訂正有価証券報告書-第102期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)
有報資料
この経営方針、経営環境、対処すべき課題等には、将来に関する記述が含まれています。こうした記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた仮定、予期及び見解に基づくものであり、既知及び未知のリスクや不確実性及びその他の要素を内包するものです。2「事業等のリスク」などに記載された事項及びその他の要素によって、当社の実際の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況が、こうした将来に関する記述とは大きく異なる可能性があります。
(1)中期経営計画の進捗状況
2020年5月に公表した中期経営計画「変革と成長」の初年度である2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染拡大の中でも、プロジェクトの着実な推進と、事業環境の変化を踏まえた競争力のあるポートフォリオへの組み替え及び収益基盤の強化を図りました。主な進捗は以下のとおりです。
①プロジェクトの着実な推進及び強固な収益力の実現
新型コロナウイルスの影響下においても、全セグメントを通じて日常生活に不可欠な資源・素材・食料・サービスを安定的に供給し、定性・定量面で貢献しました。金属資源セグメントにおける当社最大の収益源である豪州鉄鉱石事業の鉱量維持・拡充、エネルギーセグメントでは米国Cameron LNG全系列生産開始、西豪州ガス田開発の最終投資決断、機械・インフラセグメントのIPP事業、化学品の農薬・農業資材事業等、当社の基幹事業における各種プロジェクトも着実に進展しました。更に、新型コロナウイルスにより高まった巣ごもり需要や、デジタル・セキュリティー需要をしっかりと取り込むことで収益力の向上につなげました。
新事業への挑戦においては、新しいビジネスをゼロから「つくる」ための子会社、Moon Creative Lab Inc.において20を超えるプロジェクトのインキュベーションが進行し、また、AI、ロボティクス、ビッグデータなどのデジタル技術を活用した既存事業の収益向上やビジネスモデル構築の取組みも加速させています。
②下方耐性強化への取組み
収益の下方耐性強化への取組みとして、事業性の再評価を実施し、ポートフォリオの組み替えを推進しました。金属資源セグメントでは、チリのカセロネス銅鉱山事業の売却、モザンビークのモアティーズ炭鉱/ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業の持分売却に合意した一方、チリのコジャワシ銅鉱山の権益を追加取得しました。エネルギーセグメントでは、脱炭素社会に向けて量より質を追求するE&P資産価値向上への戦略転換を実施しました。既存事業の再編として、国内ビジネスでは、生活産業セグメントにおいて中間流通機能子会社集約を目的とした三井物産流通ホールディングスの設立、三井製糖及び大日本明治製糖の統合による国内製糖業界再編、アパレル事業の合併検討、次世代・機能推進セグメントにおけるICT関連子会社の三井情報と三井物産エレクトロニクスの合併、米国ではエネルギーセグメントにおける石油・ガス事業での子会社再編等を実施しました。これら既存事業の再編・再構築を通じ、下方耐性及び競争力強化の取組みを加速させています。
2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で事業環境が大きく変化しましたが、コスト競争力向上のための構造改革の実施等、各事業で下方耐性の強化が進展しました。
③事業経営力強化・DX推進
昨年5月の新本社への移転をきっかけに、デジタル技術の一層活用やグループアドレス(組織ごとのフリーアドレス)の導入等を通じた社員の行動様式の変革に加え、成果へのコミットメントを念頭においた人事制度改定による社員の意識変革等、新型コロナウイルス感染収束後も見据えた次世代「働き方改革」を推進しています。また、グローバル・グループでの適材適所と総戦力化を図るべく、グローバル次世代リーダー育成プログラムを拡充したことに加え、当社経営理念(Mission、Vision、Values)に基づくグローバルでの共通の行動基準(Mitsui Leadership in Action)導入等進捗がありました。
事業経営力強化に向けて、社内事例に基づいた実践型研修を通じた事業経営人材育成のほか、新たに従業員向け株式報酬制度を導入するなど、関係会社の中長期的な経営目標の達成や事業価値向上へのコミットメントを後押ししていきます。また、社内管理指標としてROIC(*)を導入し、収益性や資本効率を一層意識した全社施策を推進しています。
(*)Return on Invested Capitalの略。
④財務戦略・ポートフォリオ経営の進化
新型コロナウイルスによる影響からの回復に向けた動きをしっかりと取り込み、堅調な鉄鉱石事業や素材・食料などのトレーディング、ICTやデジタル・セキュリティー事業の貢献により、基礎営業キャッシュ・フローは6,600億円の獲得となり、これに資産リサイクルにより獲得した1,450億円を合わせて8,050億円のキャッシュ・インとなりました。また、投融資案件の厳選及び既存事業維持費用の削減を徹底したことで投融資は4,450億円にとどまりました。強靭なキャッシュ創出力と資本効率の向上を意識し、1株当たり85円(5円増配)の年間配当と自己株式取得を通じた総額2,100億円の株主還元となりました。
⑤Strategic Focus
中期経営計画で注力する3つの事業領域における進捗は次のとおりです。
◇重点施策(a) エネルギーソリューション
気候変動への取組みとして、温室効果ガスの排出削減に向けたエネルギー転換に重要な役割を果たすLNGのプロジェクトであるロシアArctic LNG2及びモザンビークArea 1の開発進展に着実に取り組むとともに、国内初となるカーボンニュートラルLNGの供給も実施しました。また、米国カリフォルニア州での水素ステーション事業のFirstElement Fuel社、中国でのLanzaTech社とのバイオエタノール事業への取組みやバイオジェット事業のLanzaJet社への参画等次世代燃料分野への取組みに進捗がありました。国内外で太陽光・風力等の再生エネルギー事業への取組みを着実に進め、国内においては全ての事業所で使用する電力の実質CO2フリー化を決定しました。引き続き当社の強みである天然ガス・発電インフラ事業をプラットフォームとして活かしながら、これらビジネスを通じた取組みにより低炭素化社会の実現に貢献していきます。

◇重点施策(b) ヘルスケア・ニュートリション
当社が推進する病院事業のIHHグループでは、新型コロナウイルスの影響により稼働率が低下しましたが、非接触化ニーズに応じたオンライン診療サービスを導入したことに加え、グループ集中購買によるコスト削減や病院間での連携強化を進めることで、グループ経営基盤強化を推進しました。また、「病院中心」から「個人中心」とした医療のパラダイムシフトが進む中、ヘルスケアデータを活用した成長基盤構築を進めました。更なる成長に向けて、政府・医療機関・製薬企業・保険者等とのグローバルネットワークを通じ、既存事業ポートフォリオが持つリアルな世界に先進デジタル技術を掛け合わせることで、アジア最大のウェルネスサービスプラットフォームの構築を目指します。
◇重点施策(c) マーケット・アジア
当社が歴史的に強みを持つ資源・インフラ事業の維持・拡大に加え、新型コロナウイルスによる影響のある中においても資源・素材・食料・サービスの安定的な供給を果たしました。また、高い経済成長を牽引する中間所得者層を中心とする消費者向けビジネスの創出を目指し、インドネシアで金融・メディア・小売・不動産・ホスピタリティ・エンターテインメント・ライフスタイルを含む消費者関連事業を担う、大手財閥CT Corpグループの転換社債1,000億円の引受を本年4月に合意しました。CT Corpグループが持つ強固な事業基盤を梃子として、「伸びゆくアジアの消費者市場」を取り込み、また、両社が協働をすることにより、同社の企業価値向上と共同事業の創出を進めながら将来の上場も目指していきます。

⑥サステナビリティ経営の実践/ESGの進化
