 |
| 利息収支 | △400 | △300 | △100 | |
| 受取配当金 | 1,000 | 848 | +152 | 金属資源セグメント受取配当増 |
| 持分法による投資損益 | 2,600 | 2,349 | +251 | 損失案件反動 |
| 法人所得税前利益 | 5,900 | 5,444 | +456 | |
| 法人所得税 | △1,500 | △1,031 | △469 | Valepar再編反動 |
| 非支配持分 | △200 | △228 | +28 | |
| 当期利益 (親会社の所有者に帰属) | 4,200 | 4,185 | +15 | |
| 減価償却費・無形資産等償却費 | 2,000 | 1,926 | +74 | |
| 基礎営業キャッシュ・フロー | 5,700 | 6,665 | △965 |
為替レートは2018年3月期の110.70円/米ドル、85.77円/豪ドル及び34.25円/伯レアルに対し、2019年3月期はそれぞれ110円/米ドル、85円/豪ドル及び33円/伯レアルを想定します。また、2019年3月期の原油価格(JCC)を59米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の連結決算に適用される原油価格の平均を61米ドル/バレル(2018年3月期比7米ドル/バレル上昇)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
| (単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 | 2018年3月期 実績 | 増減 | 増減要因 |
| 鉄鋼製品 | 150 | 247 | △97 | デリバティブ評価益反動 |
| 金属資源 | 1,750 | 2,576 | △826 | Valepar再編利益反動 |
| 機械・インフラ | 850 | 896 | △46 | |
| 化学品 | 400 | 342 | +58 | |
| エネルギー | 650 | 486 | +164 | 米国税制改正反動 |
| 生活産業 | 250 | △263 | +513 | Multigrain関連損失反動 |
| 次世代・機能推進 | 150 | △46 | +196 | 評価損反動 |
| その他/調整・消去 | 0 | △53 | +53 | |
| 連結合計 | 4,200 | 4,185 | +15 |
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
| (単位:億円) | 2019年3月期 業績予想 | 2018年3月期 実績 | 増減 | 増減要因 |
| 鉄鋼製品 | 100 | 142 | △42 | |
| 金属資源 | 2,000 | 2,408 | △408 | 鉄鉱石/石炭価格下落、持分法配当減 |
| 機械・インフラ | 850 | 1,588 | △738 | IPP事業持分法配当減 |
| 化学品 | 550 | 502 | +48 | |
| エネルギー | 1,800 | 1,753 | +47 | |
| 生活産業 | 150 | 71 | +79 | |
| 次世代・機能推進 | 150 | 31 | +119 | 公正価値評価(FVTPL)反動 |
| その他/調整・消去 | 100 | 170 | △70 | |
| 連結合計 | 5,700 | 6,665 | △965 |
②2019年3月期連結業績予想における前提条件
2019年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
| 価格変動の2019年3月期 当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額 | 2019年3月期 前提 | 2018年3月期 実績 | ||||
| 市況商品 | 原油/JCC | - | 59 | 57 | ||
| 連結油価(*1) | 29 | 億円(US$1/バレル) | 61 | 54 | ||
| 米国ガス(*2) | 5 | 億円(US$0.1/mmBtu) | 3.00(*3) | 3.03(*4) | ||
| 鉄鉱石 | 23 | 億円(US$1/トン) | (*5) | 68(*6) | ||
| 銅(*7) | 10 | 億円(US$100/トン) | 7,000 | 6,163(*8) | ||
| 為替(*9) | 米ドル | 26 | 億円(\1/米ドル) | 110 | 110.70 | |
| 豪ドル | 17 | 億円(\1/豪ドル) | 85 | 85.77 | ||
| 伯レアル | 7 | 億円(\1/伯レアル) | 33 | 34.25 | ||
(*1)原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2019年3月期には51%が4~6ヵ月遅れで、40%が1~3ヵ月遅れで、9%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は連結油価に対する年間インパクト。
(*2)当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対する感応度ではなく、加重平均ガス販売価格に対する感応度。
(*3)HH連動の販売価格は、HH価格US$3.00/mmBtuを前提として使用している。
(*4)NYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの2017年1月~12月の直近限月終値のdaily平均値を記載。
(*5)鉄鉱石の前提価格は非開示。
(*6)複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaの2017年4月~2018年3月のdaily平均値(参考値)を記載。
(*7)銅価格は3ヶ月遅れで当社連結業績に反映される為、上記感応度は2018年3月~12月のLME cash selltement price平均価格がUS$100/トン変動した場合に対するインパクト。
(*8)LME cash settlement priceの2017年1月~12月のmonthly averageの平均値を記載。
(*9)各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する感応度。円安は機能通貨建て当期利益(損失)の円貨換算を通じて増益要因となる。金属資源・エネルギー生産事業における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。
注) 経営成績に対する外国為替相場の影響について
2017年3月期及び2018年3月期の海外の連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計はそれぞれ3,143億円及び3,121億円です。これらの海外所在の連結子会社及び持分法適用会社の機能通貨は、主として米ドル、豪ドル、伯レアルです。2019年3月期連結業績予想の当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する為替変動の影響について、当社は簡便的な推定を行っています。
(a)具体的には、業績予想策定の過程で、海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を各社の機能通貨別に集計し、まず豪ドル、伯レアル建ての予想当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計額を算出するほか、両通貨以外の機能通貨を使用する関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を全て米ドル相当額に換算しました。これら3つの通貨別に表示された予想当期利益(親会社の所有者に帰属)に対して為替変動の影響を評価しました。これによれば米ドルに対する円高は、1円当たり26億円程度の当期利益(親会社の所有者に帰属)の減少をもたらすと試算されます。また、豪ドル及び伯レアルを機能通貨とする連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)に係る円高の影響は、1豪ドル及び1伯レアル当たりでそれぞれ1円の円高で17億円及び7億円の減益となります。
(b)なお、豪ドル及び伯レアルを機能通貨とする資源・エネルギー関連生産会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)は、両通貨と契約上の建値通貨である米ドルとの間での為替変動の影響を大きく受けます。この影響額は、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。
(c)但し、資源・エネルギー関連生産会社などでは、一部において、販売契約の契約通貨である米ドルと機能通貨の為替ヘッジを行っているほか、外貨建の当期利益(親会社の所有者に帰属)の円貨相当評価に係る為替ヘッジを行っている場合があります。これらの影響額についても、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。