中期経営計画期間では、「気候変動」、「サーキュラーエコノミー」、「ビジネスと人権」の3つを重要課題とし、一層のサステナビリティ経営の実践を進めています。中でも、「気候変動」について、2050年の「あり姿」としてのNet-zero emission、その「あり姿」に向けた道筋としての2030年GHG(温室効果ガス)インパクト半減の目標実現に向け、起点となる2020年のGHGインパクトを3,400万トンと定めました。上述のとおりStrategic Focusとしての「エネルギーソリューション」領域に積極的に取り組むとともに、2021年3月期に導入した社内カーボンプライシング制度の運用等を通じ、世界で多岐に亘るビジネスを展開する事業会社として、経済性を確保しながら、社会全体でのGHG排出量削減につながる取組みを全社的に促進していきます。

ガバナンスの強化では、2020年3月期に実施した取締役会の実効性評価にて認識された課題への取組みとして、巨視
的なテーマのもと全体戦略を議論するための取締役・監査役フリーディスカッションの開催を年2回に増やし、「ESG及び当社マテリアリティを勘案した持続的な収益成長戦略」、「DX戦略」及び「Mitsui Engagement Survey(当社及び当社グループ社員を対象としたEngagementに関するアンケート)」について議論しました。また、各諮問委員会の役割期待を一層明確化するとともに、取締役会運営上の対応強化として、取締役会資料及び事前ブリーフィングの充実化等、情報提供の質を更に高めることで、より活発な取締役会での議論につなげるなど、取締役会の実効性の更なる向上を図りました。
(2)経営環境
①全般
注:本項目は、2021年4月の決算公表時点の経営環境認識を掲載したものであり、当社の現在の経営環境認識と異なる記載が含まれている場合があります。
当連結会計年度の世界経済は、年度当初は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて多くの国で外出制限など経済活動の制限が広範に行われたことから急速かつ大幅に落ち込みましたが、その後は感染拡大の状況に応じて断続的に経済活動の再開が進められたことに加え、米国など主要国で大規模な家計や企業への支援や金融面での対応が講じられたことにより、全体として持ち直しへ向かいました。
米国では、バイデン新政権による大型の経済対策やワクチン接種の進展により、景気回復の動きが強まることが期待されます。欧州では、感染再拡大に伴う活動制限が続き、英国以外の主要国ではワクチン普及のペースが緩慢なことから景気回復の遅れが懸念されます。日本では、輸出は回復基調にあるものの、新型コロナウイルスの再拡大や世界的な半導体不足による自動車減産の影響も懸念されることから、本格的な回復はワクチン接種が進展する夏以降になると見込まれます。中国では、輸出の増加に加え、投資や個人消費も回復しており、感染拡大前の経済成長率を上回ると予想されます。ロシアやブラジルでは輸出や個人消費の回復が続いているものの、ブラジルでは依然として感染拡大に歯止めがかからず、景気回復の足枷になることが懸念されます。
先行きは主要国での追加経済対策に加えてワクチンの普及が世界経済の回復を後押しすると考えられます。早期に感染拡大を抑え込んだ中国はすでに回復軌道にあり、大規模な財政拡大を行っている米国も今年前半には感染拡大前の水準を取り戻すとみられます。その後、日本は年末にかけて、欧州も来年には、感染拡大前の水準に戻っていくものとみられます。
②鉄鋼製品セグメント
新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国が牽引し、2020年暦年の世界の粗鋼生産は前年比ほぼ横ばいの約19億トンとなりました。世界の粗鋼生産の半分を占める中国を中心に過剰能力は解消されていないものの、強い中国需要と世界経済の回復を背景に市況は改善しました。然しながら、国内を中心に製鉄業再編が進展し、鋼材流通分野でも更なる業界再編が生じる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染再拡大による鋼材需要への影響も注視が必要です。
中長期的には、国内の鉄鋼市場は人口減少などにより縮小する一方で、アジアを牽引役として海外では鉄鋼需要は増加していく見通し、また地産地消化や脱炭素社会へ向けた動きが加速する中で、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。
③金属資源セグメント
新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国での需要回復や、米国など主要国での経済の持ち直しを受け、鉄鉱石・銅を中心に市況は好調を維持しています。鉄鋼や非鉄金属は産業の基幹素材であり、世界経済の成長及び低炭素社会の形成にあたり、その原料に対する需要は長期的な伸びが見込まれます。一方、開発・生産コストの上昇や既存鉱山の枯渇や品位悪化に加え、優良未開発案件には限りがあるため、供給が追いつかず、長期的には需給は逼迫していく見込みです。鉄鋼需要は鈍化するシナリオもありますが、引き続きコスト競争力のある原料の安定供給が求められます。また、環境負荷低減ニーズが加速する中、原料のリサイクル、グリーン素材、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量削減などへの要請が高まっています。
④エネルギーセグメント
新型コロナウイルス感染拡大によるエネルギー需要の減少や消費者の行動様式の変化、主要産油国の協調減産体制等の需給動向については慎重に見極めていく必要がありますが、中長期的には世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も増加する見込みです。一方で気候変動問題への政策導入等で将来的なエネルギー構成は様々な見方があり、Cleaner Energy(エネルギーのクリーン化)とMore Energy(エネルギーの量の確保)を両立する必要は高まっています。よって、低・脱炭素社会実現に向け、当社らしいエネルギートランジションを推進すること、開発案件の着実な立ち上げと既存事業の価値最大化を通じ、競争力ある優良資産のポートフォリオを構築することが基本戦略の重要な柱となります。
原油市況は、中長期的には需要が増加する一方で、供給面では新規上流投資抑制による開発鈍化や、より高コストの油田開発に移行していく必要性などにより、緩やかな上昇基調を見込んでいます。一方で、新型コロナウイルス感染拡大の長期化や、EVの急速な普及や環境規制の強化などによる原油需要の減少に関しては、影響を見極めていく必要があります。
LNGは、新興輸入国の市場拡大や、大気汚染物質や温室効果ガスの排出係数が相対的に低い特性から堅調が堅調に伸長すると見込まれる中、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により新規プロジェクトの開発計画や最終投資決断が軒並み遅延しており、2025年頃迄は需給がタイトな期間が続く見込みです。
E&P及びLNGプロジェクトを含む上・中流事業では、主体的な取組を強化し、温室効果ガス削減等の環境対応や資本効率向上等にも取り組み、下方耐性の強化を継続的に進めていきます。又、事業価値最大化に資するLNG販売ポートフォリオの拡充・良質化の取組も継続します。
また、各国政府が新型コロナウイルスからの経済復興策としてのグリーンエネルギーの導入促進を打ち出し、再生可能エネルギーの更なる普及、よりクリーンな燃料への転換、モビリティの電動化や水素燃料電池自動車の普及等、気候変動対応事業が新たな成長領域へと変貌する中、総合エネルギーサービス事業と次世代燃料事業を柱としたエネルギーソリューション分野における取組ニーズが拡大、加速すると見ています。
⑤機械・インフラセグメント
新型コロナウイルス感染症に起因した景気悪化・需要鈍化は回復基調にあり、中長期的に人口増加・経済発展の著しい新興諸国では電力・物流・通信などの基幹インフラ整備の需要が、先進国ではインフラ老朽化による改修需要が、根強く存在しています。また、ESG意識の高まり、技術革新、デジタル経済進展、資本市場の資金余剰、AI・IoT加速、巨大デジタルプラットフォーマー台頭により産業構造は更に変化を続けています。
電力分野では、新型コロナウイルス感染拡大による需要鈍化は徐々に戻りつつあり、加え、脱炭素化の加速により再生可能エネルギーへの需要増加が更に加速しています。また、「低炭素社会化」「DX」の融合による電力エネルギー分野の分散化・サービス化や、モビリティ分野に代表される複数分野に跨るNew Downstream領域は今後高い成長が見込まれます。
物流分野では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い全世界的な貿易量の減少に見舞われましたが、既に回復傾向にあり、中長期的には新興国を中心とする中間層の増大により内需・消費の増大が見込まれ、物流インフラニーズは底堅いと見られています。
通信分野では、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした新たな生活様式が、データ通信量の増加を更に加速化しており、これを支えるデジタルインフラも持続的な需要増加が見込まれます。
モビリティ領域では、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年前半には世界各国でロックダウン等による生産停止が相次ぎ、自動車新車販売が一時的に対前年比でほぼ半減しました。その後、世界の自動車需要は急回復したものの、今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足が世界的に顕著な影響を及ぼし、自動車メーカー各社は再び減産を余儀なくされ、回復の早いメーカーと依然として厳しい状況のメーカーの二極化が進みました。また、航空及び鉄道の旅客減の厳しい状況は継続、一方で、社会インフラを支えるエッセンシャルビジネスである建設機械・鉱山機械の需要は、アジア・北米・中南米を中心に回復、今年後半には新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻る見通しです。
斯かる環境下、各事業会社において、コスト削減や各種効率化等の取組みを通じリーンな経営を追求する動きが進みました。今後は、こうした短期的対応施策を継続しつつ、中・長期的なポスト・コロナを意識した取組みがより一層必要になると見込まれます。例えば、新型コロナウイルス感染拡大でサプライチェーンの課題が顕在化したことや、生活場所の変化やそれに伴う移動機会減といったニューノーマルの常態化を受けて、様々な新たなニーズが生まれてきています。また、マストランジット・公共交通の需要減少、パーソナルモビリティの需要増加が進むと考えられ、生産性向上や労働力不足解消に向けた「デジタル化」や「自動化」など技術革新の動きもこれまで以上に活発化する見通しです。加えて、環境規制の強化やESG意識の高まり等を受けて、地球環境保全に資する省エネ・新燃料・電動化など、輸送・移動インフラのサービス需要は更に拡大すると見られます。
新領域では、宇宙空間を活用した事業機会や周辺サービス需要の拡大が見込まれ、最終需要家へのサービスを軸としたプラットフォームを提供するモビリティの市場拡大が進むものと見ています。
⑥化学品セグメント
気候変動含むサステナビリティが一層重要になっており、サーキュラーエコノミーの確立やカーボンマネージメントが化学産業にとって必須の課題となっています。またガソリン需要の成長鈍化を背景として、製油所が化学品製造にシフトする「Oil to Chemical」の動きが加速化しており、トレードフロー含む市場構造の一層の変化が予想されています。
パフォーマンスマテリアルズ領域では、循環型・低炭素社会の実現に向けた素材分野での技術革新や各種規制の導入、健康・生活の質の向上に向けた消費者ニーズの変化、AI、5Gなどの新たなデジタル技術の社会実装の進展に着目しています
農業化学やウェルネス・栄養科学の領域では、世界的な人口増加・経済成長に伴う食料増産ニーズや、中間所得者層の増加や健康意識の高まりに伴う食の高付加価値ニーズが増大し、市場は引き続き拡大することが見込まれます。
食料、農業関連等のエッセンシャルビジネスは堅調に推移しましたが、新型コロナウイルスの影響は国、地域、製品によって様々であり、コロナ禍からの世界的な回復にはまだ時間がかかる見込みです。デジタル化の進展等、新型コロナウイルス感染症を奇貨とした生活様式の変化にも注目しています。
⑦生活産業セグメント
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により消費者需要が減退しましたが、ワクチンが普及するに従い景気は回復に向かい、食料領域では世界的な人口増加を背景に食糧需要は今後も持続的に増加すると見込んでいます。新興国では、人口増・所得増により引き続きたんぱく質や嗜好品の消費拡大が見込まれます。先進国では、健康意識や環境意識の高まりから、機能性食材や脂質・糖質の代替食材、食の安心といったニーズの多様化・高度化が進むと見ています。また気候変動による減産や生産適地の変化が懸念される中、生産技術革新による生産性向上や環境負荷低減、食糧資源の確保と安定供給へのニーズが一層高まると予想されます。
リテール領域では、国内市場で少子高齢化や人口減少により消費は緩やかに減速する見通しである一方、DXの加速、生活行動様式の変化に伴う消費者の購買行動の変化を受け、ファッションEC、フードデリバリー、ネットスーパー等、EC市場が急拡大しています。ミレニアル世代・Z世代をはじめとする消費者の「健康・環境・サステナビリティ」への関心の高まりを背景に、商品・サービスに求められる質も大きく変化しています。海外では、生産拠点の中国からアジア諸国へのシフトが加速しています。
ヘルスケア・ウェルネス分野においては、アジア新興国の人口増加と成熟国の高齢化、経済発展に伴う慢性疾患の増加による疾病構造の変化に伴い、医療費支出の増加が継続しています。また、中間所得層の増加や新型コロナウイルス感染拡大を契機に、人々の健康意識は一層高まるとともに、膨張する医療費の抑制やデジタル技術の活用が求められています。今後はオンライン診療の導入、ヘルスケアデータやAIの活用等デジタル技術による変革、医療費適正化に向けたアウトカム起点への移行、未病・予防を含むウェルネス分野へのサービスの拡がりがさらに加速化していくものと見ています。
⑧次世代・機能推進セグメント
ICT事業分野においては、IoT/AI・クラウドの普及、消費者サービスの変革など、社会のデジタル化によって多種多様なデータが生み出され、それを価値あるサービスに結び付ける取組みが求められています。また、新型コロナウイルスの影響によりライフスタイルや働き方が大きく変化する中、人々の非接触化による新たなサービスが生まれてくると共に、サイバーセキュリティリスクの高まりに対し、より高度な対策が求められています。
コーポレートディベロップメント分野においては、テクノロジーの進化や環境との調和に対する意識の高まりなどによる投資環境の変化が連続する中で、マクロ経済や株式市場、コモディティの市況変化を意識した投資判断の重要性が増大しています。また、消費活動のEC化の加速に伴い、フルフィルメント機能のニーズ拡大が見込まれます。
(3)2022年3月期事業計画
2022年3月期は中期経営計画の重点施策を継続的に推進し、基礎営業キャッシュ・フロー6,800億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)4,600億円を計画します。これは、いずれも昨年公表した中期経営計画2023における最終年度の目標を上回るものです。絶え間ない「変革と成長」を通じ中期経営計画の定量目標の前倒しの達成を狙うとともに、更なる高みを目指します。
①2022年3月期アクションプラン
新型コロナウイルスの影響下においても必需品の安定供給に貢献した素材・食料等のトレーディング機能の強化を進めるほか、既存の強いコア事業を徹底的に強化し、周辺事業を有機的に連携させることで規模感のある収益群を構築していきます。また、引き続き、中期経営計画でStrategic Focusと定めたエネルギーソリューション、ヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジアの各領域での取組みや、DXを活用した新規事業創出など、成長機会の創出に取り組みます。
②プロジェクトの着実な推進と収益貢献/国内ビジネス強化
2022年3月期には、金属資源、機械・インフラ、化学品などのプロジェクトの立ち上がりが見込まれます。案件の着実な立ち上げに万全を期すことで収益基盤の強化を進めます。
また、日本国内のビジネスも、業界再編の推進、有力企業とのパートナリング、当社人材の戦略的配置など取組みを加速します。
③キャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通し(中期経営計画3年間累計)
2021年3月期の実績と今後の見通しを踏まえて、昨年5月に公表した中期経営計画3年間累計のキャッシュ・フロー・アロケーションをアップデートしました。
主に基礎営業キャッシュ・フローの増加を反映しキャッシュ・インは拡大する見込みの一方、投資決定済み・既存事業維持を中心とする投融資総額は、設備投資の削減、投資実行の確度を踏まえて再精査した結果、1.5兆円に収まる見込みであり、成長投資及び株主還元への更なる配分余力を見込んでいます。
中期経営計画期間中、既に自社株買いに1,400億円を配分しましたが、増配に400億円を追加配分し、2021年4月公表のCT Corpグループの転換社債引受を含めて成長投資に1,500億円を配分します。
引き続き、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元へ柔軟で戦略的な資金配分を実行します。
④利益配分に関する基本方針
株主還元策については第4 提出会社の状況 3「配当政策」を参照願います。
(4)2022年3月期連結業績予想
①2022年3月期連結業績予想
・2022年3月業績予想は、国や地域間の格差はあるものの、世界経済は回復に向かう前提で算出しております。2021年3月期に中長期的な商品価格や需要の引下げによる減損損失を計上した金属資源セグメント、機械・インフラセグメント及びエネルギーセグメントでは、その反動を見込んでおります。また、新型コロナウイルス感染症による需要の減退や稼働率低下がみられた鉄鋼製品セグメントや生活産業セグメントにおいてもその回復を見込み、2022年3月業績予想を算出しております。
・為替レートは2021年3月期の105.94円/米ドル、76.71円/豪ドル及び19.46円/伯レアルに対し、2022年3月期はそれぞれ105円/米ドル、80円/豪ドル及び19円/伯レアルを想定します。また、2022年3月期の原油価格(JCC)を61米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の連結決算に適用される原油価格の平均を59米ドル/バレル(2021年3月期比13米ドル/バレル上昇)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
② 2022年3月期連結業績予想における前提条件
2022年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2022年3月期には約35%が4~6ヵ月遅れで、約60%が1~3ヵ月遅れで、約5%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は、連結油価に対する年間インパクト。
(*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対するものではなく、加重平均ガス販売価格に対するインパクト。
(*3) 米国ガスの2021年3月期実績欄には、2020年1月~12月のNYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの直近限月終値のdaily平均値を記載。
(*4) Valeからの受取配当金に対する影響は含まない。
(*5) 鉄鉱石・石炭の前提価格は非開示。
(*6) 鉄鉱石の2021年3月期実績欄には、2020年4月~2021年3月の複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaのdaily平均値(参考値)を記載。
(*7) 石炭の2021年3月期実績欄には、対日代表銘柄石炭価格(US$/MT)の四半期価格の平均値を記載。
(*8) 銅価格は3ヶ月遅れで当社連結業績に反映される為、上記感応度は2021年3月~12月のLME cash settlement price平均価格がUS$100/トン変動した場合に対するインパクト。
(*9) 銅の2021年3月期実績欄には、2020年1月~12月のLME cash settlement priceのmonthly averageの平均値を記載。
(*10)上記感応度は、各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益に対するインパクト及び一部海外出資先からの受取配当金の影響。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。関係会社における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。
注) 経営成績に対する外国為替相場の影響について
2020年3月期及び2021年3月期の海外の連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計はそれぞれ3,505億円及び3,384億円です。これらの海外所在の連結子会社及び持分法適用会社の機能通貨は、主として米ドル、豪ドル、伯レアルです。2022年3月期連結業績予想の当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する為替変動の影響について、当社は簡便的な推定を行っています。
(a)具体的には、業績予想策定の過程で、海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を各社の機能通貨別に集計し、まず豪ドル、伯レアル建ての予想当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計額を算出するほか、両通貨以外の機能通貨を使用する関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を全て米ドル相当額に換算しました。これら3つの通貨別に表示された海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)に一部の海外出資先からの通貨別の配当金を合計した金額に対して為替変動の影響を評価しました。これによれば米ドルに対する円高は、1円当たり26億円程度の当期利益(親会社の所有者に帰属)の減少をもたらすと試算されます。また、豪ドル及び伯レアルに対する円高の影響は、1豪ドル及び1伯レアル当たりでそれぞれ1円の円高で24億円及び2億円の減益となります。
(b)なお、豪ドルを機能通貨とする資源・エネルギー関連生産会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)は、両通貨と契約上の建値通貨である米ドルとの間での為替変動の影響を大きく受けます。この影響額は、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。
(c)但し、資源・エネルギー関連生産会社などでは、一部において、販売契約の契約通貨である米ドルと機能通貨の為替ヘッジを行っているほか、外貨建の当期利益(親会社の所有者に帰属)の円貨相当評価に係る為替ヘッジを行っている場合があります。これらの影響額についても、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。
(1)中期経営計画の進捗状況
2020年5月に公表した中期経営計画「変革と成長」の初年度である2021年3月期においては、新型コロナウイルス感染拡大の中でも、プロジェクトの着実な推進と、事業環境の変化を踏まえた競争力のあるポートフォリオへの組み替え及び収益基盤の強化を図りました。主な進捗は以下のとおりです。
①プロジェクトの着実な推進及び強固な収益力の実現
新型コロナウイルスの影響下においても、全セグメントを通じて日常生活に不可欠な資源・素材・食料・サービスを安定的に供給し、定性・定量面で貢献しました。金属資源セグメントにおける当社最大の収益源である豪州鉄鉱石事業の鉱量維持・拡充、エネルギーセグメントでは米国Cameron LNG全系列生産開始、西豪州ガス田開発の最終投資決断、機械・インフラセグメントのIPP事業、化学品の農薬・農業資材事業等、当社の基幹事業における各種プロジェクトも着実に進展しました。更に、新型コロナウイルスにより高まった巣ごもり需要や、デジタル・セキュリティー需要をしっかりと取り込むことで収益力の向上につなげました。
新事業への挑戦においては、新しいビジネスをゼロから「つくる」ための子会社、Moon Creative Lab Inc.において20を超えるプロジェクトのインキュベーションが進行し、また、AI、ロボティクス、ビッグデータなどのデジタル技術を活用した既存事業の収益向上やビジネスモデル構築の取組みも加速させています。
②下方耐性強化への取組み
収益の下方耐性強化への取組みとして、事業性の再評価を実施し、ポートフォリオの組み替えを推進しました。金属資源セグメントでは、チリのカセロネス銅鉱山事業の売却、モザンビークのモアティーズ炭鉱/ナカラ回廊鉄道・港湾インフラ事業の持分売却に合意した一方、チリのコジャワシ銅鉱山の権益を追加取得しました。エネルギーセグメントでは、脱炭素社会に向けて量より質を追求するE&P資産価値向上への戦略転換を実施しました。既存事業の再編として、国内ビジネスでは、生活産業セグメントにおいて中間流通機能子会社集約を目的とした三井物産流通ホールディングスの設立、三井製糖及び大日本明治製糖の統合による国内製糖業界再編、アパレル事業の合併検討、次世代・機能推進セグメントにおけるICT関連子会社の三井情報と三井物産エレクトロニクスの合併、米国ではエネルギーセグメントにおける石油・ガス事業での子会社再編等を実施しました。これら既存事業の再編・再構築を通じ、下方耐性及び競争力強化の取組みを加速させています。
2021年3月期は新型コロナウイルスの影響で事業環境が大きく変化しましたが、コスト競争力向上のための構造改革の実施等、各事業で下方耐性の強化が進展しました。
③事業経営力強化・DX推進
昨年5月の新本社への移転をきっかけに、デジタル技術の一層活用やグループアドレス(組織ごとのフリーアドレス)の導入等を通じた社員の行動様式の変革に加え、成果へのコミットメントを念頭においた人事制度改定による社員の意識変革等、新型コロナウイルス感染収束後も見据えた次世代「働き方改革」を推進しています。また、グローバル・グループでの適材適所と総戦力化を図るべく、グローバル次世代リーダー育成プログラムを拡充したことに加え、当社経営理念(Mission、Vision、Values)に基づくグローバルでの共通の行動基準(Mitsui Leadership in Action)導入等進捗がありました。
事業経営力強化に向けて、社内事例に基づいた実践型研修を通じた事業経営人材育成のほか、新たに従業員向け株式報酬制度を導入するなど、関係会社の中長期的な経営目標の達成や事業価値向上へのコミットメントを後押ししていきます。また、社内管理指標としてROIC(*)を導入し、収益性や資本効率を一層意識した全社施策を推進しています。
(*)Return on Invested Capitalの略。
④財務戦略・ポートフォリオ経営の進化
新型コロナウイルスによる影響からの回復に向けた動きをしっかりと取り込み、堅調な鉄鉱石事業や素材・食料などのトレーディング、ICTやデジタル・セキュリティー事業の貢献により、基礎営業キャッシュ・フローは6,600億円の獲得となり、これに資産リサイクルにより獲得した1,450億円を合わせて8,050億円のキャッシュ・インとなりました。また、投融資案件の厳選及び既存事業維持費用の削減を徹底したことで投融資は4,450億円にとどまりました。強靭なキャッシュ創出力と資本効率の向上を意識し、1株当たり85円(5円増配)の年間配当と自己株式取得を通じた総額2,100億円の株主還元となりました。
⑤Strategic Focus
中期経営計画で注力する3つの事業領域における進捗は次のとおりです。
◇重点施策(a) エネルギーソリューション
気候変動への取組みとして、温室効果ガスの排出削減に向けたエネルギー転換に重要な役割を果たすLNGのプロジェクトであるロシアArctic LNG2及びモザンビークArea 1の開発進展に着実に取り組むとともに、国内初となるカーボンニュートラルLNGの供給も実施しました。また、米国カリフォルニア州での水素ステーション事業のFirstElement Fuel社、中国でのLanzaTech社とのバイオエタノール事業への取組みやバイオジェット事業のLanzaJet社への参画等次世代燃料分野への取組みに進捗がありました。国内外で太陽光・風力等の再生エネルギー事業への取組みを着実に進め、国内においては全ての事業所で使用する電力の実質CO2フリー化を決定しました。引き続き当社の強みである天然ガス・発電インフラ事業をプラットフォームとして活かしながら、これらビジネスを通じた取組みにより低炭素化社会の実現に貢献していきます。

◇重点施策(b) ヘルスケア・ニュートリション
当社が推進する病院事業のIHHグループでは、新型コロナウイルスの影響により稼働率が低下しましたが、非接触化ニーズに応じたオンライン診療サービスを導入したことに加え、グループ集中購買によるコスト削減や病院間での連携強化を進めることで、グループ経営基盤強化を推進しました。また、「病院中心」から「個人中心」とした医療のパラダイムシフトが進む中、ヘルスケアデータを活用した成長基盤構築を進めました。更なる成長に向けて、政府・医療機関・製薬企業・保険者等とのグローバルネットワークを通じ、既存事業ポートフォリオが持つリアルな世界に先進デジタル技術を掛け合わせることで、アジア最大のウェルネスサービスプラットフォームの構築を目指します。
◇重点施策(c) マーケット・アジア当社が歴史的に強みを持つ資源・インフラ事業の維持・拡大に加え、新型コロナウイルスによる影響のある中においても資源・素材・食料・サービスの安定的な供給を果たしました。また、高い経済成長を牽引する中間所得者層を中心とする消費者向けビジネスの創出を目指し、インドネシアで金融・メディア・小売・不動産・ホスピタリティ・エンターテインメント・ライフスタイルを含む消費者関連事業を担う、大手財閥CT Corpグループの転換社債1,000億円の引受を本年4月に合意しました。CT Corpグループが持つ強固な事業基盤を梃子として、「伸びゆくアジアの消費者市場」を取り込み、また、両社が協働をすることにより、同社の企業価値向上と共同事業の創出を進めながら将来の上場も目指していきます。

⑥サステナビリティ経営の実践/ESGの進化
中期経営計画期間では、「気候変動」、「サーキュラーエコノミー」、「ビジネスと人権」の3つを重要課題とし、一層のサステナビリティ経営の実践を進めています。中でも、「気候変動」について、2050年の「あり姿」としてのNet-zero emission、その「あり姿」に向けた道筋としての2030年GHG(温室効果ガス)インパクト半減の目標実現に向け、起点となる2020年のGHGインパクトを3,400万トンと定めました。上述のとおりStrategic Focusとしての「エネルギーソリューション」領域に積極的に取り組むとともに、2021年3月期に導入した社内カーボンプライシング制度の運用等を通じ、世界で多岐に亘るビジネスを展開する事業会社として、経済性を確保しながら、社会全体でのGHG排出量削減につながる取組みを全社的に促進していきます。

ガバナンスの強化では、2020年3月期に実施した取締役会の実効性評価にて認識された課題への取組みとして、巨視
的なテーマのもと全体戦略を議論するための取締役・監査役フリーディスカッションの開催を年2回に増やし、「ESG及び当社マテリアリティを勘案した持続的な収益成長戦略」、「DX戦略」及び「Mitsui Engagement Survey(当社及び当社グループ社員を対象としたEngagementに関するアンケート)」について議論しました。また、各諮問委員会の役割期待を一層明確化するとともに、取締役会運営上の対応強化として、取締役会資料及び事前ブリーフィングの充実化等、情報提供の質を更に高めることで、より活発な取締役会での議論につなげるなど、取締役会の実効性の更なる向上を図りました。
(2)経営環境
①全般
注:本項目は、2021年4月の決算公表時点の経営環境認識を掲載したものであり、当社の現在の経営環境認識と異なる記載が含まれている場合があります。
当連結会計年度の世界経済は、年度当初は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受けて多くの国で外出制限など経済活動の制限が広範に行われたことから急速かつ大幅に落ち込みましたが、その後は感染拡大の状況に応じて断続的に経済活動の再開が進められたことに加え、米国など主要国で大規模な家計や企業への支援や金融面での対応が講じられたことにより、全体として持ち直しへ向かいました。
米国では、バイデン新政権による大型の経済対策やワクチン接種の進展により、景気回復の動きが強まることが期待されます。欧州では、感染再拡大に伴う活動制限が続き、英国以外の主要国ではワクチン普及のペースが緩慢なことから景気回復の遅れが懸念されます。日本では、輸出は回復基調にあるものの、新型コロナウイルスの再拡大や世界的な半導体不足による自動車減産の影響も懸念されることから、本格的な回復はワクチン接種が進展する夏以降になると見込まれます。中国では、輸出の増加に加え、投資や個人消費も回復しており、感染拡大前の経済成長率を上回ると予想されます。ロシアやブラジルでは輸出や個人消費の回復が続いているものの、ブラジルでは依然として感染拡大に歯止めがかからず、景気回復の足枷になることが懸念されます。
先行きは主要国での追加経済対策に加えてワクチンの普及が世界経済の回復を後押しすると考えられます。早期に感染拡大を抑え込んだ中国はすでに回復軌道にあり、大規模な財政拡大を行っている米国も今年前半には感染拡大前の水準を取り戻すとみられます。その後、日本は年末にかけて、欧州も来年には、感染拡大前の水準に戻っていくものとみられます。
②鉄鋼製品セグメント
新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国が牽引し、2020年暦年の世界の粗鋼生産は前年比ほぼ横ばいの約19億トンとなりました。世界の粗鋼生産の半分を占める中国を中心に過剰能力は解消されていないものの、強い中国需要と世界経済の回復を背景に市況は改善しました。然しながら、国内を中心に製鉄業再編が進展し、鋼材流通分野でも更なる業界再編が生じる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染再拡大による鋼材需要への影響も注視が必要です。
中長期的には、国内の鉄鋼市場は人口減少などにより縮小する一方で、アジアを牽引役として海外では鉄鋼需要は増加していく見通し、また地産地消化や脱炭素社会へ向けた動きが加速する中で、今後もさまざまなビジネスチャンスが期待できます。
③金属資源セグメント
新型コロナウイルスの感染拡大を早期に抑え込んだ中国での需要回復や、米国など主要国での経済の持ち直しを受け、鉄鉱石・銅を中心に市況は好調を維持しています。鉄鋼や非鉄金属は産業の基幹素材であり、世界経済の成長及び低炭素社会の形成にあたり、その原料に対する需要は長期的な伸びが見込まれます。一方、開発・生産コストの上昇や既存鉱山の枯渇や品位悪化に加え、優良未開発案件には限りがあるため、供給が追いつかず、長期的には需給は逼迫していく見込みです。鉄鋼需要は鈍化するシナリオもありますが、引き続きコスト競争力のある原料の安定供給が求められます。また、環境負荷低減ニーズが加速する中、原料のリサイクル、グリーン素材、バリューチェーン全体での温室効果ガス排出量削減などへの要請が高まっています。
④エネルギーセグメント
新型コロナウイルス感染拡大によるエネルギー需要の減少や消費者の行動様式の変化、主要産油国の協調減産体制等の需給動向については慎重に見極めていく必要がありますが、中長期的には世界的な人口増加・世界経済の成長に伴い、エネルギー需要は今後も増加する見込みです。一方で気候変動問題への政策導入等で将来的なエネルギー構成は様々な見方があり、Cleaner Energy(エネルギーのクリーン化)とMore Energy(エネルギーの量の確保)を両立する必要は高まっています。よって、低・脱炭素社会実現に向け、当社らしいエネルギートランジションを推進すること、開発案件の着実な立ち上げと既存事業の価値最大化を通じ、競争力ある優良資産のポートフォリオを構築することが基本戦略の重要な柱となります。
原油市況は、中長期的には需要が増加する一方で、供給面では新規上流投資抑制による開発鈍化や、より高コストの油田開発に移行していく必要性などにより、緩やかな上昇基調を見込んでいます。一方で、新型コロナウイルス感染拡大の長期化や、EVの急速な普及や環境規制の強化などによる原油需要の減少に関しては、影響を見極めていく必要があります。
LNGは、新興輸入国の市場拡大や、大気汚染物質や温室効果ガスの排出係数が相対的に低い特性から堅調が堅調に伸長すると見込まれる中、新型コロナウイルス感染拡大の影響等により新規プロジェクトの開発計画や最終投資決断が軒並み遅延しており、2025年頃迄は需給がタイトな期間が続く見込みです。
E&P及びLNGプロジェクトを含む上・中流事業では、主体的な取組を強化し、温室効果ガス削減等の環境対応や資本効率向上等にも取り組み、下方耐性の強化を継続的に進めていきます。又、事業価値最大化に資するLNG販売ポートフォリオの拡充・良質化の取組も継続します。
また、各国政府が新型コロナウイルスからの経済復興策としてのグリーンエネルギーの導入促進を打ち出し、再生可能エネルギーの更なる普及、よりクリーンな燃料への転換、モビリティの電動化や水素燃料電池自動車の普及等、気候変動対応事業が新たな成長領域へと変貌する中、総合エネルギーサービス事業と次世代燃料事業を柱としたエネルギーソリューション分野における取組ニーズが拡大、加速すると見ています。
⑤機械・インフラセグメント
新型コロナウイルス感染症に起因した景気悪化・需要鈍化は回復基調にあり、中長期的に人口増加・経済発展の著しい新興諸国では電力・物流・通信などの基幹インフラ整備の需要が、先進国ではインフラ老朽化による改修需要が、根強く存在しています。また、ESG意識の高まり、技術革新、デジタル経済進展、資本市場の資金余剰、AI・IoT加速、巨大デジタルプラットフォーマー台頭により産業構造は更に変化を続けています。
電力分野では、新型コロナウイルス感染拡大による需要鈍化は徐々に戻りつつあり、加え、脱炭素化の加速により再生可能エネルギーへの需要増加が更に加速しています。また、「低炭素社会化」「DX」の融合による電力エネルギー分野の分散化・サービス化や、モビリティ分野に代表される複数分野に跨るNew Downstream領域は今後高い成長が見込まれます。
物流分野では、新型コロナウイルス感染拡大に伴い全世界的な貿易量の減少に見舞われましたが、既に回復傾向にあり、中長期的には新興国を中心とする中間層の増大により内需・消費の増大が見込まれ、物流インフラニーズは底堅いと見られています。
通信分野では、新型コロナウイルス感染拡大がもたらした新たな生活様式が、データ通信量の増加を更に加速化しており、これを支えるデジタルインフラも持続的な需要増加が見込まれます。
モビリティ領域では、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、昨年前半には世界各国でロックダウン等による生産停止が相次ぎ、自動車新車販売が一時的に対前年比でほぼ半減しました。その後、世界の自動車需要は急回復したものの、今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症及び半導体不足が世界的に顕著な影響を及ぼし、自動車メーカー各社は再び減産を余儀なくされ、回復の早いメーカーと依然として厳しい状況のメーカーの二極化が進みました。また、航空及び鉄道の旅客減の厳しい状況は継続、一方で、社会インフラを支えるエッセンシャルビジネスである建設機械・鉱山機械の需要は、アジア・北米・中南米を中心に回復、今年後半には新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻る見通しです。
斯かる環境下、各事業会社において、コスト削減や各種効率化等の取組みを通じリーンな経営を追求する動きが進みました。今後は、こうした短期的対応施策を継続しつつ、中・長期的なポスト・コロナを意識した取組みがより一層必要になると見込まれます。例えば、新型コロナウイルス感染拡大でサプライチェーンの課題が顕在化したことや、生活場所の変化やそれに伴う移動機会減といったニューノーマルの常態化を受けて、様々な新たなニーズが生まれてきています。また、マストランジット・公共交通の需要減少、パーソナルモビリティの需要増加が進むと考えられ、生産性向上や労働力不足解消に向けた「デジタル化」や「自動化」など技術革新の動きもこれまで以上に活発化する見通しです。加えて、環境規制の強化やESG意識の高まり等を受けて、地球環境保全に資する省エネ・新燃料・電動化など、輸送・移動インフラのサービス需要は更に拡大すると見られます。
新領域では、宇宙空間を活用した事業機会や周辺サービス需要の拡大が見込まれ、最終需要家へのサービスを軸としたプラットフォームを提供するモビリティの市場拡大が進むものと見ています。
⑥化学品セグメント
気候変動含むサステナビリティが一層重要になっており、サーキュラーエコノミーの確立やカーボンマネージメントが化学産業にとって必須の課題となっています。またガソリン需要の成長鈍化を背景として、製油所が化学品製造にシフトする「Oil to Chemical」の動きが加速化しており、トレードフロー含む市場構造の一層の変化が予想されています。
パフォーマンスマテリアルズ領域では、循環型・低炭素社会の実現に向けた素材分野での技術革新や各種規制の導入、健康・生活の質の向上に向けた消費者ニーズの変化、AI、5Gなどの新たなデジタル技術の社会実装の進展に着目しています
農業化学やウェルネス・栄養科学の領域では、世界的な人口増加・経済成長に伴う食料増産ニーズや、中間所得者層の増加や健康意識の高まりに伴う食の高付加価値ニーズが増大し、市場は引き続き拡大することが見込まれます。
食料、農業関連等のエッセンシャルビジネスは堅調に推移しましたが、新型コロナウイルスの影響は国、地域、製品によって様々であり、コロナ禍からの世界的な回復にはまだ時間がかかる見込みです。デジタル化の進展等、新型コロナウイルス感染症を奇貨とした生活様式の変化にも注目しています。
⑦生活産業セグメント
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により消費者需要が減退しましたが、ワクチンが普及するに従い景気は回復に向かい、食料領域では世界的な人口増加を背景に食糧需要は今後も持続的に増加すると見込んでいます。新興国では、人口増・所得増により引き続きたんぱく質や嗜好品の消費拡大が見込まれます。先進国では、健康意識や環境意識の高まりから、機能性食材や脂質・糖質の代替食材、食の安心といったニーズの多様化・高度化が進むと見ています。また気候変動による減産や生産適地の変化が懸念される中、生産技術革新による生産性向上や環境負荷低減、食糧資源の確保と安定供給へのニーズが一層高まると予想されます。
リテール領域では、国内市場で少子高齢化や人口減少により消費は緩やかに減速する見通しである一方、DXの加速、生活行動様式の変化に伴う消費者の購買行動の変化を受け、ファッションEC、フードデリバリー、ネットスーパー等、EC市場が急拡大しています。ミレニアル世代・Z世代をはじめとする消費者の「健康・環境・サステナビリティ」への関心の高まりを背景に、商品・サービスに求められる質も大きく変化しています。海外では、生産拠点の中国からアジア諸国へのシフトが加速しています。
ヘルスケア・ウェルネス分野においては、アジア新興国の人口増加と成熟国の高齢化、経済発展に伴う慢性疾患の増加による疾病構造の変化に伴い、医療費支出の増加が継続しています。また、中間所得層の増加や新型コロナウイルス感染拡大を契機に、人々の健康意識は一層高まるとともに、膨張する医療費の抑制やデジタル技術の活用が求められています。今後はオンライン診療の導入、ヘルスケアデータやAIの活用等デジタル技術による変革、医療費適正化に向けたアウトカム起点への移行、未病・予防を含むウェルネス分野へのサービスの拡がりがさらに加速化していくものと見ています。
⑧次世代・機能推進セグメント
ICT事業分野においては、IoT/AI・クラウドの普及、消費者サービスの変革など、社会のデジタル化によって多種多様なデータが生み出され、それを価値あるサービスに結び付ける取組みが求められています。また、新型コロナウイルスの影響によりライフスタイルや働き方が大きく変化する中、人々の非接触化による新たなサービスが生まれてくると共に、サイバーセキュリティリスクの高まりに対し、より高度な対策が求められています。
コーポレートディベロップメント分野においては、テクノロジーの進化や環境との調和に対する意識の高まりなどによる投資環境の変化が連続する中で、マクロ経済や株式市場、コモディティの市況変化を意識した投資判断の重要性が増大しています。また、消費活動のEC化の加速に伴い、フルフィルメント機能のニーズ拡大が見込まれます。
(3)2022年3月期事業計画
2022年3月期は中期経営計画の重点施策を継続的に推進し、基礎営業キャッシュ・フロー6,800億円、当期利益(親会社の所有者に帰属)4,600億円を計画します。これは、いずれも昨年公表した中期経営計画2023における最終年度の目標を上回るものです。絶え間ない「変革と成長」を通じ中期経営計画の定量目標の前倒しの達成を狙うとともに、更なる高みを目指します。
①2022年3月期アクションプラン
新型コロナウイルスの影響下においても必需品の安定供給に貢献した素材・食料等のトレーディング機能の強化を進めるほか、既存の強いコア事業を徹底的に強化し、周辺事業を有機的に連携させることで規模感のある収益群を構築していきます。また、引き続き、中期経営計画でStrategic Focusと定めたエネルギーソリューション、ヘルスケア・ニュートリション、マーケット・アジアの各領域での取組みや、DXを活用した新規事業創出など、成長機会の創出に取り組みます。
②プロジェクトの着実な推進と収益貢献/国内ビジネス強化2022年3月期には、金属資源、機械・インフラ、化学品などのプロジェクトの立ち上がりが見込まれます。案件の着実な立ち上げに万全を期すことで収益基盤の強化を進めます。
また、日本国内のビジネスも、業界再編の推進、有力企業とのパートナリング、当社人材の戦略的配置など取組みを加速します。
③キャッシュ・フロー・アロケーションの最新見通し(中期経営計画3年間累計)2021年3月期の実績と今後の見通しを踏まえて、昨年5月に公表した中期経営計画3年間累計のキャッシュ・フロー・アロケーションをアップデートしました。
主に基礎営業キャッシュ・フローの増加を反映しキャッシュ・インは拡大する見込みの一方、投資決定済み・既存事業維持を中心とする投融資総額は、設備投資の削減、投資実行の確度を踏まえて再精査した結果、1.5兆円に収まる見込みであり、成長投資及び株主還元への更なる配分余力を見込んでいます。
中期経営計画期間中、既に自社株買いに1,400億円を配分しましたが、増配に400億円を追加配分し、2021年4月公表のCT Corpグループの転換社債引受を含めて成長投資に1,500億円を配分します。
引き続き、投資機会と事業環境を総合的に勘案し、成長投資と追加還元へ柔軟で戦略的な資金配分を実行します。
④利益配分に関する基本方針株主還元策については第4 提出会社の状況 3「配当政策」を参照願います。
(4)2022年3月期連結業績予想
①2022年3月期連結業績予想
| [業績予想の前提条件] | 予想 | 実績 |
| 期中平均米ドル為替レート | 105.00 | 105.94 |
| 原油価格(JCC) | 61ドル | 43ドル |
| 期ずれを考慮した当社連結決算に反映される原油価格 | 59ドル | 46ドル |
| 単位:億円 | 2022年3月期 業績予想 | 2021年3月期 実績 | 増減 | 増減要因 |
| 売上総利益 | 8,200 | 8,115 | +85 | |
| 販売費及び一般管理費 | △5,900 | △6,064 | +164 | 減損損失反動 |
| 有価証券・固定資産 関係損益等 | 0 | △544 | +544 | 減損損失反動 |
| 利息収支 | △300 | △321 | +21 | |
| 受取配当金 | 1,200 | 1,037 | +163 | 金属資源・エネルギー |
| 持分法による投資損益 | 2,800 | 2,279 | +521 | 機械インフラ・生活産業 鉄鋼製品 |
| 法人所得税前利益 | 6,000 | 4,502 | +1,498 | |
| 法人所得税 | △1,300 | △998 | △302 | |
| 非支配持分 | △100 | △149 | +49 | |
| 当期利益 (親会社の所有者に帰属) | 4,600 | 3,355 | +1,245 | |
| 減価償却費・無形資産等償却費 | 3,000 | 2,736 | +264 | |
| 基礎営業キャッシュ・フロー | 6,800 | 6,581 | +219 |
・2022年3月業績予想は、国や地域間の格差はあるものの、世界経済は回復に向かう前提で算出しております。2021年3月期に中長期的な商品価格や需要の引下げによる減損損失を計上した金属資源セグメント、機械・インフラセグメント及びエネルギーセグメントでは、その反動を見込んでおります。また、新型コロナウイルス感染症による需要の減退や稼働率低下がみられた鉄鋼製品セグメントや生活産業セグメントにおいてもその回復を見込み、2022年3月業績予想を算出しております。
・為替レートは2021年3月期の105.94円/米ドル、76.71円/豪ドル及び19.46円/伯レアルに対し、2022年3月期はそれぞれ105円/米ドル、80円/豪ドル及び19円/伯レアルを想定します。また、2022年3月期の原油価格(JCC)を61米ドル/バレルと仮定し、期ずれを考慮した当社の連結決算に適用される原油価格の平均を59米ドル/バレル(2021年3月期比13米ドル/バレル上昇)と想定します。
オペレーティング・セグメント別での業績予想(当期利益(親会社の所有者に帰属))は以下のとおりです。
| (単位:億円) | 2022年3月期 業績予想 | 2021年3月期 実績 | 増減 | 増減要因 |
| 鉄鋼製品 | 100 | 21 | +79 | COVID19影響反動 |
| 金属資源 | 2,600 | 1,799 | +801 | 減損損失反動 |
| エネルギー | 500 | 272 | +228 | 原油ガス価格上昇・ 減損損失反動 |
| 機械・インフラ | 800 | 459 | +341 | COVID19影響反動 |
| 化学品 | 400 | 435 | △35 | |
| 生活産業 | 200 | 127 | +73 | COVID19影響反動 |
| 次世代・機能推進 | 300 | 502 | △202 | FVTPL益反動 |
| その他/調整・消去 | △300 | △260 | △40 | |
| 連結合計 | 4,600 | 3,355 | +1,245 |
オペレーティング・セグメント別での基礎営業キャッシュ・フロー予想は以下のとおりです。
| (単位:億円) | 2022年3月期 業績予想 | 2021年3月期 実績 | 増減 | 増減要因 |
| 鉄鋼製品 | 50 | 20 | +30 | |
| 金属資源 | 2,900 | 3,081 | △181 | 豪ドル高・税金負担 |
| エネルギー | 1,700 | 1,232 | +468 | 原油・ガス価格上昇 |
| 機械・インフラ | 1,000 | 787 | +213 | COVID19影響反動 |
| 化学品 | 550 | 625 | △75 | |
| 生活産業 | 300 | 198 | +102 | COVID19影響反動 |
| 次世代・機能推進 | 300 | 551 | △251 | FVTPL益反動 |
| その他/調整・消去 | 0 | 87 | △87 | |
| 連結合計 | 6,800 | 6,581 | +219 |
② 2022年3月期連結業績予想における前提条件
2022年3月期連結業績予想における商品市況及び為替の前提と価格及び為替変動による当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額は以下のとおりです。
| 価格変動の2022年3月期 当期利益(親会社の所有者に帰属)への影響額 | 2022年3月期 前提 | 2021年3月期 実績 | |||||
| 市況商品 | 原油/JCC | - | 61 | 43 | |||
| 連結油価(*1) | 25 | 億円(US$1/バレル) | 59 | 46 | |||
| 米国ガス(*2) | 11 | 億円(US$0.1/mmBtu) | 2.74 | 2.13(*3) | |||
| 鉄鉱石(*4) | 22 | 億円(US$1/トン) | (*5) | 128(*6) | |||
| 石炭 | 原料炭 | 4 | 億円(US$1/トン) | (*5) | 119(*7) | ||
| 一般炭 | 1 | 億円(US$1/トン) | (*5) | 69(*7) | |||
| 銅(*8) | 7 | 億円(US$100/トン) | 7,650 | 6,169(*9) | |||
| 為替(*10) | 米ドル | 26 | 億円(\1/米ドル) | 105.00 | 105.94 | ||
| 豪ドル | 24 | 億円(\1/豪ドル) | 80.00 | 76.71 | |||
| 伯レアル | 2 | 億円(\1/伯レアル) | 19.00 | 19.46 | |||
(*1) 原油価格は0~6ヶ月遅れで当社連結業績に反映されるため、この期ずれを考慮した連結業績に反映される原油価格を連結油価として推計している。2022年3月期には約35%が4~6ヵ月遅れで、約60%が1~3ヵ月遅れで、約5%が遅れ無しで反映されると想定される。上記感応度は、連結油価に対する年間インパクト。
(*2) 当社が米国で取り扱う天然ガスはその多くがHenry Hub(HH)に連動しない為、上記感応度はHH価格の変動に対するものではなく、加重平均ガス販売価格に対するインパクト。
(*3) 米国ガスの2021年3月期実績欄には、2020年1月~12月のNYMEXにて取引されるHenry Hub Natural Gas Futuresの直近限月終値のdaily平均値を記載。
(*4) Valeからの受取配当金に対する影響は含まない。
(*5) 鉄鉱石・石炭の前提価格は非開示。
(*6) 鉄鉱石の2021年3月期実績欄には、2020年4月~2021年3月の複数業界紙によるスポット価格指標Fe 62% CFR North Chinaのdaily平均値(参考値)を記載。
(*7) 石炭の2021年3月期実績欄には、対日代表銘柄石炭価格(US$/MT)の四半期価格の平均値を記載。
(*8) 銅価格は3ヶ月遅れで当社連結業績に反映される為、上記感応度は2021年3月~12月のLME cash settlement price平均価格がUS$100/トン変動した場合に対するインパクト。
(*9) 銅の2021年3月期実績欄には、2020年1月~12月のLME cash settlement priceのmonthly averageの平均値を記載。
(*10)上記感応度は、各国所在の関係会社が報告する機能通貨建て当期利益に対するインパクト及び一部海外出資先からの受取配当金の影響。円安は機能通貨建て当期利益の円貨換算を通じて増益要因となる。関係会社における販売契約上の通貨である米ドルと機能通貨の豪ドル・伯レアルの為替変動、及び為替ヘッジによる影響を含まない。
注) 経営成績に対する外国為替相場の影響について
2020年3月期及び2021年3月期の海外の連結子会社及び持分法適用会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計はそれぞれ3,505億円及び3,384億円です。これらの海外所在の連結子会社及び持分法適用会社の機能通貨は、主として米ドル、豪ドル、伯レアルです。2022年3月期連結業績予想の当期利益(親会社の所有者に帰属)に対する為替変動の影響について、当社は簡便的な推定を行っています。
(a)具体的には、業績予想策定の過程で、海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を各社の機能通貨別に集計し、まず豪ドル、伯レアル建ての予想当期利益(親会社の所有者に帰属)の合計額を算出するほか、両通貨以外の機能通貨を使用する関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)を全て米ドル相当額に換算しました。これら3つの通貨別に表示された海外関係会社の予想当期利益(親会社の所有者に帰属)に一部の海外出資先からの通貨別の配当金を合計した金額に対して為替変動の影響を評価しました。これによれば米ドルに対する円高は、1円当たり26億円程度の当期利益(親会社の所有者に帰属)の減少をもたらすと試算されます。また、豪ドル及び伯レアルに対する円高の影響は、1豪ドル及び1伯レアル当たりでそれぞれ1円の円高で24億円及び2億円の減益となります。
(b)なお、豪ドルを機能通貨とする資源・エネルギー関連生産会社の当期利益(親会社の所有者に帰属)は、両通貨と契約上の建値通貨である米ドルとの間での為替変動の影響を大きく受けます。この影響額は、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。
(c)但し、資源・エネルギー関連生産会社などでは、一部において、販売契約の契約通貨である米ドルと機能通貨の為替ヘッジを行っているほか、外貨建の当期利益(親会社の所有者に帰属)の円貨相当評価に係る為替ヘッジを行っている場合があります。これらの影響額についても、(a)に述べた3つの通貨毎の当期利益(親会社の所有者に帰属)合計の円相当評価による感応度と別に勘案する必要があります。